
どこかで出会ったタイトル名?原作が人気作家の東野圭吾さんということで観ることにしました。原作は未読です。
原作は1992年に発表された同名ベストセラー小説。1992年と云えば東野さんも駆け出しの時代。何故これを今になって映画化?という疑問もありました。
とても面白かったです!原作にさらに輪をかけたトリック。飯塚健監督はこれをやりたかった。(笑)ストーリーもミステリーでありながら人情味のある話でおもしろい。さすが東野作品と思いました。
ところが評判が良くない!セリフが多すぎ、目で追って伏線の確認が出来ないうちに物語が展開、1回では分からないという欠陥(利点かもしれない)がある。(笑)出演者が若い旬の役者さんたちというのも年寄りにはきつい。(笑)しかし、しっかりした演技で名前を憶えました。(笑)
監督:飯塚健、脚本:加藤良太 飯塚健、撮影:山崎裕典 初野一英、編集:森下博昭、音楽:海田庄吾、主題歌:WEST。
出演者:重岡大毅、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵。
あらすじ&感想:
〇劇団“水滸”が次回公演のメインキャストを決めるオーディションを実施することになった。
参加者は水滸に所属する6名の俳優たちとフリーの1名。場所は海岸に近いヴィラ。
参加する俳優たちは、
久我和幸(重岡大毅):唯一の“水滸“外から参加、先のオークションに合格しての参加。
中西貴子(中条あやみ):正義感が強い、面倒見がいい。
田所義雄(岡山天音):毒舌で変わりもの、独断的。
元村由梨江(西野七瀬):劇団のマドンナ、劇団出資者の孫。
笠原温子(堀田真由):自我が強い女優。役を取るためなら枕営業も厭わない。
雨宮恭介(戸塚純貴):劇団のリーダー的存在。
ヴィラの1階はリビングとダイニングルーム。2階はダブルベッドのある6個の部屋とプレイルームからなる。部屋は由梨江と温子が同室、他はそれぞれが好きな部屋を選んだ。いくつもの監視カメラが設置されている。見せてくれるが頭に残らない。凝った演出なのですが私には猫に小判だった。(笑)
〇第一日目(2024年3月4日1700~)、温子が絞殺され行方不明に。
オークションに参加した俳優たち。それぞれの部屋を決め整理したのちリビングに集合、そこで劇団の主宰者・東郷から字幕付き音声メッセージでオーディションの内容が告げられた。
「舞台設定、周囲30kmは森でかつ記録的な大雪のせいで外部と遮断。登場人物は若き役者7名。これから事件が起こる。人間がどう動くのか、肝心の心はどう動くかを見せてもらう。事件を解決した者が次回公演の主役だ。主役は探偵を予定、全員平等だ。期間は4日間」というもの。これを憶えておくだけで大変だった。(笑)

主役の探偵役の取りっこが始まる。
レストランで働いた経験のある久我の料理で夕食が始まった。貴子が温子に役のことで嫌味を言ったようで揉めた。皆さんステーク料理を上手そうに食べた。劇団外からの参加者久我には皆さん興味があるようで「好きな役者は、どういう芝居をしたい」と質問が出た。「アルパチーノで、殺し合い」という答えに皆が驚いた。
雨宮が書棚から東郷先生からのメッセージだと「一人ずつ殺されていく話だ」と各自に小説「ある閉ざされた雪の山荘で」が渡された。
久我は本多に「あなたに憧れてオーディションを受けた」と挨拶した。そこで「麻倉雅美さん(森川葵)は3次選考で何故落ちたんですか?」と聞く。本多は東郷先生のイメージに合わなかったんだろう。俳優が口に出すことでない」と答えた。
皆は小説をリビングの椅子やソファーでそれぞれの格好で読み、個室に引き上げた。雨宮が眠っている由梨江を起こし寝室に行くよう促す。リーダーだからか?
