
ロックバンド「爆風スランプ」が1985年にリリースした同名ヒット曲にインスパイアされ、手紙やノートでの交流を通して顔も知らない相手に恋をする人々を描いたラブストーリー。
監督が映画「アイミタガイ」(2024)」の草野翔吾さん。絶対面白い!と監督名で観ることにしました。
顔は知ってるがバイト先の業務用ノートで繋がった令和の恋人たちと顔は知らないが手紙で繋がっている昭和の恋人たちがそれぞれ日本武道館(屋根の上の擬宝珠が玉ねぎ型)で開催されるコンサート・デートを約束。時代を超えた二つの恋人たちははたして会うことができたか?
ラストシーンは二組の恋人たちが曲「大きな玉ねぎの下で」を聞きながら“相手は来ているか”と探すシーン。涙ものでした!この時代に生きたものにとって、手紙・ノートという文字でつながるラブストーリーは懐かしい!忘れられない思い出です。
物語の本筋は令和に生きる恋人たちの話。ストーリー展開が素晴らしい!
偶然居酒屋で知り合ったふたりが、カフェバーの業務用ノート、ラシオ番組で繋がりながら本当の愛を探すはなし。“よくまあこんなに人が上手く繋がる”と感心させられます。これは草野監督の「アイミタガイ」で用いられた演出手法で、テーマは“人は生れたからには、生きねばならぬ。人と繋がって生きる”でした。
ここでは“生きるために本気で思った、思われた人と結ばれなさい”これがテーマです。
キャストが新鮮で、カフェバーや鎌倉の海など映像が美しく、おしゃれ。何よりもasmiに歌う「大きな玉ねぎの下で」がぴったり合う作品です。
2026年8月11日、asmi武道館ライブが決定しています、本作、また話題になるでしょう!この物語、どこまで繋がるんだ!(笑)
監督:草野翔吾、ストーリー原案:中村航、脚本:高橋泉、撮影:小松高志、編集:相良直一郎、音楽:大友良英、主題歌:asmi。
出演者:神尾楓珠、桜田ひより、山本美月、中川大輔、伊東蒼、藤原大祐、窪塚愛流、瀧七海、Asmi、飯島直子、西田尚美、原田泰造、江口洋介、サンプラザ中野くん。
物語は、
夜はバー、昼はカフェとして営業する店「Double」で、夜と昼にそれぞれ働く丈流(神尾楓珠)と美優(桜田ひより)。業務連絡用のノートだけでつながる2人だったが、次第に趣味や悩みもつづるようになりひかれあっていく。丈流と美優は互いの素性を知らないまま、大きな玉ねぎの下(日本武道館)で初めて会う約束をする。一方、あるラジオ番組では、顔を知らずに好きになった文通相手と日本武道館で初めて会う約束をしたという30年前のエピソードが語られる。令和と平成の2つの恋が交錯し、やがて奇跡が起こる。(映画COMより)
あらすじ&感想:
冒頭は、郵便局員が手紙を届けるシーン。丈流が武道館の屋根の擬宝珠が望むカフェで音楽を聞き聞きながらエントリーカードを書いているシーン。
〇丈流と美優の最初の出会いは居酒屋だった。まずい出会いだった!
丈流は大学の仲間と就職について議論していた。仲間は就職が決まっても、丈流は理屈を並べるだけで今だ決まらない状況だった。論議を聞いていた美優たち女性グループ。美優が丈流に「あんた一体何なの?」と絡んだ。これを止めようとした喜一がひっくり返って倒れた。美優は喜一の応急処置をして救急隊に渡した。丈流は“この女性、何者?だ“と思った。
丈流は大学病院に入院中の母(西田尚美)を見舞った。母は浮かぬ顔の丈流に「人生は退屈、楽しいことは自分で探さない」と励ました。丈流は廊下で看護師見習中の美優に出会ったが、美優の素気ない態度に何も話さず別れた。
〇そんな丈流と美優はカフェバー“Doubule”で働いていた。
夜、丈流はバーテンとして、昼、美優はカフェの店員として働いていた。顔を合わせることはなかった。

備品など共有事項で連絡し合うためにカフェとバーは業務ノートで連絡し合うことになっれいた。
丈流が“トイパの発注済み”と書けば、美優が“よろしく!筋肉マン(丈流のサイン)”と書き込み、 “A-riが好き“と書けば、”私も好き“と返事、“俺はマウントとることでしか自分を保てない、最悪だ”には“自分で分っている、それ最悪ではないよ”と返事、“流れているだけの人“と書き込めば”そういう気持ち分る、生れちゃったんだから生きてみようよ“と返ってくる。”悩みは?“と書くと”棚が高い“を返って来た。ふたりはノートも交換日記のようで楽しいしノートを見るのが楽しくなった。
ふたりは歌手A-riの曲が好きで、ナビゲーター大樹のラシオ番組Top popで繋がるようになった。しかし、病院で出会うと居酒屋で会ったときと同じで喧嘩別れの状態だった。
ある日、“Double”に馴染みの旅行会社の人事課長が立ち寄った。
丈流が部長から「どこに就職?」と声を掛けられた。「これからです」と返事すると「うち募集しているから遊びに来て!」と誘われた。
〇丈流が“Double”でTop popを聞いていると、自分がリクエストした手紙が読まれた。
