
グリーンマイルとは処刑室に向かう最期も通路で床があせた緑色に塗られていたという。NHKプレミアムシネマで鑑賞。
ふたりの少女を強姦殺害した2mを超す厳つい体格の黒人・コーフィ。この死刑囚は根がやさしく人を癒す能力を持っていた。コーフィの死刑の執行に悩む死刑執行官と死刑囚の心情をファンタスティックにホラーで描いた作品。
テーマは冤罪。電気椅子処刑の実体に恐怖し、コーフィの運命の結末に泣かされる感動的な作品だった。
死刑執行官と死刑囚の緊張関係を描きながら、電気椅子による死刑執行を見せる。焼ける匂いを嗅ぎながら執行を待つ受刑者たち。惨い!
主人公ポールは看守と死刑囚との緊張関係、死刑囚を巡る看守仲間のもめ事に対処しながら、コーフィの死刑処分に疑問を抱き悩み、最期の執ったコーフィの運命には泣かされる。偏見や権力闘争で本当に悪いやつが一杯いるのに何故コーフィはこうなったかと怒りを感じる作品でもあった。コーフィの言葉「愛に付け込んで殺す、また起きる」は忘れられない現実の言葉だ。
監督:フランク・ダラボン、原作:スティーブン・キング、脚本:フランク・ダラボン、撮影:デビッド・タッターサル、編集:リチャード・フランシス=ブルース、音楽:トーマス・ニューマン。
出演者:トム・ハンクス、デビッド・モース、ボニー・ハント:ジャン、、マイケル・クラーク・ダンカン、ジェームズ・クロムウェル、、イケル・ジェッター、グレアム・グリーン、ダグ・ハッチソン、サム・ロックウェル、ダブス・グリア、イヴ・ブレント、他。
物語は、
大恐慌時代の1935年、ポール(トム・ハンクス)は刑務所の看守主任を務めていた。グリーンマイルと呼ばれる通路を通って電気椅子に向かう受刑者たちに安らかな死を迎えさせてやることが、彼らの仕事だった。ある年、この刑務所に身長2メートルを越す黒人の大男、コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が送られてくる。双子の少女を殺害した罪で死刑囚となった男だ。ところがこの男は、ある日不思議な力でポールが患っていた病気を治してしまう……。(映画COMより)
あらすじ&感想:
〇物語は老人ホームで過ごす老いたポールがエレーン夫人に昔話をするシーンから始まる。
ポール(ダブス・グリア)は悪夢にうなされ早朝起き出して散歩にでる。そしてTVで映画「トップ・ハット」(1935)のダンスシーンを観て泣き出す。エレーン夫人(イヴ・ブレント)が心配すると“誰にも話してない話だが”と、60年前、大恐慌時代に刑務所の看守だったとき扱った1935年の事件について話始めた。
〇ポールは刑務所で尿道感染症に苦しんでいたとき、死刑囚コーフィを受け入れた。
ポール(トム・ハンクス)はゴールド・マウンテン刑務所のEブロックの看守主任だった。この日、尿道感染症で苦しんでいるところに副主任・ブルータス(デビッド・モース)以下4名により連行されてきた。

幼い姉妹を殺害した死刑囚・コーフィは2mを超す厳つい体格の目が優しい黒人男だった。新米看守・パーシー(ダグ・ハッチソン)が“死人だ!死人だ!”と大声で警棒を振るい追い立て、これを覗き見した死刑囚のドラクロア(マイケル・ジェッター)の手を“覗くな”と叩き骨折させた。ポールは「囚人を興奮させる!お前はこの棟から消えろ!」と強く叱責した。
パーシーは “死刑を自分で執行したい”ために“市長のこね”でここに配置された男で囚人を動物として扱うが辞めさせも出来ずポールにとっては嫌な奴だった。
独房に入ったコーフィは“どうしようもなかった!元に戻らなかった”と呟いた。ポールは裁判記録を読んだ。
逮捕されたときコーフィは“だめっだた!元に戻そうとして遅かった”と話したことが書かれていた。

所長のハル(ジェームズ・クロムウェル)がやってきて“ビターバック(グレアム・グリーン)の死刑執行日が決まった”と告げた。ハルは妻・メリンダが脳の腫瘍であることに悩んでおり、ポールはハルに症状を聞き一緒に悩んでいた。
〇一匹のねずみがE棟に迷い込み、大騒動になった。
パーシーが踏みつけたためねずみが逃げ出し、大騒ぎして捜索したが見つからなかった。これでブルータスがパーシーと激しく対立するようになった。

