9/17に行われたSmashing Pumpkinsの日本ツアーの武道館公演に行ってきました。

自分としては初の武道館公演、Smashing Pumpkinsは音楽リスナーとしての自分のとても大きな原点でありルーツですが、海外アーティストの公演やライブに足を運ぶようになった頃にはもう彼らは日本に来なくなっていた時期だったのもありとても感慨深かったです。以下セトリと、備忘録としての簡易的なライブ感想。
1曲目のGlassはサブスクになかったため、プレイリスト自体は2曲目のHeavy Metal Machineから。自分はライブハウス以外の大きなホールでライブを見るという経験自体がかなり浅く(10年以上前に見たNANO-MUGENを除くと今年4月のMyGO!!!!!×Ave Mujicaが初)、席の割り振りで音響の良し悪しがかなり左右されるのではないかという危惧を考えるとあまり進んで足を運ばないタイプではあるんだけど、流石にそれでもSmashing Pumpkinsは見たかったし、告知があった時点で即チケットを購入。割かし全パートがゴシャっと混ざり合ったカオスな音ではあったけど、元々バンドの音楽性的にも早い段階からスタジアムに適したスケールの大きい音楽性、それでも浮き上がるジミー・チェンバレンの超人ドラムとヘヴィなリフ及び録音の時点で強調された低音のおかげで骨子はしっかり感じれて全然楽しめた。シンプルに最初期に近いラインナップでライブを見れたという事実にも大きく感動してしまう。
入場後いきなりマシーナ2のGlassで開幕、メタリックな疾走ナンバーで収録されているマシーナ2は視聴方法も現時点でわかりづらいため結構攻めててびっくりした。続くHeavy Metal Machineは音源で聞くのと比べてもかなりグルーヴィーで、ギターリフにベースを追随させた円を描くような反復はKyuss等にも通じるストーナー/ドゥーム風味なグルーヴがあるなと、腰を落として横ノリで爆踊りできる感覚を実際に会場で、自分の肉体を通じて体感できたような気がしてとても良かった。これまで死ぬほど聞いた、それこそライブ音源や動画を何度も見てきたバンドだとしても、ちゃんと会場で一回生で見るという意義を大きくこの時点で感じれたのがやっぱり嬉しい。実際自分はグランジ的なギター・バンドであっても、リフやメロディを聞くというよりは反復に身を任せて踊るという趣でライブを楽しむことが多く、それこそメロンコリー期のそういったナンバー(ZeroやBodies等)を思い出すことで自分が何故Smashing Pumpkinsを飛び抜けて好きだったか、今になってその理由の一つを実感できたように思う。何よりこの部分にBlack Sabbathの系譜としての遺伝子をしっかり感じれたし、間接的にグランジやストーナーもブルースの延長線上で初期のThe Doorsらとも通じる反復による陶酔感と近いものがあるなと思う。
3曲目のToday、普通に号泣。当時のMVで最後ビリー・コーガン1人になる演出と同じように次々とメンバーが脱退していった経緯を思い出し、今2025年にジミー・チェンバレンとイハが戻ってきてこうやって再び日本でTodayをやってくれてる事実に涙が止まらなくなった。Bullet With Butterfly Wingsは自分がそもそもこのバンドを聞くきっかけとなったバンド随一にグランジ色の強いナンバーで、歌い出しのThe World Is a Vampireを突然ぶちギレシャウトをかますバージョンが割とライブでは定番というイメージが(数年前の時点で)あったのだが音源に近い形でクールに始まった。どんどん加速していくジミー・チェンバレンの野性的なパワー・ドラミングは90年代当時のものと比べるとかなり統制された雰囲気があり、手数多く弾をばら撒きながら、曲の巨大な体躯の隅から隅まで線を張り巡らせて形を作っていくような、リズムキープとおかずを両立させるグルーヴの妙がライブで見ることで生々しく感じて圧倒された。Muzzleとかのちょっとゆったりした曲だとそれがよく表出してたと思うし、シンプルに自分自身最も好きなドラマーがジミー・チェンバレンであるため(というか初めてドラマーを名前で認識し覚えたのが彼だったと思う)ぶち上がったし、ずっと何度脱退してもジミー・チェンバレンとタッグを組み続けたビリー・コーガンへの影響力も実感した。
名曲1979を挟んで最新作からもいくつか演奏。1979は手拍子と合唱があって(そもそもBullet With Butterfly Wingsの時点で合唱がありキメ後のサビをシンガロングする流れがあり、こんなに暗くて重い曲でも起きるんだと結構驚いた)、自分はライブ時の手拍子やシンガロングがあまり好きではないのだが、スマパンくらい昔からずっと恋焦がれてきたバンドとなると流石にグッときてしまう。何よりメンバーがずっと楽しそうに演奏していて、日本に来てくれたこと自体が自分としてもすごく嬉しかったし、そういう気持ちが溢れ出た結果の本能的な行動の延長にある文化に思う(というかたぶん当たり前なんだけど、これまで自分と距離がありすぎて考えたこともなかった)。Cherub Rock演奏時などは少しずつ音を足していくフェードイン的なイントロに合わせて観客のレスポンスも徐々に大きくなっていく一体感もシンプルに高揚した。あとライブにおけるバンド編成バージョンの重厚なTonight,Tonightのイントロから一気に音を引いて美しいアルペジオが残る瞬間なんかも、これまでいくらでもライブ動画で見たはずなのにぶわっと涙が溢れ出てしまう。
