
原作が吉田修一の同名小説、主演江口のりこで「愛のいびつな衝動と暴走を緊迫感あふれるタッチで描くヒューマンサスペンス」だという。タイトルの意味がよく分からないが、ふたりの組み合わせで“とんでもない愛の形”を期待して観ることにしました。(笑)
不倫妻が夫の二度の不倫で狂うという話!
夫が突きつけてきた不倫離婚。相手の女性が妊娠していた。自分も同じ理由で結婚していただけに激しい嫉妬に囚われ、その嫉妬がとんでもない愛へと変わっていく。
江口さんならこうなるという位のはまり役に感嘆!(笑)
嫉妬心が流産した子への偏愛、いびつな母性の本能を描いたものと思い、ポン・ジュノ監督の「母なる証明」(2009)以上の傑作だと思っていましたが、大外れだったようです。(笑)いったいテーマは何だったんでしょうか?
監督:森ガキ侑大、脚本:森ガキ侑大 山﨑佐保子 鈴木史子、撮影:重森豊太郎、編集:平井健一、音楽:岩代太郎。
出演者:江口のりこ、小泉孝太、郎馬場ふみか、風吹ジュン、他。
物語は、
初瀬桃子(江口のりこ)は夫・真守(小泉孝太郎)とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。桃子は義母・照子(風吹ジュン)から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、石鹸教室の講師やセンスある装い、手の込んだ献立といった“丁寧な暮らし”に勤しんで日々を充実させていた。そんな中、近隣のゴミ捨て場で不審火が相次いだり、愛猫が行方不明になったり、匿名の人物による不気味な不倫アカウントが表示されるようになったりと、桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。(映画COMより)
あらすじ&感想:
○冒頭、桃子の日課は朝のゴミ出しから始まる。
嫁の桃子は母屋に住む義母に「ゴミ出します」と声を掛けるが、義母は顔を出さず「昨夜は遅かったの?」と返事する。桃子もドアを開けて確認しようとしない
夫の真守は妻に声もかけずランニングに出掛ける。夫婦の間に会話はない。朝食が終ると守は桃子の顔を見ないで「夕飯いらない!」と言い捨てて出勤。
桃子はゴミ捨て場を点検してきれいに清掃する。それをカラスが邪魔する。そんな桃子を見て自転車でさる謎の男。近くで煙が立ち上る。
○専業主婦の桃子はアルバイトで石鹸教室の講師を務めている。
桃子は愛嬌のない冷たい顔、気が強そうだ。服装は端正で洗練されている。講義は歯切れのよい説明でなかなかの人気。この事業を充実したいと元上司の部長にアイデアを提出している。
○桃子が婦人科医院で受診。
医師に「子宮はきれいで問題はない」と言われるが生理痛を訴えた。「更年期まで不規則になる」と言われ、桃子は子宮が気になる。
肉屋でスペアリブ800グラムを買う。その帰り、お巡りさんから「ゴミ捨て場での不審火に注意して」と注意を受けた。家に戻り“ぴぃーちゃん“と猫を呼ぶが、見つからない。
○夕食の準備。夫のために秋刀魚を焼くが自分は食べない。
桃子は料理の合間にスマホで妊活アカウントを覗く。夫は秋刀魚を食べながらスマホから目が離せない。桃子は火事があったこととリフォームすることを伝えた。桃子はふたりの間を埋めようとコーヒーカップセットを買った。しかし、ふたりでこれを使うことがない。
○桃子は新事業を薦めようと会社に出向くが、部長に軽くあしらわれた。
部長は愛想はいいが桃子には関りたくないようだ。帰宅して義母とお茶をし、真守が出張することを話した。「ビーフシチューを持って行かない」と話すと、真守が好きな大きなカマスが届けられた。桃子はカマスを調理しないで冷蔵庫に入れっぱなし。おいて“ぴぃーちゃん”を探す。ぴぃーちゃんとは何者?
○桃子は出張から帰ってきた真守を調べ上げる!
土産をちゃんと買ってきたか?風呂に入れてこの間にトランクの中身、シャツを嗅いで点検した。(笑)猫の啼き声で畳を上げて床を嗅ぐ!これは異常だ、何があったか?
