以下の内容はhttps://mee6.hatenablog.jp/より取得しました。


ブラインド仕様のグッズ、買う?買わない?

ゲーマーのみなさん、こんばんは。大阪では本日から「全国解体大巡廻」展が始まっていますね。ADV『都市伝説解体センター』発売一周年記念展覧会です(⇩)

umdc.shueisha-games.com

発売からわずか一年でリアルイベントを開催するまでになったのはすごい。ファンはもちろん、開発者の方々も喜ばれているでしょう。有料の展示コーナーとは別に無料で入れる物販コーナーがあり、空いている時なら物販コーナーのみ利用も可とのことです。美術館のショップと同じですね。コーナーを分けてくださるのは良心的でありがたいです。わたしは1周クリアしただけのにわかなので、展示コーナーが見られなくてもグッズだけ買えればいいかなと思って、特設サイトのグッズ紹介ページで買う物のアタリをつけているところです。

ここで問題になるのが、ブラインド仕様のグッズ。オタクのみなさんにはおなじみ、商品名が「トレーディング〇〇」となっている物です。みなさんはああいうの、買いますか? 私は基本買わない派です。初音ミクくじでも下のほうの賞はブラインド仕様になっていましたが、あれはまあ許容範囲なので引きました。キャラクターグッズがブラインド仕様になっている場合、絶対いらないキャラが含まれていたら買いません。初音ミクくじの場合はボカロ界の人気上位6名なので明確に「ハズレ」と感じるキャラはいないものの、今回の『都市伝説解体センター』グッズには明確にいらないキャラも。せっかくキャラクターの人気ランキングがつくられたというのに(⇩)

www.famitsu.com

なんでまた「蛭塚村の村人」なんてグッズ化してしまったんですか⁉ 一応、人気ランキング13位には入っていますが。しかも、イケメンの眉崎さん(性格はブスなので21位には納得だけど)より上位ではありますが。他にも「このキャラのグッズほしい人いるの⁉」と思うキャラがちらほら。四ケタ得票した上位6名だけグッズ化すればよかったものを。1000票で足切りすればよかったじゃないですか…とりあえず缶バッジとチャームコレクションには手を出さないことにします。それにしても、ブラインド仕様のグッズって、どうしてブラインド仕様なんでしょう。「トレーディング」と名付けているのは「いらないのが出たら文句言わないで同好の士と交換してね」ということなのでしょうが。ノークレームで売り切りたいのであれば、そもそもつくらなければいいのでは。それでも世にブラインド仕様のグッズがあふれているのは「こうすれば推しが出るまで買ってもらえるから」だけが理由なのでしょうか。つい先日「それだけが理由ではないのでは」と思い至りました。もしかしたら工場へ発注する都合なのかもしれません。「予算的に缶バッジは500個しか注文できない」「それじゃあ人気上位5名のキャラをグッズ化しよう」ここまではいいのですが。ここで、ファンとして理想的な内訳は

人気1位のAちゃん:200個

人気2位のBくん:100個

人気3位のCさん:100個

人気4位のDちゃん:50個

人気5位のEくん:50個

くらいですよね。しかし、全キャラ均等にしか発注できないとしたらどうでしょう。実際の需要は⇧みたいな感じなのに、いざ工場に発注する時は

人気1位のAちゃん:100個

人気2位のBくん:100個

人気3位のCさん:100個

人気4位のDちゃん:100個

人気5位のEくん:100個

になってしまうのだとしたら。人気1位のAちゃんはニーズに対して100個足らないし、人気4位のDちゃん・人気5位のEくんは逆にニーズに対して50個多いということになります。この状態で、選べるように並べて売ったらどうなるでしょう。人気1位のAちゃんはすぐに完売し、人気4位のDちゃん・人気5位のEくんは50個ずつ売れ残るということになりそうです。では、均等にしか注文できない状態で500個売り切るにはどうしたらよいでしょうか。答えは簡単。「選べないようにして販売する」です。中身のわからないブラインド仕様にして「トレーディング〇〇」と名付けて売れば、あら不思議。人気は偏っているに関わらずグッズを売り切ることができる、という仕組みになっているのではないかと。こう考えると「グッズの生産数を決める人も大変だな」と思いますね。かくしてブラインド仕様のグッズが世に出るのかと思えば怒る気はなくなります。グッズ担当者さまには素直に感謝しましょう。発売一周年・展覧会開催おめでとうございます。以上。

【二次創作】ジプソのメレシー【レジェンズZA】

目次

 

もうレジェンズZA関連の記事は書かないつもりだったのですが、更新頻度を保てるだけのアイデアもストックもないので、書きかけの二次創作をアップする次第です。昔、pixivで見た「ポケモンの疾患」が着想源です。これに「ジプソさんがメレシーを抱えているところが見たい」という願望を混ぜて書きました。未完ですので随時更新していきます。分割して記事数を水増しすることも考えましたが、興味のない方には不評だと思うのでやめておきます。現時点で3万9千字ほどありますので、心してお読みください。それでは、以下、本文です。

 

ジプソのメレシー

優しい筋者と難病メレシー

 ここのところミアレでは、鋼使いで通っているサビ組の幹部ジプソ氏が、鋼ではないポケモンを連れていると話題だ。それも、よりにもよって鋼が4倍弱点のメレシーを。噂によるとそのメレシーはジプソ氏がMSBCのユカリから譲り受けた個体で、なぜか赤いセーターを着せられている。おまけにそのセーターはジプソ氏の手編みだという。ジプソ氏はいかつい外見に反して意外と家庭的な一面もあるようだ。
 ジプソ氏がそのメレシーを譲り受けることになったのは、ユカリ嬢に提案されたからだという。ポケモンを持つ者のなかでも俗に「トレーナー」と呼ばれる者たちはバトルに興じるばかりでポケモンの知識は偏っており、ワザやタイプ相性には詳しいが疾患に関する知識は少ない。そのため手持ちのポケモンたちの体調が悪くなっても対処法がわからず、あわててポケモンセンターへ駆け込んでくる。しかしこれは専門タイプを持たない凡庸なトレーナーの場合だ。特定のタイプを多く使うトレーナーは自然とそのタイプへの理解を深めていき、おのずと知識も増えていく。さすがにポケモン医療従事者ほどではないものの、専門タイプがあるトレーナーは少なからずポケモンの身体疾患に関する知識を持つ。
 知識が増えれば、自然と興味の幅も広がる。それは趣味の世界だけではなく、ポケモンに関しても同様だ。ジプソ氏は長年鋼タイプだけを使ってきたが、近縁タイプの地面・岩タイプに関する知識も多い。そのおかげでジプソ氏は、ユカリ嬢が連れてきたメレシーの疾患に気づくことができたのだという。
 ジプソ氏と、そのメレシーの出会いはこんなふうだった。
 ある日のこと、カラスバとジプソはユカリ嬢に招かれてMSBCホールを訪ねた。といっても深刻な用件ではない。たまに開かれる小さな会合で、ちょっとした情報交換をしているだけだ。その日も大したことはなく、何事もなく終わるはずだった。主人の長話に退屈したメレシーがボールから出てホールをうろつき、うっかりテーブルにぶつかって欠けるまでは。
「メーレーシー」
 鳴き声とともにボールを出たメレシーは、豪華なテーブルに施された金細工に興味を持ったらしい。
「あらあら。メレシーったら、勝手に出てきて」
 4人が見守るなか、メレシーはテーブルの縁へ近づいていく。
「メレッ」
 メレシーは葉を象った浮き彫りに近づきすぎてぶつかり、体の一部が欠けてしまった。先ほどの鳴き声はぶつかった衝撃への驚きなのか、それとも「痛い」という意味なのか。
「また欠けましたわね。本当に脆い子ですこと」
 ハルジオがあわててメレシーの欠片を拾いに駆け寄っていくのに対して、ユカリはメレシーを気遣う様子もなくため息をついた。「また」と言うからにはこのメレシーはしょっちゅう体が欠けているのだろうが、この態度は大いに問題だ。手持ちに入れておきながら身体欠損を気にかけていないうえに、フェアリーが複合しているとはいえ歴とした岩タイプがテーブルに軽くぶつかった程度で欠けるのは明らかに異常である。
「また、ってことはあの子、よく欠けてるん?」
 ジプソが欠けたメレシーに気遣わしげな視線を向けていることに気づいたカラスバは、ジプソのかわりに質問した。
「ええ。好奇心が強い子なので、家具にも興味津々で。わたくしの部屋でもよくぶつかって、欠けていますわ」
「岩タイプが金属製品にぶつかると、欠けてまうことがあるらしいけども。ユカリ嬢は純金のタンスでも使てるん?」
「まさか。ダイニングテーブルこそ大理石ですけれど、他は木製ですわ。金庫のようなタンスを使う趣味はありませんでしてよ」
「ってことは、この子がめっちゃ脆いんやな。木製のもんに当たっても、さっきみたいに欠けてまうんやろ?」
「ええ。ステータスが優秀だったので、手持ちに入れたのですけれど。正直、持て余していますわ」
「医者には見せたん?」
「もちろん。ドクターによると、脆体症だそうです」
「それ、きいたことあるな。鋼タイプもかかる病気やなかったか、ジプソ」
「はい。鋼使いの間では有名な疾患です」
 脆体症とは鋼・岩・氷タイプのポケモンに現れる疾患で、身体強度(硬度)が足らず、バトルではない日常的な動作でも身体が欠けてしまう。氷タイプの場合は身体の欠片を失っても、患部に水をかけてやればポケモン自身が冷気を操り身体表面の氷を補うことができるので、あまり深刻な事態にはならない。保護者に水の携帯が義務づけられる程度だ。これに対して鋼・岩の脆体症は身体の補修が難しく、欠片を失い続けると命に関わる事態になるので保護者は気を抜けない。
「どのタイプの脆体症にも、先天性のものと後天性のものがあります」
 先天性の場合は生まれつき身体が脆いので保護者になる人間には相応の覚悟が求められる。食事療法などで治ることはなく、一生のつきあいになるからだ。一方、後天性の場合は体調不良による免疫不全が原因である。鋼・岩・氷タイプが免疫不全に陥ると、免疫系が過敏になり、異物にふれると防衛機能が過剰に働いて身体が割れたり欠けたりしてしまう。
「それぞれ対処法が異なるのですが。このメレシーはどちらだと言われましたか?」
「それが、先天性のものだと…」
「ということは、食事療法なんかじゃ治らへんってことやな」
「そのようですわ。かといって、野生に返すには惜しい個体値で」
「ユカリさん。ひとつ、提案があるのですが」
「あら、なにかしら?」
「このメレシーに防護服を着せてはどうでしょうか。脆体症になりやすいポケモンには、それぞれ専用の防護服が開発されておりまして。たしか、メレシーにも…」
「ご冗談でしょう。わざわざ畜生に服を?」
『!?』
 めったに聞かない強烈な差別語がユカリの口から発せられたことに驚いた三人が固まった。今時「畜生」などという古風な語は裏社会でもまず使わない。
「さては、ハルジオの影響やな? ストリートでは、ポケモンのこと畜生って言うんやろ。若い子は怖いなあ」
「ち、ちがう! うちが教えたんじゃない!」
「おまえが教えたんやなかったら、どこで覚えるねん。こんな言葉がセレブのなかで流行ってるわけないやろ」
「なにか、わたくしの言葉づかいに問題がありまして?」
「無自覚なんかいっ。あんなあ、ユカリ嬢。お嬢様が畜生なんて言ったらあかんで。下品やし失礼やろ」
「失礼? どなたに?」
「いや、だから、ポケモンの子らに。畜生っていうのはな、古の差別語やで。ポケモンがまだ、アニマルって呼ばれてた時代の」
「それは存じていますわ。古い言葉だからこそ、庶民にはあまり知られていませんでしてよ。セレブは語彙も庶民とは異なるものです」
『…』
 論点がずれているどころか、そもそも認識されていない。ユカリにはまったく問題意識がないようだ。この時、三人は初めて知った。真性の差別主義者は、己が他者を差別していることに気づかないのだと。彼らは息をするように差別する。無意識であるがゆえに一片の悪意も含まれておらず、彼らの世界観の一部であり、それゆえに反省の対象ではない。カラスバのように幼少期からポケモンたちとともに過ごし、手持ちを家族同然に愛する人間との間に横たわる溝はあまりに深く、双方が言葉で理解しあえる日が来ることは永久にないであろう。
「つまり、このメレシーに防護服を着せるおつもりはない、と」
 いち早く精神を立て直したジプソがユカリに確認した。
「ええ。わたくしは、ポケモンと子供の区別もつかないような愚か者ではありませんでしてよ。ポケモンを擬人化して溺愛するような、品のないまねはいたしません」
「さようですか。でしたら、普段はボックスにお入れください。それか、専門保護施設に」
「それでは、わたくしがいくらバトルしてもまったく経験値が入らないでしょう。アメだけで育てるのはよくありません。どちらもお断りでしてよ」
「しかし、このままではあまりにも…」
「そこまでおっしゃるのであればジプソさま、そのメレシー、もらってくださいませんこと?」
「!?」
「ユカリ嬢、本気で言うとるん? ジプソは鋼使いやで。メレシーからしたら天敵や。懐くわけあらへん」
「そうかしら。その子はジプソさまが気に入ったようでしてよ?」
 足下に小さな気配を感じたジプソが目線を下げると、欠けたままのメレシーが膝にすり寄っていた。ジプソの視線に気づいたメレシーが顔を上げ、小声で鳴いてジプソと目を合わせる。その鳴き声と目は「つれてって」と言っていた。
「…すみませんが、人前で上着を脱ぐ非礼をお許しください」
 ジプソはユカリの返事を待たずに上着を脱ぎ、脆体症のメレシーを包み込む。メレシーはまったく抵抗せず、むしろうれしそうに包まれている。それを見たハルジオは先ほど拾ったメレシーの欠片をメイド服のポケットから取り出し、ジプソに手渡した。ジプソがメレシーを連れ帰ると直感したからだ。
「ありがとうございます、ハルジオさん」
 ジプソはメレシーの大切な欠片をベストの胸ポケットにそっとしまった。これは包んでおかないと、ポケットの中でさらに割れてしまうだろう。あとで小袋にでも入れておこう。
「ハルジオは今日も気が利くでしょう。自慢のメイドでしてよ。それで、ジプソさま。お答えは?」
「メレシーの譲渡ですね。ありがたくお受けいたします」
 ジプソは即答した。本来ならば熟考すべき事柄だ。部下が捕まえてしまった個体を引き取るのとはわけがちがう。ユカリから何かを譲り受ければどんな見返りを要求されるかわかったものではない。しかし、先ほどメレシー自身から「つれてって」と言われてしまった。ポケモンから信用され、トレーナーとして選ばれたからには保護するしかない。
「ジプソさまならお受けくださると思っていましたわ。リワード戦でお会いした時にはお使いください。その子の成長が楽しみです」
「なに、うちのジプソに指図してんねん。このメレシーをバトルに出すかどうかはジプソが決めるんや。あんたの決めることやあらへん」
 額に青筋を立てたカラスバがユカリをにらみつける。
「まあ。これは失礼しましたわ。ジプソさま、お気を悪くなさらないでくださいな。わたくしはただ、その子の成長を見届けたいだけでしてよ」
「承りました」
「おい、ジプソ」
「先天的な疾患を持つポケモンはセレブの手に余るでしょう。筋者の手に渡るのが自然な流れかと。保護したからには育てます」
「まあ、頼もしい。楽しみにしておりますわ。ハルジオ、このボールをジプソさまへお渡しして」
「はい」
 ユカリからメレシーのモンスターボールを受け取ったハルジオが、ジプソにボールを手渡した。
「どうぞ、ジプソさま」
「ありがとうございます。危うく忘れて帰るところでした。ゴージャスボールですね」
「ええ。わたくしの子はすべて、ゴージャスボールに入っていましてよ。大切なのは捕獲の成功率ではありません。立場と装いにふさわしいボールを使うことです。カラスバさまも、ゴージャスボールをお使いになりませんこと?」
「お断りや。おれのダークボールはなあ、日陰もんの象徴なんや。日の当たらん道を歩く覚悟を見せるために使てる。今さら他のボールは使わへん」
「つれないお返事ですこと…それでは。今日はここまでにいたしましょう」
「ああ。もうお開きにしよか。ごちそうさん」
「ごちそうさまでした。メレシー、行きますよ」
 ジプソはメレシーをあえてボールに戻さず、上着にくるんだまま床から抱き上げた。
「メレッ・シー!」
 抱き上げられたメレシーは、ジプソの腕のなかでうれしげに鳴いた。
「元気なお返事やね。めっちゃうれしそうや。それじゃユカリお嬢、また次回」
「ええ。ごきげんよう」
 ふたりに見送られたジプソとカラスバはエレベーターに乗り込んだ。
「ジプソ、もう懐かれてるやん。意外やな」
「鋼使いに懐くメレシーよりも、岩タイプを手持ちに入れておきながら脆体症を放置する令嬢のほうが、おれには驚きだ」
 ジプソが部下から兄へ口調を戻した。ジプソがカラスバをさま付けで呼び、敬語を使っているのは他人がいる時だけだ。ふたりきりの時は義兄弟の兄として、昔と変わらない態度と言葉遣いで話している。
「確かに、あの態度は驚きやなあ。いつかアマルルガも欠けさせそうや。クチートの顎がまだ錆びてないのが不思議やな」
「まったくだ」
 1階に着いてエレベーターから降りたふたりは正面玄関へむかう。
「ん、サビ組? ああ、定例会か」
「ユカリ様にも困ったものだな。つきあう相手は選んでほしいよ」
「ジプソさんが抱えているのはなんでしょうか。ポケモンかしら」
「メレシーに見えますけれど。まさか、ユカリ様から盗んだなんてことは…」
「いくらサビ組でもそれはできないだろう。ご本人とハルジオさんが黙ってないさ」
 ふたりをみつけたMSBCのメンバーがひそひそと話しているが、ふたりはそれを無視してエントランスホールをつっきる。
 ホテルの外でメレシーとともにタクシーへ乗り込んだふたりは事務所へ戻った。

