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顔、顔、顔のこと

 

K-POPのアイドルを好きになってから1年くらいが経ちまして、本人たちの活動や魅力はさておき、いろいろと新鮮に感じる文化がたくさんあるのですが
まあとにかく顔。
音楽やら舞台やら人柄やら才能やらいろいろあるけどやっぱり顔。
顔が支配する世界、アイドル界。

新しい顔を求めて右往左往する人々が大量に存在している面白さ。
旧い顔(初出が何年か前であるという意味)であっても、見たことのない顔に出くわすと新鮮に喜びその顔に慄きわめく人々。
そんな新しい顔をダウンロードしてはスマホの容量を埋め尽くす人々。そういう人々のいる世界がアイドル界。

そうそう。新しい顔はいまや日々電子的に提供されるのだけれど、そういえば大昔(30年くらい前)には「生写真」という商品があって、ジャニーズショップに行くと公式の生写真が買えたものだった。物理的かつ、公式な「顔」を所持するためには、CDを買うか、雑誌を買うか、カレンダーを買うか、コンサートグッズのうちわ等を買うか、宣伝に出たポスターを商店街のお店の人に恥を忍んでお願いして貰い受けるか、、先述の「生写真」を買うか、くらいの選択肢しかなかった。
公式でない生写真というのも存在していて、それはお祭りの屋台の出店の当てものになっていたり、コンサートの会場の周りでサングラスのおじさんが道に広げて売っていたりした。それは撮影禁止のコンサートのようすを撮ったものだったりして、多分買っちゃダメだったんだと思う。
生写真ってなんだよその名前、と今となればツッコミどころしかない気もするが、当時は「生写真」が欲しかった。つまり雑誌に載っているその人ではなくて、まるで私が家族に撮ってもらったのと同じ、家のアルバムに入っているのと同じ、L判の写真に、その人がいる、という…メディアとしての親密性のようなものがあった気がする。どうだろう。
もちろんスマホなんていうもののなかった当時、持ち歩きの観点でもL判の写真は適していたし、コレクションするにも適していた。
で、
だから、
いま、それは変わって、
電子的に、
しかも無料で、
大量に、
新しい顔が提供されるアイドル界隈なのだ。
お金が沢山なくてもスマホがあれば新しい顔が見られる良い時代なのだ。
雑誌を買わなくても誰かが雑誌の中身を写真に撮ってTwitterにあげてくれる(ダメ)し、雑誌自体もSNSアカウントを持っていて真四角に加工した画像をあげてくれる。テレビ番組もしかり。YouTube動画もしかり。
でも、
なのに、
それでも、
物理的に
公式な「顔」を自分の手に入れたい!
というのが古今東西変わらぬ人の心理なのだろうか。
というわけで今
「生写真」に代わるものとして「フォトカード」というのがある。
「ポカ」と略す。
「ポカ」は、CDを買うとランダムで1枚ついてきたり、別なバージョンのCDを買うと別な衣装のものがついてきたり、する。
宣伝してる商品を買うとランダムに1枚ついてきたり、コンサートに行くと入口でランダムに1枚もらえたり、する。
つまり、なんらか公式なものにお金を払うと、もらえる、というのが原則だ。
ただ、CDを1枚買う、1回なにか支払う、だけでは、グループのメンバー全員の顔は揃わない。なので、たくさん買う人が出てくる。重複したりするので、交換する人が出てくる。なんなら、CDを買って「ポカ」だけを抜き取り、CDを安価に転売したりもする。そして「ポカ」は「ポカ」だけで、「コンプリートセットです」とか言って、もともとの価格はゼロなのに、値段をつけて転売したりもする。
「顔」がカードの形のメディアになり、価値を持ち、コレクションされ、流通されているのだ。「顔」がほとんど通貨になっている。
「ポカ」は、定期入れに入る大きさの写真のカードだ。そのほとんどは「顔」が占めていて、公式写真風だったり、自撮り風だったり、セーターを着ていたりシャツを着ていたり制服だったり軍服だったり髪が緑だったり赤だったり、布団をかぶっていたり猫耳をかぶっていたりするのだが、それらは売り出される前に、モザイクのかかった画像でインターネット上に公開されることが多い。人々はその靄がかった画像を己の目で透視して…いや、解析して、「これはかわいい!買わなきゃ」などと言う。
何が見えているんだ、と思う。
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そうやって顔に心を乱されて必要以上のCDを買ったりグッズを買ったり化粧品を買ったりする人々…の中に、私も結局いる。
ファンにはなったけど、なるべくモノを買わないように買わないように、気をつけて気をつけて生活していた。しかしある日、化粧品会社の宣伝として現れた新しい「顔」があまりに良くて、買ってしまった。負けた、と思った。「顔」16枚と、化粧水とセラムとクリームが韓国の住所からマレーシアの住所に送られてきた。送られてきた「顔」を1枚ずつよくよく拝んで、ありがたいありがたいと封筒に仕舞って、朝晩スキンケアをしたおかげで肌がつるつるになった。偶然に商品が肌質に合っていた。ナイアシンアミドっていうんですか。成分が。合っていた。よかった。
この化粧品のセットにはグループのメンバー全員の「顔」がついてきたので、自分が最も推している人以外の顔は、仲良くしている他のオタクに会ったときに渡す。相手も「交換できる顔」を持っているので、もらえる。そうこうしているといつの間にか「顔」の在庫が増えていく。


こないだ東京に帰って、久しぶりの友人に会ったら「スッ…」と四角いモノを裏向きに渡されて「何…?」と受け取って見たら「顔」だった。スパイのようで怖かった。お返しに私からは封書で「顔」を送った。お中元のようにお歳暮のように。お世話になっている友達の間で、顔が支配する世界なのだ。

 




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