去年の年末、お腹の調子が悪くて鍼医に行った。
わたしのお腹が苦手なことはクーラーの効いた寒い部屋で冷めた油っぽいものを食べること。これは父親も苦手だったらしく、腸閉塞になって一度救急車に乗ったことがあると聞いた。わたしも同じ。腸の癖が遺伝するなんてことがあるのか、と思うが、病気はなにかと遺伝するらしいからそうなんだろう。父方は癌家系(なにそれって感じのワードだけど)だからきっと私もどこかのタイミングで癌になるんだろうと思う、心の準備は万端だ。
昨年末の話に戻る。上記の苦手なシチュエーションをバッチリやったある日のことだ。朝昼おやつと必要以上に油ものを摂取したわたしのお腹は、夕方からぶわーっと膨らんで止まった。痛い。ズボンのボタンが留められなくなった。慌てて横になる。お腹の動きが止まっている。痛い痛い。これは困った、と思って薬を飲んだり、腰をバタバタ動かしたり、なんだりして、もう、仕方なく、諦めて暖めて寝た。翌日にはズボンが履けるようになり、違和感は残るが痛くもなくなり、ひと心地ついたのだが、その後しばらくいまいちな日が続いた。
そこで鍼医に行った。
名古屋で通っていた鍼医は、行くとすごくラクにはなるけどみっちり説教もされるというのが定番だった。生活態度の悪さについて小言を言われるのだ。それが嫌で避けて過ごしては、しばらくすると肩やら腰やらが痛くなってまた行って叱られる、という繰り返しをしていた。
今回新しくかかった鍼医は、優しく親切だった。症状をひとしきり聞いてくれた後、わたしの脈を診て舌を診て、トホホ、という顔をした。そしてやっぱりいろいろと言うのだった。
曰く
・甘いものを避けろ。バナナ禁止。
・油ものを避けろ。
・牛乳禁止。
・シナモンを溶いたお湯を飲め。
朝ごはん毎日バナナなのに…コーヒーをカフェラテにすることでカルシウムを摂ってるつもりでいたのに…とボンヤリがっかり。そして最後のシナモンについては…なぜ…?よくわかんないけど…了解…と施術の後のその足でスーパーに寄って、シナモンパウダーを買った。
家に帰って早速シナモンパウダーをコップに入れて、お湯を注いでぐるぐるとして飲む。
…ジャリジャリする。
水に溶けるわけもない。これ合ってるのかな…と思う。
数日このジャリジャリするお湯を飲むのを繰り返し、よくよく思い出してみると、鍼医はシナモンパウダーをそのまま飲めと言っていたのではなく、シナモンティーを飲めと言っていた。そもそも「シナモンスティックじゃなくてパウダーを買えばいいから」と言っていた。本来はスティックを煮出して飲むということだ。その代わりに粉をお湯に入れて、落ち着かせて、飲みなさい、と言っていた。
そうかそうかと遅れ馳せながら気付いて、始めたのが、翌朝用にシナモンティーを作っておくというルーティンだ。
寝る前にお湯を沸かして、魔法瓶にシナモンパウダーをひとさじ入れて、お湯を入れて、蓋をして寝る。起きて、魔法瓶の蓋を開けると、シナモンの香りは満タンだがジャリジャリしないお湯を飲むことができる。シナモンパウダーが数時間のうちに水筒の底に沈みきっているから、口に入って来なくなる。
これがなんだかとても良い。
白湯を飲めとはよく言われるが、ただでさえ起床という困難なイベントの流れの中にお湯を沸かして冷ますという一連の流れを入れ込むのは大変なことだ。その点、前夜のわたしが覚えてさえいれば、起きたときにほどほどの温度でいい香りのするお湯なのかお茶なのか、そういったものが飲めるというスタイルは、助かる。
調べるとシナモンには消化を促進させたり腸を温めたりむくみを減らしたりといろいろ良い効果があるとされているらしい。実際に効いている!とは思わないし、冷房と油分(とその誘惑)に打ち勝つための体質改善に貢献するかは正直わからないけど、コーヒーでもなく白湯でもなく、シナモンのお湯を飲むの、なんか、いい。とりあえず年末以来、鍼医には行かずに済んでいる。朝飲むものがなんかいいかもしれない、という雰囲気とともに、そこから始まる1日がうまく行ったら良いのだが。

(バナナもカフェラテもケーキも3日だけ我慢して再開してる。)