
最近の国会、まともな論議ができていない。与党の数で押し切る横暴、野党の実力のなさ。「旧統一教会TM文書」、「エプスタイン文書」に真っ当な総理の回答なくこれを回避して、特に“皇室典範改正”を急ぐなどあり得ない。ここは大手マスコミに頑張ってもらいたい。こんな気持ちで、この作品を選んでみました。
ニクソン政権下、ワシントン・ポスト紙(ポスト)の社長に就任したばかりの女性社主と編集主幹が、“政府を敵に回し”、ベトナム戦争の欺瞞を暴くという重い決断を下すまでの葛藤を描く実話。第90回アカデミー賞で作品賞と主演女優賞にノミネートされた作品です。
監督はスティーヴン・スピルバーグ、出演にメリル・ストリープにトム・ハンクス。これも見どころです。
テーマは“ジャーナリズム魂”。
秘密文書の入手から政府の法的措置裁判に至る約半月間の熱い戦いのなかで、社主と編集主幹が社運と名声を掛ける“勇気ある決断”が焦点。特に社主が女性という偏見に立ち向かう姿に、感動を味わうことができます。
練られた脚本・映像で、テンポよく、ふたりの名優の演技で、最後まで緊張感を持って観ることができ、感動が味わえるというすばらしい作品でした。
監督:スティーブン・スピルバーグ、脚本:リズ・ハンナ ジョシュ・シンガー、撮影:ヤヌス・カミンスキー、編集:マイケル・カーン サラ・ブロシャー、音楽:ジョン・ウィリアムズ。
出演者:グラハム:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィットフォード、ブルース・グリーンウッド、他。
物語は、
リチャード・ニクソン大統領政権下の71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をニューヨーク・タイムズがスクープし、政府の欺瞞が明らかにされる。ライバル紙でもあるワシントン・ポスト紙は、亡き夫に代わり発行人・社主に就任していた女性キャサリン・グラハムのもと、編集主幹のベン・ブラッドリーらが文書の入手に奔走。
なんとか文書を手に入れることに成功するが、ニクソン政権は記事を書いたニューヨーク・タイムズの差し止めを要求。新たに記事を掲載すれば、ワシントン・ポストも同じ目にあうことが危惧された。記事の掲載を巡り会社の経営陣とブラッドリーら記者たちの意見は対立し、キャサリンは経営か報道の自由かの間で難しい判断を迫られる。
あらすじ&感想
1966年ランド研究所のダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)はベトコン掃討作戦に参加し敵の罠に嵌り大混乱を経験した。戦況視察して帰国する国防長官マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)の要請でエルズバーグが質問した。マクナマラは“大統領には戦況改善中と報告した”と言い、記者団に“この1年の成果は期待以上だ”と切り上げた。これに大きな疑念を感じたエルウバーグは研究所から「4代の大統領のベトナムにおける政策決定の歴史」(極秘資料)を持ちだし、友人宅でコピーを撮り、一部をニューヨーク・タイムズ(タイムズ)のニール・シーハン(ジャスティン・スウェイン)にリークした。政権が作戦の失敗を隠し続け、国民を欺き多大な犠牲を強いている作戦の極秘文書の一部漏洩から物語が始まる。
〇1971年
ポスト社主キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)がベッドで目覚めた。周りには読み終えた資料が散乱している。キャサリンは株式上場の初値を気にしていた。そこに編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)から「話したい!」と電話が入った。

朝、キャサリンベンを招いての朝食会。
ベンが「タイムズの編集長ニール・シーハンの行動が気になる」と言うと、キャサリンは「大統領の娘の結婚式に記者の参加を断られたこと半ばで読者が離れることの方が気になる」と答えた。ベンは半ば諦め「あんたは社主で私は現場のボスだ」と答え、キャサリンの「何か方法はないですか」の問いに「ない」と答えた。(笑)
会社に戻ったベンは「シーハンの姿が見えない、何か嗅ぎつけている」とタイムズ社に社員を派遣して様子を探らせることにした。一方、キャサリンは社の経営会議に出席。ほとんど発言をすることなく、男性を立てて、聞き役に徹し発言は会長のフリッツ・ビーブ(トレイシー・レッツ)に任せていた。

