
マーベルコミックのヒーローたちが活躍するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の各作品で悪役やならず者として登場した6人のキャラクターがチームを結成し、己の過去と向き合いながら世界の脅威に立ち向かっていく姿を描いたアクションエンタテインメント。
「エンドゲーム」(2019)は最高に面白く、これでマーベル作品は終わりにしようと思った。その後の作品はほとんど観てない。そこにアベンジャーズが再編成されA24スタッフが作る作品と聞き、久しく離れていたマーベル作品を観ることにしました。
サンダーボルツにアスタリスクがついているように、裏アベンジャーズチームの編成を描き、新たなMCUに繋げる位置の作品。アベンジャーズ愛好者には必見の作品です。
アベンジャーズのヒーローになれなかった“ならず者たち”が世界の平和のために立ち上がる動機、それが空虚感、孤独感からの脱皮というテーマ。これは「エンドゲーム」後の寂寥感のある身にはストレートに響き、「市民のために尽くすことが生き甲斐になる」という、ならず者たちの再起の感情に涙が出るほどの感動を味わいました。善も悪もない、人生これに尽きると思いました。
たいした戦闘アクションも崩壊アクションもないが、かってのアベンジャーズのヒーローたちの活動記憶でカバーでき、笑いながら、“ならず者“たちの後悔や苦悩を感じながら見る作品でした。過去作特に「ブラック・ウィドウ」「ファルコン&ウインター・ソルジャー」を見ておくと彼らの感情を深く味わえると思います。
監督:ジェイク・シュライアー、原案:エリック・ピアソン、脚本:エリック・ピアソン ジョアンナ・カロ、撮影:アンドリュー・ドロス・パレルモ、編集:アンジェラ・カタンザーロ ハリー・ユーン、音楽:サン・ラックス。
出演者:ローレンス・ピュー、セバスチャン・スタン、ワイアット・ラッセル、オルガ・キュリレンコ、ボブルイス・プルマン、ジェラルディン・ビスワナサン、デビッド・ハーバー、ハナ・ジョン=カーメン、ジュリア・ルイス=ドレイファス、他。
物語は、
ある時、ニューヨークの街に突如として大きな黒い影が出現。瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威に直面するが、そんな人類の危機にも、数々の敵から世界を救ってきたヒーローチームの「アベンジャーズ」は姿を現さない。CIA長官のヴァレンティーナは、誰がこの脅威から世界を救うのかを問いかけるが、そこで立ち上がったのが、かつてヒーローたちと対立したことのあるバッキー・バーンズだった。バッキーは、エレーナ、ジョン・ウォーカー、レッド・ガーディアン、ゴースト、そしてタスクマスターという、全員が過去に悪事を犯したことのあるならず者たちに声をかけ、「サンダーボルツ*」というチームを結成する。そんな彼らの前に、バッキーの強力な武器でもある義手すらも簡単に打ち砕く、謎の敵が現れる。(映画COMより)
あらすじ&感想(ねたばれあり:注意):
○アベンジャーズのヒーロー・ナターシアの妹エレーナ(ローレンス・ピュー)。
CIA長官のヴァレンティーナ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)、通称ヴァルの下で警備の仕事についていた。
冒頭、「どこかおかしい。姉が死んですっかり空っぽにたっちまった!どんどん広がる無力感だけ!」と高層ビルの天辺から黒い影を目がけて降下!こいつらと格闘。残念ながら彼らの顔認証が取れない、そして仕掛けられた爆薬でビルが見事に崩壊される。