温子がプレイルームで電子ピアノを弾いていた。
貴子が近付き温子のヘッドホーンを外し、夕食時のいざこざを侘びると、「何が言いたいの、私が東郷とやったと言いたいの」と激怒。これでふたりが罵り合った。これを久我が見ていた。温子は自分の部屋に戻った。
この時間の各寝室の状況が見取図で示されるがちら見せで、人がいるのかどうか分からなかった。(笑)
〇第二日目、由梨江が撲殺され消えた。
二日目の朝、由梨江が「温子が部屋に戻ってこなかった」と言い出し、大騒ぎに!
東郷の声で事件設定が示された。
温子はピアノの側に倒れていた。首にヘッドホーンのコードが巻き付いていることから絞殺されたもよう。考えよ!犯人は誰だ?
田所が「お前は温子と揉めていた」と貴子を疑った。貴子は「探偵になりたがるお前だ!」と田所を疑った。雨宮は「この中にはいないかもしれない」という。
皆は水滸劇団外からの参加者・久我を疑う雰囲気になった。
久我は貴子を誘って温子の遺体がヴィラ外にないかと探した。井戸を見つけてぎょっとした。次にふたりはプレイルームで温子を貴子が、犯人を久我が演じ殺害実験をした。終わったあと、久我は貴子に「コードはプラグについていた?」と確認、「分からない」の答えを得た。貴子が温子の爪飾りを拾った。貴子がプレイルームを出て行くのを見ていて、部屋の壁が一部鏡であることに気付いた。
夕食時、皆は黙り込んで食事をした。
由梨江が「何時まで仲間を謀り続けるの?」と言い自室に戻った。これを雨宮が追った。田所がこれに嫉妬する。(笑)
久我はひとりキッチンで食器を洗うで本多に「アリバイつくりに一緒に寝よう」と持ち掛け、ふたりは本多の部屋で寝ることにした。さらに久我は由梨江を部屋に訪ね「本多の部屋で寝る、証人になって欲しい」と申し入れた。
久我は荷物を持って本多のところにいくところを田所に見つかったが、久我はこれを無視した。本多とロープで結び合って寝た。(笑)

田所が由梨江の部屋を尋ね「雨宮と付き合っているのか?」と聞く。由梨江が「尊敬はしているが付き合っていない」と答えると安心したように消えた。その直後、停電、フードを被った男が部屋に侵入、鈍器で頭を殴った。
三日目の朝、
雨宮が由梨江の部屋を尋ねると壁に爪で掻いたような血糊が残され、由梨江が消えていた。5人が由梨江の部屋に集まった。雨宮が「考えろ!競えあえ!」という赤いカードを拾った。
東郷の声で事件設定が示された。
由梨江は前頭部を鈍器による打撃痕があったことで撲殺されたと予測される。
雨宮が「これが犯人の動機だ」と拾ったカードを示した。本多が「そうだ!登場人物は俺たち自身、東郷先生はそう云った」と主張した。貴子が「由梨江から相談され困っていた」と田所を疑った。田所は貴子が犯人だと主張、貴子は激しく否定した。

リビングルームに降りた田所が血痕のついた花瓶を見つけ“本物の血だ”と騒ぐ。そこに駆け付けたメンバー。雨宮が「先生が準備したということか?」と聞く。久我が「東郷先生が準備して犯人に由梨江を殺させた、最終選考の芝居と見せかけての犯罪だ」と疑った。本多が「死体はどこか?」と聞くので貴子が皆を井戸に案内した。そこで温子の赤いセーターの毛糸が発見された。貴子は爪飾りを見つけたとき部屋に毛糸は落ちてなかったことを思い出していた。
リビングに戻り久我が「写っているかも知れない」とリビングの監視カメラの影像をモニターにセットした。人を引きずる影像が出て来た。
久我は「東郷先生の仕業と見せかけて温子と由梨江を殺した。動機は分からないが犯人はこの5人の中にいる」と推論した。貴子が「先生見ているんでしょう!女だけ殺されて、井戸まで運べるの?」と声を上げた。田所は「(久我の)自作自演か?」と言い本多も同意した。田所が激しく久我に迫った。久我は「一緒にアリバイを作ったのに」と本多を疑った。
役を得るための戦い、ここまで観てくると、「どう話が繋がっているのか?」、でれでれと続く会話の中で埋もれてしまう。これが悪評の理由だと思います。(笑)実は非常によく伏線が繋がっている。続けます!
