マイクロフォーサーズを使い始めて 3 年ほど経ちました。
最初は特にマイクロフォーサーズがどうこうとか調べずにコロナ禍のリモート打ち合わせでウェブカメラを使うよりも一眼を使う方が面白そうだと思って Amazon の蔵出しセールで GH4 を購入したところから始まりました。このときフィギュア撮影は使用用途にはまったく入っていなかったのに何故か今はフィギュアを撮っています。生きてると何が起こるかわからないね。
GH4、GX7MK2、G9 PRO と乗り換えていますが特にパナソニックが好きというわけではないですし、オリンパス(OMDS)が嫌いだということもありません(オリンパスにはマウントアダプターの互換性問題はありますが)。たまたま当時自分が気に入ったのがその機種だったというだけです。
フィギュア撮影 9 割、その他 1 割くらいの偏った使い方をしていますが、これからマイクロフォーサーズ機でフィギュア撮影を始めようと思っている人向けに個人の感想を書いておきます。動画撮影については触れません。
普段はマイクロフォーサーズでこういう写真を撮っています。
「フィギュア撮影にはマイクロフォーサーズがいい」という言葉を鵜呑みにしてはいけない
「フィギュア撮影にはマイクロフォーサーズがいい」という人がいます。
マイクロフォーサーズを実際に使っていて本当にそう思うから勧める人、自分はフルサイズや APS-C ユーザーでマイクロフォーサーズを使ってないのに勧める人、色々います。
周りにマイクロフォーサーズユーザーが少ないというのもありますが、フィギュア撮影にマイクロフォーサーズを勧める人はみんなフルサイズ使ってる気がします。これ自分はリッター車に乗ってるのに「ドライブには軽自動車はいいぞ」と言っているようなものです。
確かにマイクロフォーサーズが得意とする被写体にフィギュアが含まれているとは思いますが、フィギュア撮影にマイクロフォーサーズがベストな選択だとは私は思いません(私はカメラはなんでもいいと思っている派)。
ワンダーフェスティバルなどのイベントに行けばわかりますがマイクロフォーサーズを使っている人はほとんど見かけません(最近少し見かけるようになったかなというぐらい)。メーカーの宣材写真もマイクロフォーサーズで撮られているものなんてまず無いでしょう。そういうこと。
マイクロフォーサーズを使えばいいフィギュアの写真が撮れるならみんな使ってますよ。フルサイズや APS-C よりも安いわけだし。
マイクロフォーサーズがフィギュア撮影に向いていると言われるのは下記のような評判から来ているのだと思います。
- 小型軽量
- 被写界深度が深い
他にも価格が安いとか手ぶれ補正が強力とかありますが、今はフルサイズでも Nikon Z5 のように低価格のものがありますし、手ぶれ補正も撮影に適したシャッタースピードの選択ができれば問題ないと思います。
(オリンパスの手ぶれ補正はガチ)
フィギュア撮影で小型軽量はメリットなのか
マイクロフォーサーズが小型軽量と言ってもフルサイズや APS-C とはハンドガンとアサルトライフルほどの差はありません。三脚を使って撮るなら大きさや重量はそこまで気にならないでしょう。野鳥撮影など超望遠が必要になってくるとレンズの大きさや重さが段違いなのでマイクロフォーサーズの利点が活きてくるかもしれませんが、フィギュア撮影に 300mm とかバズーカみたいなレンズを使うことはまずないでしょうし。小型軽量がフィギュア撮影においてのメリットならそれはスナップやポートレート、登山などあらゆるシーンでメリットなんですよね…。
「小さいもの撮るならマイクロフォーサーズがいいよね!」とかも聞きますがそれも別に…って感じ。小さいものを撮影するのに適したレンズ使えばいいだけの話だと思います。世の中のフィギュアよりも小さい宝石や腕時計を撮ってるカメラマンがみんなマイクロフォーサーズを使っているわけでもないでしょう(人によっては使ってることもあるのかもしれませんが)。
マイクロフォーサーズもバッテリーグリップとか付けたらフルサイズと大して変わりませんし、パナソニックの G9II なんてフルサイズ機と同じサイズです。ボディサイズならソニーの α7C とかの方が小さいかもしれませんし、フジは APS-C ですが X-M5 のような小型の機種もあります。ミラーレスの時代に小型軽量はもうセンサーサイズというより機種の差ではないでしょうか。
夏ワンフェスくらいの規模で開場から閉場までひたすら撮影するなら軽量が効いてくるかもしれませんが、周りを見たらリグ組んでフラッシュを複数個付けてる人とか 70-200mm みたいなそこそこ大きなレンズ付けて撮ってる人、一眼レフを使っている人など色々います。カメラが重いというなら筋トレしましょう。大きいカメラでこそ得られる快感もあります。