エレーナが格闘技で見せる柔軟な身のこなし方は姉ナターシャにそっくりで、ここにナターシャがいる感覚になる。ナターシアの活躍を思い出し、エレーナのこの嘆きが分かるというもの。

○CIA長官のヴァルはフォックス社との関係を議会で追及されていた。
アベンジャーズの初代キャップテン・アメリカの親友バッキー(セバスチャン・スタン)、いまではブルックリン選出の下院議員、が「会社でおかしなものを作っている」と責めるが、ヴァルは「株は全部売った。会社とは関係ない、アベンジャーズが存在しない今、市民の安全を如何に確保するか?」と意に介しない。と言いながら秘書のメルに「会社の資料を隠せ!」と指示した。バッキーは「必ず証拠を挙げてやる」と意気込む。バッキーはウィンター・ソルジャーとして数奇な役割を果たしてきたがまさか政治家になるとはと驚いた。
エレーナはこの愚痴を父親のアレクセイ(デビッド・ハーバー)にぶつける。(笑)
エレーナは「仕事に充実感がない」と訴える。アレクセイが「ヴァルの専属運転手をやっていて充実感がある。フォックス社の最後の仕事だ」と言い「仕事はそのうち手にはいる、天命を待て!」と諭す。(笑)
○ヴァルがエレーナにフォックス社倉庫の秘密資料整理を命じた。
「どの資料が盗まれるか、見て来い」というのがヴァルの指示だった。大量の死体袋の写真、人体実験の資料を発見。そこに突然男が襲い掛かる。男との格闘中に仮面のふたりが介入してきた。エレーナが判別できたのはタスクマスター(オルガ・キュリレンコ)のみ。タスクマスターが射殺された。タスクマスターのあまりにも早い退場にがっかり。騙された感じ。(笑)
そこに「まて!どうも、ボブだ」と童顔で剽軽な男(ルイス・プルマン)が箱から出てきた。

倉庫の扉が閉じられた。もうひとりの仮面人が扉を抜けようと挑むが無理だった。物質をすりぬけるフーシング能力の持ち主ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)だった。
男がボブを拳銃で牽制しエレーナに「フォックス社の資産狙いか?」と聞く。エレーナが「ヴァルの指示で来た。同じ任務か」と戦闘は終った。男が「元キャプテン・アメリカンのジョーだ、俺は元軍人で子供もいる。お前らは傭兵だ」と名乗った。(笑)
エレーナはボブの手に触れ、気を失った。
夢の中でロシアのスパイ組織「レッド・ルーム」での孤独な生活を思い出していた。目覚めるとボブが「大丈夫か?」と声を掛けてきた。ボブにはエレーナの悲しみ、孤独感が伝わったようだ。ボブは「血液検査されただけだ」と笑う。エレーナが「ここで死ぬの?」と聞くと「それがいい!」と答えた。エレーナは「孤独は良くない!無視しなさい」と教えた。ボブは薬で改造され、失敗して捨てられていたようだ。
このころ、バッキーは議員パーティーでヴァルから「証拠がなければ弾劾はできない」と嫌味を言われる。バッキーは秘書のメルに「秘密の話をしたい」と名刺を渡した。
ヴァルは帰りの車の中でフォックス社倉庫の状況を知り「彼らは最悪のメンバーになる可能性がある」の軍隊配置を指示した。これを運転手のアレクセイが聞いていた。(笑)
○倉庫に閉じこめられたエレーナ、ジョー、ゴースト、ボブの4人が脱出を図る。
倉庫内は停電。跳べる能力もドアを破壊する能力もない4人が閉じ込められた。ヴァルが“ならず者4人”を秘密資料とともに一気に処分する作戦だった。が、ボブが生存していたことに「臨床実験で残っていたか!」と驚いた!