 翌日、ジプソは自分のマフラーで包んだメレシーを抱えてポケモンセンターを訪ねた。用件は三つ。欠けたメレシーを治療してもらうこと。防護服の手配を頼むこと。脆体症の個体と暮らす注意事項をきくことだ。事前に電話しておいたのでスタッフに話は通っているだろう。
「こんにちは。先ほど電話したジプソです」
「こんにちは。お電話の件でしたら承っております。どうぞ、おかけください」
「ありがとうございます」
 ジプソはメレシーを抱えたまま、壁際に並べられたイスに腰掛けた。ジプソは大柄だがシローとちがって体格は常人の範疇だ。ポケモンセンター備品のイスは少し座面が狭いが、肘掛けはついていないので問題なく座れた。
「脆体症メレシーの治療を承っています。その子ですね?」
「はい。破片はここに」
 ジプソは懐から透明の小袋を取り出した。中身はメレシーの破片だ。氷タイプ以外は他の物質で身体を補うことはできないため、破片は必ず保管し、センターへ持参しなければならない。
「破片はそれひとつですか?」
「はい。わたしの知る限りでは。なにぶん人から譲り受けた個体なので、すでに失われた破片があるかもしれません」
「譲られた子ですか。道理で。ジプソさんが鋼タイプ以外をお持ちなのは珍しいと思いました。もとのおやはどなたです?」
「ユカリさんです」
「まあ。あの方がご自分のポケモンを手放すなんて。ジプソさん、ずいぶん信用されていますね…ユカリさんであれば、破片をなくされたことはないと思いますが。近くで見せてもらいますね」
「はい」
 ジプソがマフラーをほどいている間に受付嬢はカウンターを出て、腰掛けたジプソに近づいた。ほどなくしてメレシーを包んでいた灰色のマフラーがすべてほどかれ、メレシーの胴体が現れる。受付嬢はメレシーの頭部と胴体をじっとみつめた。
「…どうでしょうか」
「そうですね。見た限りでは、不自然に平らな部分は一カ所しかありません。最近になって欠けたところは他になさそうです」
「よかったです。この破片はどうすればいいでしょう?」
「メレシーちゃんに吸収してもらいましょう」
「え?」
 ジプソは驚いた。外科的な処置が不要だとは思わなかったし、破片を吸収させるなど考えもしなかった。
「あら。もしかしてジプソさん、メレシーの摂食方法をご存じないですか」
「はい。なにぶん、譲り受けたのは昨日のことですから。まだ一度もフードを与えていないもので」
「では、メレシーちゃんに実演してもらいましょう。その破片をお預かりしますね」
「はい。どうぞ」
 ジプソから破片入りの小袋を受け取った受付嬢は、そっと破片を取り出してから小袋をジプソに返す。そして、手のひらに乗せた破片をメレシーに見せながら言った。
「それじゃあメレシーちゃん、これ食べて」
「メレシ」
 メレシーは一声鳴き、ジプソに見守られながら自分の破片を「食べた」。
 受付嬢の手のひらにあった破片が宙に浮いたと思ったら、メレシーの頭上に移動したうえに、パキンと音をたてて粉々になった。どうやらメレシーが自分で砕いたらしい。メレシーの頭に降り注いだ石粉は瞬く間に吸収される。胴体の平らな部分が見る間に隆起し、メレシーはすっかり元通りになった。
「ご覧になりましたね。このように普段のメレシーは食べ物を砕いてから吸収しますが、これはヒトで言うと咀嚼にあたります。粉々にしたほうが吸収が早いので砕きますが、密着していれば砕かなくも吸収できるんですよ」
「初めて見ると驚きですね。道理で、メレシーには口がないと思いました」
「念動力がメレシーの歯なんです。うまく念動力が使えないと、食べ物を砕くことができません。砕かないで食べようとしていたら、不調のサインです。食事を終えたら、センターへ連れてきてください」
「ヒトで言うと歯科へ行くようなものですか。命に別状はなくても、放っておくとまずいという」
「まさにその通りです。短期的には問題なくても、長期的にはまずいので、すぐにセンターへ連れてきてください」
「わかりました。メレシー、治ってよかったな」
「メレシ」
 メレシーは再びジプソの手でマフラーに包まれた。やっぱり、何かに包まれているほうが安心できる。
「メレシーが治って安心しましたが、防護服は手配しないといけません。手続きをお願いしたいのですが」
「かしこまりました。それでは、後ほど採寸しましょう。先に、メレシーの脆体症についてお話ししますね」
「はい。お願いします」
「まず、食事についてですが。必ず岩タイプ用を主菜にしてください。メレシーの場合は副菜にフェアリー用も与えることになりますが、鋼用は絶対に食べさせないでくださいね」
「絶対に? えらく強い禁止ですね。過去になにか、事故でもあったのですか?」
「ええ。体内の金属成分が増えすぎて、軽石のように穴だらけの死体になってしまったメレシーがいるんです。不幸な事故ですが、医学史に残る事例になりました。医学書には写真が載っていますが…わたしは二度と見たくありませんし、とても一般人には見せられません」
「…事故の詳細をおききしても?」
「さすがはサビ組の方ですね。恐れ知らずで…そのメレシーは、工業用の強力な磁石に近づきすぎて、体内の金属分だけが急激に引き寄せられたんです」
 メレシーの本体を置き去りにしたまま、砂鉄の粒のようなものがいくつも体を突き抜けて体外へ出ていったという。いっそのこと本体ごと引き寄せられていれば存命していたかもしれないが、砂鉄のようなものは哀れなメレシーの全身を貫き、絶命させた。
「その『砂鉄』の出どころはわかったんですか?」
「もちろん。犠牲を無駄にしないためにも、メレシーの死因は究明されました」
 担当した解剖医は心を鬼にして、メレシーの死体を頭から胴の先端にむかって二つに割り、その断面を調べた。その結果、メレシーの身体を貫いた無数の粒は、鋼用のフードに含まれている金属分が蓄積して塊になったものだとわかった。そのメレシーは脆体症で、トレーナーの「よかれと思って鋼用フードを食べさせていた」という証言が記録されている。生まれつき脆体症だったメレシーの体質を改善したい一心で与えられていたフードが、不運にもメレシーの命を奪ったのだ。
「やはり、フードが原因でしたか。なんと悲惨な…」
「無知以上に恐ろしいことは、誤った知識に基づいて行動することです。脆体症の岩タイプには鋼用フードを食べさせれば治る、というのは迷信です。誤った食事は時に命を奪います。お気をつけて」
「わかりました。わたしの手持ちは鋼ばかりなので、食事の時間はずらしたほうがよさそうですね」
「ええ。他の子が食べているものが気になって、盗み食いしてしまう子もいます。メレシーの場合、鋼用は特に致命的なので、同時に食事させる時は監視していてください」
「はい。目を離さないようにします。他に注意事項は?」
「ごはんについては以上です。次に、バトルの注意点をお伝えします。メレシーの命に関わることですので、お忘れないようお願いいたします」
「はい」
「脆体症の個体が使ってはいけないワザがあります。だいばくはつです」
「俗に自爆と呼ばれているワザですね」
「そうです。脆体症の個体が自爆すると、死亡します」
「死亡!? ひんしではなく?」
「ひんしでは済みません。体が爆散して粉々になり、二度と元に戻りません。タイプを問わず、脆体症のポケモンは例外なく、だいばくはつで絶命します。ですから、けっして自爆させてはいけません。わかりましたか?」
 医療者の口から発せられる「絶命」という言葉は重みがちがう。それは明確な死を表しており、文字通り命が絶えることを意味している。いかに楽天的なトレーナーであろうと、この教えを無視することはないだろう。
「わ、わかりました…肝に銘じます」
「メレシーちゃんも覚えておいてね。だいばくはつは使っちゃだめよ。ジプソさんに会えなくなっちゃうから」
「メ、メレ…」
 メレシーは知らなかった。メレシーがだいばくはつを使うと、ジプソに会えなくなるなんて。だいばくはつもポケモンのワザだから使ってもひんしになるだけだと思っていたけれど、病気のポケモンが使うとトレーナーに会えなくなるらしい。これはよく覚えておかないといけない。
「それでは最後に、耳とお尻についてお伝えしますね」
「触覚と、胴体の先端のことですか?」
「ええ。耳やお尻は俗称です。わたしは医療スタッフですけど、つい、耳とかお尻とか言っちゃうんですよ。こっちのほうが一般にはわかりやすいですし、メレシーはかわいいので」
 先ほどまで悲惨な死亡事例について話し、悲しげだった受付嬢がほほえんだ。この受付嬢はメレシーが好きなのかもしれない。
「確かに、見慣れると愛らしいですね。それで、注意事項は」
「はい。耳とお尻には、なにもかぶせないでくださいね。常に見える状態にしておいてください」
「そういえば、頭まで包もうとすると嫌がりますね。耳は特に欠けやすいのに、むき出しにしておく理由は?」
「メレシーは、耳とお尻で磁場を感じて姿勢を制御しているんです。地面に対して垂直に浮いているためには、耳とお尻が出ていないといけません」
「なるほど。全身が包まれていると、正しい姿勢で浮かんでいられないと。むしろ危険ですね」
「そうです。欠けやすい部位はつい布で覆ってしまいたくなりますが、そこはこらえてください。どうしても不安な時は、メタルコートを塗ってください」
「メタルコートを? あれは鋼用のワックスですが。メレシーに使っていいんですか?」
「はい。表面をワックスで覆うと滑りやすくなって、固い物に接触しても欠けにくくなるんですよ。カーワックスも有効なのですが、ポケモンの健康に配慮した成分ではありませんから。鋼タイプ用に開発されたメタルコートは、ポケモンの体に配慮した成分になっているのでおすすめです」
「なるほど。バトルに出す時は、耳に塗っておくと安心ですね。よいことを教わりました」
「それでは。メレシーちゃんのお世話について一通りご説明しましたので、防護服申請の準備をしましょう。メレシーちゃんを採寸しますので、マフラーから出してあげてください」
「はい」
 メレシーを抱えたジプソは再びマフラーをほどいた。
「メレシーちゃんは健康になったので、この状態が維持できれば大丈夫です。防護服さえ届けば生活に支障はないでしょう。それでは採寸しますね、メレシーちゃん」
「メーレーシー♪」
 メレシーはせいいっぱいかわいくお返事した。この人はさっき欠片を返してくれたので、きっといい人なのだろう。いい人にはかわいいと思われたいので、かわいくふるまうことにしている。
「まあ、お返事まで健康そのもの。体は少し大きいですが、鳴き声は澄んだ声ですね。かわいい」
「そうですね。聞き慣れると愛らしいです」
「それじゃ、メジャー当てるからね。じっとしててね」
「メレー」
 メレシーは金属すら恐れない。ましてや布でできたメジャーなど恐れるに値しない。だから、胴体に巻き付けられても動じなかった。
「ほんとうにいい子!」
 胴回りの次は頭頂部から胴の先端までを計った。胴回りと体長の寸法さえ送ればあとはむこうが防護服のサイズを合わせてくれる。
「はい。これで採寸終わりです。おつかれさま、メレシー」
「メレ」
「体重も計っておきましょう。申請にはいらないデータですが、体が小さくなってきたかも? と思った時に、客観的なデータがあったほうが安心できますからね。メレシーちゃんが縮んだ気がしたら、まずは体重を計ってみてください」
「わかりました。確かに、保護者には必要なデータですね」
「それじゃ、メレシーちゃん。今度はこれに乗ってね」
 ジプソの腕で床に下ろされたメレシーは受付嬢に従い、角に置かれた体重計に乗って浮遊を解除した。体重計に乗る時は、いつものように浮かんだままではいけない、とユカリに教わったからだ。浮遊を解除すると仰向けになってしまうから嫌な気分になるけれど、体の重さを計るためにはしかたない。メレシーがこうしてあげないと人間たちが困るのだ。
「指示される前に浮遊を解きましたね。なんて賢いのかしら」
「メレッ」
 イスから立ってメレシーを見守っているジプソにむけて、メレシーはキリッとしたお顔を見せた。メレシーは人間から見て賢そうに見える表情も身につけている。我ながら表情豊かなので、自分はメレシーのなかでも一際愛らしいと思う。
「いい子ね。数字が出るまでじっとしててね」
「メレー」
 メレシーは受付嬢にお返事したが、言われるまでもない。メレシーがじっとしていてあげないとこの機械がうまく働けないことぐらい、メレシーだって知っている。
「出ましたね。メレシーちゃんの体重は8.55キロ。サイズはLですね」
「やはりLサイズでしたか。道理で、重みがあると思いました」
「メレ?」
「ジプソさんでも、重たいですか?」
「いいえ。むしろ抱き心地がいいですよ。適度な重みと大きさで」
「メレ…」
「よかった。メレシーちゃんも安心してますね。メレシーちゃん、そのままでいいからね」
「メーレー」
「フェアリータイプも持っているからでしょうか。岩タイプにしては繊細ですね、メレシーは」
 言いながらジプソはメレシーを体重計から抱き上げ、カウンターの上に移してマフラーで包みなおした。このメレシーはなぜかボールに入るのが嫌いで、いつもボールの外にいたがる。しかし脆体症にはちがいないので、むき出しのままにしておくことはできない。
「岩タイプのなかでは例外的な性格なのは確かですね。メレシーは小さくて割れやすい分、注意深い性格の子が多くて。それが繊細さにつながっているんです」
「ボールにしまわなくても部屋に置ける大きさは利点ですが、心が繊細すぎるのは難点ですね。筋者が迎えるべきではなかったかもしれません」
「まあそうおっしゃらずに。長くつきあえば、この繊細さも含めて、メレシーの良さがわかってきますよ。わたしが保証します」
 受付嬢はほほえんだ。知能が高く愛くるしく光り輝くメレシーの良さがわからない人間などこの世にいないと信じているから。
「それでは。ジプソさん、書類に記入をお願いします。数字はわたしが記入するので、連絡先などを」
「わかりました。住所は事務所でいいでしょうか」
「はい。防護服の受け取りは、どのセンターにしますか?」
「センターにしか送ってもらえないんですね。でしたら、ここでお願いします」
「かしこまりました。届いたらご連絡しますね。防護服の場合、申請してからセンターに届くまで一週間ほどかかります」
「わかりました。お手数おかけしますが」
「いえいえ。これも仕事ですし、メレシーちゃんのためですから」
 ジプソは話しながら書類の記入を終え、誤字脱字がないか確認した。児童保護施設にいた頃ペン字の講座を受けていた甲斐もあり、我ながらきれいな字が書けている。電子化が進んだ今ではあまりペンを握る機会はないものの、だからこそ、たまに書く字は美しくなるよう気をつけている。恩人であるフラダリ様から「美しい字は教養の高さを表す。したがって、美しい字を書ければ教養があるとみなされる。一角の人間だと思われたければ、整った字が書けるよう練習しなさい」と言われたことを思い出した。
「書けました。よろしくお願いします」
「はい。確かに。お手続きしておきます」
「それでは、わたしはこれで失礼します」
「お気をつけて。メレシーも気をつけてね。ジプソさんから離れないように」
「メーレッ」
 そんなことは言われなくてもメレシーにはわかっている。ジプソとはぐれてしまったらサビ組に帰れないし、メレシーはジプソの腕に抱かれているのが好きなので自分から離れたりしない。この人の言うことは少し的外れだ。ここは「ジプソを守ってね」と言うべきだろう。ジプソはメレシーより大きいけれど人間だし、メレシーはジプソより小さいけれどポケモンなのだから。ジプソがメレシーを運んでくれるかわりに、メレシーがジプソを守ってあげる。大きな人間と小さなポケモンはそういう関係であるべきだ。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ。またなにかありましたら、あ!」
「どうしました?」
「すごく大事なことを伝え忘れてました。わたしとしたことが」
「大事なことというのは」
「今からお伝えします。メレシーとともに暮らすにあたってとても大切なことなので、よくきいてください」
 受付嬢は真顔でジプソと目を合わせた。そして、はっきり言った。
「お帰りになられたらすぐに、おうちにあるすべての卸し金を捨ててください」
「え?」
 予想外の指示にジプソは戸惑っているが、受付嬢は言葉を続ける。
「それと、すり鉢も」
 どうやら受付嬢は、調理器具を捨てろと言っているらしい。ろくに自炊しない人間ならそもそも卸し金やすり鉢など持っていないだろうが。かつて料理人だったジプソは、調理器具に愛着を持っている。事務所のキッチンにあるものはどれもプロ仕様の一級品で、処分するのは惜しい。
「なぜ、調理器具を捨てなければいけないんです?」
「ジプソさんなら、おわかりになると思いますが」
「…まさか!?」
 その「可能性」に気づいたジプソの顔から血の気が引いた。まさかとは思うが、メレシーが自らをすり下ろした事例があったのか。
「ええ。そのまさかです。色違いのメレシーが自分をすり下ろして、トレーナーに食べさせていたことがあるんです」
 メレシーの色違いは水晶が青く、岩の部分が黒い。黒い岩の粒は胡椒にそっくりだ。そのせいでトレーナーはメレシーの大きさに違和感を持つまで、何日もメレシーの粒を食べていた。自炊好きのトレーナーがもっとも好んでいたスパイスは黒胡椒で、自分がつくる料理によくふりかけていたという。それを見ていたメレシーは夜な夜な自らを卸し金で削り、トレーナーの目を盗んで自分の粒を料理にふりかけ、なにも知らぬトレーナーに自分の体を食べてさせていた。
「な、なんでまたメレシーはそんなことを?」
「トレーナーが、風邪をひいたんですよ。黒いメレシーは自分を飲ませてトレーナーを回復させようとした、と推測されています」
「あくまでも、推測なんですね」
「ええ。残念ながら、ポケモンからは聞き取りできませんから。ですが、トレーナーがメレシーを食べてしまったことは事実です」
 自分の黒いメレシーが少しずつ小さくなっていくのを見ているうちに不安に駆られたトレーナーが病院に駆け込んできて、自分の便を検査してくれと懇願したのだという。メレシーのトレーナーから事情をきいたスタッフは、そのトレーナーに検便キットを渡した。そして、その日のうちにキットを検査に出した。結果、トレーナーの便から食物でも薬剤でもない成分がみつかった。
「怖ろしいことにその成分は、黒いメレシーの体組織と一致しました」
「正直、穴だらけの死体のほうがまだましですね。知らぬうちに食わされるほうがぞっとします」
「わたしもそうです。自分のためにメレシーが体を削っていたらと思うと…」
「あなたも、メレシーのおやなんですね」
「はい。うちの子は脆体症ではありませんが、優しすぎて心配になることがあります」
「メレシーのおやは、おちおち風邪もひけないんですね」
「考えすぎだとは思うんですが、事例を知っていると…ジプソさんも、お気をつけて」
「はい。うちに帰ったらすぐに、すべての卸し金を捨てます。念のためにミキサーも」
「それと、すり鉢も。ジプソさんがお持ちの物ならどれも高価でしょうが、それでも」
「わかっています。メレシーの命にはかえられません」
「ジプソさんがこの子を保護してくれて、本当によかったと思います。ジプソさんはいい人ね、メレシー」
「メレッシー!」
 メレシーが「そうでしょ!」とでも言うように鳴いた。メレシーとのつきあいは昨日からだが、ジプソには鳴き声に込められたニュアンスがわかる。このメレシーの鳴き声は、どことなく人語に似ているのだ。
「お引き留めしてすみませんでした」
「いいえ。本当に大切なことでしたから。ありがとうございました」
「こちらこそ。ありがとうございました。鋼使いの方がメレシーのことを知りたいと思ってくださって、とてもうれしいです。またいつでもお越しください」
「心強いですね。ありがとうございます。それでは失礼します」
 ジプソはマフラーに包み直したメレシーを抱えてポケモンセンターを出た。防護服が送られてくるまで一週間もかかるとは知らなかったが、考えてみれば当然だ。街角にある小さなポケモンセンターのバックヤードはスペースが限られている。いつどの種類の防護服が必要になるかわからない以上、常備することはできないのだ。必要な防護服を申請し、医療機関からその都度送ってもらうことになる。
 それにしても、ボール嫌いのメレシーを抱えた一週間は長い。防護服を受け取るまでの間はセーターでも着せておこう。
 ポケモンセンターを出たジプソはその足でデパートへ行き、手芸コーナーで太くて赤い毛糸を買った。そして自らの手でメレシーのセーターを編み、メレシーに着せた。

