アメリカに住んで10年以上になるが、こちらに住む日本人と話していて、使う言葉から「あっ、この人はこっちの暮らしが長いんだろうなぁ」とわかる時がある。
英語が上手とか、こちらの考えに染まっているとか、そういうのとは異なる「生活の中で染みついた言葉のクセ」にアメリカ歴がにじみ出ることがよくある。
振り返ってみると、私もアメリカに来たばかりの頃は「えっ!?」と感じたことも、いつの間にか染みついてしまっているものもある。今回は、アメリカ生活の「年季」を測ることのできる言葉を、初級編、中級編、上級編にわけて紹介してみたい。
初級編
「コストコ」のことを「コスコ」と言う
日本でも大人気の「コストコ」。アメリカでも、車で30分圏内には1店舗はある人気のスーパーだ。英語のつづりは「COSTCO」だが、真ん中の「T」は発音しない。なので、アメリカに住んでいる日本人でも「この前”コスコ”に言ったんだけどさぁ」という会話になることが多い。もちろん、長く住んでいても「コストコ」という人は多いが、「COSTCO」を「コスコ」というかどうかは初級入口の目安となる。
子どもを学校に送ることを「ドロップオフ」と言う
朝、スクールバスに乗り遅れた子どもを学校に送ったり、通勤しがてら子どもを学校に送っていくことはアメリカ生活では日常茶飯事だ。そういう場合、「この前、子どもを学校に送ったんだけどさぁ」ではなく、「この前、子供を学校に”ドロップオフ”したんだけどさぁ」と言うのもあるあるだ。別に短くもなっていないので、「送った」でいいじゃんという感じなのだが、英語では「Drop off」で、カタカナ英語でも発音しやすいので、つい「ドロップオフ」となってしまう。なお、アメリカ生活がめちゃくちゃ長い上級者になると、あえて日本語で表現しようとして「この前、子どもを学校で落としたんだけどさぁ」と表現し、一周回ってよくわからなくなってしまっており、大変滑稽である。
中級編
「持ち寄り」のことを「ポットラック」と言う
アメリカはホームパーティ、公園でのランチ、はたまたホリデーシーズン前に会社で、持ち寄りの食事会をすることが多いが、それを「Pot-Luck」という。直訳すると「鍋の運」で、もともと「ありもので済ます」みたいなニュアンスからきているようだ。別に「持ち寄り」でいいのだが、あまりに「Pot-Luck」がこちらでメジャーな言葉で、使い勝手もよいので「ポットラック」と言うのは在米日本人の使用頻度の高い単語となっている。
「食料品」のことを「グロサリー」と言う
アメリカでは、いわゆる食品スーパーのことを「Grocery Store」と言い、「Supermarket」という言葉はあまり日常会話では使わない。その流れで、食料品のことを「グロサリー」と言う人も結構いる。なお、年配の方ほど「グロッサリー」と小さいツをいれるケースが多いと思う。どちらかと言えば「グロウサリー」な気がするので、小さいツをいれる必要はないのだが「マーケッティング」みたいな感じなのだろうか。
なお、私は10年以上アメリカに住んでいるが「グロサリー」とは言わないようにしている。何となく「ここは超えてはいけない一線」みたいな感じがしており、後10年住んでも「グロサリー」とは多分言わないと思う。
上級編
ごはん、おかず系の料理を「セイボリー」と言う
これは、このネタについて相談した際に妻から教えてもらったものである。先述した「ポットラック」では、おにぎり、唐揚げ、サラダなどのごはん、おかず系のモノを持ち寄る人とデザートや果物などの甘い系を持ち寄る人がいる。持ち寄り品を並べる時は、同じカテゴリーのものをまとめておくようにするが、そういう際に「"セイボリー"はこっちで、"スイーツ"はあっち」みたいな言い方をする人もよくいるらしい。
近所のカフェは、甘いクレープの他に、「カプレーゼ・クレープ」、「ハムアンドチーズクレープ」など塩味、しょっぱい系のクレープを提供しているが、甘い系のクレープは「Sweet Crepes」、塩味、ごはん系のクレープは「Savory Crepe」としてメニュー上まとめられている。
私は、そもそも「スイーツ」という日本で定着した言い方も鼻につくので、「セイボリー」と聞いたら、ちょっとぞわぞわしてしまうだろう。
「ミサイル」のことを「ミッソー」と言う
これは、息子が補習校の国語の年配の先生が言っていたというネタ枠なのだが、カタカナ英語と英語の発音が違いすぎることにより生じる事故だ。こちらで英語発音を聞いていただくとわかると思う。確かに「Missile」がスペルなので「ミサイル」と表記したい気持ちはわかるが、英語の発音と比較すると「ミサイル」は本当に原型をとどめていない。多分、この国語の先生は逆に「ミサイル」が何のことだがわからないと思う。
その他にも朝ご飯に牛乳をかけて食べる「シリアル」も、無理やりカタカナ表記すると「スィリォー」みたいな感じとなるが、「朝ご飯は私は”スィリォー”かな」とか英語発音で言う人もいる。
ちょっと考察
くだらない話をつらつら書いたが、書きながら一つ気づいたことがある。初級編の英語は「カタカナ英語で正確に発音しやすい」ものが多いが、上級編になると「カタカナ英語」ではなく「英語発音」となるものが多い。小さな例だが、「YouTube」を「ユーテューブ」という人も結構いる。ひろゆき氏の「トィッター」もその派生形なのだろうか。
また、やはり配偶者がアメリカ人という方は、上級編よりの「英語発音」がどうしてもでてしまうケースが多い。家族との会話は英語なので、一々カタカナ英語にするのが、面倒になるか、おいつかなくなるのだろう。
軽い息抜きで思いつくままに書いたが、自分の中に染まってしまって受け入れている部分とここは超えまいと線を引いている部分があり、面白い気づきがあった。在米日本人の皆さん、日々の暮らしの中で染み付いてしまった言葉や、聞いてクスッと笑ってしまったようなものがあれば、他にあったらコメントで教えて下さい。