以下の内容はhttps://m-hiyama-second.hatenablog.com/より取得しました。


テレスコープ構成

口頭での説明が不十分だったので、誤解をまねくかも知れない。若干比喩も混じえてテレスコープ構成を説明する。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\op}{\mathrm{op}}
\newcommand{\hyp}{\text{-} }
\newcommand{\In}{\text{ in }}
\newcommand{\A}[1]{\langle{#1}\rangle } % Angular
`$

イテレーション

「イテレーションを繰り返す」は日本語として奇妙だが、繰り返す作業の1回分を(ソフトウェア開発の習慣に従い)イテレーションと呼ぶ。イテレーションの通し番号は 1 からにする。

  • イテレーション1
  • イテレーション2
  • イテレーション3
  • ‥‥

イテレーション内部での手順をサイクルと呼ぶ。サイクルは堂々巡りでなくて、1イテレーションで1段階の進捗があるので、全体として螺旋状に作業が進行していく。

テレスコープ構成のイテレーション内のサイクルは:

  1. 入力(2つの圏)を受け取る。
  2. 前層をひとつ作る(あるいは選ぶ)。
  3. その前層にグロタンディーク構成を施す。
  4. できた圏(ファイブレーションのトータル圏)を成果物とする。

ここでの前層は“広義の前層”で、ターゲット圏は集合圏でなくてもいいし、共変関手でもいい。

イテレーションへの入力は2つの圏であり、イテレーションの出力(成果物)も圏である。入出力も明示してサイクル手順を再度書くと:

  1. ソース圏 $`\cat{C}`$ とターゲット圏 $`\mathbb{V}`$ が与えられる。
  2. 前層 $`P : \cat{C}^\op \to \mathbb{V}`$ を作る。
  3. グロタンディーク構成により、$`\int P`$ を作る。
  4. 圏 $`\cat{C'} := \int P`$ を成果物とする。

次のイテレーションでは、圏 $`\cat{C'}`$ が入力となる。それとは別に、ターゲット圏 $`\mathbb{V'}`$ も与えて次のイテレーションを開始する。

上記の(サイクルの)手順がすべて揃ったイテレーションを仮に完全イテレーションと呼ぶことにして、グロタンディーク構成をせずに、前層を成果物とするときは不完全イテレーション。最後のイテレーションだけは不完全イテレーションが許されるが、最後のイテレーションが完全イテレーションでもかまわない。

つまり、テレスコープ構成全体の成果物は、前層でも圏でもOK。型理論では、最後は不完全イテレーション、代数では最後も完全イテレーションが多い。

混乱ポイント

次の二点が混乱の原因になるだろう。

  1. すべてのイテレーション(のサイクル内で)、関手圏から対象を選ぶ(関手を作る)操作がある。
  2. 最後のイテレーション(第nイテレーション)では、グロタンディーク構成はしなくてもよい。そのときは、関手を成果物とする。

特に n = 2 のとき、第2イテレーションでグロタンディーク構成はしないなら、関手を選んで(作って)終わり。

依存型理論では、シグマ型を繰り返し適用するのは普通なので、任意の長さのテレスコープ前層が自然に出てくるが、組み合わせ幾何の文脈では、「(1)組み合わせ構造の定義 (2)幾何構造や線形代数的構造の付加」の二段階で終わってしまう場合がほとんどのようで、脚注より:

長さ 2 だけなら、テレスコープ前層を持ち出すのはオーバーキルだったかも知れません。

長さ2の具体例

イテレーション1:

ソース圏は以下の圏。

$`\quad \xymatrix{
0 \ar@/^1pc/[r]^\sigma \ar@/_1pc/[r]_\tau
&1
}`$

$`\mbf{graph}`$ と置く。

関手圏 $`\mbf{Graph} := [\mbf{graph}^\op, \mbf{Set}]`$ を考える。関手圏 $`\mbf{Graph}`$ から選ぶ対象(関手)は次の有向グラフとする。

$`\quad \xymatrix{
A \ar@/^1pc/[r]^a \ar@/_1pc/[r]_b
&B
}`$

事実上 $`\mathbf{graph}`$ と同じで confusing だが、上記グラフの固有名を $`\mbf{G}`$ とする。(イジワルな例だ。)

$`\quad \mbf{G}: \mbf{graph}^\op \to \mbf{Set}\In \mbf{Cat}`$

$`\quad \mbf{G}(0):=\{A, B\}\\
\quad \mbf{G}(1):=\{a, b\}\\
\quad \mbf{G}(\sigma): G(1) \to G(0) \In \mbf{Set}\\
\quad \mbf{G}(\tau): G(1) \to G(0) \In \mbf{Set}
`$

グロタンディーク構成は $`\mbf{P} := \int \mbf{G}`$ 。ファイブレーションは

$`\quad \pi : \mbf{P} \to \mbf{graph} \In \mbf{CAT}`$

$`\mbf{P} , \mbf{graph}`$ は共に有限圏だから、具体的な絵を描ける。

イテレーション1の成果物は以下の図の $`\mbf{P}`$ 、記号は「半単体集合〈単体的有向高次グラフ〉のグロタンディーク構成」参照。

$`\mbf{P}\\
\quad \xymatrix{
{}
&{(0\mid A)}
&{}
\\
{(1\mid a)} \ar[ru]^{\A{A, a, \sigma}} \ar[rd]_{\A{B, a, \tau}}
&{}
&{(1\mid b)} \ar[lu]_{\A{A, b, \sigma}} \ar[ld]^{\A{B, b, \tau} }
\\
{}
&{(0\mid B)}
&{}
}`$

