諸事情あって、トリを飾ることになりました。シチョウです。6年目です。5年目から宇治キャンパスで研究してます。なので、例会やシェアハウスに通って漫画を読む機会も激減し、代わりにTVerやDアニをはじめ、ジャンルを問わず配信ばかり観ています。それで最近気づいたんですが、どのコンテンツの、どのジャンルも2割くらいは面白いやつありますね。ただ、8割はあんま面白くないですね。なので、最近は、一切の事前情報を排してサムネイル(といえばいいのか?)だけで視聴し、面白い2割を引き当てれるかゲームをやってます。当たったら嬉しいです。外れたら悲しいです。ちなみに今年のコンテンツだとこれが一番面白かったです。この記事のことをまだ忘れていない、年末年始休みとかに、「シーズン1」と合わせてどうぞ。
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とか言っていると、「ほならね、自分が作ってみろって話でしょ?そう私は言いたいですけどね。」との声がどこかから聞こえてくる。なので、上2割の、面白いモノ考えます。そこで今回は、「バトル漫画」に挑みたい。仮にも漫画読みサークルに6年いる身として、それ以前からジャンプを読んできた身として、筆者は人並み以上には「バトル漫画」について見識を有しており、どのレベルの面白さなら上2割なのかについては、重々理解している。また、そもそもバトル漫画自体が、年端もいかない、右も左もわからない少年少女を相手にするため、それほど新しいモノを提示しなくてよい、「迫力がある」、「熱い」などの、褒める際の定型句が存在しており、雑に褒めやすすぎるなどの理由で、粗製濫造甚だしいジャンルであるので、今一度、筆者が「本当に面白いバトル漫画」を提示する必要性があるように感じる。以下は筆者の思考の軌跡である。
先人に学ぼう!
まずは、どういった「面白いバトル漫画」を志向するかというところから考えたい。これについては、偉大な先人に学ぶのが最も早い。
舞台を設定しよう!
さて、「キャラクターに目的を付与し、その手段として戦闘せざるをえない」舞台を用意するのが次の目標である。ここでまず考えたいのは、「どのような目的を付与するか」である。これについては、今年最も面白かったコンテンツに学びたい。
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番組のコンセプトであり、同時に出演する芸人に与えられた任務は「閉鎖空間から脱出する」、それだけ。しかしながら、「コイツならこうやって動くだろう」を念頭に計算された、各芸人に対応した仕掛けの数々、それらの仕掛けが機能した際に出来上がる映像のインパクト。「面白い」を通り越して気持ちよさすら感じる、最高の番組だった。あるいは、「脱出する」というモチーフ一点に絞っても、「SAW」『約束のネバーランド』など、このモチーフを軸として成立する作品は数知れず。そこで、ここでは「閉鎖空間からの脱出」をコンセプトとしたい。
次に、「どのような密室で、どのような条件で脱出するか」を考えたい。まず、「一部屋に全員閉じ込めて脱出」はルールとしてあまりに寂しいので、「各キャラをそれぞれ部屋に分け、各部屋での勝利がある条件を満たせば、全員脱出」としたい。次に考えるべきは、全体での勝利条件だが、これについては、以下のボドゲの勝利条件を引用したい。

まずキャラクターは2チームであり、最初は、各マスにそれぞれ一人ずつ収容されている。バトルは各マス内で行われ、所定の条件を満たせば、そのマスは勝利チームのマスとなる。この勝利マスが一列に並ぶor5マス成立をもって、チームの勝利が確定し、当該チームの全員が脱出可能となる。
ここで問題となるのは、各マスにおいて「何をもって勝利と見なすか」である。

確かにカミィの言う通り、この手のゲームを考えるあるいは遂行するにあたって、勝利条件は極めて重要であるが、これについては「どのような展開が盛り上がるか」とセットであるため、後での考察に回したい。
基本戦略を考えよう!
いよいよ話の展開を考えるべきところだが、その前に考えるべきは、話の筋となる、基本戦略である。

