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「ケイン号の叛乱」(1954)圧巻の裁判劇!艦長は精神錯乱者か?どう乗員は対処すべきだった!

 

「法廷劇の傑作」というNHKBSのキャッチコピーで観ることにしました。

 スタッフ&キャストも今から見ると、豪華すぎる!

駆逐艦ケイン号に新艦長が着任する。しかし、自らのミスを部下に押し付けるなど異常行動で信頼を失う。台風襲来時、正気を失った艦長に代わり副艦長が指揮し危機を脱するが、帰港後、乗組員は反逆罪で軍法会議にかけられてしまう。

 前段にケイン号で起こった出来事を乗員視点で見せて、後半裁判でこれはひっくり返し、最後にひねりを効かせた結末、とても面白い裁判劇でした。

 個人的には反逆者を支持したいが、海軍の支援を受けて作った作品であればそうは行くまい。(笑)そこに最期のひねり。これが良かった。組織か乗員かの視点で見方は異なる。このことを知ることが大切だと思います。

若い頃は、関心が人より技術や知識に向かうが、長い人生を考え、この時期に人間の見方を知ることはとても大切。最初の赴任先がオンボロ掃海艦。粋な計らいです。これでどう育つか?米海軍は上手く人材育成を図っている。

 監督:エドワード・ドミトリク、脚本:セールスマンの死」のスタンリー・ロバーツ原作:ピュリツァ賞を受けたハーマン・ウークの同名小説、撮影:ローマの休日」のフランク・プラナー編集:ヘンリー・バティスタ ウィリアム・A・ライアン、作曲マックス・スタイナー

出演者:ハンフリー・ボガートホセ・フェラー、ヴァン・ジョンソン、フレッド・マクマレイ、ロバート・フランシス、他。


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あらすじ&感想

〇キース少尉が初めて乗った掃海艇ケイン号の艦長はデヴリースだった。

プリンストン大学出て海軍少尉になったキース(ロバート・フランシス)が始めて乗艦した船がオンボロ艦の掃海艇ケイン号。おそらくキースは不満だったろう。

このことを艦長はお見通しで、キースが着任申告に訪れると、デヴリース艦長(トム・テューリー)は上半身裸で迎え、「古い掃海艇は嫌か?戦争は地獄だ、余計なことを考えるな!」とキースに注意事項を与えた。

通信長のキーファー大尉(フレッド・マクマレイ)が艦内を案内してくれた。水兵の服装は乱れており、物を喰いながら歩くやつがいる。若い将校にはやたらこういうことに目に行く 。(笑)

サンフランシスコ港を出港。曳航訓練が始まった。

曳航ブイの引き上げ時、キースのミスで曳航綱が切断!艦長がすばやく飛び込み、曳航ブイを回収処置する。艦長、訓練外がずぼらだが、訓練には厳しい実戦向きの男だった。また、キースは翻訳した通信文について「行動命令の大切さがわかってない。ひとつの間違いが命取りになる」と厳しく注意された。

キースはずぼらな水兵をそのままにして、自分の仕事に厳しく当たる艦長が嫌になった。「なんだ!この艦はやくざ者の巣だ」と評価していた。

ところが艦長交代で離艦する際、水兵たちが出し合って買い求めた時計をプレゼントする。これを見たキースは不思議な気分、よく理解出来なかった。

〇着任したクイーグ艦長は着任訓示で「規律」を求めた

194311。大西洋で7年の勤務歴を持つクイーグ少佐が着任した。会議室に全将校を集め「規則重視!」と示した。

水兵の服装の乱れに、キースが風紀係に指名され「シャツの裾及び頭髪、髭の監視を命じた。

標的の曳航訓練

訓練中、クイーグ艦長は水兵の裾に監視に関心が向かい、「指導不足!」とキースに注意を促す。

艦長自ら水兵に指名階級を申告させ注意する。こんなことは艦長の仕事でない!兵士たちの前でキースを指導不足と罵倒する。その間に操舵指示を怠り、艦が旋回し牽引索を斬った。艦長が当直士官のキーファー大尉に「当直士官は艦全体について目を配る必要がある。よって職務怠慢!」と叱責し、「当直士官の監視怠慢、牽引索に欠陥があった」と報告させた。このことについて将校たちは懸念を抱いた。

サンフランシスコ港に帰投した。皆が期待したような艦長への咎めはなかった。(笑)