もっと直感的・簡潔に描けば:

$`\mbf{P}\\
\quad \xymatrix{
{}
&{A}
&{}
\\
{a} \ar@{|->}[ru]^{\mrm{src}} \ar@{|->}[rd]_{\mrm{trg} }
&{}
&{b} \ar@{|->}[lu]_{\mrm{src} } \ar@{|->}[ld]^{\mrm{trg} }
\\
{}
&{B}
&{}
}`$

イテレーション2(不完全)

ソース圏は $`\mbf{P}`$ 、ターゲット圏は $`\mbf{Set}`$ 。

共変関手圏 $`[\mbf{P}, \mbf{Set}]`$ を作る。関手圏の対象は、グラフ $`\mbf{P}`$ の頂点と辺への集合割り当てと、$`\mrm{src}, \mrm{trg}`$ への写像割り当て。

関手 $`\mbf{F}`$ (固有名)を定義する。

$`\quad \mbf{F} : \mbf{P} \to \mbf{Set} \In \mbf{CAT}`$

$`
\quad \mbf{F}( (0\mid A) ) = \mbf{F}(A) := \mbf{Z}\\
\quad \mbf{F}( (0\mid B) ) = \mbf{F}(B) := \mbf{Z}\\
\quad \mbf{F}( (1\mid a) ) = \mbf{F}(a) := \mbf{Z}^2\\
\quad \mbf{F}( (1\mid a) ) = \mbf{F}(a) := \mbf{Z}^2\\
\quad \mbf{F}(\A{A, a, \sigma}) = \mbf{F}(\mrm{src}@a) =
\lambda\,(n, m).m : \mbf{Z}^2 \to \mbf{Z} \In \mbf{Set}\\
\quad \mbf{F}(\A{A, b, \sigma}) = \mbf{F}(\mrm{src}@b) =
\lambda\,(n, m).m : \mbf{Z}^2 \to \mbf{Z} \In \mbf{Set} \\
\quad \mbf{F}(\A{B, a, \tau}) = \mbf{F}(\mrm{trg}@a) =
\lambda\,(n, m).n + m : \mbf{Z}^2 \to \mbf{Z} \In \mbf{Set}\\
\quad \mbf{F}(\A{B, b, \tau}) = \mbf{F}(\mrm{trg}@b) =
\lambda\,(n, m).n + m : \mbf{Z}^2 \to \mbf{Z} \In \mbf{Set}
`$

$`[\mbf{P}, \mbf{F}]`$ は長さ 2 のテレスコープ前層になる。

代数からの例

前節は小さい圏の例だが、大きい圏の例。似た例が「事例: 加群に至るファイバー付き圏の系列」にある。

イテレーション1
  1. 入力: 体の圏 $`\mbf{Field}`$ と圏の圏 $`\mbf{CAT}`$
  2. 前層: $`\mbf{Rng}[\hyp] : \mbf{Field}^\op \to \mbf{CAT}`$ (圏を値とする反変関手、すぐ下参照)
  3. グロタンディーク構成: $`\int \mbf{Rng}[\hyp]`$
  4. 出力: $`\mbf{AllRng} := \int \mbf{Rng}[\hyp]`$

$`\mbf{Rng}[\hyp]`$ は: 体 $`K`$ に、$`K`$ を係数体とする(可換とは限らない)環達の圏を対応させ $`K \mapsto \mbf{Rng}_K`$ 、体の射(実は体の拡大 $`K\hookrightarrow L`$ )にスカラー体を制限する関手 $`\mbf{Rng}_L \to \mbf{Rng}_K`$ を対応させる関手。

圏 $`\mbf{AllRng}`$ の対象は、依存ペア $`(K, A)`$ (体 $`K`$ 上の環 $`A`$)で書ける。

イテレーション2(完全)
  1. 入力: 環の圏 $`\mbf{AllRng}`$ と圏の圏 $`\mbf{CAT}`$
  2. 前層: $`\mbf{RMod}[\hyp] : \mbf{AllRng}^\op \to \mbf{CAT}`$ (圏を値とする反変関手、すぐ下参照)
  3. グロタンディーク構成: $`\int \mbf{RMod}[\hyp]`$
  4. 出力: $`\mbf{AllRMod} := \int \mbf{RMod}[\hyp]`$

$`\mbf{RMod}[\hyp]`$ は: 環 $`(K, A)`$ に、$`A`$ を係数環とする右加群達の圏を対応させ $`(K, A) \mapsto \mbf{RMod}[K, A]`$ 、環の射に係数環を制限する関手 $`\mbf{RMod}[L, B] \to \mbf{RMod}[K, A]`$ を対応させる関手。

圏 $`\mbf{AllRMod}`$ の対象は、依存トリプル $`(K , A, M)`$ (体 $`K`$ 上の環 $`A`$ 上の右加群 $`M`$)で書ける。

ロルの定理

自分の印象に残っていたロルの定理は、一般的なものではなくて、微分幾何の準備としての一変数関数の文脈で教わったものだったようだ。

微分幾何に限らずほとんどの分野で、「微分できるが導関数は不連続」「内部では定義できるが、境界まで延長はできない」といった関数は扱いにくいので除外する。つまり、次のような関数しか扱わない