大樹が「夜働いている人、同じ場所にいるんだけど会ったことがない人。メモ交換してる」と紹介、聞き手はA-ri (asmi)。「これはペンフレンドのふたりの恋の歌、A-riもカバーしてるね。30年前だ、俺も文通やっていた」とその話をした。美優も放送を聞いていた。

高校生の府川大樹(窪塚愛流)はペンフレンドから返信がきて大喜びだった。
しかし、手紙を書いたのは字が上手い虎太郎(藤原大祐)だった。大樹はペンパル誌の写真を見て、気に入らないらしい。(笑)虎太郎は「明日香は病院に入院だ」と同情し、何通も手紙を書いて文通を続けた。ある日、大樹が「明日香をコンサートに誘いたいが金がないと言い出し、校内放送で金欠を訴えてお金を集め爆風スランプの武道館コンサートチケットを買った。
しかし、大樹は「親父のロス転勤に同行する。自分で手紙を書いていないから気分が入ってない」とコンサート参加を降りた。虎太郎は「俺みたいなダサい人でよかったら」と明日香にチケットを送った。
大樹は「ネットのない時代一度離れるとムリな時代だった」と話し、「今日のテーマは“会ってみたい人”」とリクエストを募った。
丈流は昼のDoubleで働いている女性を下見した。ポニーテールの女性がひとりだった。要望の棚を低く修理するとノートに喜ぶ返事がきた。
〇丈流は“会ってみたい人”として“美優”を選び鎌倉の由比ガ浜に誘った。
先に美優が着いていた。丈流が「喜一が世話になった」と挨拶すると「その話はもういい」と不機嫌。美優にとって丈流は、居酒屋で会ったうさん臭い男だった。丈流は“ノートの話など出てこない”と「ブラジルに行ってサンバにでも集中したら」と言うと「A-riが好き、Top pop好きなの。お母さんよくなるといいね」と返ってきた。丈流は「どうも」と礼を言って、“この人ではない”と帰った。
〇丈流は喜一に頼まれ紗季とデートした。
丈流は喜一から“倒れたとき美優の隣にいた人に奢ってくれ!”と頼まれ、“Double”にlineで「サキさん、喜一から頼まれた。喜一のためにお礼したい」と誘った。(美優はlineの写真を店の先輩・紗季(山本美月)の見せ許可を得て)“鎌倉の仕返し”とばかりに美優が行くことにした。(笑)
丈流は美優をA-riがいたレストランに連れていった。
美優は大興奮だった。ふたりはTop popにリクエストしてA-riの「大きな玉ねぎの下で」を聞いた。その後、喜一がバイトしている店に移った。
喜一がビールを運んできた。ふたりはTop popの「大きな玉ねぎの下で」を聞いて、美優が酔っ払い店や病院での愚痴を吐き鳴きだした。丈流は「ひとつことにすがるのはダサいと思っていたがそう思うのが一番ダサい。だからあなたは恰好いい」と褒めた。
店を出てふたりは歌いながら歩いた。丈流が「俺は好きな人を誘う。友達ではないけど気になっている人だ。お前ではないが脈ありだと思っている」と美優に話した。美優は「応援してあげます」と答えた。(笑)
〇美優は“Double“でノートを書くのは”居酒屋で会った丈流“と知った。
美優は病院で丈流の母の病室を掃除していて、丈流が書いたメモを見た。字が業務ノートのものと同じだった。夜、“Double“を覗いて丈流がいることを確認した。大ショックで髪を切った。美優は「ノート書いた人はLineの人で本気で思っている人がいた」と紗季に話した。紗季は「A-riに恋しているのよ」と応えた。
〇丈流は喜一に“Double“にいるポニーテールの女性は誰かを調べてもらい、サキと確認してA-ri武道館コンサートチケットを送った。
丈流が「ノートに書き込みする人、ポニーテールで年上の人を見つけてくれ」と喜一に頼んだ。喜一はカフェ“Double”を訪れ、(アルバイトの子は休みで)ノートに書き込みするポニーテールの女性の名前を聞き出した。Lineで「名前はサキさん、本音で話せるタイプでフリー」と送った。丈流は授業中にこれを受けすぐに“A-ri武道館コンサート”チケットを買った。
〇大学病院で治療中の丈流の母に父(原田泰造)が付き添い、ペンパルで交際していたころの思い出を話していた。
若いころの丈流の母・池尻今日子(伊東蒼)は病弱で入院中だった。友人の谷崎明日香(瀧七海)が気休めにペンパル誌に登録し、今日子が手紙を書いていた。

返信された手紙を大樹が受け取り、虎太郎に返事を書かせた。今日子は送られた大樹と虎太郎が写った写真を見て、“虎太郎が書いたものだ”と思って返事を書いていた。今日子は武道館コンサートのチケットが送られてきたとき自分が行く積りだったが、当日、症状が許さず明日香に“断りの手紙”を持って行ってもらった。「明日香に悪いことをした」と夫・虎太郎に述懐した。
虎太郎は医者から“今日子の寿命はわずか”と聞かされ、今日子に昔のペンパル仲間の明日香、大樹に会わせてやりたいと考えた。
丈流の父母は顔も知らず、相手を違えて文通して結ばれたというエピソード。この繋がりには驚いた。この話がラジオ番組Top popを通して丈流と美優に繋がる。(笑)
〇丈流は業務ノートにチケット(サキ宛て)を挟んでおいた。美憂が受け取らなかった!
