今日は県立図書館で宇沢弘文についての講演会があったので聴きに行ってきた。
講演会は午後からだったので、昼前に腹ごしらえにイオンモールに行ってはなまるうどんの鶏ネギ塩うどんを食した。イオンモールは、日曜でイベントもあったからかごった返していた。家族づれがとても多かった。一人で行ったので、なんだかとても惨めで恥ずかしい気持ちになった。うどんは美味しかった。
宇沢弘文のことはほぼ知らず、宇野弘蔵と勘違いしていた。宇野弘蔵もほとんど知らないが。
宇沢弘文は、40歳までは数理経済学者として世界トップクラスの経済学者だったらしい。シカゴ大学の教授をつとめる。同僚にも教え子にも、よく聞く学者が並ぶ。普通に数理経済学を続けていれば、ノーベル経済学賞を受賞していたくらいすごい研究者だったようだ。
ところが、反戦運動などで自分の周辺がきなくさくなり、このままアメリカにいていいのだろうかと悩み、1967年日本に帰国。東大で教鞭をとる。敗戦後の日本は驚異的な復活で豊かな国になっていた、しかしその裏で公害問題が起こる。宇沢は日本各地を見聞し、数理経済学では社会問題を扱えないとし、新しい経済学を志向する。40歳以降は社会思想家として、社会的共通資本の構築を目指す。
最近はテレビでもおなじみの斎藤幸平も、宇沢をよく本で引用する。宇沢の社会的共通資本は、入会地やコモンズといった、みんなで環境を管理していく、そういう資本のことをいう。そこには、大気や森林などの自然環境や、道路や水道などのインフラ、教育や医療などの制度資本がある。こういった内容を講演会で聴いた。
思想としては素晴らしいと思うが、じゃあこれを現実で実現できるんですかという批判がどうしても生まれる。宇沢だけじゃなくて、斎藤幸平にしても、他の学者たちの言うアイデアにしても、すべからくそうで、言ってることは素晴らしい、だけど、ここには人間の愚かさは含まれていない。戦争はダメってわかってても戦争するし、環境破壊はダメってわかってても環境破壊する。
自分は竹やぶや山林を管理しているからよくわかるが、宇沢や斎藤幸平はどれほど管理することが大変なのか知ってて言っているのだろうか。竹やぶ管理してると、身体中があざや傷だらけになる。管理がものすごく大変だけど、食っていけるほど金にはならないから、日本全国放置竹林、山林だらけになっている。そういう状況で、しかも管理のノウハウも継承されていない現代人が共同でこういった資本を管理していけるとは思えない。
昨日たまたま読んでいた『〈絶望〉の生態学』には、宇沢のことはでていないのだけど、今日聴いた講演の中でも触れられていたハーディンの「コモンズの悲劇」やオストラムの『コモンズのガバナンス』も触れられていた。
ハーディンの「コモンズの悲劇」。これは、牧夫が羊を放って、羊が少なければ牧草は十分に再生するけど、たくさん放牧すると当然牧草は足りないから過放牧状態になってしまうという悲劇を扱う。牧夫は、それぞれの羊に放牧して草を与える。牧夫は自分の利益のために行動する。だから放牧するのだが、みんなが自分の羊のことだけ考えて放牧するから、結果過放牧状態になり共倒れになってしまうという悲劇。地球は限りある資源しかない。そういう状況のなかで、人間は現在地球に80億人いて過放牧状態にある。
この本が面白いのは、脱炭素とかSDGsとか触れずに、人間の数を減らすことを考えている点だ。
脱炭素とかSDGsというのは人間の活動をどうにかしようという話だが、人間の数を減らすというのは存在の話だ。個人的に、環境問題にしろ、戦争や格差などの問題にしろ、問題はすでに人間の活動ではなく存在にあると思っている。だから、人間が何をしようとしたところで、人間の愚かさや既得権益などのしがらみを鑑みれば、もう解決は不可能で、人間の数を、存在そのものを消していくしか方法はない。
こういう考えから、環境問題解決のために、人間の数を減らすあるいは絶滅することについて宇沢は言及していないのかと質問したが、宇沢はそれについては考えていないということだった。
講演会が終わって、少し歩いてマクドナルドに行った。図書館からマクドナルドに行くまでに商店街を歩いた。人がまばらで、商店街は半分以上シャッターが閉まっていた。日曜の昼下がりだというのに!この商店街は、駅から県庁まで伸びる2キロほどの大きな商店街なのだが、客はほぼすべて、郊外のイオンモールに吸収されているようだ。
講演会の最初で、トマ・ピケティの富裕層と貧困層の格差について触れていたが、イオンモールと商店街の格差がちょうど富裕層と貧困層の対比を象徴しているようで悲しくなった。しかも、富裕層は快適な環境を求めることができるが、貧困層は劣悪な環境から逃れることができないと講演会のレジュメにある。イオンモールと商店街も同じで、イオンという巨大な資本は儲けられなくなったら地域から撤退することができるが、商店街は昔からそこに住んでいる人たちがやっているからそこから逃れることはできないのだ。恐ろしい。
さらに恐ろしいのは、イオンは商店街だけでなく別の大手小売店やネット通販とも競争しているわけで、イオンさえも勝者ではない、あるいは勝者であっても激烈な競争で疲弊している。これが資本主義なのだ。永遠の椅子取りゲーム。結局、破滅するまで資本は膨らみつづけるしかない。
その後、ブックオフに行ってカイジを読んだ。カイジとハンチョウの闘い。ハンチョウは本編ではクソだが、一日外出録ではめちゃくちゃ面白いんだよなー。利根川もしかり。充実した一日だった。