  • r回微分できて、導関数は連続関数。r = ∞ もあり得る(つうか、ほとんど r = ∞)。
  • 関数もそのr回導関数も、境界(もしあれば)まで連続に延長できる。

この前提だと、「$`f`$ に最大値の定理を適用」ではなくて、「$`f'`$ に中間値の定理を適用」でもロルの定理を証明できる。ただし、関数の増減と微分係数の関係はやはり必要で、次も使う。

  • $`f`$ の、すべての点における微分係数が正 ⇔ $`f`$ は、厳密に増加関数

「厳密に増加関数」とは、

  • $`x\lt y \Rightarrow f(x)\lt f(y)`$

が成立すること。

上限の定義

次を仮定する。$`\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\Iff}{ \Leftrightarrow }
\newcommand{\Imp}{ \Rightarrow }
`$

  1. $`M \subseteq \mbf{R}`$
  2. $`M\ne \emptyset`$
  3. $`M`$ は有界
  4. $`\alpha\in \mbf{R}`$ は $`M`$ の上界

以上すべての仮定のもとで(使わない仮定もあるが)、以下の2つの命題が同値であることを示す。混乱を避けるために、異なるスコープにある束縛変数は別な名前にしておく。共通する自由変数は $`M, \alpha`$

  • [A] $`\forall \beta\in \mbf{R}.\, \beta \lt \alpha \Imp M\cap (\beta, \alpha] \ne \emptyset`$
  • [B] $`\forall \gamma\in \mbf{R}.\, \gamma \lt \alpha \Imp M\cap [\gamma, \alpha] \ne \emptyset`$

命題に参照用ラベルを貼りたい場合/参照したい場合は、上記のようにブラケット内にラベルを入れる。

[A] から [B] は容易に示せるから割愛する。[B] から [A] を示す。[B] を前提する。

[A] を示すには、[1] $`\beta \lt \alpha`$ を仮定して、[2] $`M\cap (\beta, \alpha]\ne \emptyset`$ を導けばよい。

仮定 [1] と前提している(暫定的に公理扱いの)命題 [B] から次が言える。

  • [3] $`M\cap [\beta, \alpha] \ne \emptyset`$

[3] は、[4] $`\beta \le x \le \alpha`$ である $`x\in M`$ の存在を主張している。$`x`$ は次の2つの場合がありえる。

  • [5] $`\beta \lt x \le \alpha`$
  • [6] $`\beta = x`$

[5] であれば、そこから結論 [2] が言えるので、オシマイ。[6] $`\beta = x`$ の場合を考える。

もし、[7] $`x \lt x'`$ となる $`x'\in M`$ が取れる(存在する)なら、$`x`$ を $`x'`$ に取り直して [5'] $`\beta \lt x' \le \alpha`$ が言える。その場合は [5'] から結論 [2] が言えるので、オシマイ。

残る場合は、[7] $`x \lt x'`$ となる $`x'\in M`$ が取れない(存在しない)場合。この場合は結論 [2] は言えない。しかし、そんな場合が起こるのか?

今 $`\beta' := (\beta + \alpha)/2 = (x + \alpha)/2`$ と取ると、$`x \lt \beta' \lt \alpha`$ となる。前提して(暫定的に公理扱いして)いる [B] から、[8] $`M\cap [\beta', \alpha] \ne \emptyset`$ となる。これは、[7] $`\beta = x \lt x' \le \alpha`$ となる $`x'\in M`$ が取れる(存在している)ことを意味する。

つまり、$`\beta = x`$ である場合でも、$`x \lt x' \le \alpha`$ となる $`x'\in M`$ を取リ直して、その $`x'`$ に関して $`\beta \lt x' \le \alpha`$ が言える。これで結論 [2] が導けたので [A] が示せた。

結局、上限の定義に閉区間を使うか半開区間を使うかは、定義の論理的内容には影響しない。どちらを使うかは恣意的な選択となる。

最大値の定理が必要になる理由

  1. $`I`$ を開区間として、微分を線形写像 $`D:C^1(I)\to C^0(I)`$ と考える。
  2. $`D`$ の“逆”が不定積分だ。
  3. しかし、$`D`$ がほんとに可逆ってわけではない。
  4. 線形代数の知識から、商空間 $`C^1(I)/\mathrm{ker}(D)`$ を作れば、ほんとに可逆にできる。
  5. となると、核空間 $`\mathrm{ker}(D)`$ が知りたい。
  6. $`\mathrm{ker}(D) = \{f\in C^1(I) \mid D(f) = 0\}`$ だから、微分して 0 になる関数がわかればいい。
  7. 定数関数は微分して 0 はすぐ分かる、逆の定理が欲しい。
  8. 平均値の定理を使えば、「微分して 0 なら、定数関数」が出る。
  9. 平均値の定理の特殊ケースをロルの定理というらしい。ロルの定理から平均値の定理が出る。
  10. ロルの定理は、最大値の定理から出る。
  11. 最大値の定理は必要だ。

最大値の定理から、微分作用素 $`D`$ の核空間が定数関数達の空間だと分かる。これにより、とある連続関数の不定積分達の空間が1次元空間だとわかる。1次元分の自由度は積分定数で表される。