〇ケイン号はジャコブ進攻作戦に参加、艦長が異常行動を見せた。

上陸用舟艇第1波を海岸の手前900m護送する任務。艦砲射撃が開始、ケイン号を先頭に上陸用舟艇群が発進。敵砲弾の中を予定海面に向う。測量手が的確に陸からの距離を測定していた。艦長は操舵の指揮を副艦長のマリク大尉(ヴァン・ジョンソン)に任せた。敵砲弾が1発落下、マリクは「早すぎる」と進言したにもかかわらず、汀線より1350mの距離で艦長は「染料投下」を命じた(上陸用舟艇の突撃)。マリクは「海兵隊が危険に・・」と進言しようとしたがキーファーが「やめとけ!艦長なりの理由がある」と止めた。

この任務が終って、乗組員たちにはキーファー作詞の“黄色汚染ブルース“という艦長をお笑いにした歌が歌われるようになった。

艦長は全将校を集め「艦長は孤独な仕事だ。決断を下すのは難しい!支援が必要だ。艦は家族のようなもの。それぞれ間違っても協力し合う助けが必要だ」と訴えた。そしてアスピリンを服用するようになった

この艦長の態度に

通信長のキーファーは「精神科医でなくても分かる。明らかに偏執症だ。今に一線を越える」と考えた。副艦長マリクは「精神的にやられている、過酷な戦闘体験のせいだ」という。キースは「初出動であの脱げ腰では」と艦長を批判した。

マリクとキーファーが艦長の行動について偏執症か精神病なのかで揉めた。マリクが「今後、艦長異常説は口にするな!」と口止めした。しかし、キーファーは精神障害の本を読み、「X少佐の病状日誌」を書くことにした。

〇いちご事件

僚艦ピンクニー号からの贈りものとしていちご2斤が贈り届けられた。艦長は部屋に引きこもり症状について艦内でいろいろな噂が出ていたときだった。

艦長が「食べたい」というが冷蔵庫には無くなっていた。怒った艦長は「捜査班を編成し犯人を挙げよ」と命じた。それでも分からなかった。艦長は「誰かが金庫の鍵を盗んだ」と主張し、「誰が盗んだか、鍵を持って来い」と全乗艦員の点検・捜索を命じた。しかし、見つからなかった。「鍵は海に投げ捨てられたと艦長に説明したが認めず離艦を命じられた」と言い残し艦を降りる将校がいた。艦長は鍵がないことを知りながら捜索を命じたことになる。

キーファー大尉がマイクに「一線を越えた!こんなことやらん!立派な偏執症だ」と主張した。そして海軍服務規程第184「非常に例外かつ異常時には艦長を逮捕又は隔離し副艦長が指揮を代行する。必ず海軍上層部の許しをとること。ただし連絡不能時を除く」を読み聞かせ、「よく覚えておけ!」とマイクに示した。

〇マイク、キーファー、キースはニミッツ提督が座乗する空母を尋ね、クイーグ艦長の症状を訴えることにした

三人が空母に着くと、空母乗員が規律正しく行動していた。これを見て恥かしさを感じ、キーファーが「これが本物の海軍だ、見方を変えれば艦長の行動は規律強化だ」と提訴取りやめを言い出した。マイクは「論理屋のキーファーなしでは無理」と提訴を取りやめた。台風接近で3人は急ぎケイン号に戻った。

〇強大な台風だった、副艦長マイクの操舵指揮で乗り切った

マイクは艦長の繰り返し変更になる操舵号令を聞き、艦長は混乱していると、「184条により艦長が病だ、指揮を変わります」とキースに記録を命じた。マイクは波に向かって艦を走らせ、難を逃れた。艦長は「全員絞首刑だ!」と喚いた。3隻が沈没、194隻は指揮官交代なしで乗り切った海軍の海難事故だった。

この件について艦長の提訴により、マイク、キーファー、キースの3名が軍法会議に掛けられることになった

3人の弁護士としてグリーンウォルド大尉(ホセ・フェラー)が弁護人となった

グリーンウオルドは「調書を読んだが同情はできない」と言いながら「マイクは無罪、海軍の英雄だ¡」と弁護を引き受けた。

〇裁判が始まった罪名は「反乱行為」。

起訴事実:マリック予備大尉はケイン号に勤務中の1944年7月31日、副艦長として勤務中にクイーグ海軍少佐に対し正当な権力なく強引にその任務を解き、代行した・・・。

マイクへの主張と検察の反論

マイクは「艦長は乱心し、艦が沈没の危機にあった」と主張。これに検察官のチャーリー少佐(E・G・マーシャル)は精神科医の診断結果を根拠に「精神状況は正常である」を根拠にマイクの艦長乱心説を否定した。

