著者が、一ヶ月日雇い労働者として働いたルポ。泊まるのはネットカフェや簡易宿泊所。
これ、一ヶ月という区切りがあるからこそできたんだろうな。彼以外の日雇い労働者は、終わりのない日雇い労働者として働き、だからこそ醸し出される雰囲気が違う。著者は、なんだかんだ楽しんじゃってる。毎日銭湯に行って、ビールとつまみをたしなみながら、普段と違う日常を経験している。
自分も派遣社員として一ヶ月ばかりテーマパークで働いたことがあるが、寮は汚いし狭いし、従業員は理不尽に怒鳴るし無視するし、リゾートバイトとは名ばかりのクソ仕事だった。初日で辞めたいなと思ったが、一ヶ月という区切りがあったから続けられた。
日雇いで、誰でもできる仕事しかなく、スキルも身につかず、仕事も毎日あるわけではない。生活をどうにか維持できるくらいの日給。一日単調な、時間の進まない作業をやって9000円前後の給料。病気になれば、とたんにホームレスへと転落する。この本はコロナ前に書かれた本だが、コロナのときネットカフェ難民はどうなったのだろうか?
日雇い労働者になると誰とも喋らなくなるらしい。職場に集まるのは多くが日雇い労働者で、来たり来なかったりだから、正社員と違って毎日顔を合わせるわけではない。だから仲がよくなることもない。
東京に2週間滞在していたときのことを思い出した。たしかに誰とも喋らない。ある意味で、すごく楽だった、けど同時に疎外感めいたものを感じた。東京はすごく特殊な空間で、テレビの観覧とかアーティストのライブとかその他もろもろ、東京にしかないものやことがたくさんあってそれはそれで楽しいのだが、夢とか東京でしかできないことがない人にとっては、すごくしんどい場所だなと感じた。観光で行くのはいいが、住む場所ではない。満員電車など、すべてが人であふれ、しんどい。
著者はさすがライターというか、ホームレスに話を聞くときにも、アルミ缶とか缶コーヒーとか、相手にとって重すぎない差し入れを渡して雑談めいたインタビューをしている。
彩図社の本、アングラな感じのルポが好きで、ブックオフで仕入れてはよく読んでいる。ゆるいとはいえばいいのかな、著者の性格というか本性がダダ漏れしている。本書では、著者の日雇い労働者を見下すというか、哀れに見ている感じが全編にわたって続いていた。うだつの上がらない日雇い労働者への軽蔑。うーん、まぁそうだな、でもみんながみんな、なりたくてなったわけじゃないわけで。