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波長が合う人の本を読むのがいい

pha『パーティーが終わって、中年が始まる』を読み終わった。

本当に、すごくよかった。

波長が合う人の本を読むのはいい。会ったこともなければ、やっていることは自分とは全然違うのだけど。

根幹のところというか、価値観が似通っている人の本はいい。かゆいところに手が届くというか、本を書く人はもちろん言語化するのが自分よりはるかに得意だから、あ〜分かる、そうそうそういうことを考えていたんだとか、そういうことも考えられるなとか、自身の価値観への解像度を上げてくれるのだ。

自分の世界への自分の理解って、案外茫洋としていて、なんとなく分かっているけど、なんとなく分かっていない。だから、波長の合う人が、代わりに自分の世界をうまく言語化してくれるから、ありがたいよね。

phaさんは京大卒の元ニートで、シェアハウスの運営をやったりしながら、現在40代。はてなブログもやっている。この本は、40代に突入して自身の価値観とか生活が若いときからどのように変化したかが詳細に綴られている。

読んでて、20代30代のときと40代ではこんなに変わるものなのかと驚いた。phaさんは20代のころからシェアハウスを運営し、たくさんの人が緩やかにつながる場をつくってきた。自分のハウスに常に誰かがいるのが当たりまえだったのが、40代に入って共同生活を送るのが年下ばかりになってきて、そろそろ卒業かなと思ったのだという。これまで若いからという理由でなんとなく許されてきた怠惰が、周りに年下が多くなってきて、ちゃんとしないといけないのかなと思わされるしんどさのようなものを感じた。そして一人暮らしを始めると、もう他人と暮らすのはしんどいとなったらしい。あれだけ好きだった散歩や旅行もなんだか心の底から楽しめなくなってきたらしい。

 

まじかー、こういうことが起こるのかー。

30前半の自分は今やっといろんなことができるようになってきて、身につけた知識とか技術が有機的に結びついてきて楽しい。一方で、年々人づきあいが煩わしくなってきて、どんどん自閉的な感じになっている。他人と関わるということは、その分だけ一人の時間を搾取されるということであり、誰かと会わないといけない予定ができると何日も前から憂鬱な気分になる。自分もphaさんのように、年を取ると何かが変わってしまうのだろうか?

40代まではまだ時間があるが、自分には人生をぬるっと生きている感覚があり、いつの間にかぬるっと40代が来そうな感じがある。phaさんは、人生に薄皮一枚挟んだ感覚があり、フィクションを生きているように感じるのだという。現実を生きている感じがない。

分かるなぁ。でも、仮に就職して結婚して子どもができてみたいな一般的な普通の人生を送っていたとして、その人生にちゃんと現実感があるのかと言われれば、それはどうなのかとも思う。自分がそういうルートをたどっていたとしても、就職してしばらくしたらたぶんダメになっていただろうと思う。自分には今のルート以外を歩んでいたら人生の落とし穴にハマっていた自信がある。今のルートが最高の人生とはいえないけど、これ以外の人生では自分が潰れていた気がする。人生にifはないから断言できないけど。

 

考える内容を頭に入れたままで他のことをしていれば、そのあいだに無意識の領域で問題が整理されて、解決に向かっているはずだ、としんじている。

そうしているうちに、ふと、何かが降りてくる。あれとこれを組み合わせて、こういう順番で並べていけば形になるのでは、というアイデアが浮かぶ。

その瞬間、頭がしびれるような快感がある。光る水が脳の隙間を流れていく。これだ、これを待っていたんだ。

そして、テンションを上げて集中しながら、一気に文章を書き上げる。書いているあいだじゅうずっと、脳が気持ちよくてしかたがない。至福の時間だ。これを味わうために自分は文章を書いているのだ。

この楽しさに比べたら、世界にある他のすべてのこと、人間関係とか社会とかなんだかんだは、全部どうでもいい。 P29

 

全部、分かる。自分も一度だけそれが起きたから。あれのために、すべてを投げ出してもいいと思っているし、はてなブログもそれが起こることを願って始めたのに、あれが起きてから十年近く、一度も起こらない。悲しい。

それが何度も起こるphaさんでさえ、年齢のせいなのか、そういうことができなくなってきたらしい。まじかー。もしかしたら、自分はもう一生来ないかもしれないそれのために、人生を費やしているのだろうか。もちろん、人それぞれ、40代どころか50.60代で創作を始める人もいるのだからわからないけれど。

 

とまぁ、phaさんは40代に入って、さまざまなものを喪失しつつあるのだが、どんな人でもそうした喪失に対する絶望をも抱えて死ぬまではとりあえず生きていかなくてはならない。一読者としては、この本を読んだことで、自分も覚悟しておかなくてはいけないのだなと思うことができた。

 




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