 

バトルゾーンと残されメレシー

 今夜は事務所の横がバトルゾーンになった。ジプソはカラスバの許可を得てから外出し、バトルゾーンへ入る。傍らに出しているのは、小さくて狙われにくいクレッフィだ。このクレッフィは、ジプソの手持ちのなかでもっとも早くメレシーとうちとけた、良き兄貴分である。
 なぜか街灯の光量が落ちていて、今夜のバトルゾーンいつにもまして暗かった。この暗さはジプソには有利だ。黒いスーツを身にまとい、大柄でありながら闇夜に紛れるジプソは、手持ちたちとともに次々と他のトレーナーを倒していく。ジャスティス会のコタネは10人めの相手だった。マジカルシャインで不意打ちして先手をとり、ズルズキンを一撃で倒したのはいいものの、次に出てきたチャーレムが放ったほのおのパンチでクレッフィが倒された。それでもジプソは冷静に懐からゴージャスボールを取り出し、ついにメレシーをくりだした。
「め、メレシー!? ジプソさんがメレシー!?」
 ジプソの手からくりだされたメレシーを見たコタネが大声を出した。驚きすぎたのかして、チャーレムに次のワザを指示するのは忘れている。
「もしかして。その子が噂の、難病メレシーですか?」
 「ジプソのメレシー」の噂はコタネの耳にも届いたようだ。「サビ組のジプソがわざわざ難病持ちのメレシーをひきとって連れ歩いている」とささやかれているのだから当然だろう。
「ええ。たしかに難病持ちの個体です。ですが、甘く見ると痛いめをみますよ。メレシー、ムーンフォース」
 メレシーのムーンフォースがコタネのチャーレムに直撃し、ひんしにした。
「ワザの出が早い! お見事!」
 コタネは武道家らしく相手を賞賛したあと、チャーレムをボールに戻してルチャブルをくりだした。
「ほめてもらえるのはうれしいですが、油断禁物です。早いのはワザだけではありませんよ」
 いったんジプソの背後に隠れたメレシーは、すでにコタネの背後にまわっていた。メレシーはコタネの背後からムーンフォースを放ち、一撃でルチャブルを倒した。
「もう背後に!? この早さ、ドーピング!?」
「はい。残念ながらドーピングによるものです。ユカリさんによると、すばやさに全振りしたそうで」
「もとはユカリさんの子でしたか。道理で。でも、負けません! フェアリー対策ならあります!」
 コタネはルチャブルをボールに戻し、ゴロンタをくりだした。わざわざフェアリーが4倍弱点のゴロンダを選出したのは、鋼タイプのワザを覚えさせているからだろう。
「アイアンヘッドですか。このメレシーに撃てるんですか?」
「うっ。たしか、脆体症でしたか。ということは、物理攻撃が致命傷に?」
「よくご存じで。なかなか勉強家ですね。その通り、このメレシーは脆体症です。見ての通り防護服は着せてありますが」
 赤いセーターが気に入りすぎたメレシーは防護服の着用を拒否した。ジプソが「防護服を着なければバトルには出さない」と言ったので、しぶしぶ着替えてくれたのだ。
「アイアンヘッドをくらったら粉々になってしまうかもしれませんね。それでも撃ちますか?」
 メレシーは鋼が4倍弱点なので、相打ち覚悟でゴロンダを選んだのだろうが。このメレシーが難病個体だと知っていて、あえて4倍弱点を突くほどの非情さがコタネにあるだろうか。
「うう…ポケモンの命を盾にするなんて卑怯ですよ! ジプソさんは武闘派だと思っていたのに! 見損ないました!」
「サビ組が手段を選ぶとお思いで? メレシー、ムーンフォース」
「ゴロンダ!」
 コタネはバトルごときでポケモンを死なせるほど愚かではない。脆体症のメレシーに配慮してゴロンダにじならしを指示しようとしたが、なぜか急にふりかえったゴロンダに抱きつかれた。
「え!? ちょっ、なにしてるの!?」
 思わず素に戻ったコタネが戸惑っている間に、ゴロンダが真横から攻撃をくらった。脇にある通路に潜んでいたポケモンがワザを放ってきたらしい。トレーナーなら人間は狙わないので、おそらく野生ポケモンのしわざだろう。ゴロンダは攻撃の気配を察知してコタネを守ってくれたらしい。
「バトルゾーンに野生ポケモン!? 先に倒さないと! ジプソさん、協力して…」
 コタネがジプソを見ると、ジプソは脇腹を押さえていた。よく見ると上着の一部が裂け、そのまわりに血がにじんでいる。
「ジプソさん!! いまの、くらったんですか!?」
 見たところかすっただけで直撃したわけではないようだが、それでもコタネなら悲鳴をあげていただろう。ポケモンの攻撃を受けてもまったく声をあげないあたり、さすがはジプソだ。
「同時に2発…ダブルニードルか。ということは、相手はスピアー…」
「分析してる場合ですか!!」
「もう心配いりません。メレシーがしとめてくれました」
 ユカリから譲り受けたメレシーはかなり知能が高く、判断力にも優れている。ゴロンダにムーンフォースを撃つよう指示されていたが、虫タイプの気配を察し、とっさに対象を変更してパワージェムを放った。それが直撃して、細い通路で大きなスピアーが目をまわしている。
「オヤブンスピアーですね。ナワバリは屋上ですが。降りてきていたとは」
「なんでそんなおちついてるんですか!! 攻撃くらったんでしょう!? 血がっ。傷みせてください‼」
「傷の処置なら自分でできます。それより、あのスピアーを捕まえてください」
「は、はいっ」
 自分を傷つけたスピアーまで保護しようとしているのだろうか。コタネにはジプソの考えがわからなかったが、とりあえずゴロンダをボールに戻してから、空のモンスターボールをオヤブンスピアーに投げつけて捕まえた。
「よし。ジプソさん」
 コタネはふりかえってジプソに「スピアーを捕まえました」と報告しようとしたが、聞こえてきたのはジプソの怒鳴り声だった。
「やめろ!!」
「!?」
 コタネにはわけがわからなかった。このスピアーを捕まえろと指示したのは当のジプソなのに。「やめろ」とはどういうことだろう。
「おれはだいじょうぶだ!! だから、今すぐやめろ!!」
 ジプソが怒鳴りつけていたのは、傍らに浮かぶメレシーだった。宙に浮かぶメレシーはパキパキと不吉な音をたてている。まるで石が砕けているような音だ。
「えっ。まさかメレシー、自分を砕いてる!?」
「コタネさん!!」
 ボールに戻した程度でこの奇行は止まらない、ボールのなかでもメレシーは己を砕き続ける。そう直感したジプソはコタネに助けを求めた。
「はいっ。引き離せばいいんですね!?」
 コタネは瞬時にジプソの願いを察した。とりあえずメレシーをこの場から離そう。そうすれば我に返ってくれるかもしれない。
「頼みます!!」
「承知!!」
 コタネはメレシーに駆け寄り、防護服ごと抱きしめ、メレシーを両腕のなかに捕らえる。
「メレ!?」
 腕のなかで抗議するメレシーの声を無視して、コタネは路地を走り出す。目指すはバトルゾーンの外、サビ組の事務所だ。
「メ、メレェェェッ」
 大柄なジプソのそばではMサイズに見えるが実際はLサイズのメレシーが己の重量にものを言わせ、コタネの腕から逃れようと暴れ出す。
「メレシー、おちついて。いま、助けを呼ぶから」
 Mサイズの6kg弱に対して約1.5倍の重量、8kg超えのメレシーが腕のなかで暴れているがコタネは冷静だ。コタネはジャスティス会で体を鍛えているうえに米を10kg単位で買うのでこの程度の重さは運び慣れている。
「メレ…」
 物理的な力では脱出できないと察したメレシーは額の石に光を集める。コタネにワザを放ってでも脱出するつもりだ。
「ん、誰か来てる。あれは…」
 メレシーが額の石に光を集めていることには気づかず走り続けているコタネは、こちらに走ってくる人影をみつけた。
「やめんかこらぁぁぁッ」
 大人にしては小柄な人影から聞こえてきたのはカラスバの声だった。カラスバは走りながら怒鳴ってきたが、コタネは動じない。カラスバが見ているのは腕のなかにいるメレシーだからだ。彼の黄色い瞳は暗がりでも視線の向きがよくわかる。
「メレシー!! なにひとさまの顔にむかってシャイン撃とうとしとるねんッ 火傷するやろ‼」
 コタネの前で足を止めたカラスバは改めてメレシーを叱った。ジプソのポケモンが人間を攻撃したという報告があがろうものならサビ組の信用が地に落ちてしまう。そのうえジャスティス会と事を構えるなど冗談ではない。
「カラスバさん。マジカルシャインって、火傷するんですか?」
 カラスバに対峙して足を止めたコタネが気になったのはメレシーが自分にワザを撃とうとしたことではなく、マジカルシャインの効果だった。主人を案ずるメレシーがコタネから逃れたい一心でワザを撃とうとしたのも無理はないが、マジカルシャインで火傷するというのは本当だろうか。
「おまえも知らんのかいっ。あんなあ、人間はひ弱なんやで。フェアリータイプのワザでも油断したらあかん。至近距離でくらったら火傷するで。目に入ったら失明しかねん。気ぃつけや」
「こわっ。気をつけます!」
「それで、ジプソはどこや? あいつが怪我した気がしてとんできたんや」
「ジプソさんなら、あっちに」
「ああ、ここから見えるな。下手人はどないした? ジプソに怪我させたド腐れトレーナーは」
「わたしの懐にいます」
「は?」
「犯人は野生のポケモンだったので、捕まえておきました」
「野生ポケモンやて? 種類は?」
「スピアー「それを先に言えぇぇぇッ」「はい?」「持っとるんやったら今すぐよこせッ はよボール出せ!!」「は、はい。えーと、これです」
 コタネが懐から取り出したオヤブンスピアー入りのモンスターボールを奪い取ったカラスバは、ジプソめがけて走り出した。
「ちょ、カラスバさん! メレシーはどうすればいいんですか! もう!」
 取り残されたコタネは判断に困ったが、このままサビ組の事務所へ行ってメレシーを預けることにした。
「メレシー。ジプソさんが心配なのはわかるけど、サビ組のところへ行こうね。ジプソさんには、カラスバさんがついてるから大丈夫だよ」
「メレ?」
 その声は「ほんとに大丈夫なの?」と言っているようだった。フェアリータイプはコタネの専門外だが、このメレシーの鳴き声には人語に似たイントネーションがありニュアンスが伝わってくる。このメレシーは鳴き声を操るのが上手い。
「大丈夫。さ、おうちに帰ろうね」
「メレ」
 メレシーはしかたなく同意した。ポケモンの自分にはもうこれ以上ジプソにしてあげられることはなさそうだから、このままおとなしくサビ組の家へ帰ったほうがよさそうだ。
「スピアー、つれていかれちゃったねえ。カラスバさんにいじめられないといいけど」
 抵抗をやめたメレシーに声をかけながらコタネはゲートへむかって歩き出す。
「メレシーはほんとにいい子だね。さっきのパワージェム、すごかったね。いっぱい鍛えたんだね。えらいねえ」
「メーレーシッ」
 ほめられたメレシーは耳を振りながら自慢げに鳴いた。実を言うとパワージェムはわざマシンを使わないと覚えられないワザで、覚えたのは昨日だから鍛える時間はなかったのだけど。メレシーと同じ岩タイプのワザなので上手に撃てたのだ。ジプソがわざマシンを使ってくれてよかった。これからも、ジプソに近寄るポケモンはみんなやっつけよう。

「ジプソ!!」
 カラスバは、ビルの外壁に背を預けて座るジプソに駆け寄った。
「カラスバ」
