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【読書】ポリティカル・スキル 人と組織を思い通りに動かす技術

『ポリティカル・スキル』を読んで考えたこと

最近、上司に勧められてマリー・マッキンタイアの『ポリティカル・スキル』を読んだ。
きっかけは、自分のコミュニケーションに関するフィードバックだった。

ここ最近、関わる人の幅が広がってきて、
他部署のメンバーやステークホルダーと話す機会が増えている。
その中で、ふとした言い方がきつく聞こえてしまったり、
意図せず相手を圧迫してしまうような場面があった。
上司は、そうしたやり取りの背景にある“考え方の癖”を気づかせてくれて、
「それを整理するのに良い本があるよ」と、この本を教えてくれた。

この本はいわゆる社内政治の本というよりも、誠実に影響力を築くための本だった。
ハイアウトプット・マネジメントが「仕組みで動かす」本だとしたら、
この本は「人を通して動かす」ことのリアルを描いている。
自分の中で、ここ最近感じていた課題の答えが少しずつ整理されていく感覚があった。


■ 殉職者と成功者の違い

マッキンタイアは、組織の中で「殉職者(Martyr)」と「成功者(Player)」という二種類の人を対比している。
殉職者は、正しいことをまっすぐに貫こうとする人。
ただ、正しさを通すあまり、周囲の利害や感情を無視して孤立してしまう。

一方、成功者は現実を読みながら、自分と組織の両方にとって好都合な形で前に進める人。
理想を捨てるのではなく、通し方を知っている。
この差が「政治的スキル」の有無だという。

この話を読んで、
「自分の正しさを証明する」よりも「理想を実現する」方がずっと難しいんだと感じた。
組織の中では、正しさよりも“通す力”が問われる。


レバレッジと影響力

この本を読んでいて、グローブの『ハイアウトプット・マネジメント』を思い出した。
グローブが言う「レバレッジ(てこの原理)」とは、
“自分の1時間が何人分の成果を動かすか”という考え方だ。

マッキンタイアの「影響力」も同じ構造にある。
違うのは、グローブが「仕組み」を通して動かすのに対し、
マッキンタイアは「人間関係」を通して動かすということ。

最近、仕組みを整えるだけでは動かない場面に多く出会うようになった。
だからこそ、「人を通して動かす力」をどう磨くかが次の課題なんだと思う。


■ 待つことの難しさ

本の中で印象に残ったのが、「待つ」という行動。
マッキンタイアは、“待つこともスキルの一つ”だと言う。
多くの人は焦って動き、タイミングを誤る。
でも本当に政治的に賢い人は、相手が動く準備ができるまで、静かに観察する。

「待つ」というのは受け身ではなく、戦略的な静止。
最近の仕事でも、「今は動かない方がいい」という判断を意識するようになった。
結果的に、その方がうまくいく場面が増えている。


■ 360°のセルフマネジメント

上にも下にも横にも気を配る——。
マッキンタイアが言う“360°のセルフマネジメント”は、単なる気配りではない。
相手の期待、組織の力学、自分の目的。
そのすべてを同時に見ながら動く技術。

上司・同僚・部下、それぞれに合わせて伝え方を変える。
感情と戦略を両立させる。
これは、感情労働ではなく「認知のトレーニング」に近い。

実際、職場を見ていても、このバランス感覚の難しさを痛感する。
おべっかが上手で上司には好かれるけど部下に嫌われてしまう人もいる。
また、部下とは仲が良くても、上層からの印象が悪くて損をしている人もいる。
どの立場にも偏りすぎると、必ずどこかで歪みが生まれる。

だからこそ、「誰に対しても適切な仮面をかぶる」ことが大事なんだと思う。
ここで言う仮面は、嘘をつくためのものではなく、
それぞれの関係性に応じた“役割”を意識して演じるためのもの。
誠実さを保ちながらも、自分の役割に合わせて振る舞いを変える。
それは人たらしのスキルではなく、組織の中で信頼を維持する技術なんだと思う。

まだうまくできる自信はないけれど、
「上にも下にも横にも、ちゃんと良い関係を築く」
というこの難題に、少しずつ向き合っていきたい。


■ エグゼクティブとの付き合い方

エグゼクティブとの関係についても、とても印象的だった。
“エゴをなくして、自信を持って、ユーモアを忘れない。”
このバランスが良い。

エゴをなくすのは、自分の承認欲求を手放すこと。
でも、自信をなくすのは違う。
自分の専門性を信じた上で、相手の文脈に合わせる。
その上で、緊張をほぐすユーモアを持てる人は強い。
「上司を操作する」ではなく、「関係を設計する」——そんな発想が大事だと感じた。

