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『ストレンジ・デイズ』

もう何回目だろう、再読。

今回印象に残ったのは反町のほう。ある日、何も手につかなくなって仕事にも行かず家で酒を飲む反町。妻子は実家に帰す。ふと立ち寄ったコンビニで、トラックドライバーのジュンコに出会う。ジュンコとやりとりするようになってから、愛していた子どもの無邪気な反応にも興味を示さなくなる。

圧倒的な才能に出会うと、それまでのすべてが陳腐化する。ジュンコに出会ったことで、反町がそれまで仕事でやっていた、それなりに売れるバンドをプロモートすることをゴミだと思う。ゴミみたいなバンドに、音楽のことを何も分かっていないゴミみたいな観客が盛り上げる。すべてがクソだ。こんな無意味なことをオレはこれまで仕事としてやっていたのか。犯罪である。

ジュンコはトラックドライバーという仕事にしっくりきていた。女優がやりたいかどうかは分からない。だけど、演じることに関して圧倒的の天才性を持つ。

こういう条件のとき難しいな。自分の熱量がそれほどない場合。だけど才能はある。なんか、進学校にいて、たまたま東大にいけるくらい勉強ができて、自分にとってはなんなくできるから普通のことなんだけど、でも教師たち学校側は、こういうときリーダー的存在にまつりあげてしまうんだよな。勉強ができるからってどうして他のことまで背負わせようとするのか。

深いレベルで自分のことを理解してくれる反町に、ジュンコで映画を作りたいと言われる。そのためには資金が必要で、ジュンコはロールプレイと呼ばれる性的な演劇のバイトをしなくてはならない。とはいえジュンコはロールプレイがきらいではなかった。

まぁ、タイトルどおり、ストレンジな日々ではある。村上龍は何が書きたかったのだろう。にしても、村上龍はどうしてこんなにいろいろなことが分かるのだろうと本を読んでて思った。たとえば、本人の顔を見てしゃべるよりも、その横の空間を見てしゃべるほうがより効果的なのだとか。本当にそうなのかは知らないのだけど。アメリカでは、自分がやりたいことのために、すべてを犠牲にしてしまえる。家を売ってしまうとか、家族を犠牲にするとか、そういったことは普通のことらしい。

村上龍こそ、圧倒的な才能があると素人でも分かるし、村上春樹なんかは、自分と違って真下に油田を持っているなんて形容していた。ところが、村上春樹は継続して小説を書き続けているが、龍のほうはいつの間にか小説について聞かなくなってしまった。最近出た『ユーチューバー』は全然面白くなかった。

村上龍のほうは、なんか極めて時代的な小説家という感じがする。バブル前後の、あの時代の不気味さと危うさを、小説というかたちで鮮やかに表現した小説家という感じ。現在は現在で、表現してはいるが、『ユーチューバー』では、鮮やかさが失われているような気がする。

 




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