なるほどわからん: 型理論的述語論理

述語論理は型理論のなかで展開できる。このとき、通常の(常識的な)論理の概念を型理論的概念に翻訳する。この翻訳に多くの人が戸惑う。$`
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}
\newcommand{\In}{ \text{ in } }
\newcommand{\incto}{ \hookrightarrow }
`$

まず最初の作業として、真偽値の集合 $`\mbf{Bool} = \{\mrm{true}, \mrm{false}\}`$ を(最下層の)型宇宙 $`\mbf{Type} = |\mbf{Set}|`$ に埋め込む。埋め込み関数を $`\mrm{Emb}`$ とすると:

$`\mrm{Emb} : \mbf{Bool} \to \mbf{Type} \In \mbf{SET}`$
$`\quad \mrm{Emb}(\mrm{true}) := \mbf{1} = \{\top\}`$
$`\quad \mrm{Emb}(\mrm{false}) := \mbf{0} = \emptyset`$

$`\mrm{Emb}`$ を $`\mrm{If}`$ と書いたりする。気にしないのがよいが、気持ち悪いかも知れないから、いちおうの由来を説明する。

$`p`$ を普通の意味の述語、$`f`$ を普通の意味の関数として、else部がないif文を考える。

$`\quad \text{if }p \text{ then }f \text{ end}`$

このif文をひとつの関数だと思うと:

$`\quad \mrm{if}(p, f)`$

引数 $`x\in X`$ を渡すと:

  • $`p(x) = \mrm{true}`$ のとき、値は $`f(x)`$
  • $`p(x) = \mrm{false}`$ のとき、値はエラー値、仮に便宜上 $`0`$ としておく。(「$`0`$ だと正常値と区別できないことがある」とか余計なことは言わない。)

関数を集合族〈indexed family of sets〉のレベルに引き上げる。

  • 集合 $`X`$ 上の関数は $`F:X \to \mbf{Type}`$ だとする。

述語は従来の述語(値が $`\mbf{Bool}`$)だとして $`\mrm{If}(p)\times F`$ を考える。

引数 $`x\in X`$ を渡すと:

  • $`p(x) = \mrm{true}`$ のとき、$`\mrm{If}(p(x)) = \mrm{If}(\mrm{true}) = \mbf{1}`$ となり、値は $`\mbf{1}\times F(x)\cong F(x)`$
  • $`P(x) = \mrm{false}`$ のとき、$`\mrm{If}(p(x)) = \mrm{If}(\mrm{false}) = \mbf{0}`$ となり、値は $`\mbf{0}\times F(x) = \mbf{0}`$ 、$`\mbf{0}`$ はエラー値とみなす。

述語も集合族〈indexed family of sets〉のレベルに引き上げる。

  • 集合 $`X`$ 上の述語は $`P:X \to \{\mbf{1}, \mbf{0}\}\subset \mbf{Type}`$ だとする。

引き上げたif文は次のようになる。

$`\quad \mrm{IF}(P)\times F`$

$`\mrm{IF}`$ は実際は id でダミー。

引数 $`x\in X`$ を渡すと:

  • $`P(x) = \mbf{1}`$ のとき、値は $`\mbf{1}\times F(x)\cong F(x)`$
  • $`P(x) = \mbf{0}`$ のとき、値は $`\mbf{0}\times F(x) = \mbf{0}`$ 、$`\mbf{0}`$ はエラー値とみなす。

集合族 $`F:X \to \mbf{Type}`$ を“次のレベルの型”とみなす。つまり、types-as-sets から types-as-families に引き上げる。命題(述語)も集合族とみなすなら、引き上げたレベルでは propositions(predicates)-as-types が成立する。

レベルの引き上げはいくらでも出来るので、型宇宙の系列を作れる。型概念はいくらでも高階化できる。

$`\quad \mbf{Type} = \mbf{Type}_0 \incto \mbf{Type}_1 \incto \mbf{Type}_2 \incto \cdots`$

十分高いレベルの型宇宙のなかでは何でもできる。したがって、型理論のなかで何でもできる -- というのが型理論万能主義の原理(あるいは教義)。


型システムの型だけを使ってプログラミングが出来ることになる。通常のプログラミング言語の型システムはそこまで強力ではないが、無理すれば出来ないこともない。

ブール値や自然数値を、型システムの型として埋め込み、フィボナッチ数列の計算を型システム内でコンパイル時に行う例。

型の世界のブーリアンと自然数」の最初に出てくる定義が $`\mrm{If}`$ の定義に相当するが、諸般の事情で $`\mrm{true}`$ を空集合に、$`\mrm{false}`$ を単元集合にマップしている。

1変数または2変数の微分

変数や戻り値の個数が2まで扱ったほうが見通しがよい。その後、n個の実数変数、m個の実数戻り値まで一般化するが。$`
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}`$

扱う関数

1実数変数、1実数戻り値のとき:

$`\quad f: \mbf{R}\supseteq A \to \mbf{R}`$

$`A`$ は区間(無限区間でもよい)。

伝統的記法では:

$`\quad y = f(x) \:\text{ for }x\in A`$

2実数変数、1実数戻り値のとき:

$`\quad f: \mbf{R}^2\supseteq A \to \mbf{R}`$

$`A`$ は単連結領域(無限領域でもよい)。

伝統的記法では:

