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戦国時代「夜討ち」とかいうけど、暗い道を「攻撃目標まで行軍」するだけで超大変だよな、という話(新九郎、奔る!)

新九郎、奔る!クライマックス


なんのことか、というと、この作品では…ほかにも時々例があるが…史劇を、主人公の最初の生い立ちから描き始めると、地味で人気が出ない、ということもあるだろうか、冒頭にその歴史上の人物のクライマックス的な場面を持ってくる、という手法があるのよね。自分が知ってる限り
「無尽~MUJIN(伊庭八郎が片腕を失った戦争)」
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MUJIN第一話

や「ナポレオン獅子の時代(アウステルリッツ三帝会戦)」がこの手法をとってる。

ナポレオン獅子の時代


新九郎奔る!もその場面…冒頭第一話に描いた「伊豆討ち入り」の所に来たって話よ。名セリフ「俺の主は俺だ!」も再度描かれた。


で、ここに至るまでやはり徐々に盛り上がっておるため、時々話を紹介していた

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その時に紹介したことの、ある意味ではくりかえしなのだが……

新九郎、奔る!!の主人公、伊勢新九郎こと北条早雲は最新研究によって、たとえば昭和の俗説と人物像が「まるっきり違っていた」ことが分かってきた一人だ。
一介の草莽、徒手空拳から成り上がったように司馬遼太郎も書いていたが、そうではなく、むしろ「室町幕府官僚」として折り目正しく、真っ当な経営感覚、治者の感覚を持ち続け、その折り目正しさ、真っ当さを武器にして無秩序の支配する応仁の乱後の世の中、特に関東に「新しい秩序」をもたらす流れを描いている。


そして作中でもそういう気まじめさが強調して描かれた。俺がいうところの「戦国のダンドリくん」なんである。

だから彼の英雄譚のクライマックスである伊豆討ち入りも、その「ダンドリ」部分を極めて丁寧に、やや過剰に描くんよ。
銀英伝でいえばヤン・ウェンリーやラインハルトというより、むしろキャゼルヌの仕事。


あー、同じこと書いてたな

この作品は20巻以上を費やして、草莽から一気に成り上がった風雲児・北条早雲という昭和的な伝説を「中央、京都周辺で武家官僚としてのノウハウ、丁寧さ、真面目さを身に着けた新九郎が、それを武器にして、その『官僚的システム』が未発達な関東へ浸透していく」という最新研究から生まれた想像に描き替えていった。


その集大成が、今回の描写で……昭和的な孔明、正成のような奇策機略でなく、本当に丁寧に
「戦争のダンドリ」をつけて、その上で戦争を有利に進める。

新九郎、奔る。

戦争はダンドリだ!
と、第六天魔王も言っている。

信長がいう、戦争はその前の準備段階で決まる ドリフターズ

一般受けするかどうかはわからんけど、これは新機軸だ!と思うんです。いやたくさん読んでいないからほかにも例があったら教えてほしいが、戦争前の細かい工夫や準備や根回しを描写したところに定評ある作品……


で、いまネット公開中(いつまでかわからん)の回で、そのダンドリ君な伊勢新九郎の特質が描かれているので改めてご紹介、と。


おっと、そのリンクに行く前に大前提として「ビッコミ」サイト&サンデーうぇぶりサイトそのものに興味を持ってほしい。
その紹介。
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150 話
bigcomics.jp

新九郎、奔る!夜討ち
新九郎奔る 夜襲の準備 150話
新九郎、奔る


そして151話。気付くものも、気づかないものも……

bigcomics.jp

新九郎、奔る!
新九郎、奔る 夜の灯火に気付く敵


これに前後して、普段は歩かない、街灯の無いような道を、ライト無しで歩く機会があったんだが…いや、月の無い夜の真っ暗な道とはここまで暗いのか、と驚いた。本当に足元すら見えず、いくら道があっても、土地勘や記憶が無ければとても目的地に付けないだろうというあんばいでした。
そして逆に、ほんのわずかな光でも、光があれば遠方からでも実に目立つ。