「スピアーに襲われたてきいたで!! 傷見せろ!! おれの毒消しは使うたか!?」
「もちろん」
 ポケモンセンターで売られている毒消しはあくまでもポケモン用なので、人体に用いるのには適していない。しかし毒使いは自分のポケモンが放ったワザに巻き込まれてしまうことが多く、毒消しの携帯は必須である。そこでサビ組の毒使いたちはカラスバ指導のもとで手製の人間用毒消しをつくり、組員たちに配っている。ジプソが持っていたのはカラスバ手製の毒消しだ。毒タイプのポケモンが撃ったワザを受けて負傷した場合は必ず使うよう厳命されている。スピアーは背に生えている羽で派手に飛び回るせいで飛行タイプだと誤解されがちだが実は毒タイプだ。今回は毒消しを使わなければ命令違反になる。
「よし。いったんカーゼはがすで」
 カラスバはジプソの衣類をよけて傷口に貼ったガーゼをいったん剥がし、傷口のまわりを確認した。皮膚の変色は見られないので、毒は毒でも溶解系ではなさそうだ。
「傷口のまわりはどうもないな。皮膚は無事か」
 カラスバはジプソの傷口にガーゼを貼り直した。
「座っとるのは、立たれへんからやろ? 無理しなや。いま救急車呼ぶさかい」
「…すまん」
 コタネがメレシーを引き離してくれたおかげで傷の処置をする余裕ができたので、背後をとられないようビルに背を預けて座り、傷の処置を終えたのはいいものの、足に力が入らなくなっていた。処置が遅れていたら腕まで使えなくなっていたかもしれないと思うとぞっとする。
「くらってもうたもんはしかたない…つながったな」
 カラスバの前に浮かぶスマホロトムの画面に病院の救急受付スタッフが映し出された。
「中央病院さん? サビ組のカラスバや。悪いけど、バトルゾーンに救急車まわしてんか。場所は事務所の横、負傷者はジプソや」
「ジプソさんが!?」
 受付スタッフが画面のむこうで驚いた声をあげた。サビ組のジプソといえばミアレではジャスティス会のシローに次いで頑丈な人間として知られており、生まれてこの方、入院どころか外来に来たことすらないと言われている。
「ああ。スピアーのワザが腹をかすめてな。傷になっとるから、運んでやってほしいんや」
「スピアーだと、毒の心配がありますね。承知しました。すぐに配車しますので、応急処置をしてお待ちください」
「とっくにしとるから電話しとるんやんけ。おれが、子分の傷を放っとくようなボスに見えるんか?」
「いいえっ。失礼しました。それでは、少々お待ちください」
「ん。早めに頼むで」
 カラスバが病院との通話を終えると同時に、スマホロトムはカラスバの懐へ戻った。
「カラスバ。むやみと一般人に凄むな。器の小さい人間に見えるぞ」
「誰のためやと思とるねん。おまえが油断して怪我したのが悪いんやんけ」
「そうだな。悪かった」
「肉食の連中が使う毒はたいてい麻痺毒やから、体が溶けてまう心配は少ないけども」
 ポケモンが毒をくらってもただHPが減っていくだけだが、人間がポケモンの毒をくらった場合、起きうる反応はふたつある。ひとつは、皮膚がただれたり内蔵が溶けたりする「溶解」。もうひとつは、痛覚や運動機能が鈍くなる「麻痺」だ。ベトベターやドガースのように身体が毒性物質そのものでできているポケモンは主に溶解系を使い、毒で獲物を捕らえる肉食ポケモンは主に麻痺毒を使う。麻痺毒は神経系に作用するので、処置が遅れると手足に痺れが残ってしまうことがある。
「毒消し持たしといてよかった。後遺症があったら洒落にならへんから、二度と油断しなや」
「ああ」

 コタネはバトルゾーンのホロゲートをくぐって外へ出た。サビ組の事務所はバトルゾーンの真隣で、ほんの数十メートル歩いただけで左手に門が見えてくる。メレシーを抱えて歩くコタネをいぶかしげな目で見てくるサビ組のしたっぱとすれちがい、二人の門番がいる門の前に着いたコタネは、女性のほうに話しかけた。
「サビ組さん、こんばんは」
 二人の門番が同時にコタネを見た。男性の門番が見守るなか、女性の門番がコタネに応える。
「こんばんは。お嬢さん、ジャスティス会のヒトかい?」
 ファッション都市ミアレで堂々と胴着を着て過ごしているのは酔狂なジャスティス会くらいなものだ。この女も胴着を着ているから、おそらくジャスティス会の一員だろう。
「はい。わたし、ジャスティスの会のコタネと申します」
 ミアレシティから営業許可を受けている会の正式名は「ジャスティスの会」なのだが、部外者からは「の」を省いた「ジャスティス会」と呼ばれるのが常なのでコタネはいちいち訂正しない。しかし、名乗る時は正式名称を使うことにしている。
「ああ、あんたがコタネさんかい。幹部の一人だときいてるよ」
「そんな、幹部だなんて。ただ、ポケモンのワザをかいでんさせているだけですよ。かいでんさせたいワザがおありでしたら、お声がけください」
「ありがたいお申し出だが。それが用件じゃないだろう。用事はなんだね、コタネさん。そのメレシーと関係あるのかい?」
「はい。このメレシーを預けに来たんです」
「よりによって、サビ組にメレシーを? まさかと思うが、そいつ、ジプソさまのメレシーじゃないだろうね」
 このメレシーは防護服を着ているからおそらく脆体症なのだろうが、脆体症だからといってジプソのメレシーとは限らない。
「ジプソさんのメレシーですよ」
 コタネはさらりと答えた。コタネがジプソからメレシーを奪ったと解釈されかねないが、事実は事実なので正直に答えるしかない。
「…お嬢さん、ジプソさまに、なにをした?」
 案の定、門番の二人に疑われ、コタネは睨みつけられた。
「わたしはなにもしてません。このメレシーはジプソさんから預かりました。バトルゾーンでジプソさんを襲ったのは、野生のオヤブンスピアーです」
「はあ? うそつけ。ジプソさまが野生ポケモンにおくれをとるわけがない」
「今日のバトルゾーンはいつもより暗かったんです。おまけにスピアーは羽音が小さいから、わたしも気づかなくて。ダブルニードルをくらってしまって」
「くらったって、まさか、ジプソさまが!?」
 コタネが黙ってうなずき、門番の二人は驚いた。ジプソは見た目よりも身のこなしが軽いので、したっぱたちは「ジプソさまはポケモンのワザくらい避けられる」と思っていた。それなのに、ダブルニードルをくらったという。低確率とはいえ「どく」状態になりかねないワザだ。下手をするとジプソも毒をくらい、動けなくなっているかもしれない。
「おまえ、なんでジプソさまを放ってきた!?」
「ジプソさんに頼まれたからです。メレシーを自分から引き離してくれって。ジプソさんには今頃カラスバさんがついてるので大丈夫ですよ」
「ああ、道理で。血相変えて出ていかれたと思ったら。ジプソさまを助けに行ったのか」
 二人の門番は胸をなで下ろした。カラスバさまがついているのなら、ジプソさまの命に別状はないだろう。カラスバさまはいつも特別製の毒消しをお持ちなのだから。
「カラスバさんから、なにもきいてないんですね」
「ああ。ここにいろ、としか言われてない。まあ、カラスバさまがご一緒なら問題ないだろう…で、メレシーを引き離した理由は?」
「それがですね、なんか、メレシーが自分を砕いてて。ジプソさんを助けようとしてたのかもしれませんけど」
「メレシ」
 コタネの腕のなかでメレシーが鳴いた。コタネの推測を肯定しているようだ。
「あ、やっぱりそうなんだ。メレシー、もう自分を砕いちゃだめだよ。ジプソさんが心配するからね」
「メレ…」
 そう言われても困る。メレシーは牧場から出荷される前に「君は万病に効く薬だ。傷ついたヒトには自分を分けてあげなさい」と言われたのだから。
「そういうことですから、このメレシーはサビ組にお預けします。ジプソさんがお帰りになったら、返してあげてください」
「わかった。あたしが預かろう」
 女性の門番がメレシーを受け取った瞬間、近づいてくる救急車のサイレンが聞こえてきた。
「救急車か。バトルゾーンでケガ人でも出たか」
 メレシーを抱えた門番がつぶやいた。
「ジプソさんを迎えに来たんじゃないでしょうか」
「カラスバさまが一緒なのに?」
「軽傷に見えましたけど。傷の深さはわかりませんから。念のために呼んだんでしょう」
 門番の二人とコタネが見ている前で救急車が止まった。鳴り響いていたサイレンも止まり、すみやかに救急隊員たちが降りてくる。
「大担架、いそげ!」
 三人が見ている間に救急隊員たちは大型の担架を準備し、事務所横の道へ駆け込んだ。目的地はおそらくバトルゾーンだろう。
「やっぱりバトルゾーンか。ということは、本当にジプソさまかもな」
「わたし、もう少しここにいます。ジプソさんが救急車に乗るまで。メレシーはサビ組に届けたって伝えないと」
「ああ。頼む。あたしらは、交代が来るまでここから動けないから」
 三人が停車した救急車を見守っていると、しばらくして救急隊員たちが担架を押しながら小走りに戻ってきた。三人の想像通り、大きな担架に横たわっているのはジプソだ。担架には、片手にジプソの上着をかけたカラスバが伴走している。
「うっ。わかっちゃいたが、実際に見るとショックだな…大事ないといいが」
「それじゃ、行ってきます」
「ああ。頼んだぜコタネさん」
「メッ」
 メレシーもジプソのそばへ行こうとしているのか、門番の腕のなかで鳴いた。タイミングからして「放して」と言っているようだ。
「ダメだメレシー。おまえは留守番だ」
「メレ‼」
 イヤだと言っているのはわかるが、それでも門番はメレシーをしっかりと抱きしめている。防護服を着ていてくれると、遠慮なく腕に力を込められるので捕まえておける。
「メレッ」
 メレシーは暴れてみたが、コタネの時と同様にビクともしない。大人のトレーナーはメレシーくらいの重量ではどうにもできないらしい。かといってワザを放つとカラスバに叱られてしまう。
 コタネはメレシーを置いて救急車に駆け寄った。コタネに気づいた救急隊員は担架とコタネの間に立ちふさがる。
「負傷者に近づかないでください。お身内以外の方は同乗できません」
「あ、そうか。それじゃあ。カラスバさん!」
 救急隊員に阻まれて救急車に近づけないコタネは声を張り上げ、担架を追って救急車に乗り込もうとしていたカラスバを呼んだ。
「この忙しい時になんや!」
「ジプソさんに、伝言してくださーい! メレシーはサビ組に預けましたー! いまは門番さんが持ってまーす!」
 コタネに言われてメレシーの存在を思い出したカラスバは門番たちを見た。ひとりの腕にメレシーが抱えられているのが見える。
「忘れとった。メレシー届けてくれたんか。おおきに! 伝えとくわ!」
 カラスバはコタネに応えて手を振り、ジプソの上着を持ったまま救急車に乗り込んだ。メレシーのボールはおそらく、あの上着の内ポケットにあるのだろう。
 三人に見送られ、カラスバとジプソを乗せた救急車が発車した。行先はミアレ中央病院だ。
「よし。伝言終わり」
 つぶやいたコタネはふりかえって門番たちに手を振る。
「お騒がせしましたー! 帰りまーす!」
 門番たちもコタネに手を振って応える。
「ありがとなー! 気をつけてー!」
 別れの挨拶をしたコタネは、道場まで走って帰った。日頃からすべての移動を自分の足で行えば、おのずと足腰が鍛えられる。「生活こそ鍛錬である」は、ジャスティスの会の基本的な教えだ。

