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「分野別・争点別ITビジネス判例・事例ガイド」上梓のお知らせ

このたび、倉﨑伸一朗弁護士、世古修平弁護士との共著、「分野別・争点別ITビジネス判例・事例ガイド ―システム開発・知財活用・データ利用―」が第一法規から出版されました。

私にとっては、「システム開発紛争ハンドブック」「ITビジネスの契約実務」に次ぐ3冊目(一章だけ担当したものなどは除く*1。の本です。

お茶、チョコレートバー、紙マッチ、テキストの画像のようです

新刊の「分野別・争点別ITビジネス判例・事例ガイド」は、書名のとおり、ITビジネスに関わる判例、事例を1件2-4頁程度で紹介するもので、全部で130件ほどが収録されています。こうした試みは、私のブログ「IT・システム判例メモ」で15年ほどかけてコツコツと行ってきたものですが、本書は、全部書き起こしであり、かつ、2章(知財)を倉崎さん、3章(データ)を世古さんに担当していただき、判例・事例の選定から担当していただきました。

本書の宣伝を兼ねて、「はしがき」の全文を引用します。

はしがき

私が弁護士登録したのは2008年12月だが、翌2009年2月からITビジネスに関わる裁判例を簡単に紹介する記事を自身のブログに書き始めた。何本か溜まったところで、同年12月に「IT・システム判例メモ」という独立した別ブログに移した(略)。当初は誰が見ているのかもわからず、暗闇に向かってメモを放り投げるような感覚だったものの、平均すると1年あたり20-30件ほど書き続け、2024年12月24日現在、379件の裁判例を掲載している。平均すると今でも1日数百件のアクセスがある。

世の中の人に見てもらうというよりは、業務上必要に迫られて調査した事例や、業界内で話題になった事例を読んだ自分用のメモを、恥を覚悟で公開していたものである。このような場当たり的なセレクションで、重要判例を網羅しているわけでもなく、今となっては目も当てられないクオリティの記事もあるものの、自分用に作ったメモだけに、準備書面を起案するときや、セミナーの準備をするときなど、何度かこのブログを書いた自分に助けられた。

冒頭から自分語りが長くなってしまったが、多くの事例に触れることは、トラブルやサービスの適法性に関する相談を日常的に受ける弁護士や法務担当者にとっては重要で、結果や対応方針の「当たり」をつける際には、こうした先例と、目の前の事案を比較検討することが欠かせない。例えば「仕事の完成」(請負契約)、「創作的表現」(著作物)や、「特定個人の識別」(個人情報)などの具体的な論点を想起していただければ、裁判所や、相手方や、依頼者・相談者を説得する際に、具体的事例が頭に入っているか、当該事案に近い先例の分析ができているかどうかが重要であることを理解いただけると思う。

本書は、こうした事例に触れる際の最初のきっかけとなることを期待して執筆している。主にITビジネスに関わる事業者(システム開発業者、SaaS等のウェブサービス運営者のほか、ゲーム、スマートフォンアプリ提供者)や、その利用者がよく遭遇すると思われる論点にかかわる事例を簡潔にまとめ、論点ごとに整理したものである。第1章では「システム開発」に関する裁判例を、第2章では、著作権、商標などの「知的財産」に関する裁判例を取り上げている。そして、第3章では、個人情報、プライバシーを中心としたウェブサービスに関わる事例を取り上げている。各事例には、事案と論点、判断部分の紹介と、執筆担当者から見た「ポイント」から構成されている。このポイントは、当該事例の特徴的な部分や、実務上の注意点のほか、裁判所や実務慣行に対する批判や疑問など、執筆者の自由な意見も含まれている。

本書は、冒頭で述べたブログがきっかけとなって生まれたことは間違いない。しかし、単なるブログを焼き直し、再編集したものではない。執筆陣には、私が第1章を担当したほか、シティライツ法律事務所の同僚である倉﨑伸一朗(第2章担当)と、法律事務所LEACTの世古修平(一部を除き第3章担当)の2名が加わり、事例の選定から行っていただいた。特に世古先生からは、個人情報保護法を中心とする規制法に関わる分野は、「裁判例」が少ないことから、行政庁の判断(処分、勧告など)や、不祥事が起きたときの第三者委員会の調査報告書や、マスコミによる報道や、企業によるプレスリリースなども事例に含めることをご提案いただき、特に第3章は、ここ10数年の個人情報、プライバシーに関わる事件簿として、読み物としても興味深い構成になったのではないかと感じている。

本書の執筆は、それぞれの領域の担当者が分担して行い、それを他の執筆者が批判的に読んで意見をするということを繰り返したものの、基本的には執筆者の個性を重視している。事例の選別、各事例に割り当てられた限られた紙幅の中で取り上げるべき論点や、「ポイント」などあらゆる場面で、執筆者の関心が現れているのではないかと思われる。そのため、事案の評価については、異なる意見もあると思われるが、そうした議論が活発化すること自体が、本書の狙いであり、批判も含めた読者の意見を歓迎したい。

本書の執筆中に、中田裕康東京大学名誉教授・一橋大学名誉教授『判例研究のスタイルと役割』(NBL1274号15頁)に接した。この論説は「判例研究を執筆することは容易ではない。判決を精読し、根気よく調査し、感覚を研ぎ澄まして考え抜き、自らがもっているものを総動員して評価しなければならない。あるいは、長年の経験に基づく洞察によって判決に潜んでいる貴重な示唆を掘り当てる必要がある。読みの深さ・鋭さ、広い視野からの知見、新しい視角などを含む優れた判例研究は、今後とも読者に喜びをもたらすことだろう。」と結ばれている。この結びを読んで、私は背筋が伸びたものの、残念ながら本書は、目的が異なるという言い訳を抜きにしても、中田先生が述べられているような優れた判例研究の域には程遠いものである。しかし、各執筆者は少しでも読者の実務に役立つものを届けたいという気持ちで、各自のもっている知識、経験を総動員して執筆しており、ITビジネスの法務に関わる方々に、本書がわずかでも役に立てればこれ以上の喜びはない。

(略)

2024年12月
著者代表 伊藤 雅浩

先に刊行した2冊は、幸いにも、いずれも改版することができました。本書は、これからどんどん新しい事例が積もっていくことは間違いないので、過去の2冊以上に改版の必要性、重要性は高いと思われます。改版の機会が得られるだけの評価が得られることを祈っております。

*1:一部を執筆したものとして『Q&Aインターネットの法的論点と実務対応〔第2版〕』(ぎょうせい、2014)、『技術法務のススメ〔初版〕』(加除出版、2014)、『著作権法判例百選〔第6版〕』(有斐閣、2019)、『知財法務を知る』(有斐閣、2024)など




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