有料メルマガ、
に連載中の
「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。
今回は、けっこうひやっとさせられる話がてんこ盛り。
夏の準備?の肝冷え系ということで、タイトルも「幽霊がいっぱい」。
イルクーツクもやっと春らしくなり、
陽ざしが強い時は暑いほど。
最近のイルクーツクでは、古い建物がどんどんと失われているので、
葉っぱで建物が隠れる前に写真を、と思って出かけたら
時すでに遅し。

面目をかろうじて保つ、とはまさにこのこと。
北京でさんざん味わった喪失感を、
イルクーツクでも味わうことになるとは。
じつはつい先日、
イルクーツクの田舎町に住む親戚が亡くなった。
37歳の若さで、原因は心臓発作。
労働節の祝日にウォッカを飲み過ぎたのが原因らしい。
死因そのものは、こちらではたいへん頻繁に耳にするもので、
すでに知り合いや友人が何人も同じ理由で亡くなっている。
だがそれでもやはり、ショックは大きい。
親戚だし、あまりにも突然だったから。
前々から彼女にはアルコールに依存する傾向があったので、
私たちも控えるように言っていたのだけれど、
長年、染みついた習慣を変えさせるのは、とても大変。
スラバが長らく親戚と距離を置いていたこともあり、
彼女と会った回数はそう多くない。
でも、印象に残っていることがいくつかあり、
その一つが、
彼女が生まれ育った小さな村を出たがっていた、ということだ。
逃げ出したがっていた、と言ってもいい。
結局、落ち着ける先は見つからなかったようだが、
かといって、
あの世に去ってしまうなんて……
残された彼女の夫と就学期の娘さんのことを思うと、
やるせなく、胸が締めつけられる。
彼女が住んでいた家は、絵本の中に出てきそうな、木造の家で、
素朴ながら可愛らしい、シベリア風の古い民家。
周囲の大自然も、息を呑むほど美しく、緑豊かだった。
だから彼女の家を訪れた時、
私は命が洗われるような気がしたものだ。
でも、長く住んでいると、
きっとそういった恵まれた環境も、
別の印象をもたらすようになるのだろう。
彼女の住む田舎は、
イルクーツクの町からはかなり遠くて、
通夜には駆け付けられなかったため、
亡くなってから9日目に行われる
追悼の儀式に参加することにした。
日本の初七日に似ている。
こんな風に、ロシアと日本の弔いの風習が似ていることも、
何だかかえって、
死との向き合い方が身近に感じられて
せつなくなる。
それにしても、ウォッカの弊害、恐ろしや。
ロシアの田舎の津々浦々に行きわたり、
静かに人々の身心を蝕んでいる。
開戦後はとみに、
依存する人が増えているのだとか。
ここまでの悲劇が起きてもやっぱり、
残された者たちは、
哀しみを紛らわすために、
呑んじゃうのかな?
そうなんだろうな。
ほんとうに、
どうにかならないものだろうか。