朝早く目覚めたら、また枕元で「にゃあぁぁ…」とお呼びがかかった。
ちょっと顔を上げたら、黒いわたあめみたいな丸いものが、もちもちと動いていた。

…ゴマさん。
彼は非常に時間に厳格なねっこである。
きっかり朝6時に「にゃぁぁー」「ゴロゴロゴロ」という鳴き声とともに、ご飯を所望する。
夜も18時半を過ぎれば、にわかにソワソワしだして、それでも何も与えなければ、台所までやってきて「にゃあ?」といいながら何かしている。
「ごはんをくださいっ」オーラを全開にしているのが、ひしひしと伝わる。
中1の長男と小5の次男も、成長期腹ペコ怪獣なので、そんな腹ペコ軍団を満たすため、どうにか何かをこしらえる(猫さんはただ盛りつけるだけだが)。
明らかに我が家の消費量は増えているというのに、下がらない米などの値段にはため息が出てしまう。
しかし、ため息や文句を零したところで何かが値下がりすることはないわけで。
「じゃあどうする?」と考える。
野菜や米は近くの産直で買うとか、行くスーパーと頻度を固定して余計なものを買わないとか、地味だが出来ることを、地道にする。
そういえば、先日「米は買ったことがない」ととある偉い方が発言して物議を醸していた。
結局地位を追われることになり、あらら、という感じだったが、個人的には「米買ったことない」発言は今回初めて聞いたフレーズではないなぁと思った。
既に退職していなくなったかつての上司が、定期的に放つセリフだったからだ。
「俺は地域で色々なことをしていて、地域の信頼が厚いから」
「俺くらいの人間になれば」
…という趣旨のバリエーション豊富な枕詞のあとに
「…だから、俺は米を買ったことがないの。買わなくても自然と集まるの。」
…と、つながる。
おお、話題の政治家さんと一緒だ!
既視感!
この上司以外でも、比較的年上の知人(どちらかというと男の人)から「米は買ったことがない」というフレーズは時々耳にしてきた過去から、私の中では、このフレーズは「田舎のマウントの一種」としか思っていなかった。
ものすごく大雑把にまとめるなら
自分や、自分の家は地域や社会ときちんと繋がっているんですよ
貴重な米を無償でもらえるくらいの、ポジションを確立していて、頑張っているんです
だから、私の存在を認めてください
という気持ちの表れなのかと。
エリマキトカゲのエリマキみたいなもの?
件の政治家さんも、批判にさらされてもしかしたらストレスがたまったり、自信をなくしかけたりしていたのだろうか。
それで、「米は買ったことない」という、過去に成功体験がある虚勢を張ったら、社会情勢を見誤って完全に空気読めない発言になってしまったのかなと、やや気の毒かつ、冷ややかな目で見てしまった。
田舎のおっさんの虚勢なら、「ハイハイスゴイデスネ」で済むが、国を動かす人の発言となるとそうはならないよなぁ、と。
耳にタコが出来るほど聞いたフレーズが全国でバズって(?)いればいるほど、そんな淡々としたことを思ってしまうのだった。
さてと。
…私に出来ることは、まずは身近な大事な人の毎日を穏やかに維持すること。
色々なことが起きるけれど、必要に応じて上手いこと受け流しながら、また朝を始めていく。
そろそろ本当に空腹マックスなゴマさんのお世話から始めようと思う。