1月30日の記事に書いたように、現在東大で、3月には早稲田大学で開催される「響けわれらが声――法政大学大原社会問題研究所所蔵ポスターから見る戦後の労働者像」に当館も協力しています。
2月2日(日)に東京大学駒場博物館で開催されたギャラリートークは、当館の谷合も参加しました。早稲田大学・鈴木貴宇先生の見事な解説が披露され、その淀みなく語りかけ研究の動機や成果を語られる姿に聞きほれていました。
わたしの話は、総評(日本労働組合総評議会)が大赤字を出した『新週刊』について、当館エル・ライブラリーの所蔵資料を使っての補足説明でした。また、三池炭鉱労働組合の力溢れるポスターについても、三池争議の歴史的意義や、主婦会も闘った家族ぐるみ闘争であったことなどを説明しました。争議が組合側の敗北に終わったあと、炭労(日本炭鉱労働組合)が政策転換闘争へと舵を切ることについてもポスターから読み取れるのが興味深かったです。
その後、予定になかったのですが、清水剛・東大教授と榎一江・法政大学大原社会問題研究所長も急遽ギャラリートークをされました。来場者が熱心に聞き入り、時に質問が飛び交う光景が見られたことも印象深かったです。↓の写真は 吉田 則昭先生の撮影・提供です。ありがとうございます。(谷合佳代子)

#響け我らが声―法政大学大原社会問題研究所所蔵ポスターから見る戦後の労働者像 東大での展示は2月24日まで。その後、早稲田大学で3月2日~29日まで開催されます。

<展示の概要>
東大会場:2025年2月1日~24日 東京大学駒場博物館
早稲田会場:2025年3月7日~29日 ワセダギャラリー
入館料:無料
主催:科研費(基盤C)「戦後日本における労働者像の生成と文化に関する総合的研究:サラリーマンの社会文化史
共催:法政大学大原社会問題研究所
協力:東大駒場友の会
協力:科研費(基盤C)「林業労働者の文化運動:空白のサークル運動史を解明する」(大阪公立大学)(エル・ライブラリー)
主催者による展示趣旨全文
「思わざるまでにわが声美しき労働歌を庁舎の壁に響かす」。 これは1950年代に公務員として働いた無名の女性が残した短歌です(渡邊順三 ・信夫澄子『歌にみる日本の労働者』新評論社、1956年)。没個性的なホワイトカラ一層の代表と思われがちな公務員が、無機質な壁に囲まれた職場環境の中にあって歌う労 働歌、それが「美しく」自分の耳に響くのは、自分たちも「労働者」なのだという誇りや希望が込められていたからでしょう。1945年の敗戦後、日本社会はあらゆる領域にわたる民主化を経験します。そこに登場した新しい「労働者」像は、戦前の労使関係を強く縛った「職員・工員」という身分制から放たれ、自分たちの生活を守る権利を手に入れました。1950年代から60年代にかけて活発に展開された労働運動は、「戦後民主主義」の実践でもあったのです。それでは、その中を生きた「労働者」はどのように表現されてきたのでしょうか。「労働者」という言葉が想起させる、過酷な現場労働に従事する 人々だけではなく、サラリーマンや事務職に携わる女性たちもまた、等しく「労働者」として登場した時代が、確かに戦後日本の一時期にはありました。それがやがて「働く夫、支える妻」という性別役割分業に集約していき、女性労働は補助的な役割を担うものとされていきます。「労働」は私たちの「生活」に直結するものであるがゆえ、その形を考えることは社会で展開される「家族」のあり方を見直すことにもなるのです。戦前からの長い歴史を持つ法政大学大原社会問題研究所が所蔵する労働組合・労働運動関連ポスターから見える「労働者の声」は、戦後80年の現在を生きる私たちに何を伝えるでしょうか。本展示は、多業種の労働組合・労働運動関連ポスター約40点を通して、これまでの「労働者」像を浮かび上がらせ、そこに込められた希望の形を皆さんに伝えたいと思っています。