ベンは派遣社員からタイムズの状況を掴み、“明日タイムズに極秘記事が出る”とキャサリンに伝えた。
翌日、ベンは出勤しタイムズ紙を調べ、キャサリンに「記事はよく読まれている。スクープを追う気なないか」と問うた。キャサリンの反応はひくかった。が、ベンは編集会議で「7000ページの文書だ、記載に漏れが必ずある、文書を入手しろ!」と記者に発破をかけるが、返事がない。「俺が調べる」と言い切った。
キャサリンは娘の髪を溶きながら、「ママの友達、マクナマラ、ジョンソンから別荘に招待されたのよ」と話しているところに、ベンが訪ねてきて「コピーを手に入れたい!マクナラマに頼めないか」と打診した。キャサリンは「友人を追い詰めたくない、それは無理」と断った。
タイムズの記事に触発され反政府デモが発生、大きな社会問題へと発展していった。
ポスト社の編集室に暴露資料の一部が謎の女性から持ち込まれ、ベンはこの資料の信ぴょう性を調べて本物だと断定した。ベンは配下にエルズバーグとの接触を指示した。エルズバーグも、ポスト社の反応を見ながらリークしてくるので、ドラマに緊張感がでてくる。
その時、キャサリンはビーブ会長とレストランでランチをとりながら社の株式上場時のスピーチを練っていた。そこにベンから「資料は本物だ!すぐ動かないとタイムズに抜かれる」という電話が入った。その時、TVに「機密文書をリークした者を処罰したい」と政府コメントが流れている。ビーブ会長に「タイムズ社にニクソンが訴えている」と電話が入り、会長は「自分なら掲載しない、ケイ、失礼する」と席を外した。
ベンに「明日タイムズの記事が差し止めになる」という情報がもたらされ、キャサリンに伝えると「法に触れない程度にやって!」と返ってきた。ベンは「NOだ!」と返事した。

エルズバーグから膨大な文書を入手し分析して、記事を起こし、印刷部署に待機指示をした。同時にキャサリンを説得し、この熱意にキャサリンはマクナマラに事実確認に動き出した。
ベンのキャサリン説得、これによるキャサリンの姿勢変化、社内の動きがリンクしながら、政権の掲載禁止命令要求が出る前に新聞発行に駆けつけようとする、とても緊張感のあるシーン、見所のひとつです。
輪転機が動き出す2時間前、社内弁護士が「情報出所がタイムズと同じなら、社が潰れる」と発行阻止を訴えるが、キャサリンはベンの“掲載しないと信用を失う。報道の自由を守るとは報道することだ”の声を聞き、「父の会社でもない、夫の会社でもない、私の会社よ。わかった、寝ます!」とマクナマラから確証を売ることなく“GO”を指示した。(笑)
キャサリンは掲載禁止命令違反で国から訴えられた。
裁判では6対3で勝利し、他社もポストを称賛した。法廷から出てくるキャサリンの姿に目線を送る女性たち、女性の社会進出に大きな転機になった出来事でもあった!

まとめ:
政府の極秘文書の公開、国民のために何をなすべきかと状況判断し“実行”する編集主幹・ベンのジャーナリスト魂。親から会社を引き継ぎ社の存続しか頭にない社長・キャサリンがベンのジャーナリスト魂に覚醒され“社を潰してもよい”と賭け“公開“、裁判で勝訴。ここまでやらないと政府秘密文書の公開など出来ない。
ベンは編集主幹として、先が読み、リーダーシップを発揮する。トム・ハンクスが若返って見えます。ベンのジャーナリスト魂に自分の立場に気付き決心するまでの、キャサリンの葛藤をメリル・ストリープが見事に演じてみせてくれます。女性だけれど太っ腹なところがいい。高市総理とちょっと違うかな。(笑)
ラストシーンはニクソン大統領が裁判に負け「ポストはホワイトハウスには入れない。二度とホワイトハウスに来るな!」と宣言した後に、ウオーターゲート・ビルにワシントン市警が訪れ、警備員が扉を開き招き入れるシーンで終る。ポストによるウオーターゲート事件スクープが“ニクソン大統領”の末路に繋がるという絶妙なエンデイングでした。
メデイアに対するエールと共に政権に対する責任を追及しており、スピルバーグ監督の制作本意はここにあったのだと思う。
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