本日のハイライト2、パリ・オペラ座で「ラインの黄金」
移動した目的地は、パリ・オペラ座バスティーユ'Paris Opéra Bastille'(Tripadvisorパリの観光4,124件中146位)。
1989年に竣工した新しい(35年も前じゃないか、ということでなくガルニエ宮など内外の主要オペラ・ハウスよりも100年以上新しく、という以上にオペラ・ハウスらしい重厚感がない)オペラ・ハウスです。
TA9位のガルニエ宮の方が施設としては興味深いのですが&あっちも行ったことないのですが、オペラの大型作品はバスティーユで上演されます。

コンサートホールのような客席、この上部席は「桟敷席」とは言わないですね。そしてボックス席はありません。
ロンドンはまだボックス席がありましたが、パリには我らのようなLady & Gentlemanのための席はないので、愈々普通の席に座れと。
今回訪ねたオペラハウス中最大、収容人数約2,700席の大きなホール、ここではステージに近い土間中央ブロックの、出入りし易い通路際を選択しました。€200@1人、キャンセル・プロテクトを付けたので、2人で計€27余計に払っていますけども。
カテゴリー1(2番目)ですが、カテゴリー分けが細かい現地、日本なら普通にS席のポジションでした。
演目はワーグナーの舞台祝祭劇「ニーベルングの指輪'Der Ring des Nibelungen'」序夜「ラインの黄金’Das Rheingold’」、この日がまさにプレミエの新プロダクションでした。
前回ウィーンでドニゼッティを聴き逃し、今回は4都を巡るので、パリではドニゼッティとかベッリーニといったベルカント・オペラを聴きたいという気持ちはありました。そして翌日はベッリーニの「清教徒」があったのですが、流石にオペラに全振りはできないし、このスケジュールでワーグナーが聴けるのはパリだけだったので、「ラインの黄金」(だけ)を選択しました。
CONDUCTOR Pablo Heras-Casado
Wotan Iain Paterson
Donner Florent Mbia
Froh Matthew Cairns
Loge Simon O’Neill
Fasolt Kwangchul Youn
Fafner Mika Kares
Alberich Brian Mulligan
Mime Gerhard Siegel
Fricka Eve-Maud Hubeaux
Freia Eliza Boom
Woglinde Margarita Polonskaya
Wellgunde Isabel Signoret
Flosshilde Katharina Magiera
PRODUCTION Calixto Bieito
はい、現在注目の演出家らしいカリスト・ビエイト氏の演出です。
謎でした。
正直言って、私が納得がいったのは、タンバリンくらい大きな指輪だけ。舞台でリアルサイズの指輪なんて見えやしないので。
日本で日本人が演出するなら、これだな。私が考えるとだいぶ古いですが。
アニメ作品のミュージカル化とか歌舞伎化はあるけど、オペラをアニメ的に演出するってのは心当たりがありませんな。日本文化の発信という点で面白いんじゃないでしょうか。
アルベリヒは指輪の魔力で世界を支配しようとするんじゃなく、電脳世界を作ろうとしているのかしら。セクシャルというかエロティックなモティーフが散りばめられていたそうですが、私はよく分かりませんでした。舞台を這い回るケーブル、ヴァルハラ城は岩山に建つ城でなくマザーボード(というか放熱用のハニカムホールがあるケースかな)、神々が入城するのでなくケーブルの中でヴォータンとフリッカの2人が這い回るだけ、最後に現れた赤ん坊の姿はジークムントじゃなくAIが生み出した人工生命体でしょうか。ワーグナー演出の解体・捏造解釈は既に50年の伝統があるとは思いますが、これは冒涜にしか感じませんでした。演出は気に入らないが邪魔にはならなかったロンドンのアイーダと違って、こちらでは演出が気になって音楽が耳に入りませんでした。
来年「ワルキューレ」と以降作品が続いていくと思いますし、「ラインの黄金」も熟成が進んでいくと思いますが、私には正直この演出での「ワルキューレ」の「告別と魔の炎の音楽」、「神々の黄昏」の「ブリュンヒルデの自己犠牲」が全く想像できません。
ブーイングがあったのが演出に対してか歌唱に対してか演奏に対してかは分かりませんが、私は演出にブーイング側の心情。
さて演奏。
パブロ・エラス=カサドさんの指揮は、非常に明晰だったと思います。パンフレットに107人載っているオケ(総員)の実際何人が演奏に参加していたか分かりませんが、大編成4管のダイナミズムは感じられず、フィナーレの「ヴァルハラ城への神々の入城」のスケール感が乏しかったのは、私の耳が演出に引き摺られていたためかしら。ホルンとチューバが外したのが気になったし。フィナーレは、ドンナーのフローラン・エムビアさんが印象を大分引き上げてくれましたけども。
ヴォータンはリュドヴィク・テジエ'Ludovic Tézier'さんが体調不良で降板して全公演イアン・パターソンさんに変わりましたが、各地でヴォータンを歌っている方なので、歌唱は安定。因みに2月は別のブックがあったらしく、ほぼ日替わりで更に別の方々がヴォータンを歌われていました。
ラインの乙女たちの3人はそれぞれ歌唱はよかったのですが、舞台では謎演出の犠牲になった観あり。女声ではフリッカのEve-Maud Hubeauxさんには気品というか時にネガティヴでもあるプライドの高さがよく出ていましたかね。
↓これの何をどう見たらニーベルングの指輪に見えるのかというカーテンコール。

€13、166ページの公演パンフレットとリーフレット。

この表紙のような石切場イメージの舞台だったらどんなに良かったか。
と「ネガティヴ」の方が勝るレビューでした。うーん、やっぱりワーグナーに対しては私の期待値が高いのかなあ。
嫁も演出には酷評でした。
オペラ座(バスティーユ)からオデオンまでバスに乗り、チェックインだけしてまだ落ち着いていなかったホテルに戻りました。
オテル・ド・ビュシ
サン・ジェルマン・デュ・プレ、ビュシ通りにあるオテル・ド・ビュシ’Hôtel de Buci by MH’☆☆☆☆(Tripadvisorパリのホテル1,856軒中86位/トラベラーズチョイス2024)。
「MH」が何だかは不明です。モエ・ヘネシーならLVMHだし、そもそもLVMHはブルガリ・ホテルとか超高級なの持ってるから違います。
しかしこれが実に素晴らしいプチ・ホテルでした。

嫁が食いつく天蓋と壁のクロス。
この丸い塔は、裏側にこの建物を貫く螺旋階段が走っているもの。
かわいらしいカウンター。
ロビーもお洒落。
レセプションはデスクに男性スタッフ1人だけですが、テキパキと快い仕事ぶりであったことも好印象。
さすがパリ随一のお洒落エリア、サン・ジェルマン・デュ・プレ。
おやすみなさい。
