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【講談社現代新書】『睡眠の起源』読んでみた。起源よりも定義としくみの本。

最近、母から譲り受けて読んだのが講談社現代新書2760『睡眠の起源』です(⇩)

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タイトルからして面白そうだし意外と薄い(物理)なので読んでみたのですが、タイトルと中身がちょっとずれた本でした。本文中ではっきりと「生物が睡眠を獲得したのは〇億年前」とか「〇生代の頃から眠り始めた」などと書かれているわけではありません。「睡眠の起源を探り当てたぞ!」というよりも「『睡眠』の定義によっては無脳の生物でも眠っていると言えるのではないか」ということを発見した、といった内容です。著者の金谷氏は睡眠を「反応性の低下を伴った可逆的な行動静止の状態」と定義しました。要するに生物が「じっとしている」なおかつ「反応が鈍くなっている」のならば眠っていると言えるのではないか、と述べているのです。言われてみればその通り。もしも脳がない生物(作中ではヒドラ)でも「眠る」のであれば、これ以外に定義のしようがない気がします。本書の画期的な部分は睡眠を再定義した点ではなく、睡眠と脳を切り離して研究した点でしょう。睡眠というのは脳を持つ生物の特権ではない。神経のある生物であれば、脳がなくても眠りうる。なぜならば、研究によって眠りを司る遺伝子を発見し、この遺伝子を持つ生物は眠ることがわかったからである…という部分が、本書のハイライトだと思います。「第五章  種をこえた遺伝子」のあたりです。

ここでちょっと補足説明。今までは本文の内容について書きましたが、ここからは帯にある「極上の科学ミステリー」というアオリ文について。小説でもない本がなぜ「ミステリー」と呼ばれているのかといえば、睡眠のしくみとともに、学者の頭の中(思考の過程)も解き明かしているからでしょう。学者はどんな動機で研究対象を決め、仮説を立てるのか。どうすればその仮説を「新しい真実」として証明できるのか。証明のためにはどんな実験をすればよいのか…といった思考の過程も教えてくれます。

この他の魅力は、本文が少し小説風なこと。著者の金谷氏は現役の研究者ではありますが、1998年生まれなので27歳という若さです。お堅い学術書だけではなくSF小説にも親しんでこられたのかもしれません。研究手法について考えながら池のほとりを散歩したり、相談のために韓国の研究所を訪れるシーン(第五章  一時間ほどばかりの隣国で)などは、博士を主人公にした小説の1シーンのようです。理数科に進学し生物部に在籍し研究ざんまいの生活をしていた高校生が、今や立派な研究者となり韓国の研究所を訪ね、拙いながらも英語で発表して質疑応答している様子を見ていると「立派になったねえ…」なんて、親戚のおばさんみたいな気分になってきます。著者がご自分の半生を書かれたのは大正解。読者は時に著者の視点になり、研究のワクワク感(のみ)を感じることができるのです。

ここらへんでまとめに入りましょう。ページ数は少なくタイトルと内容に少しずれがあるものの、新書ということもあり読みやすい良書だと思います。睡眠のしくみや生物に興味があるなら読んで損はありません。お若い金谷氏にとって初の著書とのことですから、応援を兼ねて一読するのも一興。

 

以上、講談社現代新書2760『睡眠の起源』読んでみた件でした。たまにこういう本を読みたくなります。生物系は良き。Amazonへのリンクはこちら(⇩)

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