新卒1〜2年目の頃、「技術以外の面でも成長したほうがいい」といったことを言われていました。
技術的なスキルは着実に伸びていたと思いますし、仕事にも手応えはありました。
だからこそ、それ以外の面──たとえば視座や視野の広さ、考える力、振る舞いの在り方といった領域での成長を求められていたのだと思います。
ただ、そうした期待は、具体的というよりは「抽象的だけど正しい」タイプの言葉でした。
「もっと広い視点を持ったほうがいい」「マネジメントにも向いていると思う」といった声をいただく中で、
自分なりに「成長とは何か?」を言語化しようとしたり、「広い視野」とはどういうことなのかを考えたりしていました。
当時の自分は、そうした抽象的な言葉にモヤモヤしながらも、ちゃんと応えようとしていたと思います。
そんな中で出会ったのが、吉田行宏さんのという本でした。
この本に出てくる「アイスバーグモデル」は、スキルや行動だけでなく、その奥にある価値観や信念といった土台に注目するものでした。
「成長」という言葉の解像度が一気に上がり、自分の中で腹落ちしたのを覚えています。
そこからは、視野や視座を広げることを意識し、仕事の枠を超えてさまざまな分野の本を読むようになりました。
実際、当時は150冊以上の書籍に触れながら、自分なりに視点を増やしたり、価値観を更新したりするプロセスに取り組んでいました。
そうしてアイスバーグモデルの“土台”を少しずつ育てるようにして過ごしてきた結果、ここまでの6〜7年、幅広いスキルを積み重ねることができたと思っています。
そして今、あらためてこの本を読み返そうと思ったのは、「成長」に対する問いが再び浮かんできたからです。
これまでは、「中期目標を立ててスキルを伸ばす」ことが、自分にとっての成長の中心でした。
ですが、ある程度までスキルが成熟してくると、それだけでは今進んでいる方向に納得感を持ち続けるのが難しくなってきます。
その背景には、二人目の娘が生まれたことも大きく影響しています。
家族が増えたことで、時間の有限性を強く意識するようになりました。
これまでのように、すべてのことに100%コミットすることは現実的ではありません。
だからこそ、どこにどれだけ時間を注ぐべきなのか、そして注いでいる時間に納得感が持てているのか──そういった問いが、より切実になっています。
納得できていない状態で育児や仕事に取り組むと、「この時間でよかったのだろうか」と迷いが生まれてしまいます。
それは、今後の自分の生活や働き方においても避けたい状態です。
だからこそ、もう一度「成長とは何か」「自分は何を目指しているのか」という問いに戻って、自分の軸を見直したいと思いました。
そのためのきっかけとして、この本を再び読み返すことにしました。
再読して響いたこと
アイスバーグモデルは、今でも有効な整理軸だった
再読してまず感じたのは、「アイスバーグモデル」の考え方が今でも有効で、むしろ以前より深く理解できるようになっていたことです。
表面に見えるスキルや行動だけでなく、その奥にある「思考・感情」「価値観・信念」の層にアプローチすること。
これは、自分がこれまでキャリアを通して経験してきた成長プロセスにも合致しており、今後さらに自分の軸を整えていくうえでも、引き続き意識しておきたい考え方だと再確認しました。
「大きな子供ブレーキ」は、今の自分に強く刺さった
今回の再読で特に印象に残ったのが、「大きな子供ブレーキ」という概念でした。
本の中では、この状態の人の特徴として、「自己中心的」「他者を理解しない」「好ましくない執着がある」「トラウマの影響が強い」「正しい軸がない」などが挙げられており、
著者が「これは小さな子供の特徴と同じ」と語っていたのが印象的でした。
たとえば最近、「家族を守りたい」「育児を優先したい」という想いが強くなる一方で、
その裏側で「もっと仕事に集中したい」「挑戦したい」といった自分中心の欲求も確かに存在しています。
どちらかに割り切れないまま、結局どちらにも納得できないような状態に陥ることもあります。
こうした葛藤は、一見「家族のため」として正当化しやすいものですが、
実際には、自分の中の未整理な欲求や執着が絡んでいて、成長を止めてしまう要因にもなりうると気づかされました。
「大きな子供ブレーキ」という視点は、自分の内面をより客観的に見つめ直すヒントになりました。
「成長」の定義が、スキルから軸へと移った
以前は「成長=スキルを伸ばすこと」と捉えていました。
目の前の技術課題を解決したり、新しい領域にキャッチアップしたりすることにやりがいを感じていましたし、
中期目標を立てて達成していくプロセスにも手応えがありました。
ただ今の自分にとっての「成長」とは、
単に「できることを増やす」ではなく、「どんな人生を送りたいかを問い、それに沿って選択する力を持つこと」にシフトしてきています。
たとえば、
- 自分がどうありたいのか
- どこに時間とエネルギーを注ぐのか
- 注いだ先に納得感を持てているのか
といった判断基準を明確に持ち、それに沿って意思決定ができること。
それが、今の自分にとっての「成長」の基準になりつつあります。
実際に、最近は自分の軸を明文化する取り組みもしており、
家族を大切にすることや、自分の基本的な行動指針を整理したものを言語化しました。
(内容は個人的なものなので、ここでは公開しませんが、今の自分の価値観や選択に深く関わるものになっています)
「スキルを積む」ことから「軸を持って進む」ことへ。
この再定義は、今回の再読を通じて最も大きな収穫のひとつでした。
おわりに
今回、久しぶりに『成長マインドセット』を読み返してみて、当時とはまったく異なる視点で本の内容が自分に入ってくるのを感じました。
最初に読んだ頃は、成長の輪郭を掴もうとする段階でしたが、今はその定義を問い直し、自分なりの軸と照らし合わせて向き合う段階に来ているのだと思います。
改めて「成長」とは、自分にとってどんな意味を持つのか。
今後、限られた時間とエネルギーをどこにどう使うかを決めるうえでも、こうした問いを定期的に見直していくことが必要だと感じました。
この本は、キャリアの初期に読むのももちろん良いですが、
ある程度経験を積んでから読み返すことで、また違った価値を提供してくれる本だと感じます。
今後も節目ごとに、自分の「アイスバーグ」を見直すためのツールとして手に取りたいと思います。