 

うるさく無礼な見舞客

 ミアレ中央病院でジプソを診た医師が言うには、好条件が三つ重なったおかげでジプソは軽症で済んだのだという。ひとつ、食らったワザが毒ワザではなかったこと。ふたつ、カラスバの毒消しを持っていたこと。みっつ、負傷者がジプソだったこと。食らったワザがどくづきではなくダブルニードルだったおかげで毒性が低かった。カラスバ手製の毒消しはサビ組製品のなかでも特に高性能で、解毒作用が強い。負傷者のジプソは特異体質で、人間にしては毒が効きにくい。この三つの条件が重なったおかげでジプソは軽症なのであり、この条件のどれかひとつでも欠けていたら重症化していたという。
「それはつまり、おれの毒消しでも、どくづきは無効化できへんいうことか?」
「はい。並のポケモンならともかく、今回の相手はオヤブンでしたから。オヤブンが放つどくづきは特に毒性が強いので、カラスバさんの毒消しでも無効化できません」
「おれの毒消しは、毒タイプの毒ワザにもよお効くて評判やのに。それでもオヤブンにはかなわんか。悔しいな。精進せな」
「それでも、あるとないとでは大違いですよ。カラスバさんの毒消しがよく効いたのは事実ですし、ジプソさんの迅速な判断ですぐに使われたおかげで、毒はあまり回っていなかったですし」
「組の規則で決めてあんねん。外出するときは毒消し持って行く、毒タイプに襲われたらすぐに使うて」
「さすがはサビ組。組員さんたちへの配慮が行き届いてますね」
「あたりまえやろ。組員は子分で、おれはボスや。子分を守るのがボスの仕事やからな。うちは毒使いが多いさかい、ちゃんと指導せな」
「カラスバさんはいいボスですねえ…それで、ジプソさんの入院期間ですが」
「何日ぐらいで退院できる?」
「はい。えー、念のため一週間は」
「一週間? えらい長いやんか」
「ですから、念のためです。なにせ今回は血清を使っていませんので。ジプソさんの肝臓が毒素を分解し終えるまでは、気を抜けませんから」
「わかった。おとなしく待っといたるさかい、後遺症がないようにしてや」
「最善を尽くします。カラスバさんにもご協力いただきたい」
「ん。血清の件やね。犯人ならここにおるで。オヤブンスピアーや」
「ありがたいです。ちょうどスピアーの血清をきらしていたタイミングだったので肝が冷えました。ご本人の前でなんですが、ジプソさんでよかったです」
「そやな。ジプソやなかったら死んどったかもしれん。オヤブンスピアーの毒液は惜しみなく提供したるさかい、しっかり血清つくってや」
「はいっ。ありがとうございます」
「そういうことやからジプソ、よく休みや。あとでアカガネに着替え持ってこさせるさかい」
「わかりました。メレシーはどうなりましたか? コタネさんに預けたのですが」
「事務所にいてるで。ボールは上着から抜いた。このまま持って帰るわ。退院するまで、メレシーには会わんほうがええ」
「な、なぜ? 明日、連れてきてくれるんですか」
「明後日も来るで。おまえが退院するまで毎日見舞いに来るさかい。いくらメレシーが心配でも、脱走したらあかんで」
「脱走なんかしません。しませんから、理由を…」
「おまえがなんと言おうが、おれは毎日来るさかい。ちゃんと休み。これは命令や」
「ご命令は承りましたが、メレシーは…」
「おれが預かる。それじゃ先生、ジプソをよろしくな」
「はい」
「ほな、おれはもう行くで。また明日な」
「…はい」
 入院二日目の午後。ジプソのいる病室のドアがノックされた。
「ジプソ、いてるか」
「ああ」
「入ってええか」
「どうぞ」
「おじゃまするで」
 カラスバが入室した。院長を脅して手配したのでジプソは軽症でありながら一人部屋に入っている。ミアレ中央病院だけのことはあり、部屋は清潔で設備も整っている。
「うんうん。ええ部屋やな。手配した甲斐があったわ」
 カラスバはベッドの傍らに置かれたイスに座った。
「院長を脅したな?」
 ベッドの上で半身を起こしているジプソはカラスバに確認した。
「当然やろ。したっぱならともかく、おまえは幹部やぞ。タコ部屋になんか入らせるかいな。それで、具合はどうや。どこか痛まへんか?」
「大丈夫だ。少し歩けるようになった」
「大事ないみたいやな。よかったわ。手持ちのポケモンらはどうや。おまえに怪我させてもて、落ち込んでへんか」
「昨日はみんな落ち込んでたけどな。もう大丈夫だ」
「やっぱりなあ。おまえの手持ちはみんな責任感強いさかい。おまえに怪我させてもて、落ち込んどるやろなと思っとった。ほんま、誰に似たんやろな」
「おれに似てるって言いたいのか」
「せや。おまえはなんでも一人で抱え込むクセがあるさかい。おれはいっつも心配しとるんやで」
「…そうだったのか」
「そやで。だから毎日見舞いに来る言うとるんや。おまえがちゃんと休んどるか確かめに来てんねん」
「大丈夫だ。ちゃんと、部屋で過ごしてる」
「それやったらええけども。筋トレとかしようと思たらあかんで。休むのも仕事のうちや」
「わかってる」
「わかっとるんやったらええ。それで、メレシーのことなんやけどな」
「ああ。面倒みてもらって悪いな。元気にしてるか?」
「体調には問題ないけども。なんで防護服イヤがるんや。昨日事務所に戻ったら、勝手に脱いどって。もっかい着せようとしたらめっちゃ拒否られたから、セーター着せといたけども」
「あれはバトル用だと思ってるんだろう。セーターのほうが気に入ってるから、バトル以外はセーターを着たがる」
「じゃあ、なんでおまえが運んどったんや。自分で飛べばいいやろ」
「心配だったんだ。ふらふら飛ばせておくと、またどこかにぶつかりそうで。それに、あのメレシーは人に抱えられてるのが好きなんだ」
「全部、それなりの理由があるいうことか」
「そうだ」
「ふーん。なるほどなあ。それは納得…するわけないやろぉ!!」
「カラスバ。病院では静かに…」
「ふざけんな!! おまえそれでも筋者か!! あんな石ころに魅入られるな!!」
「石ころ…?」
 ジプソはカラスバがメレシーを「石ころ」と呼んだことに驚いた。カラスバも筋者だが口汚くはなく、今まで岩タイプを「石ころ」呼ばわりしたこともなかった。今回はよほど頭にきているらしい。ジプソがメレシーにかかりきりになっていることが気にくわないようだ。
「おまえはサビ組の幹部やぞ!! 自覚あるんか!?」
「それはもちろん…」
「だったらなんでポケモン遊ばせとくねん!! おまえが仕事をやらんからベタベタ甘えてくるんやろ!! 病気やからって甘やかすな!!」
「それは、一理あるな」
「せやから、おれが仕事をやったで! あいつ、デスクライトにしたった!」
「え!?」
 カラスバの口からとんでもなくサイコパスな表現が飛び出した驚きのあまり、ジプソはベッドの上で固まった。ランプラー以外のポケモンをライトにするとは、いったいどうやるのだろう。まさかとは思うが、メレシーの体を鉄枠に固定して、机の上で痛めつけたのではないかと想像してしまう。
「心配なんやったら見てみ、ええ感じやで」
 怖ろしいことに、懐からスマホを取り出すカラスバの声に罪悪感は微塵もない。「いい感じ」とはどういう意味なのだろう。痛めつけてはいないという意味なのか、あるいは、すでに…。
「ほら。特注品の鉄枠や。タラゴンさんのお手製やで」
 ジプソがおそるおそるカラスバのスマホ画面をのぞきこむと、そこには、赤いセーターを着たまま機嫌よさそうに鉄製スタンドにはまっているメレシーが写っていた。メレシーはカラスバの役に立ててうれしいのか、にこにこしている。
「…セーターを着ていると、ぴったりなんだな」
 ジプソは胸をなで下ろした。カラスバが怒りのあまりメレシーを殺めたのではないかと危惧したが、杞憂だった。
「そうやで。むき出しで入ったら削れてまうさかい、セーター着たまま入るんや。このセーターは緩衝材にぴったりやで」
「よかった。メレシーもうれしそうだ。おまえがメレシーを殺したかと思って焦った」
「んなわけないやろ。おれは誰も殺さへんで。よっぽどのことがない限りは」
「たとえば?」
「おまえを襲った奴には容赦せん。あのオヤブンスピアーはおれの手持ちにしてコキ使っとる。毎日毒液抜いとるさかい、ちっと弱ってきとるな」
「使い潰す気じゃないよな?」
「まさか。おまえの治療費のモト取ろうとしとるだけや。たっぷり血清つくったら逃がしたるさかい、安心しや。今日の報告はこんなもんやな。ほな、また明日」
「待ってくれ。メレシーに会わないほうがいい理由を教えてもらってないぞ」
「ああ。そやな、これはおれの直感やけど。あいつがいてると、おまえがあんまり寝られへん気がしてな」
「おれが寝られない? 変な夢でも見るってのか」
「たぶんな。なんか、あいつがおまえに妙な夢みせる気がしたんや。あいつもフェアリーやからなあ。なにするかわかったもんじゃないわ」
「考えすぎだと思うが。ここはおまえの直感に従うか」
「そうしい。せっかくの休みが台無しになっても困るさかい。退院したら会わせたるから、いまは養生しや。ほな、また明日な」
「ああ。また明日」
 約束通り、カラスバは三日目にも見舞いに来てくれた。
「変わりないみたいやな。飯はどうや、口に合うか?」
「まあ、なんとか。病人食だから薄味だけどな」
「なんやったらまた院長を脅そか。厨房に腕のいい料理人入れろて」
「無茶言うな。病院とレストランじゃ勝手がちがう。急にシェフを立たせても旨い飯はつくれない」
「ほな、出前でも頼もか」
「病院はデリバリー禁止だぞ」
「知っとる。だから、無理を通すんや。おれやったらできる」
「サビ組の評判が落ちるからやめろ」
「甘いやつやな。よく言うやろ、無理を通せば道理がひっこむて。つまり、道理をひっこめさせれば無理が通るいうことや」
「ダメだ。だいたい、おれはまだ病人だ。治りきるまでよけいなものは食べちゃいけないと言われてる」
「なんやて? 生意気な医者やな。どいつや?」
「病院で暴れるな。負傷したおれが悪い」
「その通り。ちゃんと反省しや」
「わかってる。あの日はいつもより暗かったのに、油断した。むしろ有利だと思って。ポケモンのほうが夜目がきくのに」
「街灯の整備は役所の仕事。つまり市長の責任や。おまえが仕事さぼったせいでジプソが怪我したて、市長に言うといたさかい。おかげでうちの地区、いまはめっちゃ明るいで。まぶしいくらいや」
「…カラスバは、おれのことになると見境なくなるな」
「失礼なやっちゃな。ヒトを変態みたいに言うなや」
「それで、今日もなにか報告があるのか」
「ん。いまはメレシーの出どころを調べとる」
「ユカリが捕まえたんじゃないのか?」
「それがちがうねん。ユカリがあのメレシーをみつけたのは」
 カラスバが言い終える間もなく、病室のドアがコンコンとノックされた。
『!!』
 サビ組のふたりは身構える。まだ回診の時間ではないのでノックの主は医師ではない。カラスバは「ジプソの見舞いにはおれが行く」としたっぱたちに伝えているのでサビ組の見舞いでもない。他の勢力ではジプソの入院を知っても病室はわからない。したがって、この時間にジプソの病室を訪ねてくるのは敵対勢力の可能性が高い。ジプソとカラスバは襲撃に備えて懐に手を入れ、ボールを握る。狭い室内でも出せる体格のポケモンを持っていてよかった。
「どちらさん?」
 カラスバが警戒しながら誰何すると、ドアのむこうから聞き覚えのある声が返ってきた。
「お話中失礼いたします。ハルジオです」
「ドラゴンメイドか。珍しい客やな」
 ふたりは警戒を解き、ボールを放して懐から手を出した。襲撃には応戦するしかないと思っていたが、幸いにして敵ではない。ただの見舞い客でもないが。
「ユカリお嬢も一緒か?」
 ハルジオの丁寧な言葉遣いは仕事モードの証だ。ユカリの使いで来たのか、あるいはユカリに同行しているのか。もしドアのむこうにユカリがいるのなら相応の覚悟をしなければならない。
「はい。ここにいますわ。おじゃましたいのですけど、よろしいかしら」
 やはりユカリが一緒だった。ユカリが受付で「ジプソの病室を教えろ」と命じれば医療スタッフは無条件に従うだろう。ユカリが他人を操るのに脅しは不要だ。ユカリが「そこにいる」こと自体が市民を恐れさせるのだから。ユカリの威圧感は時にカラスバの上をいく。ユカリは、存在そのものが脅しなのだ。
「どうする、ジプソ」
 カラスバはジプソの身を案じた。負傷して二日経っているとはいえ、今のジプソに、ユカリの長話につきあうだけの気力と体力があるのか。
「お招きしましょう。おふたりとも、なかへどうぞ」
 予想外の客ではあるが、同時に貴重な情報源でもある。なにより、ユカリとの面会を拒むと後が恐い。幸いにして体力には余裕がある。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
 ハルジオは内向きのドアをそっと開けた。
「ユカリさま、どうぞ」
「ありがとうハルジオ」
 ユカリはまるで自分の部屋のように気軽な足取りでジプソの病室へ入ってきた。どこであろうと変わらぬふるまいをすることがユカリの魅力であると同時に、鬱陶しいところでもある。
