
「終活」を題材に熟年夫婦の悲喜こもごもをつづった2021年のヒューマンコメディ「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」に続くシリーズ第2弾。
本作は、回春ではない再春、もう回春を終えた人が観る作品、軽い気持ちで、何が云いたいのかと観ることにしました。(笑)
戦後生まれの夫婦がなれなかった自分の夢を叶えようと奔走するドタバタ喜劇。身につまされるようなくだらない話を、熟年の大物俳優さんを揃えて演じて見せてくれました!とても評価が高い!これにびっくりです。(笑)
熟年の方には自分の経験を重ねながら作品を楽しみ、終活についてちょっとしたヒントが貰えるかもしれません。若い人には、作品のなかにとても機智に富んだセリフが出てきますので、これを味わい「人として大切なことは?」と考えることになります!
監督・脚本:香月秀之、撮影:松尾誠、編集:人見健太郎、音楽:MOKU。
出演者:高畑淳子、剛力彩芽、松下由樹、水野勝、西村まさ彦、石橋蓮司、大村崑、凰稀かなめ、長塚京三、橋爪功、他。
物語は、
結婚50年の金婚式を迎えた大原千賀子(高畑淳子)と真一(橋爪功)。ひとり娘の亜矢(剛力彩芽)はキッチンカー運営から高級介護施設の栄養士に転職し、恋人の菅野涼太(水野勝)との結婚も目前に控えている。順風満帆な大原家だったが、ある日、真一に認知症の疑惑が持ち上がる。その一方で、千賀子は若い頃に習っていたシャンソンの恩師の娘・丸山英恵(凰稀かなめ)との出会いをきっかけに、再びレッスンに通い始める。音楽ライブプロデューサーでもある英恵からコンサート出演を勧められて張り切る千賀子だったが、コンサート目前に開催が危うくなり……。(映画COMより)
あらすじ&感想:
冒頭、千賀子が真一と青春を楽しんでいた頃の夢みていた。何の夢だったか?
〇亜矢と涼太の結納納めの席。
仲人の山田(石橋蓮司)とご両人に千賀子が真一を待っているがなかなか現れない。真一は買い物してタクシーに乗ったが結納納めの料亭の名が思い出せない。千賀子は「物忘れが激しい」と痴呆症の疑いを持った。涼太は仏具販売店の営業マン。父親・菅野(西村まさ彦)は介護施設の施設長。
仲人の山田は「これで老後の心配はない」とこの縁を喜んだ。(笑)
〇千賀子は涼太の勧めで“終活活動”を始めた。
涼太が働く葬儀の現場を見た。亡くなった病院からどこに運ぶ、お棺の値段、経費などてきぱきとアドバイスしてゆく。もう死んでも大丈夫だと思った。(笑)
高級介護施設の栄養士・亜矢は絵を描いている男性に出会った。男性は五島(長塚京三)といい、端正で魅力的な紳士の絵画屋さんだった。「パリでは生活だったが、ここでは趣味で描いている」と云った。
千賀子はスマホ教室で終活保険の話を聞いた。これに加入していると認知症になっても大丈夫だというものだった。
涼太の上司の桃井梓(松下由樹)から生前整理の話を聞く。
「人生100年時代、青春時代に叶えられなかったことに挑戦してみては!」と教えられた。千賀子に「若い頃合唱団で歌っていた。シャンソン歌手になりたかった」と思いだした。

千賀子は友だちを誘って納骨堂を見学した。最新の電子テクニックですばらしいものになっていた。値段を聞くと88万円だという。これに驚いた!(笑)
〇千賀子が歌の練習を始めた。
千賀子は昔通った丸山ミュージックスクールに入り、歌の練習が始まった。2年前に丸山先生は無くなっていたが娘さんの英恵(凰稀かなめ)さんが跡を継いでいた。

