
バイオレンス映画「REVENGE リベンジ」などを手がけてきたフランスの女性監督コラリー・ファルジャが、「ゴースト ニューヨークの幻」などで1990年代にスター女優として活躍したデミ・ムーアを主演に迎え、“若さと美しさに執着した元人気女優の姿を描いた異色のホラーエンタテインメント”。
第75回アカデミー賞(2025)では作品賞のほか計5部門にノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。
サブスタンスというタイトルの面白さで観ることにしました。
「サブスタンス(substance)」は、 「物質」「実体」「本質」「内容」 といった意味を持つ英単語ですが、ここでは物質と本質の意味を兼ねているところが面白い。
美人女優として名を遺した女優が50歳になり、若い頃の容姿を取り戻すために“サブスタンス”という遺伝子操作薬を飲んで若き日の美を取も戻す。しかし、この“欲望が連鎖し遂に細胞爆発を生起”。
当たり前と言えば当たりまえの結末。薬の名を“サブスタンス”とし、これを飲んだが故の結果というがテーマです。(笑)散歩中に聞いた“年相応の付加価値をつけて、それを美しさにしなさい”という武田鉄也さんの“三枚おろし“(日本放送)が的を得ているようです。
平凡なストーリーですが、どんどん細胞分裂していかなる姿になるか?嫌なホラーになるのですが、これを避けるため超美人女優が全裸で見せてくれるというプレミアムがついています。(笑)
監督・脚本:コラリー・ファルジャ、撮影:ベンジャミン・クラカン、美術:スタニスラス・レイドレ、編集:コラリー・ファルジャ ジェローム・エルタベ バランタン・フェロン、音楽:ラファーティ。
出演者:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド、他。
物語は、
50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス(デミ・ムーア)は、容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病み、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、「サブスタンス」という違法薬品に手を出すことに。薬品を注射するやいなやエリザベスの背が破け、「スー」という若い自分(マーガレット・クアリー)が現れる。若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、いわばエリザベスの上位互換とも言える存在で、たちまちスターダムを駆け上がっていく。エリザベスとスーには、「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という絶対的なルールがあったが、スーが次第にルールを破りはじめ……。(映画COMより)
あらすじ&感想:
冒頭、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに女優・エリザベス・スパークルの名が刻まれた星型プレートが加わる。フアンはこのプレートに乗り写真を撮って彼女の美を称えるがやがて見向きをもされず、パイを落とされ汚れて行くところから物語が始まる。
〇エリザベスは年齢、容姿の衰えを理由にTV冠番組“人生を輝かせてスパークル”を降板させられた。

エリザベスは美容体操番組“人生を輝かせてスパークル”のTopダンサー。放送が終ると自分のポートレートで埋め尽くされた通路を走ってトイレに。女性トイレが使用不能で男性トイレに入った。遅れてトイレにやってきたディレクターのハーヴェイ(デニス・クエイド)は、エリザベスがトイレに居るとは知らず、“若くてホットな女で仕切り直す。オスカー受賞って知るか、彼女は1930年代のキンブコングだ”とスタッフに電話した。
エリザベスはレストランにハーヴェイを招待しその理由を聞くが真面な返事はもらえず退職することにした。その帰り自分が出演のCMポスターが撤去されるのに気を取られ接触事故を起こした。
クリニックで検査を受けた。幸い軽傷だったが、男性看護師(ロビン・グリア)から背骨を検査され、USBとメッセージ文が渡された。メッセージには「私は勇気を出して見た”サブスタンス“、私の人生を変えた」とあった。
