
またしばらく投稿が空いてしまいましたが、2025年もよろしくお願いいたします。
今回は、久しぶりに本のお話です。
2024年に購入した本たちにも色々お世話になりましたが、中でも白石先生の「法律文章読本」は、お節介にも何人にも勧めてしまいました。
テキストだけで何かを伝える機会がある人なら、誰でも読み、手元に置く価値があると思います。
「法律文章読本」とは
本書は、「正確で分かりやすい」法律文章を書くためのヒントを、白石先生に教えてもらえる本です。
本書は、法的な内容を含む文章が読み手に向けて正確に分かりやすく伝わるようにするためのヒントを、まとめたものである。法的な内容を含む文章としては、法令、行政文書、裁判文書、契約書などだけではなく、それらを解説する文章、民間企業を含めた一般社会における意思伝達の手段となる文章、法学の試験答案やレポートなどに期待される文章、なども想定している。
本書では、そのような文章を「法律文章」と呼んでいる。
ー「はじめに」より
発売当初から話題になっており、内容についてはご紹介するまでもありません。*1
類書と言える書籍は思いつきませんが、文書作成のお作法として、私が学んできたのは次のような書籍でした(うんと昔の話なので、実際に使っていたのは前の版です)。
ほかにも、「法令用語の常識」をはじめとする読み方の本や、作成心得を説く本はありますが、ここまで平易かつコンパクトに法律文章の読み方・書き方が学べる本は他に知りません*2。
法務の人は文章を書くのが上手…だが
法務の人は、以下のような理由で、文章を書くのが上手だと思います。
- なにせ書くのが仕事なので、人よりたくさん書く。しかも添削付き。
- 裁判官・弁護士・法学者など、一流の書き手の文章に触れる機会が多い。
- 人が書いたものの解読に難儀したり、それを直すことも多く、反面教師が豊富である。
私のチームのメンバーも、私より上手くて尊敬するのですが、時々、「上手く」書こうとしすぎて、過剰品質に感じることもあります。要するに、その文書の受け手には格式高すぎるときがある。
また、私たちが書く書面には、「お詫び」など、中身以上に体裁が重要だったりするときもあるので、細部へのこだわりも持ち合わせなければなりません。
そこで、本書を勧めます。本書は、この仕事をするなら押さえておきたい基本とも言える「公用文作成の考え方」をベースにしていますが、「公用文作成の考え方」は、慣れない人にとって面白いものではありません。
それを、白石先生が(実務にも役立つ)例文も使いながら教えてくださるので、よい手ほどきになります*3。また、随所に現れる先生の工夫や妥協?もとても勉強になります。たとえば、文の構造を明確にして誤読を防ぐため、先生は読点多めなことがありますね。
「はじめに」だけでも読んでほしい
約200頁の本なので全部読んでほしいですが、周りには「はじめに」だけでも読むように勧めています(もはや業務命令)。
東大教授・独禁法の第一人者なら、多少難解な文章でも、みんなが真意を汲み取ろうと頑張るので、「正確で分かりやすい」ことに心を砕かなくてもいいと思うのですが、そんな著者でさえ細心の注意を払っていることが伝わります。
それに、目次を読むだけでも、腕試しになるので、ぜひ一緒に眺めてほしいです。ついでに、こだわりの索引も。きっと何か引きたくなるはず。
今日も手元に「法律文章読本」
先ほど偉そうなことを書きましたが、昔の私こそ、諸先輩方に憧れ、用語の意味や文書の用途を十分に理解せず、形だけ真似ておりました。当然、ダブルチェックで直されたり、「ん?これってどういう意味?」みたいな反応だったりして、不服に感じるときもありました。思い出すだけでも、穴があったら入りたい。
「法律文章読本」なので、未熟者向けの印象を受けますが、十分ベテランになっている方にもお勧めです。私の場合、「うっかり古い用語を使っている」「予防線を張りがち」といった反省点があって、常に机上に本書を置いています。
もちろん「中身が素晴らしい」からですが、対外的な文書を作成したり、他人を指導したりする立場の人にとって、背表紙だけで身が引き締まる本です。


