一気読み。今年読んだ本のなかでナンバー1。
これは本当に素晴らしいノンフィクションだった。ノンフィクションを一気読みしたのは初めてかもしれない。いやー、本当に素晴らしい。
長崎の対馬という田舎なのに、日本一の顧客獲得を成していたJA職員の西山義治が、ある日海に車ごとダイブして絶命する。その背景にあった巨大な不正を暴いた一冊。
著者が多くの関係者へのインタビューを進めていくなかで、西山が絶命するへ至った背景が徐々に明らかになっていく。西山の集めていたマンガ『ワンピース』のフュギュアと関連させ、この巨大な不正の「ワンピース」が終盤で明かされたとき、「あぁ…」と嘆息した。
一人の人間が自殺しているから不謹慎ではあるんだけど、とても面白かった。事実は小説より奇なりという諺は、この作品のための言葉といっても過言ではないくらい、よくできた実話だった。
この作品は『地面師』みたいに映像化されるべき作品で、巨大な不正、犯罪が、なぜ巨大になってしまうのかが、とてもわかりやすいかたちで記されている。本当に見事だと思う。
もちろん西山が諸悪の根源なんだけど、悪というものは往々にして単体で自立しているわけではない。それを支える者、煽てる者がいるからこそ、悪は大きくなっていくのだ。そして、その悪を生み出す土壌を、われわれ一人一人が育んでいるのだとしたら?一体、誰が誰を裁けばいいのだろう?
おそらくこの事件に限らず、同じようなスキームの巨大な不正や犯罪は、あちらこちらにあるはずで、政治犯罪とか巨大企業の不正ってだいたい『対馬の海に沈む』と同じなんだろうと本を読んでて思った。
ネタバレするとあれだから、とにかく読んでみてほしい。そして、ネットフリックスかTBSの日曜21時のドラマでやってほしい!