ねじみはドラクロアの独房に逃げ込み、彼がシングルズと名付け芸を仕込んだ。
〇ビターバックの処刑。
執行指揮をポールが執る。予行2回実施して本番!これは惨め!被害者家族など立会者が見つめる中で執行が始まる。

電気椅子に座らせ締め具を装着。“第1スイッチ”の号令で暗室になり死刑囚が懺悔する。次いでポールが“州法に従い死に至るまで身体に電流を流す、神よご慈悲を”を宣告し“第2スイッチ”で電流が流される。ビターバックは検死の結果不十分として再度スイッチが入れられた。パーシーが“ポールの役をやりたい”と言い出した。
〇死刑囚ウォートンがE棟に収監されることになった。こいつは狂暴なやつだった。
精神病院からこちらに送られる時、正体を失くした状態であったので、パーシーが「何も分からん!このバカ!」と侮った。拘束具を付けずに移送した。E棟に入るや否や大暴れ、看守のディーンとハリーは怪我した。パーシーの監視不十分のせいだった。ポールが拳銃を突き付けたことで事態は収まった。しかし、ポールは尿道が痛み出し動けない。するとコーフィが「ボス、ここに来てくれ!」と叫ぶ。
〇ポールはコーフィによって尿道感染症が完治するという異変が起こった!
ポールが恐る恐る近づくとコーフィがポールの手を握り尿道の痛みを吸い取り、吐き出した。ポールはその夜、妻と4回もセックスをした。(笑)
翌日ポールはコーフィの弁護士を尋ね「コーフィは殺人を犯すほどの乱暴者には見えない」と意見を聞いた。弁護士は「間違いない!ニグロは雑種の犬と同じで情を掛けると噛みつかれる」と話した。ポールは病が治ったお礼に内緒で妻が作ったコーンブレッドを差し入れた。
これを羨んだウォートンがポールに唾を吐きかけ、ディーンに小便を掛けた。ポールとディーンはウォートンに消防ホースから水をぶっかけ徹底的にしごいた。(笑)
〇パーシーが芸を仕込んだドラクロアのねずみを殺害する事件が勃発。コーフィがこのネズミを生き返らすという第2の奇跡が生まれた。
何故こうなったかは風邪が吹けば桶屋が儲かる式の因果関係を説明することになる。本作が3時間の長編になった理由です。(笑)
施設見学にきたお偉いさんたちにパーシーは電気椅子による処刑を展示しそのあとドラクロアがねずみ・シングルズの芸を見せた。ねずみの芸の方が人気があり、これに嫉妬したパーシーがいたずらしてドラクロアを転ばした。これを見たウォートンが怒ってパーシーを独房に引き込もうとし、驚いたパーシーは小便を漏らした。パーシーは看守たちに「お前らの不正を喋って全員首にする」と脅した。ポールが“喋らない”ことを条件にこの騒動は収めた。しかし、パーシーはウォートンに強い敵意を持った。
ポールはドラクロアの処刑にあたり、シングルズをどうするかについて話し合った。
フロリダのサーカスで働かせることにして、シングルズの芸を見ているところにパーシーがやってきてシングルズを踏み潰した!ドラクロアが泣き叫んだ!
第2のコーフィの奇跡が憩った。
コーフィが踏み潰されたシングルズの痛みを吸い取り生き返らした。看守全員がこの奇跡を確認した。
〇バーシーがドラクロアの死刑執行を指揮した。これでパーシーの転属が決まった。
ポールはパーシーとの約束通り、死刑執行を指揮させて転属届けを出させることにした。処刑囚はドラクロアだった。シングルズを一時コーフィに預けることにした。
ドラクロアは陽気にグリーンマイルを通って処刑室に入った。電気椅子に座ったドラクロアは“生きたかった”と懺悔した。頭部に水に浸したスポンジを置きこの上に電極端子を装着するが、パーシーはスポンジに水を吸わせたふりで電源端子を装着した。第2スイッチで電流がながれるが水分がないため絶命するまでに時間がかかる。匂いが施設内に充満する。ドラクロアの悲鳴!見るに堪えない修羅場となった。ポールは“死に至るまで”と電源を止めさせなかった。焦げたドラクロアの遺体の消火を“お前の責任だ”とパーシーにやらせた。