その帰りフレッド(エドワード・ハミルトン=クラーク)と名乗る男性から「10代に時の友人だ。女の子の中で一番きれいだった。飲みに逝かないか?」と誘われた。エリザベスは“こんな年寄りが”と思ったが“いつか”と名前を貰い、診断書に自分の電話番号を書いて渡した。
エリザベスは退職した。
〇エリザベスは“サブスタンス“で人生の再生を図ることにした。
エリザベスが住む豪華なマンションには大きな“パンプイットアップ”のポートレートが飾られている。これを見て、もう一度挑戦とPCで“サブスタンス”のUSBを読んだ。「よりよい自分を夢見るとは若く美しく完璧であること。1回の注射でDNAのロックが解除され新たな細胞分裂が始まりもう一人のあなたを創り出す。これがサブスタンスだ。あなたは母体、すべてあなたから生じすべてあなたなのだ。これはあなた、より良いバージョンの自分。交換が必要だ。片方が1週間、もう一方が1週間。7日ずつの完璧なバランスが必要だ。これだけが絶対に忘れないこと。あなたはひとつなのだ」とあった。
エリザベスは電話で注文をした。カードキーとともに受領場所が送られてきた。

場所は廃墟の街角にあった。カードキーでポストを開け小荷物を受け取り帰宅して梱包を説いた。マニュアルを読みながら部品を取りだした。
活性剤は1回だけ!使用後は破棄せよ。溶液1本
安定化、毎日実施のこと。
交換は7日ごと、例外ない!“母体の栄養”“分身の栄養”剤
忘れるな!あなたはひとつ。
エリザベスは浴室で全裸になり活性剤を右腕静脈に打った。1回のみの注意書きを無視して残液を保管した。注射後しばらくして苦しみ倒れ込むと背中が割れ分身が生まれた。“分身”は自分の裸身を鏡で確認。美しい裸身だった。“分身”は母体の背中を縫い合わせ、“母体の栄養“を注射器で注入した。
“分身”は鼻からの出血を止めるため、母体から体液を抜き自分の腕に注射して元の状態にもどした(安定化)。
〇“分身”はスーの名で“人生を輝かせて”のオーデションを受け、合格した
審査員のハーヴェイは“天使だ、君のような番組にする“と褒めた。スーは”スケジュールは1週間おきに。重症の母の世話をする”と条件をだすとハーヴェイはこれを認めた。
エリザベスがスーと交替したが、元の職場には復帰できなかった。
スーは1週間を新番組の準備とマンションでの安定・休養で過ごし、7日の交換日を迎えた。交替はスーが“母体の栄養”を母体に注入、母体の体液を自分の身体に戻している際、突然起こった。スーはそのまま浴場で仮眠状態になった。
エリザベスは黄色のコートに黒メガネで身を整え、レストランでハーヴェイに会った。彼は「出発を祝って一杯飲みたいところだが・・」とエリザベスを袖にした。エリザベスはマンションでTVを観て過ごし、補充キット受領に廃屋ビルを訪ねた。7日目スーに交替した
〇スーがTV出演でスターダムにのし上がった。
スーはエリザベスを隠し部屋に閉じこめ、来訪者に気づかれないよう室内改造を始めた。“改造を手伝う”という男・オリバー(ゴア・エイブラムス)の申出を断ってやり遂げた。

スーは新番組”ヒップアップ体操“を撮った。
スーは最大限にヒップアップを強調して撮った。これにハーヴェイが大満足。スタジオへの通路はスーのヒッピアップ・プロフィールで溢れるようになった。
朝起床するとエリザベスに栄養剤を与え、黒ずくめの衣装で外出するようになった。

〇スーはボーイフレンドとの付き合いで約束の交替日を無視、その結果、・・。
スーはボーイフレンのトロイ(オスカー・ルサージュ)とマンションに戻り、トロイの膝に乗りキスしたところで出血!、 “7日ごとの交替”の日だった。“大丈夫か”と心配するトロイを置いて隠し部屋でエリザベスの体液を補充して部屋に戻った。トロイは“さっきよりきれいだ”と驚いた。スーの背中から何かが跳び出した。スーは咳き込んで誤魔化した。
7日を過ぎ、エリザベスが目覚めたが、急速に老化していた。
エリザベスがリビングルームに入ると、物が“滅茶苦茶に散らばっている。”酔った、バイク置いて行く、トロイより“とメモが窓に貼りつけられていた。エリザベスは張り紙を取り外そうとするが手の老化で出来ない。洗面所で自分の姿を見て老化に驚いた。エリザベスは倒れているスーから体液を抜き自分の身体に補充した。
