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Pot-pourri - Diary(2022)

Pot-pourriのDiaryについて書きました。2022年の年間ベストといくつかのライブレポート、そしてlimboというZINEで書いた内容を元に再度まとめています。


 

 

Pot-pourri - Diary(2022)

22年にHeadzよりリリースされたPot-pourriの2nd。Pot-pourriはアブストラクト・ポストパンクを掲げ独自の音楽を追求するバンドで、アコギ+ドラム+ベースの3人のアンサンブルにマニピュレーターの液晶氏がリアルタイムでエフェクトをかけていく特殊な体制の4ピースバンド(液晶氏は2lcdでも活動)。19年にリリースされた1stのClassicではギターとドラムにダビーなエフェクトを掛けるスタイルだったのが、今回は制作の時点で液晶氏によるミックスとエレクトロニクスがガッツリ介入、リズム隊の二人も今作から加入したメンバーのため完全な新体制。本当に聞いたことない独自の音世界を作り上げていて、M1のAstraのイントロにおけるベースなのかギターなのか電子音なのかパッとわからない音色の曖昧さが今作を象徴してると思う(実際はベース)。ヌッと地面から生え出てくるような強烈な低音は冒頭から空間を意識させてくる。ドラムも淡々としたトラック的なものと生演奏が入り混じっていて、M2のComicやM3のIn Profileではノイズもギターも電子音も全てが並列化された一つの波として渦を巻き、それぞれの境界をどんどん溶かしていく。M4のVertigoは静謐な歌ものとエレクトロニクスの実験が歪に融合したトラックで、広がりを抑えた密室音楽っぽい雰囲気もあり、音が鳴ってる小さな箱に頭を突っ込んでるような気がしてくる。M5のPapillonはジム・オルーク期のWilcoも思い出した。全体的に密室感があるからこそフィールドレコーディングで幕を開けるM6のDiaryの開いた感じがすごく響いてくる。実験的でありながら歌ものとして一貫した姿勢があるおかげで聞きやすく、それぞれが違う情景を紡ぎ出す映像的な曲群が続く今作が"Diary"と名付けられているのも良い。

全体的にベースもドラムもダイナミズムは抑え、あくまで一つの音色として、DTM的なテクスチャの一つとして切り貼りしたオリジナルのポストロックだと思うし、液晶氏というプログラミング担当がメンバーにいる関係からライブを見る度に違うリミックスを聴きにいってる気がしてくる。故に今作も一つの、その時期の保存でしかないと思うし、別ミックス盤やライブアルバムも聞いてみたい。とくに今作はフィジカルで購入した場合ショップごとに違うリミックスの収録曲が特典として付属していて、これもミキサー本人がバンドに在籍してる面白さが全面に出てるなと思うし、リミックスが多かったポストロック黎明期と重ねてTortoiseのRhythms, Resolutions & Clustersを思い出さずにはいられない。Screamadelicaがアルバム内でアンドリュー・ウェザオールとThe Orbの別バージョンを同時に収録したことや、ライブに帯同して一緒にDJをやっていたことも思い出してしまう。90年代のポストロックによって"編集"行為そのものが作曲プロセスに組み込まれロックの形がもう一度再考されたこと、Tortoiseの日本における流通を担ったHeadzに、Pot-pourriが在籍しているという事実も象徴的に思えてしまう。Pot-pourriのライブは行く度に発見があり、とくにAstraやComicはアグレッシブなリズム隊の生演奏に置き換えられ巨大アンセムへと変貌。どっちも音源ではIDMのようなリスニング・ミュージックの感じで聴けたけど、肉体的な爆踊りナンバーになってしまうのがこのバンドの醍醐味だと思う。ComicやIn Profileはギターによって作られる轟音とはまた違った、音の響きそのものを肥大化して全身を飲み込んでくるオリジナルの感覚がある。ライブ行くと結構エディットされた色んな音が鳴ってるにも関わらずアコギ+ラップトップという形態故に足元にエフェクターがほとんどないスッキリした風景も新鮮。ちなみにマスタリングはROVO益子樹を迎えていてART-SCHOOLとの接点もここである。

 

 


以上でした。こちらはいくつかのライブレポート。

Pot-pourriはバンド形態だけでなくライブの企画自体が毎度とてもコンセプチュアルのがとてもいいなと思います。とくに漫画家やアイドルと対バン、しかもSCOOLというライブハウスではなく教室みたいな場所で行われたCharactersはその極地みたいな感じでしたし、Phantom Tour2024における対バンのチョイスとか、Strip Jointとの曲交換カバー企画、先日行われた10周年ライブにおける会場で流れるプレイリストと連動したオリジナルZINEの配布など、毎回めちゃくちゃわくわくしますね。また2022年の年間ベストでも触れたんですが、同年にあったSPOILMANとの対バン企画(SPOILMANはHARMONYリリース直後)はその年のベストライブと言えるくらいすごかったです。

メンバーである液晶さんは2lcdという名義で色々作品を発表してますが、ART-SCHOOLアジカンといった世代直球のギターロックを主体としつつPot-pourriでもわかる通りエレクトロ色の強い独自のサウンドを鳴らしていて、64kbpsはコンピという扱いですがDisc2に収録されてるいくつかの音源はDiary期と制作時期が近く、聞き比べるのも面白いと思います。個人的にPlauraokは必聴です(これでアジカンがリファレンスなのもすごい)。アクリルキーホルダーに音源DLコードがついているというグッズ形態としてのリリースも衝撃でした。

次作。本当にすごいので今作でなにかしら響いた方は是非。ストレートにポストパンク/ニューウェーブに近づいたのにより異形になった感じもするし、それでいて今までにないほどポップな歌が両立されてるのがすごい。




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