$`\quad z = f(x, y) \:\text{ for }(x, y)\in A
`$

例:
$`\quad z = x^2 + y^2 \:\text{ for }(x, y)\in \mbf{R}^2`$

1実数変数、2実数戻り値のとき:

$`\quad f: \mbf{R}\supseteq A \to \mbf{R}^2`$

$`A`$ は区間(無限区間でもよい)。平面内の曲線。

伝統的記法では:

$`\quad x = f_1(t), y = f_2(t) \:\text{ for } t \in A
`$

例:
$`\quad x = \cos t, y = \sin t \:\text{ for } t \in [0, 2\pi]`$

2実数変数、2実数戻り値のとき:

$`\quad f: \mbf{R}^2\supseteq A \to \mbf{R}^2`$

$`A`$ は単連結領域(無限領域でもよい)。平面の一部から平面内への写像。

伝統的記法では:

$`\quad z = f_1(x, y), w = f_2(x, y) \:\text{ for } (x, y) \in \mbf{R}^2
`$

例:
$`\quad z = \sqrt{x^2 + y^2}, w = \cos^{-1}\frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}} \:\text{ for }(x, y)\in (\mbf{R}^2\setminus\{(0, 0)\})
`$

微分操作

関数は無限回微分可能とする。

1実数変数、1実数戻り値のとき:

$`\quad D: C^\infty(A) \to C^\infty(A)`$

$`A`$ は区間(無限区間でもよい)。

伝統的記法では:

$`\quad D(f) = \frac{d}{dx} f(x)`$

「関数は従属変数」とみなすより古い形式では:

$`\quad D(f) = \frac{dy}{dx}`$

2実数変数、1実数戻り値のとき:

$`\quad D_1: C^\infty(A) \to C^\infty(A)`$
$`\quad D_2: C^\infty(A) \to C^\infty(A)`$

$`A`$ は単連結領域(無限領域でもよい)。

伝統的記法では:

$`\quad D_1(f) = \frac{\partial}{\partial x} f(x, y)`$
$`\quad D_2(f) = \frac{\partial}{\partial y} f(x, y)`$

より古い形式では:

$`\quad D_1(f) = \frac{\partial z}{\partial x}`$
$`\quad D_2(f) = \frac{\partial z}{\partial y}`$

1実数変数、2実数戻り値のとき:

$`\quad D: C^\infty(A)\times C^\infty(A) \to C^\infty(A)\times C^\infty(A)`$

$`A`$ は区間(無限区間でもよい)。平面内の曲線。

伝統的記法では:

$`\quad D(f) = D(f_1, f_2) = (\frac{d}{dt}f_1(t), \frac{d}{dt} f_2(t) )`$

より古い形式では:

$`\quad D(f) = (\frac{d x}{dt}, \frac{d y}{dt})`$

2実数変数、2実数戻り値のとき:

$`\quad D_1: C^\infty(A)\times C^\infty(A) \to C^\infty(A)\times C^\infty(A)`$
$`\quad D_2: C^\infty(A)\times C^\infty(A) \to C^\infty(A)\times C^\infty(A)`$

$`A`$ は単連結領域(無限領域でもよい)。平面の一部から平面内への写像。

伝統的記法では:

$`\quad D_1(f) = D_1(f_1, f_2) = (\frac{\partial}{\partial x}f_1(x, y), \frac{\partial}{\partial x} f_2(x, y))`$
$`\quad D_2(f) = D_2(f_1, f_2) = (\frac{\partial}{\partial y}f_1(x, y), \frac{\partial}{\partial y} f_2(x, y))`$

行列形式にしてまとめると(横を縦にしているので注意):

$`\quad \mbf{D}(f) = \begin{pmatrix} D_1(f) & D_2(f)\end{pmatrix}\\
=
\begin{pmatrix}
\frac{\partial}{\partial x}f_1(x, y) & \frac{\partial}{\partial y} f_1(x, y) \\
\frac{\partial}{\partial x}f_2(x, y) & \frac{\partial}{\partial y} f_2(x, y)
\end{pmatrix}
`$

より古い形式では:

$`\quad \mbf{D}(f) =
\begin{pmatrix}
\frac{\partial z}{\partial x} & \frac{\partial z}{\partial y} \\
\frac{\partial w}{\partial x} & \frac{\partial w}{\partial y}
\end{pmatrix}
`$

まずは 0, 1次元の場合

$`\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1} }
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1} }
`$

ワンポイント説明:ジョインと直和(気になるようだから)

ベクトル空間 $`W`$ の部分空間〈部分ベクトル空間〉 $`U, V\subseteq W`$ に対して、$`U + V`$ と書かれるモノが曖昧に扱われているので、次の2つにちゃんと分けて議論する。

  1. $`U\vee V`$ : $`W`$ の部分空間で、$`u\in U, v\in V`$ により $`u + v`$ と書けるベクトル全体から構成される。
  2. $`U\oplus V`$ : 直積 $`U\times V`$ にベクトル空間の構造を入れたモノ。$`W`$ の部分空間ではない。

$`U\cap V = \{0\}`$ のときは $`U\vee V \cong U \oplus V`$ だが、それでも区別すべき。区別しないと、(将来的に)$`U\oplus V \to W`$ に対する準同型定理の適用とかがサッパリワカランとなる。