一部機種を除いてマイクロフォーサーズが小型軽量なのは確かですが、本当に小型軽量を求めるなら今の時代はスマホを買った方がいいです。Xiaomi のスマホとか。
「被写界深度が深い」はフィギュア撮影においてはメリットとは言えない気がする
「マイクロフォーサーズは被写界深度が深い」というのはフルサイズや APS-C と同じ絞り値で比較した場合の話ですが、フィギュア撮影においてはマイクロフォーサーズのメリットとは言い難いのではないかと思います。
被写界深度についてはカメラに入門した人が難しいと考える部分で、マイクロフォーサーズならなおさら悩ましいことでしょう。例えばマイクロフォーサーズで 50mm 開放値 F2 のレンズを使うとフルサイズの 100mm F4 相当の画になります。しかし、このときの被写界深度はフルサイズや APS-C で同じ距離から 50mm F2 のレンズで撮っても同じで、異なってくるのは画角です。また、フルサイズや APS-C で同じ画角にしたとしても 1 段または 2 段絞ればマイクロフォーサーズと同じような画になります。この辺の話は長くなるので他のサイトで調べてもらった方がいいでしょう。
一般的なレンズの F 値は上限が F16〜F32 くらいまでだと思いますが、F16 より上は回折現象によって画質が低下してくると思います。この世のあらゆるレンズのことを知っているわけではありませんが標準的なレンズだとよく写るのは F5.6〜F11 の間くらいではないかなと思います。(開放からバッチリ写るものもあるのでレンズによってまちまちだとは思いますが)
マイクロフォーサーズであればフルサイズ機で回折現象が発生してしまう F16〜F32 を F8.0〜F16 という美味しい範囲の絞りで再現出来るので画質や光量の面でメリットとなることはあります。しかし、フィギュア撮影ではフルサイズ機でも開放から F16 くらいまでしか使わないと思います(使用するレンズや撮影距離、フィギュアの形状、どこまでピントを合わせたいかにもよります)。私は普段 1/7 スケールくらいのフィギュアをフルサイズ機で 100mm 前後のレンズ、撮影距離 1 m くらいで撮りますが F8〜F16 くらいまでしか絞りません(このときの被写界深度はだいたい 5〜10 cm です)。
なのでフルサイズで回折現象によって画質が低下してしまう F22 や F32 まで絞るようなことが無いのであればマイクロフォーサーズの「被写界深度が深い」というのはアドバンテージにはならず、逆に「ぼかせない」というデメリットなだけなのではないでしょうか。
なお、シャッタースピードを固定とした場合は下記のように設定すればフルサイズや APS-C でもマイクロフォーサーズとほぼ同じ画になります。
| センサーサイズ | 撮影距離 | 焦点距離 | F値 | シャッタースピード | ISO |
|---|---|---|---|---|---|
| マイクロフォーサーズ | 1m | 50mm | F2.8 | 1/60s | 200 |
| APS-C | 1m | 約 65mm | F4 | 1/60s | 400 |
| フルサイズ | 1m | 100mm | F5.6 | 1/60s | 800 |
「ISO 上げたら画質が劣化するじゃないか!」という方もいるかもしれませんが、そこはセンサーサイズの大きさを活かした高感度耐性でなんとかなるんじゃないですかね。
「ISO と絞りが固定ならマイクロフォーサーズの方が明るくシャッタースピードと被写界深度を稼げます!」というような記事を見かけたこともあるのですがなぜ ISO と絞りを固定する必要があるのか謎です。
フルサイズや APS-C でも 1 段なり 2 段絞れば同じことが出来るのに多くの人が被写界深度が深いということをマイクロフォーサーズのメリットとして語ります(マイクロフォーサーズのメリットを頑張って捻り出そうとした結果そうなったのかは知りませんが)。風景撮影ではこれが活きてくることもあるかもしれませんが、先に説明した通りフルサイズで F16 より絞るようなことがなければマイクロフォーサーズのメリットとは言い難いのではないかと私は思います。
「絞り過ぎないのがいい」なんて話も聞いたことがあるようなないような気がしますが…どういうことなんでしょうね。
