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労働者の結婚式─ベス・スティール「星の降る時」@PARCO劇場


翻訳劇が好きだ。言葉や背景がうまく観客に伝わっているのか?考えながら見るのが面白い。必ず翻訳劇では、宣伝文句として「翻訳劇とは思えないほど語りが滑らかで」という一節が使われる。この「星の降る時」でもそういう文言を見た。私は、翻案過激派なので、お客さんが楽しめるのであれば、ノッティンガムの炭坑夫の話を足尾銅山の話にすればいいし、ポーランド人役をアジアのどこかの国の人に置き換えれば、より日本人の観客にとって身近な物語として受容されるに違いないという考えの持ち主だ。「星の降る時」の上演から最初の15分くらいはそう思っていた。

 

しかし、炭鉱労働の思い出話をピートがはじめてから演劇に引き込まれていった。ピートはかつて炭鉱労働者だった。イギリスの炭鉱町の名前を劇中で20ヶ所ほど一つひとつ挙げていく。本来は3つくらいで十分だが、全ての炭鉱労働者に捧げる......との思いがあふれて、作家は全ての地名を入れたのだろう。


その地名の中に、私が知っている地名もあった。サットンだ。サットンは今では炭鉱町の気配を消した郊外である。そのかつて訪れたことのある地名を聞いて、急にこの演劇が私にとって身近になった。

 

演劇研究者の関智子によると、劇作家ベス・スティールは以下のような経歴である。

実は彼女の経歴は、別の意味で劇作家としてイレギュラーである。というのも、英国現代劇作家の大半はレベルの高い大学で学位を受けているか、劇作家としてのプロフェッショナルな高等教育を受けているか、あるいは幼少期より演劇が身近にある(業界人の家庭に生まれるなど)のいずれかである。しかし、スティールはロンドンでウェイターをしている際に、D・ハロワーの『ブラックバード』を観て作家を志し、その6ヶ月後に初めての作品を書いた。そのような出自と才能、そして技術から、その彼女が描く作品は多くの観客から「自分たちの話」として高い共感を集めている。それは時に、下流中産階級から労働者階級までの観客からの「自分たち」という共感である。

 

「星の降る時」は、炭鉱町が消え去ったあとの時代。イギリス人のシルヴィアとポーランド人のマレクの結婚式の1日を描いた物語だ。マレクを演じる山崎大輝はビジネス用の教科書で学んだような丁寧な言葉で話す。「〜なんだろ?」「〜だよな?」ではなく、語尾は「〜ですか?」である。TOEICを勉強した日本人が話す英語のようなイメージだろうか。翻訳者の小田島則子は「日本語の翻訳にまったく方言の要素を入れなかった」と振り返っているが、たしかに、マレクがあれだけ(日常的なフランクな英語を話せないと)しっかりと設定されているのに、他の登場人物はノッティンガムの家族の割にはシュッとした言葉を話す。その点については、違和感を抱いた。だからと言って、方言にした場合「どの地方の方言にするか?」との問題も残るので、今回はこの選択で良かったはずだ。ノッティンガムらしさは、日常的に性の話をおおっぴろげでする姿や結婚式で激しく踊る身のこなし、めでたい日に激しく口論する家族像などからも読み取れる。


この演劇をみて、会話がうまく書ける作家は最高!と称賛せずにはいられなくなった。ダンスシーンで俳優が全員で頭を振っている様子や土砂降りの激しさをピアノで表した演出も見どころだ。

 

stage.parco.jp

 

東京、山形、兵庫、福岡、愛知で開催予定。


東京・PARCO劇場

2025年5月10日(土) 〜2025年6月1日(日)

山形・やまぎん県民ホール

2025年6月8日(日)15:00開演

兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

2025年6月12日(木) 〜2025年6月15日(日)

福岡・キャナルシティ劇場

2025年6月21日(土) 〜2025年6月22日(日)

愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2025年6月27日(金) 〜2025年6月29日(日)

 

 




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