鎌倉駅から観光客で賑わう小町通りを抜け、若宮大路の脇道を入っていくと途端に閑静な住宅街になります。古き良き鎌倉の街並みが残る一帯。そこにひっそりと佇む一軒の古民家。

ここは大佛次郎(明治30.10.9~昭和48.4.30 小説家)が、客人をもてなすために昭和27年に取得した鎌倉の別邸「旧大佛次郎茶亭」で、屋敷は大正8年に建てられた物なのだそうです。

大佛没後、遺族によって管理されるも次第に維持するのが困難になり、解体の危機が囁かれましたが、令和2年に大佛次郎保存会により継承され大規模修繕も施され、今の姿に再生されました。

鎌倉を愛し鎌倉に長く住んだ大佛。長谷の大仏の裏辺りに住んでいたことから「大佛次郎(おさらぎじろう)」というペンネームも付けられました。鎌倉では大仏辺りを「おさらぎ」というのだそうです。

粋人であった大佛が、客人をもてなすためにしつらえたこの茶亭は、

古き良き古民家の佇まいの中に、風雅な風情が漂います。

大佛はここで文学者のみならず、役者、芸術家、科学者などなど、様々な分野で活躍する人々をもてなし、

互いの見識や表現に、磨きをかける交流を深めていたのだそう。

もう現在は残念ながら取り壊されてしまいましたが、この茶亭の道を挟んで向かい側に、かつては大佛の自宅があり、執筆や生活はそちら側で行われていたのだそうです。


「大佛茶亭」は、現在「カフェ大佛茶廊」として一般開放されていて、

土・日のみの営業ですが、お抹茶やコーヒーなどとともに、美味しいお菓子をいただくことが出来ます。

今回は、「冷し抹茶セット」をいただきました。
お菓子は、茶亭のすぐ近くにある鎌倉の老舗和菓子屋「美鈴」さんの「若鮎」というお菓子。涼やかな美しい和菓子ですね。

風鈴の音も涼やか。

茅葺屋根と数寄屋建築が合わさったお屋敷。

藤棚もあり、藤の花咲く季節はさぞかし美しいのでしょう。

粋を凝らした庭と建物は、きっと四季折々に素敵な表情を見せてくれるのでしょう。季節を違えてまた来てみたくなります。

表通りの喧騒とは、打って変わった異次元の世界。


心が洗われるような清々しく趣のある茶亭です。古都保存法の基盤を作った大佛。こんな空間が、ずっとずっと残ってくれたらいいなと思います。

旧大佛次郎茶亭
神奈川県鎌倉市雪ノ下1-11-22
営業時間 季節により変動
営業日 土・日曜
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