エリザベスは看護師(サブスタンス)に“使用法を間違った。元に戻す処置”を求めた。
サブスタンスは“片方で使った物はもう片方で失われ元には戻らない”と言う。「彼女は酔っていたんです」と言うと「あなたはひとつだんです。バランスを尊重すれば面倒は起きない”と答え電話が切れた。
“補充セット”があなたのボックスに到着”の知らせが届いた。
エリザベスはポストに急ぎ補充セットを受け取り、ダイナーに立ち寄った。そこで謎の男(クリスチャン・エリクソン)から「あなたがどうなるか、毎日孤独感が増すだろう。自分がまだ意味ある存在と思うか?分身に蝕まれているか?」と聞かれた。
エリザベスは怖くなりマンションに戻り“補助セット”を開けた。中味はフレッドに渡した紙切れと小銭だった。紙切れに“今でも世界で一番きれいな女の子、この紙切れをずっと温めていた”と書かれていた。そこにフレッドから電話が入りデートの約束をした。
エリザベスは隠し部屋でスーが眠っているのを確認し、赤いミニスカートに黒手袋に派手な化粧でデートに出掛けようとした。が、昔の黄色いコート姿やポートレートを見て、スカーフで胸を隠し念入りに化粧して出かける。しかし、気になってまたメイクをやり直し始めた。(笑)遂に“大スターは遅れて登場よ”とフレッドにメールし、エリザベスは目覚め空腹のためレトルトのキチン肉を食べ始めた。
〇スーが交替日を無視したことでスーとエリザベスが対立するようになった。
スーがスタジオで番組収録を始めるとモニター・スタッフが尻の肉がおかしいと言い始めた。休憩になりスーは控室で調べた。尻からキチン肉が出てきた。(笑)スーは直ぐにマンションに帰宅すると鳥を食べた残骸が散らばっていた。(笑)
スーはサブスタンスに電話した。
“バランスが最悪、楽しむ時間もない。エリザベスはTVの前でやけ食いよ”とサブスタンスに電話すると“彼女などいない”と返ってきた。
スーがV局に出勤するとハーヴェイから“大晦日番組への出演”が告げられた。
ハーヴェイから「朝の番組から降板。司会番組に抜擢する。大晦日の番組で最大視聴者5000万人、生放送で凄い番組になる」と告げられた。
スーは「マンションに戻り、エリザベスの体液を抜きながら「このチャンス二度とない。あと1日で1週間の休み、交替出来る」と告げ、ベッドで休んでいた。
隠し部屋から呻き声が聞える。老化が進んだエリザベスが脚を洗っていた。そして“スーはバランスを守らず一方的に時間を盗んだ。くそ女よ”とサブスタンスに電話していた。サブスタンスは「あなたが不満なら中止します、自分自身に戻れます。元の状態には戻れない、どうしますか?」と聞いてきた。エリザベスは答えられなかった。エリザベスは老いた脚の皮を引っ張って、食べて元に戻そうと考えた。フランス料理本を引張だして色々な料理を見た!
スーはTV番組でインタヴューを受けていた。
“新番組に出演、凄いことです。特番の司会も、本当ですか”と。スーは“そうです”と答えていた。このTVをエリザベスが観ていた。エリザベスは鳥料理を造り始め次々と料理する。

インタヴュアーが「あなたがあのエリザベスを消し、あなたが生まれ、番組が生まれ変わり全米を揺るがせた。フアンだったの?」と聞くとスーが「フアンではなかった、世代が違うから。申し訳ないが時代遅れのジュラフック・フィットネスです。ママは私のフアンだったからTVで観ていただけ、嫌でもね」と答えた。最期に美しさの秘訣を聞かれたスーは“自分らしくあること。全てに感謝し誠意を忘れないこと”と答えた。
エリザベスはこの映像を観てTV画面に“私から奪ってふざけるな”と卵を投げつけた。
スーがマンションに戻ると部屋の中は投げ出した料理で汚れていた。スーは“もう戻りたくない”と寝転がっているエリザベスを蹴飛ばした。そしてエリザベスから大量の体液を抜いた。
3カ月後、スーは目前に大晦日の特別番組を控えていた。
恋人のトロイが訪ねてきていた。セックスのためエリザベスの体液が必要だが、老いたエリザベスからは採取できない。スーはサブスタンスに“緊急に必要、母体から安定剤が採れない」ご電話した。「枯れている。再生させるしかない、交替だ」と答えてきた。スーは交替を拒否し、倒れ込んだ。
トロイがスーを探しに隠し部屋にやってきた。