ゆうきまさみ氏の師匠・新谷かおる氏がエリア88のアフリカ傭兵編で「タバコの火をつければ、2キロメートル先でも感づかれるぞ」と語る場面なども思い出し


暗闇のおそろしさ、危険さはここまでか!と思いました。



今だって、戦争とはかなり重要な部分が「今自分がどこにいて、敵はどっち方面か。その地形、道のり」を知ることで、湾岸戦争ぐらいから衛星情報が活用されたとか、日露戦争の奉天会戦でも両軍とも「あの部隊は今どこにいるんだっ」状態だったとか、司馬遼太郎が米軍のシンプルな「戦地で標識を無数にぶったてる」に驚愕したとか、レジスタンスがその戦地の標識をねじまげたり入れ替えたりするだけで敵のけっこうな足止めになるとか、ごく最近でも露軍がスターリンクを活用することの妨害をイーロン・マスクが始めたら、露軍が大混乱に陥った(※それまで何してたよ)、みたいな話をきく。

軍人の地図の読み方と足跡、というこんなギャグあり
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軍人の足跡の違いというギャグ

戦史は普通の歴史と同様に、当然華々しい出来事ばかりが残るから、夜襲も大成功してばっかりだが


「いざ、〇〇城へ夜襲じゃあ!!!」
「……ん、そろそろ着いてもよいのじゃが」
「というかここはどこじゃ?」
「…殿、半刻前のあの分かれ道、あれは左じゃなくて右に曲がるべきだったかもしれませんな」
「えー、あそこまで引き返すのか?」
「というか、夜襲の予定でしたが、東の空がそろそろ白くなり…明るいところに出て五分で戦ったら、相手の方がどう見ても強いですぞ」
「あと、後続の五郎兵衛が率いる十五騎……が、はぐれて、いなくなったようですな。いや、逃げたのかも…」
「……どうしよう???」


みたいなことは、全然あったと思うのですよね。



そういう、地に足のついた、その時代時代の軍事行動の「むずかしさ」と「その克服」を、新九郎、奔る!の夜襲の準備場面は、デティールとして描いていて、印象に残りました。
余談ですが、この戦国時代の夜襲の「むずかしさ」が描写されて印象に深いのは、長篠合戦の帰趨を決めた、酒井忠次の別動隊による「鳶ケ巣山砦」攻略の夜襲場面でした。

信長の忍び 長篠合戦別動隊の夜襲

予備自衛官がくれた感想

中島みゆきの初期の曲に「家出」の歌詞に「夜は浅く逃げる者には足跡だらけの月明かり」とあり、夜間の演習を思い出させる歌詞だった。


デジタル時計だと、ボタンを押すと液晶画面がほのかに光り、表示を読める。ところが「状況中」では、その明かりすら敵に自らの位置を知らせるという恐怖で、この機能が使うにも細心の注意を払う。
蛍光塗料で文字盤が浮き出る時計は論外。

頂いたブクマに頼山陽「川中島(不識庵 機山を撃つの図に題す)」があった

戦国時代「夜討ち」とかいうけど、暗い道を「攻撃目標まで行軍」するだけで超大変だよな、という話(新九郎、奔る!) - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

頼山陽が日本外史で川中島での上杉軍を「鞭聲粛粛夜過河」と書き、これが世紀の名文とされるのも文章以前にそれがいかに困難な事かって事を読者がわかってたからだよね。

2026/02/23 19:11

鞭声粛粛 夜河を過る
曉に見る千兵の 大牙を擁するを
遺恨なり十年 一剣を磨き
流星光底 長蛇を逸す


(上杉謙信の軍は)鞭の音もたてないように静かに、夜に乗じて川を渡った。明け方、武田信玄方は、上杉の数千の大軍が大将の旗を立てて、突然面前に現れたのを見て、大いに驚いた。
 しかし、まことに残念なことには、この十数年来、一剣を磨きに磨いてきたのに、打ち下ろす刃(やいば)がキラッと光る一瞬のうちに、あの憎い信玄を打ちもらしてしまった
www.kangin.or.jp

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この前セールで買ったこれが火を噴く

日本の歴史 ムロタニツネゾう






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