雨宮が「もう俺は降りる」と泣いてヴィラを出て行こうとする。
田所が「落ち着け!殺されたのは年明け麻倉雅美に会いに行った由梨江と温子、そこにお前がいた」と雨宮と彼女らの関係を問うた。雨宮は「ただ励ましにいっただけだ」と答えた。久我が「何があった?」と聞く。
貴子と本多が、
「雅美はオーディションを落ちて実家に戻った。雨宮、由梨江、温子の三人が雅美に会った後、雅美は交通事故で半身不随になり俳優はできない」と答えた。
貴子は「雅美のことを考えると舞台に立つのは恥だ」と言い、本多が「役者しかできないし、東郷先生に拾われた。これは芝居だ」と答えた。
雨宮は出て行くのを止め、それぞれは自室に戻った。田所が雨宮の部屋を尋ね「気にするな!」とビールを渡し、小説を読み始めた。
貴子が久我の部屋を訪ねた。
部屋には温子と由梨江の殺害分析、部屋の見取図とカメラ位置図が壁に貼られていた。「カメラは犯人が仕掛けたものだ」という。久我が「誰が犯人と想うか?」と聞くと「水滸のメンバーを疑いたくない。が、役者が嘘つくのが仕事だから」と応えて笑った。

〇第四日目、最終日。雨宮がリビングで絞殺された。
朝、各自が荷持ちを持ってリビングに集まった。雨宮が降りて来ない。
10:00時、東郷の声で事件設定が示された。
雨宮がリビングで絞殺された。これをもち事件は終了、速やかに退出。事件の全容を分かったものは、明日稽古場に来い。
本多が「先生の手の平の上だったということか」と解決不明を匂わせた。久我が「犯人は貴方!」と本多を指した。田所が「昨夜、貴子の部屋で貴子と久我と一緒に寝た、アリバイ作りだ」と影像を見せた。田所は「本当のことを話せ!」と本多に薦めた。
〇本多が「自分が雅美に頼まれ3人を殺したと自白した。
はじまりは久我の受けにきていたオーディションでの出来事からだ。雅美は人生を変えると望んだ「滑車と歯車」のオーディションだった。雅美が「滑車と歯車の差が分かるか?転がるか転がされるかの差だ」とすがる本多を突き飛ばすシーン、とても印象に残るシーンだった。しかし晴美は落選し「努力は報われない世界」と山梨の実家に戻った。雨宮、温子、由梨江が車で雅美を慰めるため会いにいった。
由梨江が「雅美ちゃんの芝居、私は好きで足元にも及ばない」と云ったことに雅美は「何故私が落ちるの?あんたは雨宮と役張りたいといっていた、それで受かった」と激怒した。これに温子が「私はたまたま受かっただけ」と慰めようとしたが、雅美は「あんたは東郷と寝たから受かった、みんな知っている」と言い返した。雅美と温子がつかみ合いの喧嘩が始まった。雨宮が止めに入り、テーブルに顔をぶつけて怪我をした。
雨宮たちは高速道での帰り、温子が「思い出しても腹が立つ」とスマホで「あんたが雨宮を傷つけたのが原因で事故った!分離帯に乗り上げた!」と雅美に電話した。雅美は道路を歩きながらこれを聞き動転。そこに車が突っ込んできた。
雅美は入院、本多が駆けつけて雨宮を叱った。雅美は「半身不随で27歳、人生終わった」と絶望。本多が「足になるから生きろ!」と勧めると「あいつらを殺すなら・・」と答えた。本多は「これを引き受けた」と語った。
〇本多は本当に殺したのか?。
久我は本多に盗聴器を見せ、そこらのコンセットもおかしいと言い、大声で「久しぶり雅美さん」と呼びかけた。雅美が「第3次選考覚えていますよ」と現れた。