ハル所長がパーシーを叱責した。ポールは“パーシーはこれで転職願いを出す“と説得した。
〇ポールは第3の奇跡をハル所長の妻・メリンドの健康回復で起こし、コーフィを救済できるのではいかと考えた。
ポールは妻と一緒にハル所長宅を尋ね、メリンドの症状を確認した。生かす治療法はないことを確認した。
次いで。ブルータスら看守3人を自宅に呼び、実行案を検討した。当初3人は反対した。ポールは絶対にバレない方法があることを示し了解された。
夜間に実行開始した。
コーヒーに睡眠薬を入れ、パーシーとウォートンに飲ませ眠らせた。さらにパーシーは拘束服を着せ、猿くつわを噛ませ、倉庫に監禁した。
ポールとブルータスは万一の場合に備えてライフル銃を携行、コーフィを連れてハル所長宅に乗り込んだ。ハル所長はコーフィの治療を信じなかったが、ポールは実行に移した。コーフィはメリンドの患部を全部吸い取った。メリンドが全快した。しかしこれを吐き出すことが出来なかった。
ポールたちはE棟に帰還した。
コーフィは吐き出せず苦しんでいた。倉庫からパーシーを解放した。ポールは「何もなかった“とパーシーに告げたが、不機嫌そうに倉庫を出てコーフィの独房に近づいた。コーフィはパーシーを捕まえ口の中にメリンドの患部を吹き込んだ。するとパーシーは精神病者のように正体を失くした。ウォートンの「俺のケツを舐めるか!」を聞いたパーシーはウォートンの独房に近づき拳銃を数発発射した。ウォートンは即死だった。
コーフィはポールを呼び「悪人に罰を下した。手を出せ!」と言った。
ポールが手を出すとコーフィが手を繋ぎ、コーフィの事件記憶がポールに移ってきた。ふたりの娘を殺したのはウォートンだった。ポールはふたりの娘を生かそうとして捕まったのだった。
パーシーは皮肉にも患者として慶進病院送りとなった。
〇コーフィの処刑。
ポールはコーフィに“逃げるか?俺が神に責められる”と聞いた。コーフィは「疲れた!もう人の望みを聞くのは嫌だ」と答えた。ポールは死ぬ前にやりたいことを聞いた。ビーフステーキにポテトスープ、ポールの妻が作るコーンブレッド。それに映画「トップ・ハット」を観ることだった。
コーフィの処刑執行
執行指揮と牧師役をポールが勤めた。立会人には被害者夫婦がいた。“二度殺せ”という声がする。しかし、ポール以下看守たちは泣いた。コーフィの懺悔は“生まれてこなければよかった”だった。コーフィはポールを呼び、手を握り“愛に付け込んで殺す、また起きる”と伝えた。目隠しをせず、スポンジにはたっぷり水をつけて電源端子を装着した。コーフィは苦しむことなく絶命した。
〇老人ホームのポール。話し終わってエレーン夫人を散歩に連れ出した。
廃屋の中で年老いたねずみ・シングルズの芸を見せた。そして、自分は108歳でシングルズとともにコーフィによって生かされているという。
ポールは「これはコーフィへの償い、わしへの罰だ。人は皆、自分自身のグリーンマイルを歩いている。いつか死が来ると思うが時々長すぎると思っている」と話した。
まとめ:
ポールが60年後にコーフィの殺人事件の真実を明かし、これが映画になるという結末。袴田事件に繋がり、冤罪事件の罪の深さを感じる作品でした。
コーフィが死刑直前にポールに伝えた“愛に付け込んで殺す、また起きる”を防止するためにポールは生かされたと思った。
今尚絶えないこの問題。黒人への偏見、権力による判決。まともに見えてパーシーのようなキチガイ看守がいる。コーフィとの比較で描く冤罪の話、いい視点だった。
長く残る作品であって欲しい。
ポール役のトム・ハンクス、やさしさがあっていい役でした。
心暖まる演技。当初彼ではなかったらしいが、原作者は“彼に決まって良かった”と言ったとか。こういう難役には欠かせない俳優さんです。
ポールの対抗するパーシー役のウェットモア。本当に悪だったが、彼がいてこの作品が成り立つ。とてもよかった。
コーフィ役のマイケル・クラーク・ダンカン。優しさが滲み出ており、この役には適任だった。
テーマのあるファンタジーでホラーな作品、怖くて泣けてすばらしかった。
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