2月に東大で、3月に早稲田大学で開催される「響けわれらが声――法政大学大原社会問題研究所所蔵ポスターから見る戦後の労働者像」に当館も協力します。
当館館長・谷合佳代子は大阪公立大学の特別研究員を兼務しており、同大学の科研費プロジェクトの代表を務めています(この科研には当館の黒川伊織研究員も分担者として参画)。その科研から、林業労働者の文化運動に関する資料を展示後半の早稲田大学に出展予定です。
また、2月2日(日)に東大で行われるギャラリートークに谷合も参加し、鈴木貴宇・早稲田大学教授の解説の聞き手兼コメンテーターを務めます。

<展示の概要>
東大会場:2025年2月1日~24日 東京大学駒場博物館
早稲田会場:2025年3月7日~29日 ワセダギャラリー
ギャラリートーク:2月2日(日)14時~15時、東大駒場博物館
入館料:無料
主催:科研費(基盤C)「戦後日本における労働者像の生成と文化に関する総合的研究:サラリーマンの社会文化史
共催:法政大学大原社会問題研究所
協力:東大駒場友の会
協力:科研費(基盤C)「林業労働者の文化運動:空白のサークル運動史を解明する」(大阪公立大学)(エル・ライブラリー)
主催者による展示趣旨全文
「思わざるまでにわが声美しき労働歌を庁舎の壁に響かす」。 これは1950年代に公務員として働いた無名の女性が残した短歌です(渡邊順三 ・信夫澄子『歌にみる日本の労働者』新評論社、1956年)。没個性的なホワイトカラ一層の代表と思われがちな公務員が、無機質な壁に囲まれた職場環境の中にあって歌う労 働歌、それが「美しく」自分の耳に響くのは、自分たちも「労働者」なのだという誇りや希望が込められていたからでしょう。1945年の敗戦後、日本社会はあらゆる領域にわたる民主化を経験します。そこに登場した新しい「労働者」像は、戦前の労使関係を強く縛った「職員・工員」という身分制から放たれ、自分たちの生活を守る権利を手に入れました。1950年代から60年代にかけて活発に展開された労働運動は、「戦後民主主義」の実践でもあったのです。それでは、その中を生きた「労働者」はどのように表現されてきたのでしょうか。「労働者」という言葉が想起させる、過酷な現場労働に従事する 人々だけではなく、サラリーマンや事務職に携わる女性たちもまた、等しく「労働者」として登場した時代が、確かに戦後日本の一時期にはありました。それがやがて「働く夫、支える妻」という性別役割分業に集約していき、女性労働は補助的な役割を担うものとされていきます。「労働」は私たちの「生活」に直結するものであるがゆえ、その形を考えることは社会で展開される「家族」のあり方を見直すことにもなるのです。戦前からの長い歴史を持つ法政大学大原社会問題研究所が所蔵する労働組合・労働運動関連ポスターから見える「労働者の声」は、戦後80年の現在を生きる私たちに何を伝えるでしょうか。本展示は、多業種の労働組合・労働運動関連ポスター約40点を通して、これまでの「労働者」像を浮かび上がらせ、そこに込められた希望の形を皆さんに伝えたいと思っています。