これは、各マスが寄与する列の数を表しており、これを見れば真ん中のマスが4列に寄与している、極めて重要なマスである一方、その隣のマスは2列にしか寄与しない。つまり、マスの間で、重要度に差があることがわかる。これを踏まえて、撮れる戦略は以下2つであろう。
- 強キャラを寄与するマスが多い順に配置
- 一列に強いキャラを固め、その列は死守
下図は、それぞれの戦略に合わせたキャラ配置である。

☆が各チームの最強キャラ、◎は準最強格、○がそこそこ強めのキャラ、といった配置である。以下では、左側の戦略をとるチームを●、右側の戦略をとるチームを○で表現し、展開を考えていきたい。
展開を考えよう!
いよいよ展開を考えたい。まずは、面白そうな展開を列挙する。このルールの中で可能な、パッと思いつくところでいうと、
- 最弱駒が最強駒の足止め
- マスを超えた範囲攻撃
- あえて長時間の攻撃
- ゲーム自体を壊して、全員で離脱
辺りか。とはいえ、シンプル戦闘も必要だろうし、作りやすい部分から考えたい。まずは、
- マスを超えた範囲攻撃
か。
これについては、「HUNTERxHUNTER」10巻が重要な示唆を与えている。

殺し技の一つ、ヨコヌキをヒントに、「出口は一つ」というノブナガの先入観を逆手にとって、ゴンをキルアが幻影旅団のアジトを脱出するシーンである。これを踏まえ、「マスの外は攻撃できない」という認識を逆手にとって、両端を攻撃、というのはアリに思う。両端マスの敵も、その方向からの攻撃は想定していないので、容易に勝利できるだろう。文字だけではつたわりにくいであろうことから、筆者の想定を下図に描く。

こうすることで、攻撃によりマスの間に穴が空き、白チームは2人が敗北するので、右列3マスはつながった状態で、黒3対白1となり、一気に不利になる。そこで、残る白1の真の能力が発動する、とかが面白い展開だろう。
次に、能力を考えよう。これをやるためには、●[1, 2]の能力が同時に複数を一瞬で攻撃できる能力である必要があろう。「HUNTERxHUNTER」でいうと、この能力にぴったりなのはフランクリンだろうか。

次に、〇[1, 2]の能力を考えたい。1列で全勝されると戦いは終わるので、[0, 2]と[2, 2]を●に取られた以上、○[1, 2]には勝ってもらわなければならない。ただ、そのためには●[0, 2]、●[1, 2]、●[2, 2]を同時に倒す必要がある。こういう芸当ができる能力といえば、パープルヘイズ辺りだろうか。

個人的には戦闘の際の能力についてはハンタ縛りがしたいのだが、1対多特化でこそ輝く感じの念能力が思いつかなかった。
かくして、

という最終結果および、「一度勝敗が確定したマスは覆らない」というルールが確定した。ここで考えたいのは、●[1, 2]が他のマスを攻撃するに至る根拠である。ここで再び『大脱出』を参考としたい。『大脱出』では各部屋に電話ボックスが設置されており、金を払えば各部屋間の通話が可能となっている。ただ、「通話が可能」というのは、最初から明らかな情報ではない。ここで、各マスの勝利条件の話に戻りたい。あと、勝利による特典も考えたい。
思うに、「情報共有できる」というのは、何事においても非常に重要である。ここから、勝利特典は、「情報を共有できるようになること」とかが妥当だろう。そう考えれば、勝利条件も自ずと決まる。例えば、黒チームはトランシーバーの本体を、白チームは電池を携帯し、これを組み合わせることで、自ら情報を送ることが可能となる、とかはいかがいいだろう。情報を送るためには、同じマスの相手が持つアイテムが必要であり、手にするためには相手を倒すしかない。あと、勝利条件は、勝利した旨をトランシーバーで申告、とかがいいだろう。最初に電池だけ持たされていて、真っ先に相手を倒した奴が、相手の持ち物を物色する過程でトランシーバーを発見し、それで喋れど何も動かず、ボソっと「俺、勝ったんだけどな…」といった瞬間に勝利が確定したことが周知される、とかが面白いかもしれない。全マスにスピーカーが設置されており、トランシーバーを起動すれば会話が筒抜け、というのも絵面としては面白いだろう。
ただ、これだけでは、●[1, 2]が「壁を壊せる」と判断するに至る根拠にはならない。そこで、もう一つ、勝利の特典を加えたい。「隣同士のマスで同じチームが勝利した場合、その間の壁は崩壊する」。先に一列リーチがかかった状況となり、その様子がトランシーバーを通じて分かれば、「壁は壊せる」という結論に至るだろう。そのためには、隣同士のマスで同じチームが勝利する状況が必要である。ここで、先ほどの、☆とか◎とかの図に戻ろう。