 キースに対する尋問と答弁

「艦長の乱心が沈没の危機になったか?」に「精神的に問題があった精神科医の診断は現場を見てないものだ」と答えた。

操舵手に対する尋問

「操舵は艦長、副艦長のどちらの命令に従ったか?」に「キース少尉の指示で副艦長に従った。すごく怖かった!」と答えた。

キーファーへの尋問と答弁

「黄色い染料」という言葉の産みの親として「海軍士官に対する誹謗に関わる」と厳しく検察官から抗議され、裁判長からも注意された。

検察官の「艦長に対する精神状態に疑念を持ったか?」に「艦の安全のためマイクの指揮に従い、艦長の精神状況は専門家でない」と発言を断った。「日誌を書いたが、提督に訴えに行ったとき役に立たない、反乱罪になるだけだと思った」と証言した。マイクはキーファーの証言を聞き、期待していたただけに残念がった(マイクは彼は嘘を言っているとメモした)。

ディクソン軍医中佐(ウィット・ヴィセル)の証言

軍医は「正常な人間でもおかしな行動をとることはよくある。指揮交代は不当だ艦長の精神構造は過酷な戦場で長年勤務を強いられて出来たもの」と主張した。

グリーンウオルド弁護人は「頑固、被害妄想、不合理を猜疑、常に自分が正しいと思い込む病がある」と反論、軍医は「偏執病だが病気ではない。精神疾患と精神病は違う」と主張した。弁護人は「軍医は海上勤務はなく艦の経験もない。たった5カ月の海軍歴では艦長のストレス診断を誤っている」と反論した。これに検察官が「神経症が進むと肝心なときに決断を誤ることがあるが、クイーグ少佐の場合その心配はない」と証言した。

マリックは検察官から「専門家は艦長は正常だと判断している。巨大台風に緊張していた君が変になり艦長の判断を曲解したのではなかいか?操艦術は君と艦長tでどちらが上か?」と聞かれた。マリクは「艦長です」と答えた。「専門家の鑑定が正しいなら君が有罪だが」と聞かれ、マリックは「多分!」と答えた。

クイーグ艦長に対するグリーンウオルド弁護人の訊問が始まった

艦長は「たるみきった艦を立て直す決意だった。マリックは私を変人扱いし、最初から反航的だった。台風時マリックは取り乱し自分を救世主と勘違いし従順でなく、キース少尉も結託して私に反抗した」と主張した。

これに弁護人は標的曳航訓練時の不正事故処理、ジャコブ進攻作戦時の上陸用舟艇支援における目標未達成で脱出したこと、いちご事件における馬鹿げた鍵騒動を順次尋問し、艦長の反論を促した。艦長は当初、自分が正しい判断をしていたと主張していたが、次第に狂ったか、その姿を露わにし、最後には「士官は全員従順でない。規律徹底には反発。士官どもは庇い合い」と将校たちを罵倒して証言は終わった。

判決は「無罪!」だった

〇裁判の勝利にグリーンウオルド弁護人が3人に釘を刺した。

マイク、キーファー、キース、支援者は祝宴を開いていた。そこに弁護人がやってきた。弁護人は「この国を守ったのは誰だ!金にならないこの汚い仕事を!クイーグたちだ。強くて賢い軍人たちだ。でも艦長は艦を沈めかけた。彼じゃないぞ!お前らだ!艦長は艦長だから従うんだ。一件落着、全員放免だが後味が悪い」と裁判結果を総括した。そして真の被告人は通信長で小説家を志すキーファーだと断言した。

裁判が終了しキースが駆逐艦に配属されると艦長がデヴリースだった。キースは喜んだと思う!ナイスな終わり方だった。「海軍はこうでなくちゃあ」と思った。

まとめ

軍事裁判、偏執者のクイーグ艦長の負けだと思ったら、専門家の見識で「艦長は偏執者でも精神病者でもない」という。マリク副艦長は「お前の方か艦長の判断を曲解したのではなかいか」と疑われる始末。

 これでマリクたちは負けたと思った

しかしグリーンウオルド弁護人はクイーグ艦長の数々の事件の異常行動を暴き、艦長を追い込み、最後のはクイーグ自らが精神的におかしくなっていく。誰が見てもマリク副艦長らの勝利だと分る、この勝っぷり良かった

クイーグ艦長役のハンフリー・ボガート。裁判で傲慢な態度から狂った男に墜ちていく演技がすばらしかった。アカデミー主演男優賞だと思ったが、「波止場」のマーロン・ブランドだった。

ところが裁判後、グリーンウオルド弁護人によって「艦長は艦を沈めかけた。彼じゃないぞ!お前らだ!」という結末。こうでなければ海軍は潰れると思った。「後味が悪い裁判だった」というのが分かる結末だった。

権限を持つ人が窮地に陥ったとき、組織はどうあるべきか。ここで取り扱われた問題は社会の普遍的な問題だと言えることではないでしょうか。キース少尉は実戦に役にたつ将校に成長したと思う。

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