先日のキネ旬シアターは『ガール・ウィズ・ニードル』でした。

監督:マグヌス・フォン・ホーン
出演:ヴィク・カーメン・ソネ、トリーネ・デュアホルム、ベシーア・セシーリ、 ヨアキム・フェルストロプ
この映画は第一次世界大戦後のデンマークで実際に起きた事件を基にしたフィクション映画です。1913年から1920年にかけてデンマークのコペンハーゲンでダグマー・オーバーバイという女性が少なくとも嬰児25人を殺害するという、「ダグマー・オーバーバイ事件」が発生しました。映画はこの事件を基に貧困にあえぐ縫製工場のお針子として働くカロリーネの眼を通して、混沌とした時代背景を描いていきます。

カロリーネは縫製工場のお針子として働いていますが、夫は戦争によって行方不明。家賃も払えずアパートも追い出されます。そんな時、工場の社長と恋に落ちます。ある日、夫が見るも無惨な顔に変わり果てた姿で現れましたが、彼女は新しい男ができたと、夫を追い出してしまいます。


その後、彼女は妊娠し、社長に結婚の約束をさせますが、社長の母親に身分違いと反対され破談になってしまいます。彼女は捨てられ、職も失います。彼女は絶望し、銭湯で自ら堕胎しようとしますが、ダウマという女性に助けられます。ダウマは砂糖菓子店を営みながら養子縁組斡旋をしているのでした。ダウマはカロリーネに子供が生まれたら連れてきなさい、と告げるのです。

やがてカロリーネは、赤ちゃんを産み落とし、ダウマの元へ赤ちゃんを預けに行きます。ダウマは「いいことしたね」と赤ちゃんを預かります。翌日、母乳をあげたいとダウマを訪ねますが、すでに養子に出したと言うのです。行き先もないカロリーネはこの店で働かせて欲しいと頼み、住み込みで働くことになるのです。すると、養子縁組のために連れてこられた赤ちゃんたちはすぐに居なくなることがわかります。不思議に思ったカロリーネは、ある日ダウマが赤ちゃんを連れて外出する後を追いかけるのですが、そこで彼女が目にしたたものは・・・。

なんともおどろおどろしい、背筋が冷たくなるような映画でした。オープニングからして男女の顔のアップが次々と恐ろしい表情で写し出されます。1910年代後半、世界大戦と資本主義の台頭により貧富の差が拡大し、貧困にあえぐ労働者の姿が手に取るように描かれています。子供が出来ても育てる余裕もなく手放すしかない。そこに目をつけて行われた信じられないような犯罪。なんともやりきれません。

白黒の映像はなんと美しいことか。当時の時代雰囲気、貧しさを見事に映し出しています。。この映画、今のところ今年のマイベストです。
それでは今日はこの辺で。