以下の内容はhttps://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2025/06/30/134205より取得しました。


セール中の「ダンス・マカブル」に出てくる「ジャンヌ・ダルク処刑」と、現在のイラン体制の闇は重なっているのか、いないのか

※ちょっとあらかじめ断っておくけど、今回のこの話、かなり陰鬱でグロテスクなので、そういうのが苦手な人は避けていいかもです。

コミックフラッパー系の電書漫画がセールしている。1巻55円で2巻194円。均せば70円台だから、お得感はある。ただKADOKAWAの値付けは変幻自在、警戒を要す。

それはそれとして

中世ヨーロッパで連綿と続き、とりわけ後期では異常なほど発達を遂げた拷問と残酷な処刑の数々。特権階級を持つ貴族たちの際限のない欲望から生み出されたものや、「魔女裁判」や「異端審問」など宗教家たちのエゴから生まれたものなど、多岐にわたるそれらの拷問具や処刑法が使用された様々なエピソードをオムニバスで綴る暗黒絵巻――。


青髭のモデルになったと言われ、数多の少年少女をその手にかけたジル・ド・レ。フランス革命期、ルイ16世やマリー=アントワネットなど多くの著名人を処刑したパリの死刑執行人シャルル=アンリ・サンソン。欲望の赴くまま、または自分の意思とは関係なく、人々の命を奪った人間の懊悩をえぐり出す闇の歴史書。

なんか解説だけで、いやな気がするのう。
もちろん、話の中にはいろいろな独自の「創作」「推理」「解釈」が混じっている。一から十まできっちり史実、というわけではない。

ただ、それはそれとして、逆に背景にいろいろと記録の重みも感じられるところがあり、人間はこういう「残酷」にも興味を持って記録に残すのかな、とも思ったりする。



で、1巻の冒頭を飾るのがジャンヌ・ダルク裁判だ。

ジャンヌ・ダルク異端審問

自分もこれ読むまで知らなかったんだけど、ジャンヌを捕まえた、敵だ、許さん、処刑だ!
みたいな単純な話じゃなかったらしいのよ。
フランスがイギリスに身代金を払って解放、もあり得たし、
またジャンヌ・ダルクが「あくまでも自分は聖女なり、喜んで殉教を!」となる、そんなこともあり得た。
英国側の教会は、「ジャンヌ・ダルクは偽の聖女である、天使の啓示も嘘、彼女もそのことをみとめた」という形に持ってきたかった。
そこには高度な駆け引きや論理のバトルが存在したのだ


ちょと笑ったのはここ。

ジャンヌ・ダルク ダンスマカブル

まじめな歴史漫画でも、ジャンヌ・ダルクが神の啓示を受け取ったかどうかの描写は悩むところだが(日本の道鏡の時の「宇佐神宮神託」描写に似てるね)、教会はここでおおまじめにジャンヌ・ダルクの見た天使の姿を聞き、「公式設定と違うから、貴方の二次創作…いや海賊版だ!」と断じている。

いや、どっちも嘘で(後略) 

大川隆法は異端審問を受けるんじゃないかこれじゃ。

しかし、意外なことに火刑の恐怖を目前にしたジャンヌは「折れた」のだという。

ジャンヌ・ダルク

そして、罪を認めると本来死刑は免れるのだそうだ。
だが・・・・・・

ジャンヌダルク

なぜ、これが「罠」かは略す。


と、この話が陰鬱に感じるのは・・・・・最近、イランの米・イスラエル空爆があって、イランは被害者国ではあるのだけど…
あの体制や国の歴史を思い出し、ちょうど20年前に買った「ベルセポリス」という漫画を再読したのだった。

これは亡命イラン人が描いたエッセイというか自伝漫画で、だから画力はもー、新人賞の佳作も取れるかなんだけどさ(笑)、だからこそ異様な雰囲気と、実体験のリアルさが迫ってくる。

ここで語られているイラン革命前後の、そして普通の(かなり上流階級だが)国民の意識が非常におもしろく、戦前戦中の日本ともダブる部分があって、いつか全体を紹介したいところだけど、今回は、ダンス・マカブルと連想を紐づけた一節を紹介したい。


主人公の少女に母親が、原理主義者の「革命防衛隊」につかまるとどんなに恐ろしいことになるかを説いて聞かせるシーンだ。

イラン革命 ベルセポリス


ちょっと、剣呑な箇所を伏せた・・・・・・いや伏せると意味がわからんか。いや、それでもわかるか。

なんちゅうかねえ。
ジャンヌ・ダルクの処刑、中世の欧州、キリスト教。
革命防衛隊の女性の処罰、20世紀の中東、イスラム教。



だが、そこに、通底するのかしないのか…実はダンス・マカブルでは、捕縛した側がジャンヌ・ダルクに与えた酷い処置がどこまで意図したオフィシャルなものか? またそれが宗教的に必要な措置だったか?については明言をしていない。
だが、自分が見た別の資料だと、やはりジャンヌ・ダルクを処刑するには、彼女がそうなってくれたほうがやりやすいがゆえに、そういう措置をした(そうなる環境に置いた)、みたいな説明をしているものもあるのね…


イランは、完全にオフィシャルな措置らしい。宗教的にもそれが正しいことになってるようだ。

ベルセポリス 処刑した未婚の女性には、遺族に持参金が

このへんの成り立ちもさあ・・・・。

おそらく、民俗学的な、「乙女には神秘的な聖性がある」という感覚もあるだろうし、もっと素朴にそういう女性=若い未成年の子供、だろうから「こういう子を処刑するのは忍びないねぇ…」という意識もあったと思う。
始まりは、慈悲と寛容の意味合いだったはずなのだ。
ただ、「だからそういう属性の子は処刑できない」という話が「じゃあ、そういう属性じゃなくすればいい」となるのって、なんでそう変な方向に思い切りがいいのよ!である。



「処刑」の話題がちょうど、日本でも執行されて出てきたけど、なんか、とにもかくにも陰鬱な話だった。


ただ、この前もかいたけど、ダンス・マカブルはただの残酷趣味の歴史の覗き見でなく、そこから一歩進んだ問いも発している。


スペインの異端審問、その残酷苛烈さに戸惑う、疑念を抱く修道士のタマゴもいる
(※このへん「チ。」でも描かれたね)
それに、やさしい上級者はこう説く。

ダンス・マカブル 異端審問
異端審問 ダンスマカブル

ヨハネによる福音書 3:16 新共同訳

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。

ダンス・マカブル作者 大西巷一氏のXアカウント

大西巷一:新連載『シンデレラの反乱』5/9スタート
@kouichi_ohnishi
https://x.com/kouichi_ohnishi

新作漫画「シンデレラの反乱」連載中
kuragebunch.com



最近、西洋中世学会に文章を発表した

newspicks.com

処刑と乙女の問題




以上の内容はhttps://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2025/06/30/134205より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14