[0, 0]と[0, 1]がいずれも、右側が格上であることにお気づきだろう。ある程度は番狂わせがないほうがようだろうから、ここについては早々と白チームが勝利することとしたい。あと、普通の密室の近接戦闘もあったほうがいいしね。
このマスのキャラの念能力を考えたい。思うに、ハンタ世界で密室の近接戦闘最強はヒソカ、最弱はヂートゥであろう。

エリア内のどこにバンジーガムを張っていいヒソカにとって、密室はホームと呼んで差し支えあるまい。この条件なら、クロロ相手でもピトー辺りが相手でもヒソカ無双が見られるはず。あと、真っ先に倒して、勝利条件に悩むとか、似合いそう。逆に、ヂートゥについては、狭めの密室内にさらに密室作ってどうすんねんという感じ。こういう、読者が外側からツッコむ感じのおふざけバトルもあってよさそう。なので、○[0, 0]はヒソカ、●[0, 1]はヂートゥで決まり。
何はともあれ、

ここまでは決まった。丸内の番号は、勝敗確定の時系列順。次は、
- 最弱駒が最強駒の足止め
を考えたい。これが最も活きるのは真ん中のマスである。一列勝利を目指す白チームにとっては、黒チームが真ん中マスを得るのは阻止できれば、相当優位に運べる。要は、敗北さえしなければいいわけなので……。だから、○[1, 1]は勝負を放棄する系の能力がいいんだが、これが似合う念能力者なんかいないんだよなあ……。強いて言うならノヴか?四次元マンションにこもっときゃいいし。ただ、ノヴって別に戦えないわけではないしなあ。マラヤームの念獣みたいなのがいいんだよな。あれはたぶん一定の密室で発動するんだろうが、その空間を自在に操れるようにすればいいのかなあ。
ともかく、真ん中のマスは勝敗がつかない状況になるのは確定。

残り3マスの展開を考えたい。ここまでくれば、リーチの掛け合いみたくして、話に緊張感を保ちつつ、最後の1マスの勝敗が決まるまで引っ張りたいので、面白パターンは1つに絞られる。なぜなら、この状況だと、黒チームが5マスで勝利するためには全勝する必要があるからだ。ところが、黒2マス連続勝利だと、最終マスまで勝負がもつれこまないので、話の流れを考慮すれば、黒チームは一列勝利にせざるを得ない。もっと言えば、下一列以外では不可能である。また、次の一手で白のリーチにしたいので、これらを考慮した話の展開はこのようになる。

まず、[1, 0]を白が獲ることで、左1列のリーチがかかる。そして、[2, 0]を黒が獲ることで、ラスト1マスを白が獲れば5マス勝利、黒が獲れば1列勝利となり、最後まで勝負がもつれこむ。それぞれの最初の思惑とは逆になっているのも、話の流れとしてかえって美しい。
念能力を考えよう。まずは[1, 0]について。勝利条件をはじめ、既に情報は十分集まっているので、倒すというよりは、ただ勝利条件を遂行することに特化した能力が望ましいだろう。そこで、「トランシーバーに電池を入れて、勝利を申告さえすれば勝利」という点に注目し、「相手を、トランシーバーを置いてこの密室から追放する」ことが可能な能力を考える。

ホワイトゴレイヌで自身と念獣の位置を、ブラックゴレイヌで相手と念獣の位置を入れ替え可能。そこで、ブラックゴレイヌを密室の外に放ち、「自身と念獣の位置を入れ替えるだけ」と相手に思わせながら防御に徹しつつ、時機が来れば相手をブラックゴレイヌと入れ替えてマスの外に飛ばし、自身は残された相手の服や荷物の中にあるトランシーバーを悠々と奪取、といった芸当が可能だろう。服とか荷物ごと飛ばすんじゃね?と思われそうだが、服を残すか残さないかのオプションくらいはあってはず。あと、このオプションがあれば同人誌が盛り上がりそう。
そして、[2, 0]について。これは、一定の時間をかければ最強になるタイマン系念能力が望ましい。