エレーナ、ジョー、ゴースト、ボブの4人はエレバーター通路から脱出を試みる。
4人は背を合わせ壁に脚を当て登るというもの。4人はエレベーター通路からは脱出できた。ジョーは「落ちるんじゃないか」と「堕ちたヒーロー!」と蔑まされた過去を思い出していた。(笑)ジョーはキャップテン・アメリカに任命されたがある事件でその地位を剥奪され不名誉除隊を受けていた。
倉庫の外はヴァルの指示で軍隊が取り囲んでいた。
ゴーストがフェーシング能力で部隊をすり抜け軍車両を確保、3人は敵兵の戦闘服で偽装して倉庫から脱出した。軍用車で脱出中、検問に引っかかりボブが捕まり、銃弾の集中射を浴びた。いや、ボブが囮になり、3人を脱出させたのだった。
ボブは集中射を受け、生き返ったように空に昇っていった。
○エレーナはジョー、ゴーストと軍用車で逃走中、3台の戦闘車の追尾を受ける。
重機の射撃を受けあわやというところに父のアレクセイが防弾仕様のロールスロイスで現れ、救出した。(笑)アレクセイが「俺はいいチームになれるぞ。ヴァルのセンチュリー計画で俺たちは殺されるぞ!」と喋っていると、戦闘車を追ってオートバイでバッキーが現れた。ロールスロイス、バイク、戦闘車のカーチェイス。CGでなくロケとのこと。バッキーが戦闘車にロープをかけ横転、炎上させた。

○ボブはヴァルのところに戻っていた。
ヴァルがボブに「あなたは不完全で虐げられていたが、完璧になれた」と協力を求めた。メルが「ボブには仲間がいる可能性がある」と進言。 ヴァルは「すぐ呼ぶように」と指示した。
○バッキーは悪人のエレーナ、ジョー、ゴースト、アレクセイを捕らえ尋問していた。
ジョーに「お前は道を間違えた!自業自得だ!」と叱責しているところに(笑)、メルから「ヴァルが強力な力を持つ男と記者会見する。味方を集めて!」と電話が入った。バッキーは「ヴァルの計画に乗るのは危ない」と決めたが4人の意見がまとまらない。エレーナの「ボブを救いたい」という意見で一致し、チーム“サンダー・ボルツ”としてヴァルを尋ねることにした。名づけ親はアレクセイ。

電話したメルはヴァルから「根拠のない悪人はダメ、悪人はもっと悪くなる」と注意を受けていた。(笑)
○バッキーたち5人がヴァルのビル、ウオッチタワーに突入。
警護隊と格闘となった。ここはかってトム・スタークが使用していたビル。バーのある部屋に通された。トム・スタークのバーがそのまま使われていた。ヴァルはトム・スタークの大のフアンだった。
ボブはスーツ姿で現れ、ヴァルが「センチュリーと呼ばれる無敵のヒーロー。もうすぐマスコミに披露する。国民をどう守るかは私が決める。初仕事!こいつらを痛めて!」と命令した。
ジョーが止めたが、レッド・ガーディアン(アレクセイ)が「“サンダー・ボルツ”だ」と突進するが、跳ね飛ばされた。バッキーが拳銃を撃ったが効果なし。エレーナもゴーストも歯が立たない。バッキーのワカンダで調達した特殊義手も効果なし。5人は「ボブは強すぎる!」と逃げ出した。
この後、ボブは「彼らを殺す必要はない」とヴァルと揉めていた。
ボブは「あなたは裏切ろうとした。私は”ヴォイドではない」と言い張る。メルが見かねて拳銃でボブを撃った。ボブが消えた!
ビルを退去した“サンダー・ボルツ”。
「チームを立て直そう」と話し合ったが、エレーナは「喧嘩はボロ負け、勝てない」と去った。レッド・ガーディアンがエレーナを追った。エレーナは「寂しい!もう私にはない何もない!」とスマホで過去の自分の行動を見て「自分は最初から殺人任務だった」と泣いた。レッド・ガーディアンは「お前は間違ってない!」と慰め、ふたりでウオッチタワーを見上げた!

○ウオッチタワー上の空間に影が現れ、影に覆われたものはすべて破壊される。
これを射撃する地上部隊、攻撃ヘリも破壊され、ヘリがのたうちながら地上に落下。ビルが崩壊!車両がぶっ飛ばされる。ニューヨークの街が大混乱に陥った。
エレーナはレッド・ガーディアンに「私たちが協力して市民を救おう!」と叫び、落下するヘリを止めて市民を守った。ビル崩壊の大破片をジョーが止めに、そこに4人が集まり必死に支えた。市民から大きな拍手が起きた。レッド・ガーディアンが子供を救いに走り、頭でコンクリート壁を砕いた。
影が地上に降りてきた!