本題: とっかかりとして
  • 0, 1次元の各種複体を調べる。→ 離散微分幾何 覚え書き
  • 有限集合、無向有限グラフ、有向有限グラフ
  • 0, 1次元の幾何複体/組み合わせ複体 → 平面性に注意
  • 便宜上の向き付けと整合的向き付け
    • 森田 p.52,53,54,225(向き)
  • 0-鎖と1-鎖から代数複体
    • 森田 p.104(チェイン)
  • 初等線形代数だけ使ってホモロジー/コホモロジー空間を求める
  • 係数域: 可換環 $`\mbf{Z}`$ 、体 $`\mbf{R}, \mbf{C}, \mbf{F}_2`$
追記 チェーン

多様体では、チェーン(特異チェーン)とコチェーン(微分形式)はまったく別物だが、離散の場合はチェーン/コチェーンの区別はできない。気持ちだけで区別する。

チェーン〈鎖 | チェイン〉の概念は係数に依存する。

  • $`\mbf{F}_2`$ 係数: 幾何的・組み合わせ的概念とほぼ同じ
  • $`\mbf{Z}`$ 係数: 幾何的・組み合わせ的概念にまーまー近い
  • $`\mbf{R}, \mbf{C}`$ 係数: 幾何的・組み合わせ的概念としては解釈しにくい。

$`\mbf{F}_2`$ 係数チェーン

  • 0-チェーン: 点の集合
  • 1-チェーン: 無向辺の集合
  • n-チェーン: 無向n-セルの集合

$`\mbf{Z}`$ 係数チェーン

  • 0-チェーン: 符号付き点のバッグ
  • 1-チェーン: 有向辺のバッグ
  • n-チェーン: 無向n-セルのバッグ

$`\mbf{R}`$ 係数チェーン

  • 0-チェーン: 点の一次結合
  • 1-チェーン: 有向辺の一次結合
  • n-チェーン: 無向n-セルの一次結合
追記 代数複体と境界作用素

グラフの行列表現

  • 隣接行列
    • 頂点数のサイズの正方行列
    • 成分は辺の本数
  • 接続行列
    • 辺数✕頂点数のサイズの行列
    • 成分は辺と頂点の接続状況
    • 境界作用素行列と同じ
基礎知識: 商集合のイメージ
  • 引き算ではなくて割り算
  • 割り切れる割り算=公平な分配
  • 少し不公平な分配
  • まったく不公平な分配
  • 集合 $`A`$ 上の同値関係と、集合 $`A`$ からの全射は、定義は違うが事実上同じ
  • 様々な「定義は違うが事実上同じ」を理解することは重要

鎖複体/余鎖複体が作れたら、ホモロジー複体が作れる。

基礎知識: 関数と“関数もどき”の正確な扱い方

数学的意味(国語辞書的意味ではない)の関係は、域、余域、直積集合の部分集合の3つ組 $`(A, B, R)`$ で定義される、関数〈写像〉の集合論的定義は関係の特別なモノ(2つの条件が付く)。

注意事項:

  1. 域・余域が決まらないと関数ではない。
  2. 関数は式ではない、式は関数ではない! 例えば、2次式が2次関数なのではない。2次式で定義される関数はたくさんある。
  3. 関数とアルゴリズムは完全に切り離す。アルゴリズムでは計算できない関数はいくらでもある。むしろ、アルゴリズムで計算可能な関数が珍しい。
  4. 有限集合のあいだの関数や、タプル/リスト、ディリクレ関数、述語 $`p:X \to \{0, 1\}`$ 、二進数を利用した $`\mbf{Z}\times\mrm{Pow}(\mbf{N}) \to \mbf{R}`$ などの事例を考える。

関数もどき:

  • 部分関数: $`A\hookleftarrow D \to B`$
  • 非決定性関数: $`A \to \mathrm{Pow}(X)`$
  • 部分関数 その2:$`A\to B \cup \{\bot\}`$

事例(高校まで):

  • 実数の逆数関数 $`x\mapsto \frac{1}{x}`$
  • 有理関数
  • 対数関数
  • 逆数関数の不定積分

多様体と離散構造

多様体〈連続〉と離散構造
  • 多様体のアフィン線形近似や半代数近似で離散構造が得られる。
  • 離散構造のほうが多少簡単で、計算機で扱える。
  • ベクトル場は離散構造に載りにくい。微分形式のほうが楽。
  • どっちが先? どっちでもいいが、離散を先にする。
なんでも複体
  • https://m-hiyama.hatenablog.com/entry/2025/05/14/143305
  • 上記記事で触れてない「複体」にセル半複体もある。
  • 用語・記法のオーバーロードやコンフリクトは物凄く頻繁に起きる。
    • 完全列の「完全」と完全形式の「完全」は関係ない。少し関係あるが、無理に関係付けると誤解・曲解のもとになる。
    • コチェーンに形容詞「完全」を使うが、図形に形容詞「完全」は使わない。
    • 位相の「閉集合」は開集合の補集合だが、「閉多様体」の「閉」は境界無しのこと。同じ言葉の意味が反対。「閉形式」の閉は、余境界がゼロのことで、境界無しの用法に近い。
    • その他、ともかく整合性がないことを覚悟。
予備知識(とりあえず)
  • 線形代数
    • 部分空間
    • 内部和〈ジョイン〉と外部和〈直和〉
    • 補空間と商空間
    • ベクトル空間の準同型定理
  • ユークリッド空間
    • ベクトル空間構造
    • アフィン空間構造
    • 内積空間構造
    • 距離空間構造
    • 標準単体(標準とは言っても二種類ある)
    • 標準球体
    • 標準方体(標準とは言っても二種類ある)
  • 位相
    • 開集合、閉集合
    • 距離空間
    • 境界、内部、閉包
    • 距離空間のコンパクト部分集合
    • 商空間と貼り合わせ構成