久我は「本多さんは雅美を殺せない。殺せば雅美さんも警察行き」と言い、「共犯者がいた。実際は本多さんとの共演者です」という。麻美が「どういうこと」と問うた。
そこに温子がごめんと現れた。由梨江と雨宮も現れた。
〇久我が「出来事をはじめから三層構造になっていた」と説明。
第1は東郷先生による最終選抜が始まったこと。
第2はオーディションを隠れ蓑に本当の殺人事件が起きる。つまり雅美が考えた構想。
第3は本多が3人を芝居で殺した。
このために雨宮、温子、由梨江に「死ぬ気でシナリオを読み、演技しろ」と指示した。東郷先生の声は利用しただけと説明した。
久我はこの結論に至る推論を説明した。
全ての殺人現場が隠れている雅美にマジックミラーとカメラ影像で確認できるように行われた。
温子殺しではプレイルームの鏡(マジックミラー)の利用とヘッドホンのコードがプラグに差し込まれていたか否か。由梨江殺しでは雨宮を代役に立て(久我のアリバイ作りに協力するため)、顔を隠すための電源を切断、花瓶に血液を塗布。ここで大切なことは雨宮が恐怖でヴィラを抜け出そうとしたところを雅美に影像で見せたこと。雨宮殺しは雨宮の遺体がリビングルームの床上を引かれる影像を見せることだった。
伏線がよく繋がりこの推論に至っていることがよく分かります。
本多は久我に「脚本家が書ける!」と云った。
雅美は「嘘だったの!」とナイフで首を切ろうとする。本多が「生きてくれ!」と必死に止めた。久我は「滑車と歯車」での雅美の演技を見て役者を続けることにした。だから生きて欲しい」と声を掛けた。雨宮、温子、由梨江も謝り続けた。そして「もう一度舞台をやろう」と励ました。雅美が「俳優を・・」
田所が「俳優と云えることはまだ最悪でない」と励ますと、雅美が「ここでセイクスピアか!」と泣き笑い。本多が「雅美生きよう!芝居は生かし合いだ、殺し合いではない」と語り掛けた。雅美は「特殊な役しかできない!最高の嘘がつけるかな」と笑い、幕が下りた。カーテンコールで出演者が舞台に。拍手に久我が泣いた。
演出:東郷浩平、作:久我和幸、出演者:・・・・・と公演ポスターが映し出される。久我の脚本による舞台劇だったのか!!
まとめ:
オーデションに落ちた女優・麻美の復讐を伏線に、最終オーデションを利用しての本多による殺人劇。役を競う俳優たちの会話と行動を、監視カメラと建物の見取図を見ながら犯人を追うミステリー。
セリフが多く、監視カメラや見取図の演出も分かり辛く、伏線が読み難い。しかし、じっくりと観ると実によく伏線が繋がっており、久我によるネタばらし「事件は三層構造になっていた」という推論には“なるほど“とカタルシスを感じました。
原作を未読ですが、三層構造までが原作で久我の脚本による舞台劇ということで、三層構造は4層構造になる。さらに脚本が全て嘘の世界かもしれない。観る側の見方で5層構造と言えるのではないか?(笑)
出演者は現実か舞台かで表現法は変わる。とても難しい役ではなかったと思う。森川葵さんの大袈裟な演技が芝居には合っていた。
ミステリーでホラーっぽい作品を期待していましたが違った。仲間を復讐しようとしたが、仲間によって救われるという友情物語。世知辛い時勢にあって生きる世界があるいう結末がよかった。これをミステリーで見せる、面白い作品でした。
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