

春・夏・秋・冬、季節は巡り……
年の瀬も押し迫った12月末、今年も「この日」がやって来た。

そう、クリスマス。
世界中の子どもたちが、待ちに待った楽しい一日である。


地球は今やクリスマスムード一色。
その一方で、そんな地球人たちに負けじと、暗黒星雲の怪獣軍団も
もっか毎年恒例・クリスマスパーティの準備に大わらわであった。
「さぁっ、怪獣諸君!
張り切ってクリスマス会の支度を致しましょうっ!」

グロッケン「う~ん、毎度のことながら……」
ヴィラニアス「イベントの仕切り、宴会の幹事。
そういうのなると俄然イキイキしてくるよな、お前は!」
スライ「んー、ふふふ、そんなに褒められてはテレちゃいますねぇ!」
ジャタール「……いや、褒めてない、褒めてないからな?」

イフ「今年一年の憂さを忘れ、パーッと陽気に騒いで楽しむ。
……が、そのためには、準備のために費やす汗が不可欠じゃ」

イフ「怪獣どもよ、宴のために全てを捧げる覚悟はあるか!?」
怪獣たち「ウオォォォォーッ!!」

「魔王様、パーティーの用意はどうぞ俺たちにお任せを!」
「総力をあげ、宇宙最高のクリスマス会にしてみせますぜ!」
「ひゃあぁ、忙しい、忙しいっ♪」

楽しいことが大好きで、ノリと勢いが身上の怪獣たち。
こと宴会の準備にかけては、地球侵略以上の張りきりようである。

だが、その一方で……
そんなノリに染まりきれずにいる、根が生真面目な軍団構成員も
ここに一人いたりするのも、また事実。
「ダークネスファイブ」の五人衆と並び、将来を嘱望されている
筆頭幹部候補生、バルタン星人Jr。

バルタン星人Jr「ぐ、ぐぬぬぬぬっ……
えぇい、たるんです! みんなたるんでるっ!!」

バルタン星人Jr「地球征服の第一歩さえ、未だ白紙だって言うのに……
何がパーティだか、そんなことやってる場合じゃないだろう!
ようし、こうなったら、ボク一人だけでも……!」
パーティ準備に浮かれる仲間を尻目に、地球へ向かうバルタンJr!


が、ひとまずそれはそれとして。
本日は12月24日、暗黒星雲の怪獣軍団がそうであったように
ここ・北海道千歳市もまた、クリスマスムード一色であった。

落合さん「さてと、関係各所へのご挨拶もこれで一段落ですわね!」
ビーコン「あとはもう、夜のパーティ本番を待つばかりっス!」
落合さん「今年もまた、うんと盛大で……
楽しく、思い出に残るようなクリスマスにしたいものですわね」

ビーコン「ヒヒヒ、仰る通りっスねぇ、全く異議なしっス!
……で、そこでっスね、落合さん」
落合さん「はい?」

ビーコン「“はい?”じゃないっスよ、“はい”じゃ!
分かりきった答えに対して、何をしらばっくれてンだか――
ここにはオイラと落合さん、そうなりゃ二人きりのパーティ。
ねっ!?」
落合さん「(呆れ)な~にを仰るかと思ったら、ビーコンさんは!
何が“ねっ!?”ですか、私に同意を求めないで下さい!」

ビーコン「いやいや、落合さん、パーティってのはあくまで隠喩で。
オイラと落合さんの甘くとろける蜜月、そういうことなんス!
だいじょうぶ、オイラ、優しくするっスから。多分!」
落合さん「ねーい、お黙りんこっ!
そんな戯言、誰が聞く耳持つものですか!」

ビーコン「戯言、と書いて、敢えて「きれいごと」と読む。
……きれいごとだからこそ、現実にしたいんじゃないっスか。
ね、そうでしょ!?」
落合さん「っがー、謝りなさい! 今すぐ五代雄介様に謝りなさいっ!」
ビーコン「だーっ、全くもう、このオネーチャンときたらっ!
ああ言えばこう言う、そう言えばハウユー。
……一体オイラにどうしろって言うんスか!?」
落合さん「何でもいいですから。
とにかく、そのお口を閉じていてくれればいいんですッ!」
「極楽コンビ」の実のない会話は、たとえ聖夜でも変わらない。
と、その時……!