エリザベスは老体を見せたくないとドアを開けない。エリザベスが鏡で自分の身体を見た。肉が全て取れ、髪にない醜い姿だった。トロイはドアを開け、驚いて逃げた。
エリザベスはサブスタンスに“全てを中止して!”と電話した。“最期のキットを届けます”と返事がきた。エリザベスは醜い老体を衣装で隠し廃屋のボックスからこれを受け取りマンションに戻った。
隠し部屋からスーをリビングに引き出し、注射するためキット開けた。“ご満足いただけず残念でした。終了の薬”とメモが入っていた。エリザベスは迷った挙句この薬を自分の胸に打った。しかし、スーへのメッセージ“成功を祈る、皆君が好き”のメッセージを見て“こんなことしてはダメだ!あんたは求められている”とスーの胸をマッサージした。スーは鼻から黒い血を吐き、息を吹き戻した。
スーはエリザベスとリビングで格闘、エリザベスを倒した。
スーは“終了”の注射器を見て激怒し、エリザベスを追って、何度も蹴飛ばし殴った!エリザベスが血を吐き倒れたのを確認し、大晦日の特別番組会場へ急いだ。

〇スーは特別番組ショー出演直前に身体に異変が起こり“サブスタンス“の活性剤を注射した。とんでもない醜い化けもが生まれた。
劇場入りしたスーの姿を見たハーヴェイ、メイク・スタッフが“きれいだ”と喜んだ。しかしスーは異変を感じレストルームに入ると歯が次々に抜けてくる。スーは“サブスタンス”の注意書き“よりよい自分を夢見る”を思い出し、控室に急いだ。途中で株主を連れたハーヴェイが“みんな君に会いたがっている”と声を掛けるが、これを無視して急いだ。爪も耳も外れていった。スーは部屋に着いてサブスタンスの“活性剤”を注射した。
スーの背中が開き、黄色い液を吐いて倒れた。すると顔パーツが理想の場所についてないスーの分身が生まれた。ハーヴェイがやってきて“モンストロ・エリザスー”と名付け、“みんな君を好きになる”と舞台に上げることにした。
〇エリザスーはきれいな衣装を着て、スーのポスターの顔を切り抜き、これをお面にして舞台に立った。
観客は拍手で“美しい、大好き、君が一番”と迎えた。ライトが消されエリザスーが舞台に立った。そしてライトが当てられた。エリザスーがお面を外した!“モンスターだ”の声が起こった!エリザスーは“私なのよ”と血を吐き、舞台も観客も血だらけのとんでもない修羅場となった。
エリザスーは血を拭きながら帰る途中、倒れ、肉片となり、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの“エリザベス・スパークルプレート”に辿り着き笑顔のエリザベスの顔になり、やがて消えていった。清掃婦によってきれいなスターのプレートとなっている。
まとめ:
ラストシーン、モンストロ・エリザスーの異形な姿は必見です。これが監督のメッセージ。
大晦日の特別ステージで見せたエリザベスとスーから生まれた分身“モンストロ・エリザスー”の姿。見たことのない怪物でした!年甲斐のなく美しさを求め過ぎたが故に遺伝子が暴走して出来上がった形相でした。よく作れていました。
“サブスタンス”でエリザベスの分身・スーは生れ、スーが“美しい、いつも笑顔”の言葉に浮かれ交替時期を守らないことで2人の戦いが始まった。ここで見せるおどろおどろしい戦い。すさましいホラー映像でした。中途まで美しい裸体を見せて、“”“この映像”だから一層すさまじさが際立っていた。
スーが交替バランスを保ちインタヴューで語ったように“自分らしくあること。全てに感謝し誠意を忘れないこと”を守れば歳相応に美しい女性で人生を終えられた。しかし、美しさを求め続けるエンタメ業界におだて“これ”を赦さない。この誘惑に溺れ地獄に落ちた。
しかし、ラストで時代を超えて再びハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに登場したエリザベス。“私の経験をしっかり覚えて!“ということだと思いました。
デミ・ムーアとマーガレット・クアリーの演技はすばらしかった。マーガレット・クアリーの妖艶な裸の演技、デミ・ムーアの老いた演技は表彰ものでした。
女性監督でここまでのホラーを作るのかと驚きましたが、エンタメ界に身を置くだけに訴えたかったのだろうと、怖いより意義を感じました!
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