夫と寝て、夫の身体を嗅ぐ。(笑)しかし、セックスはない。

義母が脚を痛め、桃子は「一緒に過ごしたい」と申し出るが断られた。
真守が「捨て猫と飼い猫はどうやって見分ける」と桃子に聞く。桃子は「首輪しているかどうか?」と答えると「首輪して捨てられたら最低だ!」と騒ぐ。桃子は「それはないよ!」と応えた。 (笑)
桃子は真守の浮気を見つけようと躍起になっていた。
妊活アカウントは何者か?真守の付き合い相手は誰か?ぴぃーちゃんとは何者か?義母との関係は?とミステリアスに展開する。桃子と義母、真守との会話にひりひりする。
○桃子は寝るとき真守の身体をしっかり嗅ぐ。そして妊活アカウントの点検を欠かさない。(笑)
妊活アカウントに「今日彼と検診、ついに彼は奥さんと話をするそうです」とあった。
桃子はもう正常ではいられない!石鹸教室ではいらいら講義。コーヒーカップを見て悔しがる。義母に冷や汁を持っていくが不在だった!(笑)
○遂に真守が「彼女に会って欲しい、ふたりで謝りたい」と告白した。
桃子は威厳を持って「謝らなくていいからそっちでさっさと終わりにして!」と答え、その後は無視した。そして妊活アカウントを点検した。
「奥さんに会って謝罪することになりました。彼曰く、奥さんはとても冷静な人だそうです」とあった。(笑)
桃子は直ぐに決着つけることにした。風呂に入っている真守に「明日会える?」と聞く。そして離れのリフォームを進めることを伝えた。
○桃子は黄色いワンピースに赤い口紅でふたりに会った。
桃子は出発前にゴミ出しをして、ゴミ捨て場をきれいに掃除し、義母には「真守と出かけます。お土産買ってきます」と、昨日渡せなかった“冷や汁”を持っていった。(笑)

ホテルで真守の相手・三宅奈央(馬場ふみか)に会った。桃子は間髪を入れず「謝罪はいりません。主人にも責任があります。もう会わないでください。このまま関係を続けてもあなたは妻になれません」と宣告した。真守は「子供が出来た、許してくれ!」と謝ったが「何言っているの」と全く受け入れずホテルを出た。しかし、気になりふたりの後を追い、アパートを確認した。
朝、ゴミ出しをして、真守に「お母さんになんと説明するの?リフォームの件、お母さん知っているからちゃんと電話しといて!」と留守電を入れた。桃子にとって義母は味方だと思っていた。
○桃子は畑で西瓜を採って、奈央のアパートを訪ねた。
桃子が「妊娠何か月」と聞くと「5カ月1」という。「母子手帳を見せて!」と迫る。桃子はしたたか者だった。手帳みて「こんなの許さない!」と怒った。奈央が「自分で育てることも考えた」と話すと、「あんたいろいろな選択岐持っていていいね」と嫉妬して部屋をでた。何のために西瓜を持って行った。ぶちまけるためだろうと思った!この態度の変化をどう理解する?

○アパートに戻った桃子はチェンソーを買ってきて、床を切り開き始めた。(笑)
床下に降りるために切ったところに、音を聴きつけた義母がやってきた。次いで真守もやってきた。桃子は身を隠し義母と真守の会話を聞いた。
真守が「彼女ができて子供が出来た。それで来た」と告白。義母が「それじゃ桃子さんと同じだ。桃子さんは最初からおかしかった。流産したことを籍に入れるまで黙っていた。騙されたようなもの。桃子さん妊娠してなかったらあなた結婚していないでしょう」と話す。
桃子はこの話を聞き婚活アカウントを見た。
「流産しました。彼に言ったら奥さんのところに戻ってしまうかな!」とあった。写真が添付されていた。桃子が昔、書いたものだった。秘匿アカウントは真守のものだった。婚活アカウントの結末には驚いた!