エレーナは市民を安全な方向に誘導し、影を追った。影は「”ヴォイドだ」と名乗り、エレーナを消した!エレーナは「レッド・ルーム」を逃げ出し、子供たちが銃の操作訓練中のビルの中で捕らえられ、毒を飲まされる夢の中にいた。

エレーナは「何があった?」の声で目覚めた。そこにボブがいた。
ボブは「それは僕じゃない”ヴォイドだ。もうどうでもいいんだ、気にしないでもうすぐ終わる」と話す。エレーナは「ひとりでいると潰れるよ!虚しさだけだ。私はもう楽になっている。ここを出よう!」と勧めた。ボブが同意したとき、家具が飛んできた。「何者?」と声をだすと、エレーナとボブは布で繋がれ首を締めら窮地に陥った。(笑)これは「ブラックウィドウ」(2021)でエレーナが使った技です。
そこにゴーストが救助に駆け付け、そしてアレクセイが来た。(笑)バッキーが「最高の思い出になるがやばいぞ!脱出しよう」という。(笑)
「ここの部屋が一番ましだ!」と”ヴォイド“が現れたが姿が見えない。
窓に3人の男の影が見えた。ボブが「ここは臨床試験場だ、謎が解けた!」という。メンバーはここを脱出しようとするが、全員が家具をタガにして壁に貼り付けられた。(笑)
原作・脚本家が「マイティ・ソー バトルロイヤル」(2017)「ブラックウィドウ」(2021)のエリック・ピアソンだからこういう“落ち”になる。(笑)
ボブが「止めろ!」とい言えば、ヴォイドが「ヒーローぶるな!俺たちは孤独なんだ」と応え、ふたりの戦いが始まり、ボブが倒された。エレーナがあがいてタガを外し、「私がいる!」とボブを抱いた。メンバーもタガが外れ、ボブのところに駆け付け、ボブを落ち着かせた。
彼らは街の道路上に立っていた。光がさしていた!
ジョーが「やったな、ボブ!」と声をかけた。ボブは「何があった?」と驚く。アレクセイは「まじか!」と言い、エレーナは「大丈夫だ」と声をかけた。
ヴァルがマスコミに披露する会場にメンバーを引き込んだ。
「秘密ですすめてきたが、私の尽力によるニューアベンジャーです」とメンバーを記者団に紹介した。(笑)うまくヴァルの計略に嵌まった「サンダーボルツ*」だった。
まとめ:
“ならず者“たちからなるサンダーボルツ*。やっと出来上がったと思ったら、うまくヴァルの計略に嵌まった。やはり”アスタリスク“だった。(笑)
“ならず者”たちの孤独・空虚感をテーマに、アクションも人体技が主体で、彼らの痛み、弱さ、再生への渇望を描かき、これまでにない身近に感ぜられる作品でした。ものたりないと思う人がいるかもしれないが、誰もが受入れ楽しめる作品になったように思います。
エレーナが「レッド・ルーム」時代のトラウマに向き合い、もがきながら“真のヒーロー”へと成長していく、ローレンス・ピューの圧巻の演戯でした。ナターシャの生き写し、いい恋をして欲しいですね!
ボブはいかなる人物なりや。予告でメンバーが「ボブはやってくるの?」と心配していましたが・・・・。
ゴースト。孤独に苦しみ、同じ悩みのエレーナに接近、とてもいい関係でしたね。フーシング能力が面白い!
アレクセイはコメディー役に徹し、エレーナの真の父親になることに必死でいた。
ヴァル、このご婦人は曲者です!(笑)どんな展開になっていくのか?
バッキー、まったく印象が違った。リーダーは難しい。これもテーマですかね?(笑)
ボブもヴァルも謎だらけ。これからいかなるチームを目指すのか。マーベルがいかなるMCU世界を目指すのか!注目したいと思います。
****