フルサイズや APS-C で換算ではないマイクロフォーサーズと同じ焦点距離のレンズを使ってクロップしても同じような画になります。「クロップすると画素数が…」という人もいるかもしれませんが、これについては自分が何万画素まで必要なのか一度調べてみるといいと思います。現状一番大きなサイズで写真を載せられる主な SNS は filckr とかになると思いますが、全員が全員ノートリミングで掲載はしてないですし、Twitter もきちんと設定しなければ長辺 2048 px(約 419 万画素)に自動的にリサイズします。設定したとしても上限は 4096 px(1,677 万画素)。 Instagram なんかだともっと低画素でいいでしょう。私はよくカメラやレンズの画質調査のために色々なところの写真を見て回るのですが 4K 以上の高解像度で掲載されているのは稀です。
一眼カメラを初めて買ったときはスマホなんかでは出せないボケが楽しくてついつい開放ばかり使ってしまいます。そういった点ではマイクロフォーサーズの「ぼかせない」は買って後悔する原因になるかもしれません。
画質面では確実に劣るが多くの人は気にしていない
マイクロフォーサーズは(拡張を除く)最低感度の ISO 200 でもノイズが多いためフルサイズ機と比較して解像感は劣ります。私はイベントでの撮影は ISO 上限を 400(環境によっては 800)にしているのですが、今では Lightroom の AI ノイズ除去と RAW ディティール機能が欠かせません。
リサイズやシャープネス、ノイズリダクションなど色々と手間をかければフルサイズの画質に近づけることは出来ますが、画質を優先する場合は最初からフルサイズを使ってしまいます。
私は 2,000 万画素クラスのマイクロフォーサーズ機を使っていますが画質的に満足出来るのは 3,000 px ぐらいにリサイズしたときです。4096 px はフルサイズ機と比較するとディティールの面で見劣りする感じがします。
この辺の画質の話は自己満足の世界で、マイクロフォーサーズを使っているからこそ気になる部分だと思います。すべての人がフルサイズとマイクロフォーサーズ、スマホの見分けが付くかと言うと NO でしょう。SNS においても 2048 px でアップロードした写真が 4096 px でアップロードされた写真に劣るかと言うとこれも NO です。
デコマスだと面相が手書きだったり塗装も繊細だったりしますが、量産品の場合は目はプリントですし塗装もそれなりなのでよく比較されるダイナミックレンジがどうのこうのとか色の再現性がどうのこうのとかも気にならないと思います。
フィギュア界隈では画質がどうこうよりも被写体や写真の面白さが評価されるので画質に関しては気にしなくて良いと思います。
参考までに下記の記事で 23 年前(2002 年)に発売されたカメラで撮った写真を掲載しています。
フィギュア撮影は最新カメラの機能をほとんど使わない
これは別の記事でも書いたんですが、フィギュア撮影ってフィギュアが動くわけでもないので人や動物などの撮影と比べて断然簡単です。
イベントでは AF 性能や手ブレ補正、暗所性能が関わってくることもありますが連写やプリキャプチャーみたいな機能も必要ないですし、お高いカメラ買っても画質が良いというメリットがあるくらいではないでしょうか。
画質を求めると結局高いレンズを買うことになる
これはマイクロフォーサーズに限った話ではないです。
マイクロフォーサーズはレンズのラインナップはそこそこ豊富なのですが、小型軽量重視の設計で画質は二の次になっているような感じがします。センサーサイズの小ささを活かして収差や周辺減光の少ないレンズを出して欲しいところですが低〜中価格帯のものにはそういったレンズはあまり無い気がします(マイクロフォーサーズマウントのレンズあまり持ってないから本当に気がするだけ)。
画質を求めるとオリンパスの PRO レンズとかになってしまい高額で大型化します。それでもフルサイズ用よりは安価で小さいけど。パナソニックだと LEICA DG シリーズになりますが、経験上 LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm は別に画質が良いとは思わないのであまりお勧めはしないですかね。
マイクロフォーサーズのレンズは寄れるには寄れます。被写体を大きく写せるかどうかは撮影倍率を見ますが、マイクロフォーサーズの場合はズームレンズで
0.3倍(0.6倍:35mm判換算)
とかです()
フルサイズと比較するとレンズの価格はかなり安価だと思います。マイクロフォーサーズならマクロが必要なシーンでもズームレンズ一本で済ませられることもあるでしょう。
私が普段使用してるズームレンズは OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ですが、フィギュア撮影ではこれ一本あれば十分な感じです。