丈流は喜一にも当たり、宛先を間違えたことを確認し、美憂に謝った。美憂は「ノートを書いているのは堤君だというのは初めから分っていた。早く断ればよかった。誰の顔を見てノートを書いた?」と怒り、態度を変えることはなかった。
丈流は父から「お母さんは長くない、背広姿を見せてやれ!」と促がされた。父が「お母さんに手紙を書くときは本当に好きだった。書いているときも。考えるときも、届いた瞬間も全部お母さんのことを考えていた」と話した。
〇丈流は母を喜ばすために“Double”で出会った旅行会社課長の面接試験を受けた。い
課長から面接時間に遅れたことを非難され断られたが「なりふり言っていられない。自分に何もないのは分かっている。生きるしかない」と頼み込み、やっと就職が決まった。丈流は今までいい加減に生きてきたことを思い知った。一方、美憂も大学病院の看護師として就職が決まった。“Double”を去るにあたって紗季からチケットを受け取ってと言われたが、そうしなかった。
丈流の父と母は鎌倉の由比ガ浜に大樹と明日香を誘った。
四人でペンパル時代を懐かしんだ。母は明日香に感謝し、“結婚できてよかった”と伝えた。大樹は「あんたの息子が俺の放送を聞いていてくれて偶然、文通であんたたちが結婚したことを知った」と言った。

〇丈流の母が亡くなった。父の言葉で再度業務ノートの文章を読み、チケットと共にメモを残した。
丈流は葬儀後、父が母に送った写真を見せて「手紙を書くとき相手を想って書くと気持ちは伝わる」と言った。丈流には心に残る話だった。丈流は“Double”に出勤しメモを書き、チケットとともにノートに挟んだ。
〇丈流は武道館コンサートに駆け付け、美優を待った。Top popで大樹が丈流夫婦のペンパルの結末を語り始めた。
沢山に人は武道館目指して駆けつけていた。その中で丈流は美優を待った。Top popの大樹がラジオで「あの息子の父親・虎太郎は文通で結婚していた。奥さんは亡くなっていたけどちゃんと会いたい人に想いを伝えていた」とその経過を話し出した。丈流と同じように30年前、父・虎太郎がここで今日子を待っている映像が流れる。
親子二組の愛の成り行きを見るという面白い演出になっています。
丈流は美優と虎太郎は今日子と会えたのか?
美憂はTop popの放送で「最後に彼女が会いたいという気持ちは嘘ついても消えなかったから」を聞いて“Dubble”に走り、ノートの中にチケットと「武道館で待っている」のメモを見つけ、自転車で武道館に走った。
Top pop、大樹の話が続く。コンサートが終わっても虎太郎は待っていた。そこに明日香がオートバイで手紙を届け「私は今日子ではない、今日子は病院にいる」と告げた。虎太郎は明日香のオートバイを借りて病院に走った。今日子は明日香に手紙を渡したが、“会いたい”と病院を抜け自転車で走っていた。ふたりは出会った。今日子が「今日子です」と名乗ると虎太郎が「君だと思った!」と答えた。
コンサートは終って、観客が帰った後も丈流はそこに佇んでいた。そこに自転車で転んで顔に傷つけた美優が「私なら待たない!」と現われた。(笑)
まとめ:
脚本が面白くて素晴らしい!よく人と人が繋がる暖かい、でもややこしい恋話しでした。(笑)
居酒屋で出会い、顔を会わすことなくカッフェバーの表務ノートで繋がる愛、これがラジオ番組を経て丈流の父と母のペンパルの恋に繋がり、その結末が武道館コンサートで明かされるという実によく出来た物語・脚本でした。
名前と顔が一致しないで苦しむ令和の恋の話。
これを昭和のペンパルの話“手紙を書くとき相手を想って書くと気持ちは伝わる”で決着をつけた結末、温もりのある恋の物語になっていました。
ラストシーンの描き方が秀逸でした!
武道館で丈流が来るかどうか分からない美優を待つ。これにTop popの大樹が丈流の父母のペンパルの恋を語り、これに触発されるようにふたりが行動する。さらにasmiの「大きな玉ねぎの下で」を被せる演出、これは憎い!
丈流役の神尾楓珠さんと美優役の桜田ひよりさんのフレッシュコンビがこの作品を面白くしています。そしてカフェバー“Double”の雰囲気がおしゃれでよかった。由比ガ浜の映像も美しかった。
30年まえのペンパルの話はとてもいい話で、「書いているときも。考えるときも、届いた瞬間も相手の気持ちを考える」を忘れないようにしたい!
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