最新作のM1でもあるEdinにかなり感動してしまいぶっちゃけベストアクトまである。というか前半の名曲メドレーはやっぱもうクラシック然としすぎていて懐メロとして聴いてしまうとこもあって、現在Smashing Pumpkinsはキキ・ウォンを迎えたトリプルギター体制だし、それこそアラン・モウルダーと組んでシューゲイザーと近親ともいえるオルタナサウンドを発していたのは90年代の彼らのモードであり、現在のバンドの状態とは全く違ったものであるということを実感させられた。それくらいEdinは今のバンドのモードにあっていたと思うし、このトリプルギター+ジミー・チェンバレン復帰というバンド形態で演奏することを前提に作られた楽曲だというのがまじまじと伝わってくる。分厚い演奏を拡散させるのではなく1本のリフに、おそろしく強靭な糸に収束させていく、太いのにちゃんと隙間の見えるアンサンブルで丁寧に展開してリフが炸裂→歌メロとユニゾンさせながらボルテージを上げて行く様が本当に惚れ惚れとしてしまう。まさに鋼のようなアンサンブル。そしてメタリックではあるんだけど、メタルには徹しすぎないスマパンとしてのゴスの矜持が流麗な曲展開やビリー・コーガンのボーカリゼーションから伝わってくる。現在のスマパンとして最高にかっこよかったし、一度ライブで見てから最新作のイメージがまた大きく塗り替えられてしまった。
同じように終盤に固めていたMachinaの収録曲も一際素晴らしく、当時2nd→3rdでのヒットを経て大きな会場で演奏することも増えたであろう彼らがスタジアムロック然とした、リフと轟音を更にスケールアップしたように感じる(00年代らしい分厚い音圧も手伝っているとは思う)楽曲群が、武道館公演というステージにしっくり噛み合っていたと思う。あとは1979と並んで同期したデジタルビートを軸にしたAva Adoreは電子音のシーケンスの上に生演奏の硬質なスネアを重ねることで、規則的でありながら肉体的な揺らぎを作ってバンドサウンドの一部に揺り戻すみたいな感じが生で見るとめちゃくちゃ気持ちが良い。そもそもAva Adoreをジミー・チェンバレンのプレイで聴くことができたというのもグッとくるし、ビリー・コーガンがステージ前に出てきてMVを再現するようなパフォーマンスを取っていたのもファンサービスとして結構嬉しい。この辺のMachinaやAdore付近の曲もライブを見ることで音源のイメージが大きく変わった。
個人的に最もぶち上がったのはBodies、演奏が素晴らしいのは勿論純粋に自分が最も好きな部類の曲であるため、生で見れたという高揚がとくに大きい。野太い大轟音なのか鋭利なリフなのかその境界が曖昧な重量感のある反復に体を強く揺らさずにはいられず汗まみれになってしまった。最後はZeroからMCを挟んでThe Everlasting Gazeへ。ビリーとイハの掛け合いMCからラフにBlack SabbathのN.I.B.のカバーが始まって(しかもイハがボーカル)、重厚なギターノイズで中断した後にThe Everlasting Gazeで終わるという最後の構成もにくい。バンド結成時からの相方でありながら、一時期ずっとギクシャクしていたイハとの関係性も知っているからこそ、今こうやってMCで歓談している姿だけでもグッときてしまう。イハがオジー風にオウイエー!て歌うのもクスッときたし、一瞬Paranoidのリフを弾いたり、途中ちょっとレニー・クラヴィッツ風のリフをビリーがずっと弾いていたりとかなりラフで自由な空気感があったように思う。
しかし本当にどの曲も、シンプルにリフとメロディが素晴らしすぎる、そして演奏がすごすぎる、Smashing Pumpkinsって色々音楽性や変遷があったと思うけど何より真っすぐにポップバンドであるんだなと、そしてビリー・コーガンって根っからのロックスターなんだなっていうのを実感した。ボーカルの調子良すぎて見てるだけでずっとテンションが上がってしまうし、年齢を感じさせないフレッシュで力強い歌声にずっと圧倒されてしまった。それにビリー・コーガンって昔のライブ映像では割とピリピリしていたり、日本でのミスチル地蔵やサンプリングの件も認識していて以前悲しく話していたというのもあり、今日はとにかく楽しそうに演奏してるのを見れたということ、そしてやっとライブを見れる俺たちの多幸感みたいなものも共有された会場の暖かい雰囲気だけで泣けてしまう。好きな曲を、デカい音で、同じく好きな人達に囲まれて聞くという当たり前のライブの良い部分をたくさん感じれた日だった。無邪気に楽しめたことが一番嬉しかった。
関連記事