「ジプソさま、お休みのところ失礼いたしますわ」
 ハルジオが背後でドアを閉める音を聞きながらユカリが挨拶した。口では「失礼」と言っているがその実まったく失礼しているとは思っていないであろう口調だ。ユカリはたとえ本当に失礼なことでも自分がそうしたいと思ったら迷わず実行するだろう。そんなユカリが発する謝罪の言葉はほとんどが表面上のものだ。
「こちらこそ。こんな状態ですみません」
 ジプソは部屋着のうえ、ベッドの上だ。ユカリを迎える状態としてはかなり無礼であるが、ユカリには連絡なく病室におしかけてきた非があるのでお互いさまだろう。
「しかたありませんわ。アポもなくおしかけたのはわたくしですから」
「お話に割り込んで申し訳ありません」
 ユカリとちがってハルジオの謝罪は心からのものである。それはわかっているので腹は立たない。
「かまへん。いまちょうど、ユカリお嬢からもらったメレシーについて話しとったところや」
「やっぱり。そんな気がしたのでお訪ねしたのですわ。わたくしのことはわたくしがお話しします」
「メレシーについてやで」
「わたくしの手持ちでしたから。手に入れた経緯をご説明しましょう。わたくしからお話ししたほうが早いと思いますわ。ハルジオ、椅子を置きなさい」
「はい。少々お待ちください」
 ハルジオは持っていた折りたたみ椅子を広げて床へ置いた。
「できました。おかけください」
「ありがとう」
 ユカリはハルジオが置いた薄紫色の折りたたみ椅子に座った。
「えらい準備がええやんか。病室の椅子には座りたないってか」
「いいえ。先客に立っていただくのは悪いですから持参したまでですわ。それに、これはわたくしのお気に入りなんですの」
「さよか。それで、メレシーの話いうんは」
「順を追ってご説明しますわ。まず、あのメレシーの最初の持ち主は、わたくしではありません。おじいさまですわ」
 ユカリが祖父に会う時には不愉快な用事であることが多い。メレシーをみつけた時もそうだ。ユカリが頼んでもいないのに「見合いの席を設けた」と伝えられたので、抗議するべく祖父宅を訪ねた。
「久しぶりに会ったおじいさまは、なぜかメレシーを連れていました」
 ユカリの祖父がポケモン嫌いであることはカロス社交界に知れ渡っている。ミアレの一角に屋敷を構えておきながらめったに外出せず、道行くポケモンたちを見ることまで嫌う、筋金入りのポケモン嫌いで有名だ。
「ご本人いわく『生まれてこのかた1匹たりとも獣を持ったことはない』そうですわ。偏屈な方ですこと」
「そんな人がポケモン連れてたら、不審に思って当然やんな」
「そうでしょう。晩年になって心境が変わったのか、死期が近づいて心細くなったのか。どちらにせよわたくしは、おじいさまよりメレシーが心配でした」
「そこは身内の心配するとこちゃうんかい」
「だってわたくし、おじいさまよりメレシーのほうが好きなんですもの」
「子供みたいなこと言いなや…それで、メレシーが心配やったからとりあげたんやんな?」
 カラスバはジプソが入院してすぐにユカリと連絡を取り、メレシーと出会った経緯をきいているので、この説明をきくのは二度めだ。
「ええ。カラスバさまにはお話ししましたが、おじいさまがとんでもないことをおっしゃったものですから」
 祖父がポケモンを連れていること自体をいぶかしんだユカリは真っ正面から「どうしてメレシーをお連れなのですか」と尋ねた。カロス貴族の間ではメレシーをスタンドに座らせ、光らせてランプにすることが流行しているので、祖父も遅ればせながら流行に乗っただけかもしれない。
「カラスバさまがしたことと同じですね。貴族の間で流行っているとは知りませんでしたが」
「仕置きのつもりやったんやけどな。我ながらダサいことしてもたわ。貴族どもと同じこと考えてまうとは」
「財と時間を持て余していると、奇抜なことを考えるくらいしか娯楽がなくなるのですわ」
「哀れな連中やな。おとなしゅうオペラでも観てればええのに。それで、おじいさんのお返事は」
「前にお話しした通りでしてよ。『これはただの獣ではない。賢者の石だ』と」
「おじいさまの目的は、照明ではなかったということですか」
「ええ。どうやら『これを削って、その粉を飲むと寿命が延びる』と説明されたらしくて」
「『これ』というのはメレシーのことですよね?」
「ええ。驚きでしょう?」
「ほんま、何度きいても驚きや。賢者の石なんておとぎ話やんか。じいさん、ボケはったんちゃうか」
「カラスバさま、あまりに失礼ですよ」
「かまいませんわ。わたくしだって、そう思いましたもの。おじいさまにはそろそろ、検査を受けていただかないと。頼んでもいない縁談の数々は痴呆症のせいだったのだと思えば、ゆるしてあげられるでしょうから」
「ユカリ嬢。いくらじいさんが憎くても、医者を買収して病人にしたてあげたらあかんで」
「あら、いけませんか?」
「どっかの施設に押し込む気やろ。お子さん方が黙ってないで。親世代を敵にまわしたなかったら我慢しよし」
「お母様はわたくしの敵ではありません。伯父や叔母はなんとかします」
「完全にお家騒動やんけ」
「カラスバさま。わたくし、こう見えても淑女でしてよ。前時代のような、血が流れる事はしませんわ」
「誰も死なへんかったらいいってもんやない。内輪もめしたら家が傾くやろ。じいさんが嫌いで縁談がイヤなんやったら、面とむかってご本人にそう言いや」
「それができれば苦労しませんわ」
「医者を買収して施設に押し込むよりは簡単やろ。姑息な手使うなんてユカリ嬢らしくないやんか。まさか、おじいさまが怖いんか?」
「…わたくしに、怖いものなどありません。なぜならわたくしはユカリなのですから」
 ユカリの応えにわずかな間があったのは、ユカリが自身に言い聞かせていたからだろう。「自分に怖いものなどない」と。
「だったら立ち向かいおし。ハルジオがおったら誰にも負けへんやろ」
「その通りですわ。ハルジオ、明日はおじいさまにお会いしましょう。ついてきなさい」
「頼りにしていただけるのはうれしいですけど、あんまり乱暴なことは…」
「どうなるかは相手しだいでしてよ…失礼、話を戻しましょう」
 祖父がメレシーを手に入れたのは自分の寿命を延ばすためだ。しかもそのメレシーは、ブローカーから買ったものだという。これをきいたユカリは、メレシーを奪い取ると決めた。泊まるふりをして夜がふけるのを待ち、祖父が寝入った頃を見計らってサーナイトに命じ、祖父の寝室にある上着からメレシーのボールを盗ませた。
「あとは簡単です。メレシーをボールに戻して、テレポートでシュールリッシュに戻りました」
「完全に窃盗やんけ。じいさん、警察にはなんも言ってへんの?」
「あのおじいさまがポケモンを持っていたと知られたら、世間体が悪いでしょう。おじいさまは『なぜあなたがメレシーを持っていたのか』という問いに答えられないのですわ。ですから警察も頼れないのです」
「警察を頼れん貴族がおるとは思わんかったわ」
「ブローカーからポケモンを買うからです。うしろめたいことをする方が悪いんですわ。おじいさまにも困ったものです」
「自分が盗んだうえにジプソに押しつけといて、他人事みたいに言いなや」
「だからこそですわ。メレシーの『効能』は非科学的で根拠がないこと。砕けやすいのは先天的な病であること。保護者に適した方の手に渡ったことを、おじいさまに説明します」
「じいさんからメレシーを盗んだのは自分やって、はっきり言ってや。でないとサビ組が、貴族のポケモン盗んだって言われるさかい」
「心配ご無用でしてよ。わたくしが自分の行動を偽ることはありませんから。わたくしは常に最善を尽くしています。ですから、隠すことなどひとつもありませんでしてよ」
「さよか。それで、ブローカーはどこかわかったん?」
「それが、困ったことに、おじいさまはブローカーの名を知らないそうです」
「名前も知らんとこから買うたんかいな。あきれたじいさんやな」
「まったくですわ。しかたがないので、ショップカードだけもらってきました」
『ショップカード!?』
 ジプソとカラスバの声が重なった。裏社会で「ブローカー」といえばポケモンを売買する犯罪組織のはずなのに。雑貨店のようにショップカードを配っているブローカーなどきいたことがない。
「わたくしも驚きましたわ。おおかた、他の貴族を紹介してほしくて渡したのでしょうけど。そうはさせませんわ。こんな似非科学がカロス貴族の間で流行っていると思われたら、世界の笑い物ですもの」
「カロス貴族のためにも、放っとくことはできんかったんやね。ユカリ嬢、意外と優しいやん」
「わたくしの母も貴族ですから。放っておくとお母様も愚か者に含まれてしまいますもの…これが、そのショップカードですわ」
「ん。見せてもらおか」
 ユカリから黒いカードを受け取ったカラスバは、そのカードをまじまじと視た。真っ黒なカードの中心に描かれているのは真っ赤な「R」だ。裏社会では有名なマークなので見間違いようがない。
「このマークは知っとるわ。ジプソもわかるやんな?」
「はい。ロケット団ですね」
『ロケット団!?』
 今度はハルジオとユカリの声が重なった。噂できいただけだが、かなり規模の大きなマフィアらしい。結成されたのはカントーらしいが、ついにカロスにまで進出してきたのか。
「そうや。ブローカーとしても、マフィアとしても、業界最大手やで。でかいところや。打つ手はよう考えなあかん。とりあえず、ユカリ嬢はこれ持って警察に行きや。被害者面して『おじいさまが騙された』って言うんやで」
 言いながらカラスバがショップカードを返すと、ユカリは珍しく不安げな顔をした。
「噂でしかきいたことがありませんが、地方をまたいだ組織なのでしょう? カロス警察で対応できますかしら」
「まず無理やね。それでも、傍観するわけにはいかん。ユカリ嬢が警察に駆け込んだ話が広まれば、貴族どもは買うたポケモン手放すさかい。ポケモンらは助けられるやろ」
「貴族は警察沙汰を嫌います。ポケモンを手放すといっても、密かに処理しようとするでしょう。わたくしに相談してもらえればいいのですけれど」
「心配いらへん。ポケモンを殺処分したい思うたら、うちに依頼が来るさかい。殺したふりして保護したる。野生に返せるかどうかはわからんけどな。あえて難ありの個体ばっかり殖やして売っとるのかもしれんし」
「たとえ健康な個体であろうと、ポケモンの養殖は違法ですわ」
「もちろん、知っててやっとるんやで。なんせマフィアやから、違法なことこそ商売にしとるんや」
「困った方々ですこと。今回は裏社会のことですから、対応はサビ組にお任せしましょう。戦力が入り用でしたらお声がけくださいな。MSBCも参戦しますわ」
「わかった。なにかあったら声かけるわ」
「それでは。わたくしはこれで失礼しますわ。この足で警察へ行きます。ハルジオ、ついてきなさい」
「はい。少々お待ちください」
 ユカリが席を立ち、ハルジオは素早く椅子をたたんだ。ハルジオはその椅子を持って病室のドアを開ける。先に廊下へ出たユカリはハルジオを待たず、エレベーターにむかって歩き出す。
「それでは。失礼いたしました」
「ん。次は手土産持ってきや。手ぶらで来るのは無礼やで」
「承りました。ユカリさまにお伝えしておきます」
 薄紫色の折りたたみ椅子を持ったハルジオがドアを閉め、ユカリのあとを追う小走りの足音とともに去った。
「やっとうるさいのが帰ったな」
「静かになったのはいいが。ロケット団か。やっかいな連中だ」
「おれも拝金主義者は嫌いや。でも、あそこのボスにはお世話んなったからな」
「…そうなのか?」
「おまえに出会う前の話や。あの組のボスは、サカキさんて人なんやけど。一見すると立派なお人なんや。しかし、商売のしかたがどうにもなあ」
 ある日、いつも「チャイムに応じるな、玄関は開けるな」と言っていた父親が「次にチャイムが鳴ったらすぐに玄関を開けろ」と言いおいて出て行った。珍しいこともあるものだと思いながらも幼いカラスバは父の言いつけに従い、次にチャイムが鳴った時、すぐに玄関のドアを開けた。そこにいたのは何やらそろいの服を着た怪しげな集団で「ロケット団だ」と名乗り「借金の取り立てに来たんだが。お父さんはどこだい? 坊ちゃん」と言われた。これが、カラスバがロケット団を知った経緯だ。
 「金を貸した男が幼い息子を置き去りにして行方をくらました」と部下から報告を受けたサカキは、すぐに「その子を連れてこい」と命じた。そして、対面したカラスバに「おまえが親に置き去りにされたのは、わたしのせいだ。だから、責任をとっておまえを養子に迎えよう」と言ってくれた。しかし、カラスバは断った。サカキに会うまでの道々で「ロケット団はポケモンを使って金儲けをする組織だ」と説明されていたからだ。すでにフシデの相棒になっていたカラスバは、そんな集団に加わりたくなかった。
 サカキはカラスバに断られてなお責任感を発揮し、ミアレで設備と評判のいい施設を探す間、カラスバを保護してくれた。そして、ミアレ一の児童保護施設へカラスバを入れてくれたのだ。そこでカラスバはジプソと出会い、今に至っている。
