元々、国語科の教育実習生(大学生)がDragon Ashの「Grateful Days」を詩の授業で紹介してくれたのが、私とラップの出会いである。うーん、それ以外のラップの記憶はあまりない。アンダーグラウンドのラップはもちろん通ってきていないが、カラオケに浮上してくるような曲、例えば、KICK THE CAN CREWやケツメイシ... などはテレビやラジオから流れてきたし、TSUTAYA全盛期の頃に店頭でジャケットを見たことがあるし、超売れてる曲はサビならわかる...という程度である。
そこから時間がかなり経ち、周囲にラップバトルに参加した人がツイートしていたり、日本語ラップに詳しい知り合いがメディアで記事を書いていることは知っていたが、自分から積極的に情報を追うことはしていなかった。
しかし、なぜか、5月頭に祖母のお葬式が終わった後に自分の虚無感を埋めてくれたのはラップだった。なんで、このタイミングなんだろう??ラッパーの感情のほとばしりみたいなものにグイッと引き込まれて気づいたら過去のラップバトルを10年以上遡って聴いていた。
本名のえみという名前から、中学生か高校生の時に一部の男子がエミネムと呼んでいたような気がするけど、8mileを最後まで観たことははかった。(今日、Amazon Primeでやっとみたよ)エミネムのラップがうまいことは薄々感じていたが、自分の心に響くか?と聞かれると、ジャニーズの音楽を聴いていた普通の10代の私には響かなかった。
今回、過去のラップバトルを掘ってみて分かったのは、Eminemの「The Real Slim Shady」は名曲ってことだ。この曲をビートにして行われたバトルは数知れず。最近だと、2022年の渋谷レゲエ祭のDOTAMA vs KYO虎で使われている。
10年分、遡って聴いてみて、DOTAMAとR-指定の分岐点が気になった。2010年代に何度も対戦してきたこの二者は、2020年も半ばになると、オーバーグラウンドでの活動の幅に大きな差が出る。2023年にオールナイトニッポンからCreepy Nutsが消えたかと思えば、2024年に数億再生という楽曲を世に送り出したR-指定。DOTAMAは2020年にヒプノシスマイクのプロデュースで観音坂独歩の「Black or White」が注目されるなど、サラリーマンという属性がいきる曲が世に出たが、欲を言えばもっと跳ねてほしい。
個人的にはR-指定よりDOTAMAのラップの方が好きなのだが、楽曲となるとR-指定の方が断然好きだ。R-指定は自分の音楽性と視覚的・聴覚的に表出されるクリエイティブの間に一貫性がある。そして、初期にはみられなかった裏声を使ったような言葉の放ち方や、身体全体をしならせながら歌うスタイルなど、彼らしさを確立してきた。が、DOTAMAはラップと楽曲の一貫性がみられない。なぜ、あの「ディスの極みメガネ」と呼ばれるほどのドぎついワーディングなのに、楽曲を作るとあんな柔らかいポップなメロディ多めになるなんだろう。合ってない!DOTAMAさん、好きだよ。でも、合ってないよ!MCバトルでも、母親のうつ病や弟の自殺などについてもちらっと語っていたことがあったので、辛い家庭環境だったことは想像できる。そういう環境で育ったからこそ、戦場であるラップバトル以外のシーンでは丁寧な語り口調、ポップな曲調選びになってしまうのかもしれない。でも、違和感を抱いてしまったよ。ええ、ここ一週間聴いたぐらいで何が分かるのかと言われそうだけど、もっと自分らしさと合ってる音楽を作ってほしい。DOTAMAさん!思うけど、悪口言う相手がいるとリリックがスルリと出てくるバトル向きの人間なんかな。
プロデューサーというか、外に出てくる画像やイラスト、グラフィティひとつとっても、DOTAMAらしさを引き出すクリエイティブが加わるとなんか変わる気がする。今のポップな方向性もいいんだけど、なんかちょっと違う気がする。いや、ラップはまじですごいから言うことはない。早口の言い回しも、相手の出方を予測したリリックも、何かが憑依したように見える悪口を放つ姿も、8mileのエミネムを見ているようで好きですよ。でも、なんか、もっと私が聴きたい音楽は違うよ。ライブを見にいきます。
蝶と蜂は好きになった曲。UMBを三連覇した時にR-指定がウィニングラップで使ってて知った。