先日のキネ旬シアターは『ドマーニ! 愛のことづて』でした。

監督:パオラ・コルテッレージ
脚本:パオラ・コルテッレージ、フリオ・アンドレオッティ、ジュリア・カレンダ
出演:パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ョルジョ・コランジェリ、ヴィニーチオ・マルキオーニ
製作:2023年 イタリア 2035年 日本公開
パオラ・コルテッレージが初監督で脚本・主演も務めたイタリア映画です。白黒作品です。
1946年、戦後間もないイタリア・ローマ。半地下の借家に住む主婦のデリアは3人の子育てと夫の暴力、そしてわがまま放題の義父の介護で毎日が明け暮れていました。家事は勿論、家計のためにといくつもの仕事の掛け持ち。夫は感謝するどころか、稼ぎが少ないとことあるごとに暴力を振るいます。長女マルチェッラはそんな母親の生き方を非難します。デリアの唯一の楽しみは友人やかつての恋人と語る安らかな時間です。かつての恋人からは一緒になろうと思いを告げられます。

そんな生活のデリアにある日嬉しい出来事が起こります。一つはマルチェッラの結婚話です。相手は仲のいいボーイフレンド。家庭も裕福で言うことなしです。もう一つは彼女にある手紙が届くのです。その手紙の中身はラストまでわかりません。
早速、両家の顔合わせが行われます。マルチェッラは自宅に招待するのを反対します。貧相な自宅と頑固な父親、下品な弟たちを見られたくなかったのです。デリアの説得で自宅に呼ぶことになったのですが、案の定ひと騒動ありました。それでもなんとか婚約まで漕ぎつけたのです。しかし、その後デリアはそれまでやさしかった婚約者の素顔を偶然見てしまったのです。この婚約者も夫と同じく亭主関白で暴力男になると思ったのです。デリアは一計を案じこの婚約を破談にする計画を立て、実行しました。悲しみに暮れるマルチェッラを黙って見つめるデリア。後悔はありません。

デリアの悩みは送られてきた手紙です。まるで奴隷のように働かされ、何かというと暴力を振るわれ、義父からはセクハラ、娘には生き方を非難され、自分の人生は何だったんだろうと。そしてとうとうデリアは決心します。へそくりで貯めた金をマルチェッラに「学校へ行きなさい」と書置きし枕元に置いて、家を出ます。家を出る寸前に夫に見つかり、慌てて言い訳をし、逃げ出すように家を出ます。その時に大事な手紙を落としてしまうのです。それを見つけた夫は「あのクソ女」と罵り後を追います。デリアは途中で新しい服に着替え化粧をして駆けるようにして目的地に向かいます。果たしてその向かった先は・・・。

ネタバレはやめときます。そのラストに唖然としました。この映画の予備知識がまったく無かったので意外なラストに驚きましたが、時代背景を考えると、なるほどね、と納得したのです。そのラストに泣かされました。

白黒映画。ファーストシーンは4:3の画面。まるで昔のイタリア映画を観ているような錯覚に陥ります。暴力を振るわれるシーンはコミカルで笑わせられます。これはシリアスに描くのとどっちがよかったのかな、なんて思ってしまいました。この映画はイタリアで大ヒットしたそうです。男尊女卑、貧困差別、昔のイタリアは日本と同じような社会だったようです。というか世界中で女性の地位は驚くほど低かったのです。
久しぶりに面白いイタリア映画を観ました。女性差別を訴えた傑作です。
それでは今日はこの辺で。