「おまえ、そんな経緯であそこにいたのか…」
「そやで。おまけに、おれが卒業するまでずっと、あの施設に匿名で寄付してくれとってな。あの人も、おれの恩人や」
「そういうことだと、あまり乱暴な手段はとれないな」
「ん。おれとしてもあんまり、ことは荒立てたないわ。なんとか穏便に済まさんとなあ」
「それにこしたことはないが、ミアレに根を張られるのも困るだろ」
「ミアレはおれらのシマや。他の組のシノギには使わせん。出ていかん言われたらどつくしかあらへん。それでもなあ。あの人は殴りたないし、おっきな喧嘩もしたないわ。どないしよ」
「よく考えて決めてくれ。おれはおまえの判断に従う」
「相変わらず従順やな。兄貴分のくせに」
「部下は部下ですので。カラスバさま、他になにか」
「ふたりの時まで手下みたいにしゃべるなて言うてるやろ。きしょくわるい。今日のところはもう帰るわ。また明日も進捗報告するさかい」
「わかった。それじゃ、また明日」
 こうして三日目の見舞いが終わり、四日目。カラスバが驚くべきことを報告した。
「サカキさんには驚いたわ。ダメもとで昔にもらった連絡先に電話してみたら、あっさりご本人につながって」
 カラスバがサカキの下を離れて十五年経つ。子供の頃に渡されたメモに書かれた電話番号がまだ生きているとは思えなかったが、望み薄でも連絡するほかなかった。どうか応答してほしいと思いながら電話をかけると警戒心満載の声で「誰だ」と応えがあった。電話越しでもすぐにわかる、懐かしい声だった。
「連絡先を知ってることがまず驚きだが。もう連絡したのか。草稿も何もできてないだろ」
「せやから、つっこんだ話はしてへんで。また日を改めて、テレビ電話することになったさかい」
 あの番号の端末はよほど古いものらしく、画面がついていないという。この番号では音声通話しかできないので、日を改めて別の番号に連絡することになった。カラスバはサカキと話し合ってテレビ電話をかける日を決め、通話を切った。
「声はちっと年とってはったけど、お元気そうでよかったわ。息子さんはもう十五歳になりはったんやて」
「そうか。サカキには子供がいるのか。脅しに使えそうだな」
「めったなこと言いなや。それも選択肢のひとつやけど、品がないさかい。最終手段やで」
「わかってる。おれだって誘拐はしたくないし、子供は傷つけたくない」
「筋者にしてはまともなこと言うやんか。さすがジプソ、メガシンカ使いだけのことあるわ」
「それはおまえもだろ」
「ほんま、便利なもんやなキーストーンて。これつけてるだけで、高潔な人柄やと思ってもらえるさかい。筋者でも市民のみなさんから信用してもらえてええわ。ミアレ民はちょろいな」
「ちょろいのはむしろクエーサーだろう。いくらおれたちの腕が立つからって。筋者なのはわかってたくせに、ランクGになったとたんにキーストーンをよこした。あいつらの評価基準はどうなってんだ」
「ジプソ、取引先を悪く言うたらあかんで。そのゆるさのおかげで、おれらもメガシンカ使いになれたんやから」
「それはそうだな」
「テレビ電話する日は二週間後や。おまえが退院してから草稿つくる」
「わかった」
「今日の報告はこんなところやな。明日もしっかり休みや。ほな」
「ああ。また明日」
 ジプソの入院五日目。やはりカラスバは見舞いに来た。
「なにか、調査に進展はあったか?」
「ん。カロスにロケット団の拠点がないか調べとるんやけど。いまんとこみつかってへん。ミアレの貴族どもに接触しただけで、まだ拠点は構えてへんみたいやな」
「だったら、叩くのはいまのうちだな」
「いまならお互い大した被害はないさかい。叩くいうても、サカキさんとの話し合いで済みそうや。一安心やな」
「みつからないほうがいいものもあるんだな」
「マフィアの拠点なんか、みつからんほうがええ。みつかったほうは逃げなあかんし、みつけたほうは潰さなあかん。どっちの立場でも面倒なことになるさかい、お互いにみつからんほうがええ」
「カラスバ…」
「なんや」
「その言い方だと、サビ組もマフィアみたいだぞ」
「おれらは自警団やけども。サビ組が警察からなんて呼ばれてるか知っとるか?」
「知らないな。他の呼ばれ方があるのか」
「ああ。ミアレ警察はおれらを『ラスト・シンジケート』て呼んどるらしいで」
「シンジケート? 大げさだな」
「なんでも、サビ組って言うと親近感わいて対応が甘なってまうから、あえてシンジケートて呼んどるらしいで。ミアレ警察にもかわいいとこあんねんな」
「端から見れば、おれらもロケット団と同じってことだろ」
「ほんまにそう思われとるんやったら心外やけども。ミアレ警察に限ってそれはないと思うで。つきあい長いし」
「信用されてるんだったらいいけどな。それで、他に報告は」
「今日のところはこんなもんや。ほな、また明日」
「ああ。また明日」
 六日目、退院予定日の前日。カラスバはジプソの体調を確認するべく見舞いに来た。退院予定には変わりないだろうか。
「ジプソ。体調はどうや?」
「問題ない。医者には、明日退院していいと言われた」
「ん。予定通りやな。順調に治ってるみたいで安心したわ。明日は組の車で迎えに来るさかい、ロビーで待っとれ。タクシーで帰ったらあかんで」
「一人でも帰れる。わざわざ迎えに来なくていい」
「あほ。病み上がりの幹部を一人で歩かせるわけないやろ。組の車で迎えに来るさかい、ロビーで待っとれ。タクシーで帰ったらあかんで」
「わかった。時間はきいてるか?」
「ん。もちろんきいとるで。おまえに関することはなんでも知っとるさかい。知らんことなんかあらへんわ」
「…カラスバ」
「なんや」
「他のやつに同じことしたらプライバシー侵害で訴えられるぞ。おれだけにしとけ」
「おれが出かけるたびに尾けてきとるやつに言われたないわ」
「ばれてたか」
「あたりまえや。おまえは図体がでかいさかい、尾行にはむいとらん。丸わかりや」
「おれなりにボスを守ろうとしてのことだったんだが」
「そういうのをおせっかい言うんじゃ。事務所がガラ空きになるやんけ。おれが出とる時こそ残っとれ。ええか、これは命令やからな」
「わかった。これからは、おまえの強さを信じよう。ランク∞になったことだしな」
「約そ、ちゃう、命令やからな。忘れなや」
「ボスからの命令は忘れないさ」
「それじゃ、また明日な」
「ああ。また明日」
 翌日、退院日。朝食と身支度を済ませたジプソは病室の荷物をまとめ、入院費を支払い、言われた通りロビーで待機していた。
「ジプソさん、お久しぶりです」
 ロビーにいるジプソに声をかけたのは、退院祝いの花束を抱えたコタネだ。いつもの黒い背広を着て入口近くのイスに座っているジプソは目立つのですぐにみつかった。
「コタネさん。あの日はお世話になりました」
「いえいえ。ご無事で何より。これ、退院祝いです」
 コタネはジプソに花束を手渡した。実を言うと、コタネが心配していたのは傷よりも襲撃だった。ジプソは心身ともに頑丈な人物なので傷だけなら問題なく治るだろう。しかし、弱ったサビ組の幹部が事務所ではなく病院にいるとなれば、何者かに襲撃されてもおかしくない。コタネはそう思っていたが、何事も起きなかった。サビ組のしたっぱたちを動員して厳重に警備していたのか。あるいは、ミアレにサビ組の敵はいないのかもしれない。だとしたらそれは、カラスバとジプソの人徳のおかげだろう。
「これはこれは。わざわざ、ありがとうございます」
 ジプソは花束をそっと抱えた。重みこそないが、脆いものを抱えている感覚はメレシーを運ぶ感覚と似ていて懐かしい。
「見舞いには来るなと言われたので、退院する時に渡そうと思って。退院日は、カラスバさんから教えてもらいました」
「道理で、タイミングよくいらしたわけですね」
「サビ組の迎えが来るまで、お話ししていいですか?」
「はい」
「あれから、メレシーはどうなりました?」
 コタネはジプソの隣に座った。患者でも付き添いでもない人間が病院のロビーにいるべきではないのはわかっているが、メレシーの様子が気になる。病み上がりのジプソの護衛もかねて、少し話そう。
「カラスバさまに預けました。デスクライトにしたときいた時は冷や汗が流れましたが」
「デスクライト? え? どういう意味ですかそれは」
「なんでも、カロス貴族の間で流行っているのだそうで。メレシーをスタンドに座らせて、光らせるらしいですよ」
「それならランプラーでいいのでは?」
「まったくです。そもそも、生きた照明器具など悪趣味極まりない」
「カラスバさんがそんなことしますかね。もしかして、メレシーに嫉妬してるとか」
「まさか、そんなはずは…あるのか?」
「難病の子は手がかかるでしょう。つきっきりだったんじゃないですか?」
「それはそうですが…そういえば、甘やかすなと言われました」
「やっぱり嫉妬ですよ。ジプソさんがメレシーにばかりかまって、カラスバさんはほったらかしにされてるから。かまってほしくて意地悪してるんですよ」
「だとしたら問題ですね…意外と幼稚だ。育て損なったか」
「育てるって。カラスバさんはジプソさんのお子さんじゃないでしょう。たまには誰かに甘えたいだけだと思いますよ」
「大人でも、そんな気持ちになるものですかね」
「なりますよー。現に私、しょっちゅう実家が恋しくなって、よく母に電話してます」
「そんなものですか」
 ジプソにも一応は両親がいたものの、どちらも家には寄りつかず、ジプソのことはほったらかしだった。放任主義といえば聞こえはいいが、要するにネグレクトだ。さすがに命を落とすほど深刻な虐待は受けなかったが育児放棄も同然で、愛されていると感じたことは一度もない。おまけに両親はジプソが15歳の頃に離婚してしまい、施設に預けられたと思ったら二人とも音信不通になった。保護施設に入ってから現在に至るまで二人に会ったことはなく、居所を調べたこともない。要するに両親にはなんの思い入れもない。そんなジプソからすると、大人になっても肉親と仲のよい人間は不思議だ。親が不要になっても連絡を取り合うのはなぜなのだろう。
「要するに、カラスバさんにも甘えたい時があるってことです」
「考えたことがありませんでしたが。意外と、それが真実なのかもしれません」
 成人したカラスバをサビ組のボスに据えて以来、無意識に「カラスバは強くて完璧な人間」だと思い込んでいたのだろう。年下であり弟分であることは忘れていないものの、普段はどうしても「ボス」と認識してしまい、困り事の確認を怠ってしまう。カラスバが子供の頃はことあるごとに「困ってることはないか」「してほしいことはないか」ときいていたのに。もしかしたら自分は、カラスバの保護者であることを忘れていたのかもしれない。自分と同様に肉親からの保護をろくに受けられなかったカラスバにとって、兄貴分のジプソこそが家族だろう。さみしい思いをさせるのはよくない。
「ジプソさん。カラスバさんがお迎えに来ましたよ」
 考え込んでいるジプソに、カラスバをみつけたコタネが声をかけた。
「ああ、どうも」
 我に返ったジプソが出入口を見ると、確かにカラスバが近づいていた。
「ジプソ、迎えに来たで。組の車が表で待っとる」
「ありがとうございます」
「コタネ、つきそいありがとな。この花は退院祝いか?」
「はい。わたしがお渡ししたお花です。花瓶はありますよね?」
「ん。なんか適当な壷でも見繕うわ」
「そうしてください。ジプソさんがお元気そうで安心しました。それでは、わたしはこれで」
「おおきに」
「ありがとうございました」
 ジプソとカラスバに見送られ、コタネは一足先に自動ドアをくぐって外へ出た。玄関ロータリーに、いかにもな黒塗りの車が一台停まっている。あれがサビ組の車だと知っている者なら怯えることはないだろうが。それにしても威圧感がある、と思いながらコタネは道場へむかって走り出す。
「その花束はおれによこし。おまえが抱えてると潰れてまうさかい」
「ああ。事務所まで頼む」
 ジプソはカラスバに花束を渡し、ロビーの椅子から立ち上がる。花束を抱えたカラスバはジプソとともに出入口の自動ドアをくぐり、ロータリーへ出た。二人は黒塗りの車に近づき、カラスバが運転手の女に声をかける。
「ドクダミ、待たせたな」
「いいってことよ。その花はどうした、退院祝いかい?」
「ああ。さっき、ジプソがコタネからもらったやつや」
「へえ。コタネからねえ。ジプソも隅に置けないな」
「ドクダミ。変に勘ぐるなよ。コタネさんは心配してくれただけだ」
「ふーん。どうだかね」
 カラスバ直属「毒衆」の頭であるドクダミもサビ組創立メンバーの一人で、ジプソの友だ。たった一週間とはいえ、ジプソがサビ組から離れることを心配していた。病院への襲撃はなく、無事に回復したジプソに会えて一安心だ。
「ふたりとも乗りな。そろそろ、ここを空けてやらないとタクシーがつっかえる」
「ん。帰りも運転頼むで」
「もちろん」
 二人は車に乗り込み、ドクダミとともに事務所へ帰った。コタネがくれた花束は丁寧に切りそろえられ、骨董品の壷に入れられた。この壷は花瓶ではないが、花をいけると風流だ。

