
おはようウルカ。
止まり木にとまっている。
私は鳥が好きだ。
幼少の頃より鳥には特別な感情を抱いてきた。
空を自由に飛ぶことが出来るなどという、ありふれた理由ではない。
鳥は足を使って電線や木の枝にとまる事ができる。
他にも枝のような細いものに掴まって移動したり、休憩する事ができる動物は沢山存在する。
しかし、枝に対して横向きにとまるという、凛としたその佇まいは、鳥をおいてほかに無い。
唯一無二のとまり方なのである。
私もいつかあんな風にとまってみたい。
そう思うようになるまでに長くはかからなかった。
先ず、二足歩行でなくてはならない。
これは人間である私にとっては大変有利だった。
しかし、ここからが苦行の連続である。
体幹やバランス神経を鍛える事で、細い棒状のものやロープに対して横向きに、ある程度の時間立っていることはできる。
だがこれではとまっているという事にはならない。
しっかりと足で枝を掴む事ができなければ駄目だ。
また、細い枝や電線に止まるということは、厳しい体重制限を余儀なくされる。
私は足の裏で細いもの、小さなものを掴むトレーニングを独自に考案し、寝る間も惜しんで毎日続けた。
同時に体幹やバランスを強化するために体操競技を、減量と鳥のような俊敏な動きを目指してボクシングも始める。
元来のめり込む性質であった私は、体操ではオリンピック強化選手に、ボクシングでは日本チャンピオンとなった。
しかしそれらは私にとってはどうでも良いことである。
止まり木にとまる事に生活の全てをかけた。
30年間、独自のトレーニングを続けたおかげで、今では8時間程度であれば細い止まり木にとまり続けることができる。
数年前に始めた足裏矯正靴下の事業も軌道に乗り、止まり木をふんだんに取り入れたマイホームも購入した。
こうして休日になると、止まり木にとまって過ごしている。
しかし、今日は少し落ち着かない。
これから鳥好きを集めた婚活パーティーがあるのだ。
気の合う男性に出会えると良いのだけど。
エンゲージリングは足首にはめるペアのバードリングと決めている。
俺はこれを居酒屋のカウンターで書いている。
おい、店員よ。
チーフだかリーダーだか知らねえが、客の前でバイトに説教するのはやめてくれ。
せっかくの焼き鳥が不味くなるじゃないか。
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