AF の速さについては速い方がいいのは当たり前ですが、フィギュアは人や動物みたいに動かないので遅くてもなんとかなります。
4:3 という比率がフィギュア撮影には合っていることが多い
マイクロフォーサーズは名前の通り写真の比率が 4:3 です(3:2 に変更したりすることもできます)。
直立しているフィギュアだと 3:2 でも良いのですがフィギュアは形状が様々で、個人的には 4:3 の方が収めやすいと思ったシーンが結構あります。
4:3 という比率が好きだからマイクロフォーサーズを使う人もいるようです。
オールドマクロレンズとの組み合わせがフィギュア撮影に合う
これは少々特殊な話になります。
フィルムカメラ時代は 50mm 前後のマクロレンズが豊富にありました。これがマイクロフォーサーズでは 100mm 相当のレンズとして使えるためフィギュア撮影には非常によく合います。物によってはマウントアダプター含めて 1 万円でお釣りがきます(参考までに Canon New MACRO FD 50mm F3.5 だと中古相場 5,000 円くらいです)。
しかし、ほとんどが MF 専用のレンズで AF が使えない、新品では買えない等、難点も多々あります。今では様々なホームページやブログサービスが終了してしまいネット上の情報もだいぶ少なくなってしまいました。
「いやいや、19xx年のレンズが今のレンズに勝るわけがないだろう」という方もいるかもしれませんが、キットズームレンズよりはマシに写るものもあります。しかもマイクロフォーサーズだとフルサイズ用レンズの美味しいレンズの真ん中部分が使えるんですね。
現状では私のマイクロフォーサーズの楽しみ方はこのオールドレンズとの組み合わせくらいしかなかったりします。
中古で入手しやすいオールドマクロレンズを下記の記事で紹介しています。
合うカメラを選ぶのではなく撮影技術を上げる努力をする
「重いことを理由に写真を撮らなくなってしまっては意味がないから小型軽量の…」とか「フルサイズならフィギュア以外でも通用する」とか「写真は機材で決まるわけじゃない」とか YouTuber や知り合いの意見を聞いているときりが無いと思います。
フィギュア撮影に向いているカメラなんてものは無いと思います。なんでもいいよ。
フィギュア撮影はライティングや構図、レタッチで劇的に写真が変化します。カメラではなく照明関連の機材やレタッチに力を入れるのも大事ですし、面白いです。ボケも今ではソフトウェアの処理で出せたりもしますし。
どんなカメラを使っていてもピンボケしていたり手ぶれしてるような写真はいい写真とは言えないので練習は大事です。
カメラとしてはどうなのさ
これに関してはパナソニックもオリンパスも良く出来てると思います。私は今のニコン Z シリーズより好きですね。
「あの機能が欲しい」とか「ここはこうして欲しい」と思うことはありますが、それはこれらのメーカーのカメラに限らずあることです。
メニューに関してはパナの方がわかりやすいかなと思うのですがオリンパスの方も少し使っていればすぐ慣れました。というかオリンパスのメニューめっちゃ細かいです。
外観はパナの方が一眼レフの頃から使っているカメラのような印象(つまり普通)。オリンパスの方はフィルムカメラのような印象があり、手に持ったときの剛性感というかバランスが良い気がします。フィギュア撮影云々を無視してカメラとして親しみやすいのはオリンパスの方かも。あとシャッター音もオリンパスの方が好き。
パナの方は唯一無二のピクチャーインピクチャー(PinP)機能があるので特徴で、これがフィギュア撮影には非常に役に立ちます。ピーキングもパナの方が見やすいかな。
マイクロフォーサーズというとどうしてもセンサーサイズを比較されるので印象が良くなかったりしますが、カメラとしてはどちらのメーカーの機種もよく出来ていると思いますよ。
マイクロフォーサーズに未来はあるのか
どうなんでしょう。スチルはオリンパス、動画はパナソニックという感じでまだ続くのではないでしょうか。
「マイクロフォーサーズなんてスマホと画質変わんないでしょw」とか「マイクロフォーサーズはオワコンw」という人もいますが、カメラの楽しみは画質だけではないのであまり気にしなくてもいいかなと。
こんな駄文を書こうと思ったのは「マイクロフォーサーズ フィギュア撮影」で検索してもほとんど情報が出てこなくて寂しかったからです。まぁフィギュア撮影っていうのもニッチだしね…。
マイクロフォーサーズでもフィギュア撮影は楽しめるよ。(でも私は買うならフルサイズを勧めます)
YouTube で面白いマイクロフォーサーズの動画があったら教えてください。
あとは暇ならマイクロフォーサーズで撮った写真でも見ていってください。
それでは。