ひいきにしてるサービスが過疎ってる?

贔屓(ひいき)にしてるサービスがついに過疎ってきたので危機感を抱いているんですが、贔屓って漢字にするとえらく画数が多いんですね。変換機能がなければとても書けなかったと思うので、まずは変換機能に感謝。そして、以下はひらがなで表記いたします。読みにくいからね。

話を戻しましょう。私がひいきにしているもののひとつに「リサイクル募金きしゃぽん」というサービスがあります(⇩)

kishapon.com

このブログで何度か記事にしていますが、簡単に言うと「中古品を買い取って寄付金にする」というものです。ユーザーは処分したい物を箱詰めして、箱の数を確定させます。次に申込ページに必要事項(箱の数も含む)を入力して申し込み、配送業者さんに集荷に来てもらいます(送料は基本無料)。業者さんに荷物を渡して伝票をもらったら、査定額のお知らせメールを待ちます。ここで注意してほしいのは、査定額(買取額)は寄付金になるので自分の口座には振り込まれないことです。ユーザーにとっては、不用品を処分しながら寄付もできるという一石二鳥のすばらしいサービスなのですが。買取金額を振り込んでほしい、お金がほしいという方は別のサービスをご利用ください。私は送料が基本無料なのをいいことに、たまに「きしゃぽん」を利用しています。私がため込むのは紙の書籍がほとんどなので、新古書店に持ち込んでも大した値段にならないからです。それならば、わざわざ店頭に持ち込まなくても玄関まで集荷に来てくれて、しかも寄付金になるサービスを利用しようと思うのは当然でしょう。まれに電子メディアがたまった時は新古書店に持ち込んでいましたが(CDやゲームなど)、パッケージ版のゲームは久しく買っていないので、新古書店からは足が遠のいているのが現状なのですがそれは置いておいて。この画期的なサービスを一年ぶりくらいに利用したところ、繁忙期のはずなのに過疎っている様子なのです。奇しくも去年は利用していないのでいつ頃からこうなったのかわからないのですが。現在は新生活にむけて査定額がアップするキャンペーン中なのに(⇩)

【新生活応援 募金額5%UPキャンペーン】 - リサイクル募金 きしゃぽん

トップページに以前のような「今はたくさん申込があるので査定額を出すのはいつもより遅れます、2週間後くらいになるかも」みたいな内容のお知らせがない。私は年に数回しか利用しないかわりにキャンペーンを狙って出していたので、査定額のメールが来るのに2週間ほどかかることはざらでした。今回もキャンペーン中なのでそれくらい待たされるかと思ったのですが、なんと、今回はわずか3日後に査定額のメールが届いたのです。ここでひとつお断りしておかないといけないのは、査定額が3日ほどで出るのは平常運転であり、イレギュラーに爆速で処理してくれたわけではないこと(⇩)

よくある質問 - リサイクル募金 きしゃぽん

むしろ「繁忙期だけ、とても待たされていた」と表現したほうがよいでしょう。つまり今回は通常期の早さで処理してくださったわけです。これ自体はとてもありがたいのですが、キャンペーン期間中なのに通常期対応なのはなぜでしょう? もしかしたら申込が激減しているのかも…と考えたのが「ひいきにしてるサービスがついに過疎ってきた」と思った理由です。いちユーザーながら心配しております。読者のみなさん、この機にぜひ「きしゃぽん」をご利用ください…この呼びかけで急に繁忙期になったらすみません、嵯峨野(株)さま。しかし私はどうしても、御社にこのサービスを続けていただきたいのです。

 

以上、ひいきにしてるサービスが過疎ってる気配を感じて嘆いている件でした。過去記事はこちら(⇩)

mee6.hatenablog.jp

mee6.hatenablog.jp

 

【日本緑茶センター】桜ラテ飲んでみた。塩入れるとおいしい。

3月も半ばですがみなさん、桜系食品は楽しんでらっしゃいますでしょうか。私は以前の桜ティー以来(⇩)

mee6.hatenablog.jp

これといって桜系食品を摂取していませんでしたが、数日前にやっと次の桜系食品にありつくことができました。日本緑茶センターの「インスタントさくらラテ」です(⇩)

www.jp-greentea.co.jp

これまた、イオンの片隅にあるカルディみたいな例のコーナーでみつけた一品。桜ティーは姿を消していましたが、かわりにこちらが現れていたので買いました。これでもう桜ラテ目当てにスタバに通わなくていいから安くあがるぞ、と思って。しかしまあ実際はそんなにうまくいかないんですが。成分的に桜は入っていないので香りは香料ですし、色素は野菜色素だし。やっぱりお店で出てくるラテほどの風味はないなあ。飲んでみたら意外と甘酸っぱくてイメージとちがうし、どうしたものか。いっそお湯じゃなくてホットミルクでつくってみようか、なんて考えましたが。画期的なアイデアをおもいつきました。「塩をひとつまみ入れてみよう」と。スタバのものと比べるとミルク感が少ないのはもちろんのこと、塩味も少ないことに気づきまして。自分が桜ラテに求めてるのはミルク感ではなく塩気なのではないかと思って。家には藻塩があるので、試しにひとつまみ入れてみたんですよ。そうしたら、ちょっとだけスタバの桜ラテに近づきました。「これよこれ!」と思いながら飲み終えたんですが。あとで成分表を見てびっくり。なんとこの桜ラテには食塩が含まれているのです。つまり、塩を入れすぎると塩分過多になってしまう。なので塩は慎重に。本当にひとつまみしか入れてはいけません。改善策をおもいついたら健康面の心配が出てくるとは。人生って本当にままならないもんですね。だからといってわざわざ無印に行くのも面倒だし、買ってしまったものはしかたないので飲み切ろうと思います。桜を前面に押し出した季節感のあるパッケージを眺めているだけで癒されるので。たまにはこういう、華やかなパッケージの食品も買いたいですよね。以上、ちょっと短いけど今日はここまで。

チョコミン党は今すぐキャンドゥに行き、チョコミントベアを迎えなさい。

※本日は事情により更新遅めでお送りしております。

 

チョコミントを愛する人たちを「チョコミン党」ということはご存知でしょうか。誰がいつごろ使い始めたのかは知りませんが、今ではチョコミント好きの自称として使われています。個人的には「チョコミンター」を名乗りたいところなのですが「チョコミン党」のほうが発音が「チョコミント」に似ていて言いやすい。それに「党」を使っているほうが「甘党」の一派であることがわかって良いですね。甘党も一枚岩ではないので、無数の分派があるのでしょう。寡聞にして他の党は存じませんが。他にはどんな党があるんだろう、という疑問は置いておいて。チョコミン党の方にお知らせしたいことがありまして。すでにメーカー公式SNSに投稿されているのでご存じの方も多いかと思いますが、キャンドゥで「チョコミントベア」なるシリーズが置かれていまして(⇩)

 
 
 
 
 
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要するにチョコミントをベア化したキャラクターグッズなんですが、これがめちゃくちゃかわいいんですよ! 私は店頭でみつけて初めて知ったんですけどかわいいんですよ! ⇧のリンクでは一見すると付箋やメモ帳などメジャーなアイテムしかないように見えますが、実は色紙フォルダーもあります(⇩)

未開封品。実は色紙フォルダー。

商品名は「スクエアファイル」ですが、その実態は色紙フォルダー。出先でかわいい色紙(商品名は「デザインペーパー」など。現代的な色柄の千代紙。)をみつけるたびに買い集めてきたのはいいけどストックありすぎて整理できてない人に朗報。この世には色紙を管理するためのフォルダーが存在する! 色紙を管理したい人って意外とたくさんいるのね!? 知りませんでした。ちょうど100均ショップで買った素敵な柄の色紙がたまってきたところなので、帰ってさっそくファイリングしたらこうなりました(⇩)

先頭は空の柄にした。ステキ!

ご覧のように色紙がぴったり入ります! 他にもサボテン・宝石・スターなどの色紙を使うあてもなく持っていたので入れました。帯によると48枚入りの色紙でも入れられるようなので、最後におそるおそるファイリング。ついでに、存在を忘れていたミニレターセットなんかも入れました(⇩)

レターセット入れると厚くなる。

色紙以外のものを入れると変に厚みが出てしまい、閉じにくくなるのが難点ではありますが、手のひらサイズの小さなレターセットは紛失しがちなのでまとめてファイリングしておくことをおすすめします。これを買ったおかげで色紙もレターセットもまとめられてよかったです。メーカーのハピラさま、かわいいうえに実用的なアイテムを開発してくださってありがとうございます。御社の製品「チョコミントベア」シリーズが爆売れすることをお祈りしております。

 

以上、キャンドゥでチョコミントベアみつけた件でした。かわええ。

【コメダ】ポケモンコラボ。販売物が買えてよかった。

ポケモン勢のみなさん、こんばんは。ただいまポケモンはコメダ珈琲とコラボ中ですが、もう行かれましたでしょうか(⇩)

www.komeda.co.jp

私は先日、モーニングの時間帯に行ってきました。7時台だと出勤前の人で混雑しているかと思いきや、意外と空いていて助かりました。マクドだと混んでる時間帯なのですが。コメダはゆっくりくつろぐ店と認識されているのかして、出勤前に立ち寄る人はあまりいないんですね。これは貴重な知見。これからも、何かのコラボフェアに行く時は7時台を狙おう。窓際の一人席に案内されたので着席。コメダにも一人席があったのか、知らなかったなあと思いながらメニューを眺め、店員さんを呼んで注文。私が選んだのは「メタモンのシロノワール ブルーベリーフロマージュ ミニサイズ」です(⇩)

www.komeda.co.jp

ミニサイズでもそれなりのボリュームがあるので、一人だとミニしか食べられません。一人でフルサイズを食べる人もいるのだろうか。ちょっと信じられない。私はカフェオレのたっぷりサイズをお供にして、ミニサイズを食べきるのがやっとです。ミニとはいえシロノワールを食べる体力がある年齢でよかった。10年後くらいにまたコラボしてくれたとしても、もう何も食べられないかもしれない。コメダの食事系メニューは量が多すぎることで有名ですからね。コラボメニューからシロノワールミニが消えたらもう参加できないかもしれない。コラボメニューにもミニサイズを適用してくれてありがとうコメダさま、と思いながら食べました。中段にクリームチーズとブルーベリージャムが挟まっている分、提供まで時間がかかるのが難点ですが。いつもより待ち時間が長くて「シロノワールってこんなに時間かかったっけ?」と思いながら待ちました。注文が通っていないのではないかと疑いましたが無事に届いて一安心。前回のコラボメニューより手が込んでいておいしかったです。これを機にブルーベリー系のメニューを増やしてほしいですね。

次に、配布物と販売物について。元はと言えばこれを目当てに行きました。

配布物と販売物。どちらも転売禁止だが売る人は売りそう。

配布物は豆菓子風チャームがランダム4種。販売物はダルマグラス風小物入れが1種ですが、飲食した人しか購入できません。物販のみの利用はできないようです。それでも一部の店舗ではすでに売り切れているのが驚き。あくまでも小物入れなのでドリンクは入れられないし一個2000円なんですが。しかしまあ私みたいに「飲食しておいて買わないと損した気分になるから」と考える人も多そうなので、都市部では早めにはけたんでしょうね。続いて、チャームの開封結果(⇩)

ゼニガメが当たりました。

ゼニガメが当たりました。グラス風小物入れは、未開封だとメタモンが正面にいます。フタと本体は別々ですが、本体の素材表記は「PET」でした。ということは、万が一捨てる場合はペットボトル扱いなのだろうか。常温~コールドのドリンクなら入れられなくもないんだろうけど自己責任になるからやめとこ。我が家にはミニリップがたくさんあるので数本入れて飾ろうと思います。買えてよかった。久しぶりに朝からくつろいだので満足。コメダ珈琲さま、コラボありがとう。以上。

 

追伸:更新遅れまして失礼しました。特に忙しかったわけではなく、単純に忘れていただけです。3月は偶数日に更新しますが、完全に忘れてたら日付をまたいでしまい、更新日がずれる可能性もあります。あしからず。

【セブンイレブン】きなこみるくソフト食べてみた。意外ときなこ。

こんばんは。1名様に読者登録解除*1されてちょっと凹んでるミーシックスです。気がついたら読者数が180に戻っててショック。2連続でコンビニアイス記事をお送りしているのはまだ落ち込んでてネタ出しできてないからです。あと、これといって消費活動してないからでもある。ポケモンとのコラボ期間中にコメダへ行こうと思っているので、何か得られたら記事にしようと思ってますが。今日のところはコンビニアイス記事をお送りいたします。ということで今回はセブンイレブンのソフトクリーム形アイス「7プレミアム ワッフルコーン きなこみるく」のレビューをお届け。

www.sej.co.jp

これも、どっかのニュースで見た瞬間に「これも食べたい!」と思って、前回のマカロンアイスと同じタイミングで買ってきてもらったんです。「どっちかみつけたら買ってきて」とお願いしたら「両方あったから両方買っといた」と、アイスを2個買って帰ってくれた家族に感謝。それでは実食レビューに移ります。まずは画像(⇩)

久しぶりに買ったソフトクリーム形アイス。

7プレミアム ワッフルコーン きなこみるく:1個302kcal。意外と量が多いので二人で分けて食べた。コーンとクリームの境目にナイフを入れるとカットしやすい。クリームにからまっている茶色いソースは黒蜜ソース。きなこ味なのはクリーム自体という驚き。きなこクリームも黒蜜に負けない味の濃さでおいしい。ミルク感はひかえめ。ワッフルコーンは単体でかじると味がする。少しバターがきいてる気がする。全体的においしいが、どちらかというとさっぱりしているので、冬だと物足りないかも。春先にぴったりの上品な味。税込289円なのでリピートしにくいものの、ハーゲンダッツと同程度だと思うと、私はこちらを選ぶ。層ごとにちがう味がするわけではなく、全体が同じテイストでありながら満足感がある貴重なアイス。

 

以上、ちょっと短いけどレビューはここまで。それではまた次回。

*1:解除される前は181名様まで来ていました。ポケモン図鑑で言うとデンリュウだったのに、モココになってしまった。悔しい。




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