このプロファイルに最も適合するのは天上不知唯我独損(ハコワレ)か。以上より、○[1, 0]はゴレイヌ、●[2, 0]はナックルが、それぞれ勝利でいいだろう。
さて、これで残るは[2, 1]だが、ここまでくれば、黒が勝っても、白が勝っても、あるいは第三の選択肢、つまり、ゲーム自体の破壊あるいは離脱でも、面白くなるので、ここでは議論しない。個人的には、オイトとクラピカみたいなのがやりたいけど、ここまで来れば、因縁の清算みたいなバトルでも全然面白いだろうしね。


あるいは、結託してゲームを壊そうとしてるのを、そのマスの外側の、勝ちが決まったやつらが呼び掛けて阻止しようとする、とかもアリかも。
まとめ
以上が、筆者が考える「本当に面白いバトル漫画」である。完成したバトル漫画を、行間を補完しつつ、振り返ろう。
0. 目覚めると、殺風景な空間の中に放置されていた。空間は密室。部屋にはもう一人。部屋の隅にはスピーカー設置されており、二人の真ん中にはルールブックらしきものが。曰く、
「君たちは閉じ込められている。脱出したければ、目の前の敵に勝利し、同じチームの他人を勝利させよ。同チームが一列あるいは5人勝利で脱出が可能。」とのこと。(この段階で、自分がどのマスかは判明済み。)
なお、これら9x2=18人とは別の場所に、黒チーム、白チームのそれぞれ1人が閉じ込められおり、彼らが脱出できる否かは同チームが勝利条件を満たすかにかかっている。『大脱出』でいうクロちゃんポジとでもいえばいいか。各マスに各キャラをどう配置するかは、彼らが決めた。
1. [1, 1]マス戦闘。と思いきや、○[1, 1]が亜空間転移(?)を行ったため、決着つかず。
2. [0, 0]マス戦闘。○[0, 0]ことヒソカ、難なく勝利。倒した相手のポケットを物色し、トランシーバー発見。電池を入れて、しばらく喋るも、スピーカーにそのまま流れるだけで、音沙汰無し。うっすら自マスのスピーカー以外からも同様に、スピーカーの声が聞こえるので、他のマスにも流れていそう。ぼそっと「勝ってるけど、面倒だなあ」とこぼした瞬間に、[0, 0]マスが白く染まり、勝利が確定したことが周知される。これにより、「勝利の申告」が勝利条件であることを皆察する。
3. [0, 1]マス戦闘。●[0, 1]ことヂートゥ、状況設定と能力の相性があまりに悪く、無様に敗北。勝利した○[0, 1]ニキが勝利を申告した瞬間、[0, 0][0, 1]間の壁が崩壊。これも周知。
4. [:, 2]マス戦闘。●[1, 2]ことフランクリン、壁を壊せることを察知。聞こえてくる声から、隣マスの敵の居場所を推察し、ダブルマシンガン。○[0, 2], ○[2, 2]同時撃破。これにより、[:, 2]マスはつながり、黒3:白1の構図に。
5. ○[1, 2]フーゴ。パープルヘイズ発動。●[:, 2]を全員倒す。
6. [1, 0]マス戦闘。○[1, 0]ことゴレイヌ、ブラックゴレイヌで相手の身体だけ追放し、勝利。
7. [2, 0]マス戦闘。●[2, 0]ことナックル、ボットクリンがトリタテンに変化し、相手を無効化。勝利。
8. どう転んでも面白くなるであろうことから、言及しない。
以上、「こうすれば面白くなるはず」を念頭に、比較的ロジカルに、バトル漫画を考えてみた。上2割の面白さはあるんじゃないかなぁ?これ面白いと思った編集者がいたら、連絡ください。漫画家になります。絵は描く予定ないです。とはいえ、これについては最近論文投稿とか国際会議とか修論とかで忙しいからというのはあるので、もしかしたら頑張るかもしれません。