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徒歩のこと

土曜日の朝、家族のグループLINEに母からメッセージがあった。
「今朝、中国の体操に行ってきました!お友達に誘ってもらって、楽しかったです。」
へー、また新しいことして、いいね、と思っていたら続きが来る。
「でも場所が遠くて、xxを通っていくの。もう7000歩になりました!」

…歩数マウントだ。

まだ9時にもなっていないのにスマホ歩数計が7000歩になるほど歩いたという歩数マウント!元気だなアラエイ(around 80)!
母本人はきっと元気な報告とお喋りの気持ちで連絡してくれたのに、こちらは過剰反応してしまう。


元気なアラエイの娘であるアラフォーわたくしは圧倒的な歩数不足で、一日に2000歩か3000歩くらい歩いていたらいいほうだ。電車通勤していた時はそれだけで1日6000歩くらいは稼げていたのだが、車通勤になってまったくなくなった。出勤したらほとんど机に張り付いているから歩く場面が昼に社食に行って戻ってくるくらいしかない。対抗策として会社帰りに公園に寄ってみるとか、朝起きたら踏み台昇降をしてみるとか、やってみたのだけど、続かなかったし昇降用に買った踏み台は割れた。

その結果として通勤でも仕事でも趣味でも座ってばかりの日々が続いて、太った…とかならまだいいのだが、膝が痛くなった。
何年か前に腰が痛くなって鍼医に行ったときに「今は腰が痛いけど、そのうち膝に来るよ。歩かないと…」と脅されていて、「そんなことあるかーい」と思っていたけど、あった。膝が痛いってどういうことなんだろうと思っていたのに、これか、とわかった。固まって動かなくなる感じ。ビリビリ痛いとかではないけれど、凝っているような不快な感じ。


膝のために歩かなくては…というベースの思いに母からのマウントがうまく火をつけてくれて、その日は車で10分のところにあるショッピングモールへの外出を徒歩に切り替えた。

いつも車で通っている道を歩いてみると、あたりまえだが全然景色が違う。
見た記憶のない建物が現れて、こんなところあったっけと思う。いつも人が多いな、と思っていたところは屋台が連なっていたりする。この通りにはこんなにお店があったんだなあと、じっくり眺めつつ歩きたいのだが、あまりよくない噂を聞くエリアなのでなるべくすたすたと歩く。かつて悪いことをやっていた人たちがいるとか、なんだかそういうのがあるらしいと、近隣に住む勤め先の人から聞いた。家から徒歩3分くらいの場所で、所得の差があることは流石のわたしでも気が付くが、悪いことをしていたとかしているというのは教えてもらわないとわからない。
とはいいながら、壁に描いてある絵がかわいかったり、屋台のメニューが美味しそうだったりするので、よく見たくなる。それを眺めて「いいな」と思うことが、合っているのかわからない、と思う。

合っているか、というのは、「やっていいことなのか?」という問いかけに近い。
その土地ならではの風情を感じるとか、知らない景色に面白さを感じるとか、そういう、旅行や散歩につきものの感情が最近すごく気になっている。それは、ここに住んでいる人たちを下に見ているからこそ起きる感情なのではないかと思うからだ。ありとあらゆるものが新鮮だったりキレイだったりするのは、消費していい前提に立っているからではないかと思うのだ。旅行=文化の消費に対する許可、と思っているのかもしれない。それは、やっていいことなんだろうか。それを許容するのが観光立国というやつか?
わたしはこの土地にとってどういう人物なんだろう、と思いながら歩いていくとかなり手作り感のある橋があり、「おお」と思いながら川を渡る、この「おお」はなんなんだよ、とまた思う。
強い強い陽射しの中、首にタオルを当てながらトボトボ歩くとモールに到着して用事が済んだ。歩数計は約3000歩となっていた。

涼しいモールの中で本を読もうと思って持ってきていたのだが、勤め先の人に偶然出くわしてしまったので、ろくに体が冷め切らないまま焦ってまた強い陽射しの中に戻ってしまった。さっきと同じ道を歩くのは気が引けて、遠回りのルートを通って帰ることにした。

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この辺りにはちゃんと歩道があるところが多いな、と嬉しく歩いていると、びゃーんと椰子の木の葉っぱが降りてきて通れなくなっている。歩道がちゃんと作ってあっても、こういうトラップがあるよな。だんだんわかってきた。他には木の根っこが歩道のタイルに勝っているところがあったり、まさかここでというところで歩道が途切れていたり、歩道の真ん中に看板が立っていて避ける必要があったり、する。歩道のなさをただ嘆いていた頃*1に比べると随分と解像度が上がったというものだ。

歩く途中でお腹が空いてご飯を食べたり、暑すぎてカフェに飛び込んだり、スーパーに寄って数日分の食料を買ったりして帰ってきたらこの日の歩数は9000歩を超えていた。
嬉しかったので母にLINEしておいた。マウント返しである。
母からは「良かったわね❣️」と返事が来て、おそらくマウントは効いていないのだった。

 

 

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*1:




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