追記:

  • 集合
    • 部分集合、合併、共通部分、補集合、差集合、内包的記法
    • 直積集合、直和集合、商集合
    • ベキ集合、族の合併
  • 写像〈関数〉
    • 写像の定義
    • 域〈ドメイン〉、余域〈コドメイン〉
    • 像(一点の、部分集合の、全体の)、逆像(一点の、部分集合の)
    • 単射、全射、双射〈全単射〉
    • 可逆性と逆写像、可逆写像と双射の関係
    • 「値域」は意味・用法が曖昧過ぎるので使わないほうがよい。
    • 「定義域」は写像には使わない、部分写像に限って使う。

群の準同型写像と同型写像

小中学校・高校で習った、正比例関数、ベキ関数〈累乗関数〉、指数関数、対数関数は、いずれも群の準同型写像/同型写像である。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}
`$

群と準同型写像

一般に、群は次のように書ける。

$`\quad (A, *, e, i)`$

群の構成素は:

  1. 台集合 $`A`$
  2. 二項演算 $`(*):A\times A \to A`$
  3. 単位元(特定の要素) $`e \in A`$
  4. 逆元(特定の要素ではなくて写像) $`i: A \to A`$

群の法則〈公理〉は割愛する。

$`(A_1, *_1, e_1, i_1)`$ と $`(A_2, *_2, e_2, i_2)`$ が2つの群のとき、写像 $`f:A_1 \to A_2`$ が群の準同型写像であるとは:

  1. 二項演算を保つ $`f(x *_1 y) = f(x) *_2 f(y)`$
  2. 単位元を保つ $`f(e_1) = e_2`$
  3. 逆元を保つ $`f(i_1(x)) = i_2(f(x))`$

写像 $`f:A_1 \to A_2`$ と $`g:A_2 \to A_1`$ が両方とも群準同型写像であり、次を満たすとき、互いに逆〈mutually inverse〉な群準同型写像という。

  1. $`g\circ f = \mrm{id}_{A_1}`$
  2. $`f\circ g = \mrm{id}_{A_2}`$

この状況で、以下の言い回しはすべて同じ意味。注意すべきは、単なる写像について語っているのではなくて、群準同型写像について語っていること。括弧内は通常省略されるが、群・群準同型写像について語っていることを明示するなら省略しないほうがよい。

  1. $`f`$ と $`g`$ は互いに逆(な群準同型写像)
  2. $`f`$ は $`g`$ の逆(群準同型写像)
  3. $`g`$ は $`f`$ の逆(群準同型写像)
  4. $`f`$ は可逆(群準同型写像)である。($`g`$ の存在を仮定している。)
  5. $`g`$ は可逆(群準同型写像)である。($`f`$ の存在を仮定している。)

群の準同型写像が可逆であるとき、群の同型写像という。

定義の簡略化:練習問題

  • 群の準同型写像の定義で、「逆元を保つ」は不要。二項演算と単位元の保存から出る。練習問題。
  • 群の同型写像の定義で、逆写像が群の準同型写像であることは不要。群の準同型写像が逆写像を持つなら、逆写像が準同型写像であることは出る。練習問題。

群の準同型写像 -- 簡略化した定義:

  1. 二項演算を保つ $`f(x *_1 y) = f(x) *_2 f(y)`$
  2. 単位元を保つ $`f(e_1) = e_2`$

群の同型写像 -- 簡略化した定義:

  1. $`f`$ は群の準同型写像である。
  2. $`f`$ は逆写像を持つ。(逆写像が準同型写像だとは言ってない。)

大事な2つの群

大事な群その1: 実数加法群

  1. 台集合 $`\mbf{R}`$
  2. 二項演算 $`(+):\mbf{R}\times \mbf{R} \to \mbf{R}`$
  3. 単位元 $`0 \in \mbf{R}`$
  4. 逆元 $`(-): \mbf{R} \to \mbf{R}`$ (引き算ではなくて、単項演算のマイナス)

大事な群その2: 正実数乗法群

  1. 台集合 $`\mbf{R}_{\gt 0}`$
  2. 二項演算 $`(\times):\mbf{R}_{\gt 0}\times \mbf{R}_{\gt 0} \to \mbf{R}_{\gt 0}`$ (演算子記号が省略されることが多い)
  3. 単位元 $`1 \in \mbf{R}_{\gt 0}`$
  4. 逆元 $`(^{-1}): \mbf{R}_{\gt 0} \to \mbf{R}_{\gt 0}`$

