
小難しいタイトル、濱口竜介監督作「悪は存在しない」クラスの作品かと観ることにしました。(笑)
直木賞作家・辻村深月が現代に生きる人々のリアルな恋愛観と価値観を描いた同名ベストセラー小説を、藤ヶ谷太輔と奈緒の共演で映画化した“恋愛ミステリー”。
婚活アプリで出会った男女。婚活は終活と同じ、自分は高みを目指すか善良にするかと値段を競う結婚観。
結婚とはどういうことか!今の若い人に考えて欲しいという作品。「欠点を認め、一緒にいたいという気持ちを大切にする(愛)」という結末。“タイトルがデカすぎた”という感じ。
監督:萩原健太郎、原作:辻村深月、脚本:清水友佳子、撮影:日下誠、編集:平井健一 田中夕貴、音楽:加藤久貴、主題歌:なとり。
出演者:藤ヶ谷太輔、奈緒、倉悠貴、桜庭ななみ、菊池亜希子、前田美波里、阿南健治、宮崎美子、西田尚美、他。
物語は、
これまで仕事も恋愛も順調だった西澤架は、長年交際していた恋人にフラれたことをきっかけに、マッチングアプリで婚活を始める。そこで出会った控えめで気の利く坂庭真実と付き合い始めたものの、1年経っても結婚に踏み切れずにいた。ある日、真実がストーカーに狙われていることを知った架は、彼女を守るためようやく婚約を決意するが、真実は突然姿を消してしまう。真実の行方を求めて彼女の両親や友人、同僚、過去の恋人を訪ね歩くうちに、架は知りたくなかった彼女の過去と嘘を知る。(映画COMより)
あらすじ&感想:
冒頭、真美が花束を捨てるシーン。なぜ捨てたか?これがテーマです。
分かり難い冒頭シーンだね!(笑)
○西沢架は酒造会社の若社長。マッチングアプリで坂庭真美と出会った!
架は「婚活は就職活動、社会的な価値のみが試される」と20個ばかりのお見合いをこなしたが未だ相手が見るからない。毎回同じ会話でうんざりだとマッチングアプリで坂庭真美と出会った。
1年後、初めてのデートはカフェでの食事から始まり、逢瀬を重ね、真美が「両親に紹介したい」と言い出す。架は誕生祝いに指輪を贈った。
○真美が「ストーカーにつけられている」と言い、送別会の夜、消えた。
架は真美を知人宅のホームパーティーに誘った。
真美は料理を手伝うと申し出たが断られ、それではと子供の面倒をみることにした。「料理が出来ない!子供の扱いが下手!架は大変だ」と評判になる。このことが架の心に残った。
バーで飲んでいる架に真美から「ストーカー!怖い!」と電話がきた。
架が真美のところに駆け付けると車の中で震えていた。「警察には迷惑かけるから言わない」という。架は真美を自分のアパートに住まわせることにした。

真美は架のアパートでの生活、部屋が広く家具は豪華で、ガーデンのある生活がすっかり気に入った。
真美は「送別会がある、今夜は遅くなる」と言って英語教室に出社し、姿を消した。
○架の真美を探す旅が始まった。
架は東京にいる真美の姉・岩間希実(菊池亜希子)を訪ねた。
架は「真美は前橋にいたころお付き合いしていた人がいたと言っていたから、ストーカーですかね」と話を持ち出すと希実は「真美にはお見合いの男がふたりいた。真美は断ったが、その男と消えたかも」と話した。
架は真美の父母を訪ねた。
架が「興信所に相談しようか」と申し出ると母の陽子(宮﨑美子)は「それはダメ、ふたりの間に何があった?東京に行かせるのではなかった」と後悔し、父の正治(阿南健治)が「結婚相談所の小野さんにあったら」と勧めた。
結婚相談所の小野さん(前田美波里)を尋ねると、
小野さんは「5年前、真美さんはやさしい人だった。紹介したふたりは結婚の相手として申し分ない、が、真美さんが断った。お母さんが手遅れになると心配しお姉さんが連れてきた。しかし、婚活アプリで見つけたとは?」と驚いた。