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
落合さん「あらあら……この揺れ、普通じゃないですわね!?」
ビーコン「うわ、うわ、うわ~っス!(汗)」

大量の土砂を天高く撒き上げ、舗装道路をもやすやすと引き裂いて
地の底から今また新たに、姿を現わさんとしている邪悪な影。
……それが誰なのかは、もはや言うまでもあるまい!

「フォッフォッフォッ……!!」

落合さん「……あらまぁ! あれは確か、宇宙忍者の……」
ビーコン「(頷き)ば、バルタン星人Jrッス~!」

バルタン星人Jr「ああ、そうとも、バルタン星人Jrだ!
怪獣軍団の筆頭幹部候補生が、改めて宣言しよう――
今日、いまこの瞬間より、地球は怪獣軍団の物となる!」
落合さん「まぁまぁ、何をしゃちほこ張ってるのかと思いましたら!」
」

ビーコン「だけどねぇ、今日ぐらいは堅苦しいの抜きにして……
頭カラッポにしてクリスマス、楽しまないっスか!?」
落合さん「えぇ、えぇ、そうですとも
。よろしければ、私どものパーティにお誘いする用意も……」
……ぷ ち っ !!

バルタン星人Jr「えぇい、お前もか、お前らもか――
お前たちまでもが、そのワードを僕に向かって使うのか!
何がクリスマスだ、バカヤロぉ~っ!!」

ふとした一言が逆鱗に触れ、バルタンJr、たちまちブチ切れ!
荒れ狂うその巨体を前に、慌てて逃げ出す千歳の人々である。

ビーコン「どひ~っ、今回は何がNGワードだったんスかねぇ!?」
落合さん「いいから、早く逃げるんですっ!(汗)」
クリスマスの日に、またしても……危うし地球、危うし千歳。

宇宙忍者の暴虐、許すまじ!
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。

ビーコン「おおっ、今日も今日とて航空防衛隊っス!」
落合さん「お願いしましたわよ~、どうか今度こそは!」

「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」

攻撃、攻撃、また攻撃!
バルタン星人Jrへと、嵐の激しさで叩きこまれる一斉砲火。
バルタン星人Jr「フォフォフォ……えぇい邪魔だ、散れ散れッ!」

「……う、うわぁぁぁぁ~っ!?」

バルタンJrの怒りそのもののように、鋏から迸る怪光線!
その直撃を受け、次から次に撃墜されていく戦闘機。
ある意味「いつも通り」なやられっぷりに、ビーコンと落合さんが
お互いに顔を見合わせ、がっくり肩を落とした時……
そう、ちょうどその時であった!

ピグモン「はうはう~!
落合さんとビーコンちゃん、こんなとこにいたの~!」
ビーコン「ああっ、アニキにピグモン!」
宙マン「心配になって、探しに来てみたんだが……
良かった、二人とも無事でホントに良かったよ」

落合さん「ああ、お殿様、ご心配をおかけしまして!
これで一件落着、となってくれればよかったのですが……」
ビーコン「とりあえず、今のこの周りの状況だと……
そうも言ってらんないのは、分かってもらえるっしょ!?」
宙マン「(頷き)うん、これはまたとんだ一大事だよ」

ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「ううむっ、やるしかないか!
宙マン・ファイト・ゴー!!」

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、バルタン星人Jrの前へと舞い降りる!

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
バルタン星人Jr、もうその辺にしておくがいい!」

ズ、ズーンっ!!

ビーコン「いえっふ~、アニキのコレを待ってたんスよ~!」
落合さん「ええ、その点だけは私も全く異論なしですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

バルタン星人Jr「宙マン、また僕の邪魔だてをするつもりか!」
宙マン「ああ、何十回、何百回だろうとね。
……特にこれから、楽しいイベントが控えているとあっては尚更だ!」

ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!