大事な群準同型写像/群同型写像

実数加法群と正実数乗法群のあいだの群準同型写像は小中学校・高校で習う。

正比例関数

「実数加法群 → 実数加法群」の群準同型写像。比例定数がパラメータとなる。

$`\quad \mbf{R}\ni x \mapsto ax \in \mbf{R}\\
\text{where }a \in \mbf{R}
`$

$`a \ne 0`$ なら群同型写像。$`a = 0`$ でも群準同型写像だが可逆ではない。

正比例関数の逆関数は正比例関数で、比例定数が逆数。

ベキ関数

「正実数乗法群 → 正実数乗法群」の群準同型写像。指数がパラメータとなる。

$`\quad \mbf{R}\ni x \mapsto x^a \in \mbf{R}\\
\text{where }a \in \mbf{R}
`$

$`a \ne 0`$ なら群同型写像。$`a = 0`$ でも群準同型写像だが可逆ではない。

ベキ関数の逆関数はベキ関数で、指数が逆数。指数が $`\frac{1}{n}`$ の場合は、$`n`$乗根関数。

指数関数

「実数加法群 → 正実数乗法群」の群準同型写像。底がパラメータとなる。

$`\quad \mbf{R}\ni x \mapsto a^x \in \mbf{R}_{\gt 0}\\
\text{where }a \in \mbf{R}_{\gt 0}
`$

$`a \ne 1`$ なら群同型写像。$`a = 1`$ でも群準同型写像だが可逆ではない。

指数関数の逆関数は対数関数。

対数関数

「正実数乗法群 → 実数加法群」の群準同型写像。底がパラメータとなる。

$`\quad \mbf{R}_{\gt 0}\ni x \mapsto \log_a(x) \in \mbf{R}\\
\text{where }a \in \mbf{R}_{\gt 0}
`$

$`a \ne 1`$ なら群同型写像。$`a = 1`$ でも群準同型写像だが可逆ではない。

対数関数の逆関数は指数関数。

まとめとやるべきこと

$`\quad \xymatrix{
(\mbf{R}, +) \ar[r]^{y = ax}
\ar[d]_{y =a^x}
& (\mbf{R}, +) \ar[d]^{y = \log_a x}
\\
(\mbf{R}_{\gt 0}, \times) \ar[r]_{y = x^a}
&(\mbf{R}_{\gt 0}, \times)
}\\
\quad \text{All functions are group-homomorphisms!}
`$

小中学校・高校で習ったことでも、新しい概念を学んだら新しい概念を使った観点から見直して、新たな解釈をする。また、小中学校・高校でバラバラに習ったことを、新しい枠組みから体系化して整理する。

多項式と多項式関数

多項式と多項式関数の関係をハッキリさせる問題を“ToThinkリスト”に入れておこう。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}}
`$

加減乗除(ゼロ除算は除く)が自由にできて、常識的な計算法則を満たす代数系をと呼ぶ。体の例は:

  1. $`\mbf{R}`$ 実数体
  2. $`\mbf{Q}`$ 有理数体
  3. $`\mbf{C}`$ 複素数体
  4. $`\mbf{F}_2,\mbf{F}_3,\mbf{F}_5, \cdots`$ 有限体

素数 $`p`$ に対して、$`\mbf{F}_p := \mbf{Z}/p\mbf{Z}`$ で、$`\mrm{mod}\; p`$ の計算(時計の計算)をすると有限体になる。

多項式環

$`K`$ を体とする。通常、不定元(変数文字)が $`x`$ の$`K`$-係数多項式環は $`K[x]`$ と書くが、ここでは $`\mrm{Polynom}(K)[x]`$ も使う。

$`\mbf{F}_3`$ の3つの要素を $`\bar{0}, \bar{1}, \bar{2}`$ と書くことにして、$`x^2 + \bar{2}x + \bar{2}`$ は $`\mrm{Polynom}(\mbf{F}_3)[x]`$ の要素になる。

不定元にどんな文字を使うかは、多項式環の構造に影響はないので、不定元の違いを無視した多項式環は $`\mrm{Polynom}(K)`$ と書く。不定元無しで多項式を表示するには、係数達を次数の降順に並べる方法がある。次数が高い部分はゼロが続くとみなす。

$`\quad x^2 + \bar{2}x + \bar{2} \longleftrightarrow (\bar{2}, \bar{2}, \bar{1}, \bar{0}, \bar{0}, \cdots)`$

関数集合、関数環

一般に、$`X,Y`$ を集合として、$`X`$ から $`Y`$ へのすべての関数〈写像〉達の集合を $`\mrm{Map}(X, Y)`$ と書く。

$`K`$ が体のとき、$`K`$ の加減乗を使って $`\mrm{Map}(X, K)`$ を環にできる。環の構造を備えた関数集合を関数環と呼ぶ。

多項式関数

$`K`$-係数多項式 $`p`$ と $`a\in K`$ に対して、“$`p`$ の $`a`$ における値”は確実に計算できるので、$`K\to K`$ という関数が定義できる。この関数を $`\mrm{fun}(p)`$ とする。

$`\quad \mrm{fun}(p) : K \to K`$

$`p \mapsto \mrm{fun}(p)`$ という対応は次の関数〈写像〉を定義する。

$`\quad \mrm{fun} : \mrm{Polynom}(K) \to \mrm{Map}(K, K)`$

この関数の像 $`\mrm{Img}(\mrm{fun}) \subseteq \mrm{Map}(K, K)`$ が、多項式関数の集合になる。次の問題を考えることができる。

  1. 関数 $`\mrm{fun}`$ は全射か?
  2. 関数 $`\mrm{fun}`$ は単射か?

言い方を変えると:

  1. $`K`$ から $`K`$ への関数は多項式関数か?
  2. 多項式関数の表示である多項式は一意に決まるか?

この問題の答は係数体 $`K`$ に依存する。




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