理佳子(LiLiCo)が家に遊びにきて、「父が老人ホームなら毎日麻雀が出来るとここで亡くなってよかった」と話すのを聞いて、「夫も老人ホームだ!」と考え始めた。(笑)
そんな夫・真一、千賀子の合唱発表会に顔を出しても居眠りばかりだった。(笑)
千賀子は真一にシャンソン歌手として舞台に立つと夫に告白した。
真一に「その日には食事を作るように」と言うと「なんで俺が?」という有様。昭和の男はダメだ。千賀子は真一を介護のデイサービスに通わせることにした。
市役所から専門の方が来て真一の身体機能を調べた。真一は「まるで子供だましいのテストだ」と嫌がったが“要介護1”の判定を受けた。
〇真一が介護センターに通い始めた。
ここで携帯の使い方を憶えた。木村(大村崑)という友を得た。木村は「老人になったら楽だ!何にも欲しくない、91歳だ」と挨拶した。(笑)クイズや将棋をして過ごす。「昼めしは家で食べるよりうまい!」と食べた。(笑)

〇英恵先生が「亜矢が働く介護施設にいる五島は自分の父親ではないかと言い出す。
千賀子が英恵先生を食事に招いた。そこに亜矢が五島から貰った女性の自画像があった。「その女性が母親に似てる」と言い出す。
千賀子はお節介にも介護施設を尋ね五島に会った。五島は「娘は恨んでいるでしょう。私は自分の夢を追いかけたから」という。
千賀子は「自分の夢を諦めた者は再び夢を追い始める。自分の夢を追いかけた者は再び家族を追いかける」と英恵先生に五島と会うことを薦めた。英恵先生は「会い方が分からない」というので娘の亜矢に会うことを薦めた。

亜矢は「昭和の男には褒めること。揚げ足を取らないこと」と教え、父真一の意見を聞くように促した。真一は「喧嘩したほうが良い、あなたの中にあるものをぶつける」と教えた。真一は意見を聞いてくれるのが嬉しかった!
英恵が施設で五島に会った。
英恵は「母は待っていた、なのに何故帰ってこなかった」と話すと「成功したときは夢中だ、歳をとると懐かしくなる。側にいた母さんが懐かしくなる、母さんに献杯してくれないか」という。
ふたりはカオリ(藤原紀香)のスナックで母親に献杯した。英恵は強い酒を何杯の飲んで母を巡り五島と喧嘩し、父を許した。
〇真一はデイサービス施設長の菅野に野球の監督を頼まれた。
真一は引き受けた。菅野は息子・涼太を連れコーチとして参加。真一は中学のころ父親とキャッチボールをしたことを思い出し、監督という夢を味わうことができた。菅野も結婚して家を出るで、息子と最後のキャッチボールだった。

〇千賀子のシャンソン発表会が葬儀会場で行われた。(笑)
会場がスポンサーが降りて中止になるところだったが、涼太の機転で会場は葬儀会場と決まった。
千賀子は化粧し美しいドレス姿で、自分が作詞した“愛の賛歌”を歌った。「100年経っても変わらぬ自分。あなたの側で振り返れば素敵な思い出。永遠に続く愛に私は歌う・・」。

夫の真一がこの日を忘れないで駆けつけ、大きなバラの花束と「夢が叶う」のメッセージを渡した。やっと昭和生まれの不器用な生き方を脱したようだった。(笑)
まとめ:
熟年の3人の再春。再春を、たいしたドラマはないが、この人が演じたらこうなるという俳優さんの力で見せてくれました。
千賀子を演じる高畑さん、シャンソンを歌ってみたい。夫の橋爪さんはこれまで見せたこともない愛情を示すという、夫婦の絆を確信する話。これが遺言や墓の準備以上に大切なこと。自身はデイサービスに通い新しい友に恵まれ健康に過ごす。“持て余す人生”に生を見つけた。いい話でした。嫌味を言いながら、時にユーモアたっぷりで愛嬌のある橋爪さんの演技、愉快でした。同じ昭和生まれの男としてこんな人生を終わりたいですね。(笑)
家族を捨ててフランスに絵を描きに行った五島。長塚京三さんは端正な姿でなるほどと見せてくれました。「敵」(2025)は観ていませんがどうだったでしょうか。歳を取り日本に戻り、実の娘と再会し酒が飲める幸せ、最高の人生だったという。が、自分の夢ばかりを追うという自己中な昭和の男でした!(笑)
施設管理者の菅野。息子の結婚を機に再婚。息子とキャッチボールして送り出す。人生最後まで働くというこの生き方が最高でした。西村まさ彦さんの誠実で優しさに溢れた演技がすばらしい。
たわいもないドラマですが、熟年の俳優さんたちがいい演技を見せてくれました。
さて自分はどの再春を取るか?と考えさせられました。
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