一方で、ユーモアを持つことって難しいなとも思う。
軽口を叩くことではなく、場の空気をやわらげる余裕。
ピリッとした会議で一言添えられる人、意見がぶつかる場面で相手の心をほどく人。
そういう“余白”を持てる人にこそ、本当の意味での政治的センスがある気がする。
焦って成果を出そうとするほど、その余白がなくなってしまう。
だから、ユーモアは強さの結果ではなく、安心している人の証なんだと思う。


■ 気をつけたい自分の思考の癖

本を読みながら、自分の中にある“殉職者的な部分”にも気づいた。
どうしても「正しさ」を証明したくなってしまうことがある。
議論で勝ちたいわけじゃなくても、
「自分が見えている構造を伝えたい」という気持ちが強く出てしまう。
でも、それは時にエゴとして伝わってしまう。
結果的に、相手の余白を奪ってしまうことがある。

もう一つの癖は、「待てないこと」。
良かれと思って、相手の成長や気づきを待たずに、
つい直接的なコミュニケーションでフィードバックしてしまう。
自分では“誠実に伝えている”つもりでも、
相手にとっては“押し付けられた”ように感じるかもしれない。
最近、少しずつ部下との距離感を感じる瞬間が増えていて、
それがこの本を読むきっかけの一つにもなった。

マッキンタイアは、「政治的に賢い人は、直接ではなく間接的に影響を与える」と書いていた。
この“間接的なフィードバック”の重要性を、
頭では分かっていても、実践するのは本当に難しい。
“待つ”ことの中にこそ、信頼が生まれるのかもしれない。
焦らず、相手のタイミングを尊重する力——
それをこれからの課題にしたいと思っている。


■ パーセプションとパートナーシップの原則

本の中で印象に残った原則が2つある。

ひとつ目は、「見えない貢献に組織内での力を高める効果はまったくない」というパーセプションの原則。
これは本当にその通りだと思う。
自分の仕事やチームの良い取り組みを、謙遜せずにちゃんと伝えること。
成果を誇張するのではなく、正しく“見せる”努力をする
パフォーマンスの高いチームほど、こうした見せ方が上手だと感じる。
マネージャーとして、メンバーの良い行動や改善の努力を言語化して伝えていくことを、
もっと癖づけたいと思った。

もうひとつは、「仕事上のポジティブな関係は、すべて組織内での力の向上につながる」というパートナーシップの原則。
これも強く共感した。
結局、どれだけ優秀でも、孤立していては動かせる範囲が限られてしまう。
信頼関係を築き、敵をつくらずに味方を増やしていくこと。
それが組織内での“見えない影響力”を積み上げることにつながる。
そしてそれは、短期的な成果よりもずっと長く効く“資産”になる。


■ システム思考の必要性

政治的スキルは「関係の力学」を扱う。
でもその前提には「構造を理解する力」がある。
つまりシステム思考。

組織で何かが詰まっているとき、
人ではなく“構造”のせいで起きていることが多い。
全体を最適化する視点がなければ、政治的スキルも小手先になってしまう。
関係を動かす前に、構造を読む。
これが自分のベースにしたい姿勢だ。


■ 余談:家族との関係にも通じること

この本を読んでいて思ったのは、
ポリティカル・スキルって仕事だけの話じゃない、ということ。

家族との関係でも、自分はつい過干渉になってしまうことがある。
相手のためを思って伝えているつもりでも、
結局は“待てない自分”が直接的なフィードバックを繰り返してしまう。
それが相手を追い詰めたり、関係をぎくしゃくさせることもある。

仕事でも家庭でも同じで、
“待つ”こと、そして“タイミングを見ながら伝える”ことが大事なんだと思う。
すぐに正そうとせず、相手の成長や気づきのタイミングを信じて見守る。
それこそが、本当の意味での信頼なんじゃないかと思う。


■ これから

強さの定義は、これからも変わっていくと思う。
いまは「構造を理解し、人を動かす」——その両輪を磨く時期。
目標はまだぼんやりしているけれど、
そのぼんやりを大事にしたまま、少しずつ輪郭をつくっていきたい。


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