小野さんに「婚活とは自分の欲しいものが分かっている人、ビジョンが分かっている人がする」と言われ、架は「セックスもしているし、真美は分かっていた」と思った。
真美の最初のお見合い相手・金居(嶺豪一)に会い、話を聞いた。
金居は結婚して子供もいた。金居は「振られた!」と言い、「妻とは2回の見合いで結婚、明確に欲しいものが分かっていたから。麻実さんが上京とはびっくりだ、田舎を離れるのを嫌がっていた」という。架は真美が人見知りであることは知っていた、このことを真美の父母に確認すると「真美は希実に誘われた。直ぐ戻ると思った。東京の人と結婚すると言い出すとは思わなかった」という。
2番目にお見合いした花垣(吉岡睦雄)に会った。
実家の歯科医院を手伝う男だった。不愛想で「会った人数が多いから分からない」と言った。
結婚相談所の小野さんに「真美さんはその気がなかった?」と尋ねた。
小野さんは「傲慢と善良よ!自分は高みを目指すか謙虚にするかと。自分の価値観に傲慢なんです。いい子だからこそ結婚できない、誰かに認められたい。(婚活は)傲慢と善良の伏魔殿なんです。私も会ってみたかった、真美さんが見つけた価値を」と答えた。
架はパーティーで、友人の美奈子(桜庭ななみ)から「彼女どうなの?」と聞かれ、「70点だ」と答えたことを思いだした。
○真美は風車が点在する災害地でボランティア活動を始めていた。
そこでリーダーの高橋耕太郎(倉悠貴)と知合い、指導を受けていた。飲み屋の女将よしの(西田尚美)に「耕太郎は大学にいっていたけど、地元に戻って来た。根はいいやつ」と交際を進められた。
架は真美の姉、希実を再訪して真美の安否を確認していた。
希実が「お母さんに連絡があった。真美に原因がある。お見合いして褒められる、何様だ!」と怒る。希実が真美のインスタを見ていたので、架はこれをコピーさせてもらった。そこには出会ってからの写真があり、「結婚することにしました。こんな私を選んでくれて大好きです」と描かれていた。架は何が真美に不満だったのかと考えた。
架がバーで奈美子に会った。
奈美子が「偶然、真美に会った。こちらも酔っていた。ストーカーとか言っていた。あんた結婚しなかったでしょう、70点だから。架が思う程あの子は純情ではない」と話した。架は指輪を贈ったあとのことを考えていなかったことを思い出した。

○夜、ボランティアの真美のところに、架から電話があった。
真美は『あの夜、送別会が終って美奈子にバーに誘われ、「あんたストーカーがいると嘘ついて架と一緒になった。婚活であんな男はいない、あなたこと70点と言っていた。最高点よ」と言われた。それで私は送別会で贈られた花束を投げ捨て、アパートに戻った。が、架は私が泣いていることに気付かなかった。70点だから10点位にしか好きでなかった。私はあなたに選んで貰うためにストーカーがいると嘘ついた。私はあの人たちが嫌いだが、一番嫌いなのは自分だ。何でも架君に頼った。ごめんなさい。さようなら』と電話を切った。
このあと、真美は耕太郎と仲良く松の植樹をした。
真美はバーの女将よしのに「この人と思える人に出会ったがプロポーズしてくれなくて嘘ついて一緒になった。最低だ、東京のうわべのいいものしか見てなかった。嘘ついたあと会いたいと言ったが勇気がなかった。最期まで卑怯だった」と話した。よしのは「いろいろあるね!」と言い、ふたりで梅酒を飲んだ。
○架はビールの宣伝を名目に真美のボランティア地を訪れた。
“よしの”の店の前で真美が耕太郎のデートを受け入れ、別れたところに架が現れた。架が「やり直しできないか、婚活のルーチンでちょうど良いと思って」と問うと「私は70点」と返事した。「気にしていた、君のインスタみて何が必要かが分かった」と弁解したが、真美は“よしの”の店に消えていった。

ミカンの出荷場。よしのが「会ったの?ビールの社長さん!」と声を掛けてきた。真美は「恰好悪い!嫌になった」と答えると「眩しい大恋愛よ!今の若い人には分からない、恰好悪いということはそれだけ必死とうこと」と言った。
架が駅のホームから「あの後考えた、真美にとって僕はなんだったのか?如何に傲慢だったか、そのつけが回ってきた。未来にこれを糧に生きる。さようなら」と電話してきた。
真美は耕太郎に断って、車で駅に走った。
真美は架に「私も言いたいことがあるから来た。70点と聞いた時はショックだった。でも今考えるとそんなものだと思う。婚活でこんな良い条件で残っていたと思った。今は呆れている。やり直そうと言われた時、本当にやり直せると思ったの?そういう鈍感で世間知らずで、それが架君の優しさなんだよ。私もやっと気づいた、架君のそういうところが好きだった。条件が良いとか、恰好が良いとかそうじゃない、全部理想通りでなくても架君、あなたのことを知りたい。だからもう一度架君、私と一緒に生きていきてください」と訴えた。架は「どんな真美でもいい」と真美を抱いた。
まとめ:
真美が消えたのは架が「70点」と傲慢に評価したことへの怒りだった。しかし、真美がボランティアとして活動してみて、自分の力を知った。真美も傲慢だったが、少し人生経験を積み、架の評価を善良と受け入れられるようになった。
「全部理想通りでなくても架君、あなたのことを知りたい。だからもう一度架君、私と一緒に生きていきてください」が結婚の条件という話、腑に落ちました!
恋愛ミステリーと謳った作品ですが、早い段階で真美がボランティア活動を始めたことが明かされ、そして真美の屈折した心理も説明される感じで、さほどそれを感じなかった。
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