激突、宙マン対バルタン星人Jr!
落合さんたちがハラハラと見守る中、凄絶な巨大戦が展開。

両手の鋏を振りかざし、猛然と襲いかかるバルタン星人Jr!
その攻撃を時に受け流し、時にかわしつつ、宙マンは冷静さを保って
相手の隙を伺っていく。

そして、逆襲のチャンスと見るや一気に攻勢へ!
このあたりの攻守のタイミングとテンポは、余人の追随を許さぬ
ベテラン戦士・宙マンならではの妙味であろう。

正義の怒りに燃えた、パンチやチョップの連打!
その勢いに圧倒され、ズズッと後退するバルタンJrである。
バルタン星人Jr「く、くそうっ!」


バルタン星人Jr「く……またまた、一つ覚えの防御技かッ!」
宙マン「どぉれ、そろそろアタマを冷やしてもらおうかね!」

敵の脳天めがけて振り下ろす、宙マン渾身の垂直空手チョップ!
痛烈な一撃を受け、バルタンJrがブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バルタン星人Jrを直撃!!

バルタン星人Jr「ひょ、ひょえぇぇぇ~っ!
ちゅ、宙マンめ、今度こそは見てろよ……覚えてろ~っ!!」

やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「ああ……聖夜でも変わらずお見事でしたわ、お殿様!」

ビーコン「いえっふ~、やったっスね、アニキ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」

宙マン「はっはっはっはっ、いやいや、大切なのはここからさ。
さぁ、帰ってパーティの準備だ、みんなも待ってるぞ!」
落合さん「えぇ、勿論ですわ、お殿様!」
ビーコン@いえっふ~、オイラも張り切ってサボるっスよ~☆」
落合さん「(ジト目)……よっくも抜け抜けと!」
宙マン「はっはっはっはっ」

かくして宙マンの活躍により、宇宙忍者バルタン星人Jrは撃退され
クリスマスの街には、再びもとの明るい賑やかさが戻った。
そして、その一方。

場面は変わって、こちらは暗黒星雲……
宙マンにやられ、ほうほうの体で怪獣軍団の本拠地へ逃げ帰った
哀れ、敗残のバルタン星人Jrである。

バルタン星人Jr「くそおぉぉっ……また負けちゃったよぉ!
宙マンのやつ、どうしてあんなに強いんだ……
……うンっ?」
不意に気配を感じ、バルタンJrが顔を上げると、そこには――

スライ「やぁやぁ……お帰りなさい、バルタン星人Jr君」
ヴィラニアス「一体どこをほっつき歩いてるかと思ったら……」
グロッケン「姿が見えねぇから、みんなで心配してたんだぜ?」
デスローグ「(頷き)グロ、グロロロッ」

バルタン星人Jr「お、お前たち……!
まさかずっと、僕が帰ってくるのを待って――」
グロッケン「オウ、当たり前じゃねぇか!」
ジャタール「全員そろってこそのパーティ、だからな!」

イフ「ああ、そうだとも、皆の言う通りじゃわい。
……心配かけおって、この大馬鹿者が!」
スライ「(頷きながら)んー、ふふふふ♪」
バルタン星人Jr「……魔王様……!(ぐっときて、ホロリ)」

イフ「さぁ、皆の者! 全員そろったところで、改めて……」
サンドロス「クリスマスパーティ開始をここに宣言するドロス!
さぁ、賑やかにやるドロスわよ~っ☆」
怪獣たち「ウオォォォォーッ!!」

かくして、その夜。
我々の地球でも、遥か宇宙の彼方・暗黒星雲でも、例年のごとく
賑やかなクリスマスパーティーが催されたのであった。

楽しい仲間が集まり、美味しい料理と明るい音楽があるのなら
誰の顔も、とびっきりの笑顔にならずにはいられない。
それは勿論、暗黒星雲の怪獣軍団ばかりではなく、お馴染みの
千歳市ほんわか町・宙マンハウスのパーティでもまた同じ。

どの街の、どの国の人でも、そしてどんな場所であっても……
今宵はどうか、それらの全てが幸福でありますように!

心よりの感謝と、祈りを、愛をこめて……

メリー・クリスマス!