○桃子は夫を失った。仕事も失い、実家にも戻れなくなった。
真守から離婚届けが郵便で届いた。桃子は離婚届けを燃やした。弱気になって調べると石鹸教室も部長に裏切られ理由もなく閉じられることになった。実家に戻ると兄夫婦が三人の子と住んでおり、ここに自分の居場所がないことが分かった。自分の荷物を整理していて、婚活アカウントに添付してあった自分の衣類が出てきた。帰り道、電車に「うるさい!」とやつ当たりした。(笑)
○桃子は切り開いた床下を掘って流産した我が子の遺品を探した。
缶に納められた衣類が出てきた。桃子はこの衣類を抱いて泣きながら寝た。真守のものを捨てるよう部屋の中を整理した。
義母が訪ねてきたとき、桃子は床下の穴の中にいた。泥だらけの真っ黒な顔で「ぴぃーちゃんに会いたくなって、私に騙す気はなかった。流産したことを言い出せなかっただけ、ここにいたいんです」と話した。真守が「そんなところに猫がいるわけない」という。桃子は「猫じゃない!」と反論した。本当は猫なのかもしれない。義母が穴から子供に靴下を見つけた。そこに警察官が「近所からすごい音がすると通報があった」とやってきた。真守は「リフォームの音です」と答え、警察官に帰ってもらった。
桃子はずっとぴぃーちゃんを探していた。ぴぃーちゃんを探し求める目的は何か?
○義母が「母屋は売る。離れはあなたが好きなようにして良い」と言い出した。
桃子はチェンソーで大黒柱を切り始めた。真守が「俺が全部悪かった」と謝った。桃子が「謝ってもらっても困る」という。真守は「彼女も子供も関係ない。お前と一緒にいたくないんだ。楽しくない、お前が楽しそうにすればするほど楽しくない」と出て行った。真守はお化けと一緒に住んでいたのだった。
○桃子は真守の持物一式を捨てることにした。
ゴミ捨て場に持っていくと火災が起きていた。警官から「下がって!」と止められた。桃子はゴミを捨てて逃げ出した。裸足で逃げ出し、雑貨屋に飛び込んだ。すると店員が「ゴミ捨て場きれいにしてくれありがとう」と片言日本語で言い、履物を渡してくれた。桃子は「ありがとうと言ってくれてありがとう」と泣き崩れた。店員の声はぴぃーちゃんの声ではなかったか?この言葉に桃子は救われたのだと思う。
○母屋は取り壊されたが、離れに桃子はぴぃーちゃんとふたりで住むことになった。
まとめ:
桃子は自分への仕打ちとも思える真守の不倫離婚を断固受け入れない決意で臨んだ。前半、妊活アカウント、ぴぃーちゃん、義母との関係などの謎、火事、ゴミ捨て場などは何のメタファー?(幻覚)、桃子の勝気で不敵なキャラクターが利いてとてもミステリアスで面白かった。
ところが奈央が妊娠していることを知り、決意は大きく後退していく。ぴぃーちゃんの遺品を掘り起こしてからは腰砕け、完全に狂っていた。分けわからなくなってきた。
ぴぃーちゃんの存在は大きい。何ゆえに桃子はぴぃーちゃんに拘る。
ぴぃーちゃんが出来たから結婚できた。ところが奈央に子供ができたことで、激しい嫉妬が生まれ、なんとかぴぃーちゃんを生き返らせたい。これが桃子を狂わせた原因。ぴぃーちゃんへの愛が真守を愛することだった。
何が言いたいのかよく分からなかったが、「愛は嫉妬に変化しとんでもない愛の形になる」なら分かる。
火事!火事!と言うから、桃子役が江口さんだから家を焼くのかと思っていましたが、これは大きな間違いでした。(笑)
江口のりこさんの狂い演技には圧倒されました。真守役が小泉孝太郎さんというのは分からなかった。真守はとんでもない女にだらしない男でしたが、うまく表現されていました。義母役の風吹ジュンさん、ほんわかといい人でした。(笑)
森ガキ侑大監督の最高傑作になりましたね!
「愛に乱暴」とはいかなる意味があるのか?原作を読むと分るのでしょうか?
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