(第ニ回)
~エンターテイメント・イン・ホスピタル!~
(不定期連載記事「あァ、ときめきの病院飯」の第二回めになります。
その前段として、よろしければこちらの記事↓もご参照下さい)
koumemylove4794.hatenablog.com
去る10月26日に自室で倒れて意識を失い、道内の某病院へ救急搬送……
医療的措置を施されて何とか生命を長らえたあと、そのままそちらの病院さんへの
入院患者となりました僕ことさいとうひとし。

(画像はGrokによるAI生成)
一日も早く退院するには、それ相応の体力が必要なのは言うまでもないのですが
未だ意識が混濁気味であり、入院数日前から顕著なものだった食欲不振もまた
如実なかたちで尾を引いていた10月28日・入院時最初の朝食メニューは
全くと言ってよいほど喉を通らず、そのほとんどを残してしまう有様でした。
早く力をつけなくちゃいけないので、そのエネルギーを補給する力が沸かない。

(画像はGrokによるAI生成)
そんなにっちもさっちもいかない袋小路から僕を救い出してくれたのは、その日の
昼食時から通常の白飯に代わって供された一杯のおかゆ、その清張な味わいでした。
そこからめきめきと意識の混乱から回復させてもらい、気力が戻ったことにより
退院へと向けた僕の日々も本格的に幕を上げたと言って良いでしょうーー
……こらこら、そこッ! 「単に食い意地が張ってるだけだろう」とか言わない!
まるっきりの事実を突きつけられるとグウの音も出ないじゃないですか、僕(区所)。

(画像はGrokによるAI生成)
さて、今日まで三日分の記事を費やして病院食、病院食と連呼している僕なのですが
そも、「病院食」とは何であるのか?
何である、愛である……なんて月並みな冗談はさておき(苦笑)、結論から先に言えば
朝・昼・夕方の一日三回・決まった時間に、入院患者の体力回復を主な目的とした
医療行為の一環として用意される、患者向けの給食のことです。
まず患者の空腹を満たし、入院生活中の諸々(治療やリハビリの運動など)に対しての
エネルギーを漲らせ、文字通りに患者の血となり肉となる病院食。
どうせ食べるなら少しでも旨い方が良い、と言うのは患者サイドの偽らざる欲求ではあ
りますが、そんな声に耳を傾けつつも、馬鹿正直にそれに応えているだけでは済まないのが
病院食ってやつの難しくもやっかいなトコロ。

(画像はGrokによるAI生成)
体を動かす上で不可欠なエネルギー源たる糖質、脂質、炭水化物。
筋肉や皮膚をはじめとした「体」を作り出すしたんぱく質。
身体の栄養吸収を助ける潤滑剤として欠かせない野菜分のカロチンやビタミン、食物繊維。
毎回の食事ごとにこれらの三要素を必ず、バランスよく満たし、しかも各種調味料を
重ね着のように、ふんだんに用いて「旨い」ことのみを追求すればよいというわけでもなく……
患者の病状や回復状況に即してカロリー量や塩分量が厳密に定められる中、必然的に
料理の基本スタイルは「薄味」「ほどほどの分量にならざるを得ず、そんな条件下では
「使える」食材も自ずと制限される中、定められているであろう費用枠の制限もまた
病院食において「やれること」への制限に拍車をかけていたりもして。
そんな手かせ足かせだらけでがんじがらめの状況下、それでも通り一遍のルーティン
ワークに堕することなく毎日の食事にバリエーションの変化をもたらし、入院患者の
舌と心を飽きさせることなく、ささやかな喜びをも与えてくれるのであれば、そこに宿るのは
病院サイドの血のにじむような努力――料理のスキルと栄養学の広範で正しい知識に
裏打ちされたたゆまぬ工夫によって初めて発揮される創意の豊かさでありましょう。
そう、この精神をエンターティナーの心意気と呼ばずして何とする!
だからこそそんな創意工夫の決勝を頂く患者の僕もまた、それ相応の気合(笑)をおって
美味しく食べつつ、一日三食をめいっぱい楽しんじゃおうと思うのもまた必然。
そんなわけで入院生活における大事な「お楽しみタイム」となった給食時間。
ここからはランダムに、病院食海岸当初の食事で印象に残ったメニューの数々を
改めて思い出しつつご紹介させて頂きますね。
●豆とひじきの炒め煮

(画像はGrokによるAI生成)
単にひじきの煮つけではなく、栄養価豊富な豆の味わいが加わることによって得られる
味わいと歯ごたえの奥行き深さに「おおっ」と心の中で唸り、それまで自分の手料理に
おいてはあまり使ったことのない食材だけに「豆は工夫のし甲斐あり。退院後も要研究」と
手近のチラシの裏に思わず書き留めた思い出の(笑)一皿。
●鶏肉煮のトマトソース和え

(画像はGrokによるAI生成)
様々な入院患者のニーズに応えつつ病状に幅広く対応するため、たとえ焼き物系でも
ワイルド&ダイナミックな焦げ目付きは敬遠され、必然的に柔らかな煮物系や蒸し物系が
多くなってくるのも病院食の特徴であり、そこに「何を付けたり、かけたりして供するか」の
工夫によって変化をつけていく様も毎食の見どころであり、食べドコロ。
このメニューに関しては病院食の基本である「薄味」だけあって、鶏肉とトマトと
双方の「本来の旨味」が調味料の刺激に塗りつぶされることなく、自然なかたちで
くっきり際立ってくることに唸らされましたね~。
●辛くない麻婆豆腐

(画像はGrokによるAI生成)
「ほどほど」が身上であるだけに、殺人的(笑)激辛メニューなんて言う代物は
そこが「いのちの現場」であるという大前提を抜きにしてもご法度。
この時の昼に供された辛くない麻婆豆腐(今にして思えば「豆腐のそぼろ煮」みたいな
名称だったかもしれない)は、麻婆豆腐の必須要素とされがちな「麻」と「辣」の
ふたつを意図的に抑えることによって、ともすれば「麻」「辣」の二大スターの前に
従属を強いられていた数々の要素がよりくっきりと舌の上に立ち上がり、そもそも
麻婆豆腐とは辛さ以外にも、こんなにも豊かな旨味の積み重ねによって成立していたん
だ……と感動を新たにさせられましたねー。
●プレーンヨーグルトの果実ジャム落とし

(画像はGrokによるAI生成)
糖質制限の大前提から「甘さ」と言う要素が不足しがちに思えた病院食の中にあって
さる日の昼食時に供されたこのデザートの甘さ(と酸味)は本当に嬉しくて……
制限付きの食事における「甘味の盛り込み具合」の基準決めにおける指針として、
実は今でも絶えず思い出しつつ参考にさせてもらっています。
といったところで本日の記事はここまでですが、連載は無軌道にまだまだ続きます(笑)。
ではでは、それは次回の講釈で!