”この十六年間、一日だって
胸の痛まない日はなかったよ……!!”

ゼ・ズーとスイードの繰り出してきた最後の刺客、夢幻獣ギルバグの特殊能力によって
夢の世界に閉じ込められ、「そこに於ては父母が無事に生き続けてくれている」と言う
ユウマにとっては何よりも「そうあって欲し」く、甘美な餌をちらつかせながらも
そういった形での「夢とうつつの狭間で云々」は第22話の「柱」回、そして前回の
アークの形を模したスイードの誘惑、と言う形でさんざんやってきてますので(笑)
今回はその「夢かうつつか」のギミックは早々に「これはギルバグの見せた夢」だと
種明かしを済ませてしまって、そんな夢の中で試され続ける中で、堰を切ったように
吐露されてくるユウマの切なく、苦しく、悲痛な内心の思い……
亡き父親の遺した「走れ、ユウマ!」の言葉にそんな自信を鼓舞しながら前を向いて
「走り」けて来た……いえ、そうする以外の選択肢がなかった一人の少年の内面を
改めて視聴者に提示し、そんな風に踏ん張って来たユウマでさえ敵の奸計に呑まれかけ
地震の力を手放そうとしかけた時、それを引き留めたのが父親の姿をとって現れた
ルティオン=アークであったというのも、ユウマが孤独なヒーローと言うわけでなく
常にアークとともに、そしてあの事件から16年間の人生の中で出会った人々との絆を
大切な思い出とともに在り続けてきたことを想わせて胸が熱くなります。
[バンダイ(BANDAI)] ウルトラ怪獣シリーズ 228 ギルバグ
そしてまた、そんなユウマにとっての職場であり、仲間であり……
今やかけがえのない「家族」でもあるSKIP星元市分所の人々もまた
自らに出来る精一杯のことを! ということで、ギルバグの無限空間を形成する
特殊な波動発生の器官を、急場作りのオニキシウム光線砲で攻撃することにより
ギルバグのバリアを破壊して、勝利の一端を担うことに貢献。
その光線砲の引き金を引くのが、地球防衛隊・宇宙科学局からの出向要員として
シリーズ当初から光線銃の傾向を許可され、また同時にシリーズ全体を通じて
ユウマとの絆を固く、揺るぎないものにしてきた石堂シュウだったというのも
設定的に見ても、視聴者の情緒的に見ても、彼以外には有り得ない人選でしたし
その際の腫瘍エネルギーたるオニキシウム粒子が、研究用として星元史分所に
少量ながら譲渡されたものであったことなど、クライマックス展開を導き出すため
シリーズ全体を通じて周到に数々のガジェットが提示され、さりげないかたちで
無理なく劇中に配置されていたのだという事実にも、ここまでの物語の蓄積と
その「重み」の尊さを感じさせ、シリーズ構成の妙味にも唸らされる思いです。
ただ、その「急場作りの光線砲」のイメージがまんま『ゴーストバスターズ』なのは
パロディや丸パクり絶対許さない! 系の潔癖なファンの方からは不評も出ましょうが
最終話でのこの盛り上がりの中において、それあはさすがに野暮じゃないかー、とも
僕なんかは思ってしまうんですけどね(笑)。
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で、そんな人々とヒーローとの連携によって、ラスボス怪獣と思われたギルバグが
思いのほかあっさりと倒されたと思っていたら……予想だにしていない「隠し玉」、
佐藤江梨子氏演じるスイードが、自らの姿を対ウルトラマン用に怪人化させ巨大化した
”暗黒宇宙戦士”スイードの登場!!
怪物然とした無骨なプロポーションながらも、頭部はウルトラマンを模したかのようで
しかもその顔面には、先の話数で登場した「白い仮面の男」の素顔(?)と同様に
くっくりと特徴的な「穴」があいている……と言うデザインが、本作最後の強敵であり
想像力をもって戦い、未来を信じるユウマ&アークにとっての「敵」概念の在り方を
如実にアピールして余りあります。
そんなスイードが自らをゼ・ズーゲートと化し、恒星ソニアのフレアを解き放って
地球を焼き尽くさんとするとき、花開くアークの想像力……
スイードの胸にぽっかりと開いたゲートの孔に、モノゲロスの角たる「モノホーン」を
つっかえさせる形で埋め、とどめとなる必殺光線もまた、単なる破壊エネルギーでなく
ユウマ自身の想像力と、未来を信じて走り続ける前向きな意思の発露であるかのように
そのままぐるりと地球を一蹴してしまう事態に(笑)。
さながら『ヤッターマン』のOPかと言う感じで、下手にやると単なるギャグなんですが
劇中の流れとも相まっての開放感や高揚感は無類で、『アーク』でなければ不可能な
クライマックス・バトルの盛り上がりだったと思います。
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そして、アークが今まで「そう」してくれたように……
今度はルティオン=アークの故郷たる銀河系の危機を、自らの想像力の手助けで
回避し、救うために、アークとともに旅立っていくことを決意したユウマの姿と
それを見送るSKIP星元市分所の面々の姿がもうひとつのクライマックスに。
旅立つユウマに対して、それぞれの立場から声をかけるSKIP面々の言葉も
それぞれに尊いものなんですが、ここにきて改めて発揮されるのは石堂さんの
ユウマへの熱すぎる思い入れと情とが相まったヒロイン力(笑)。
そんな人々の思い、あるいはかつて自分を温かく包んでくれた両輪の思いを
しっかりと受け止め、自らの中に抱き続けているユウマの「旅立ち」だからこそ
もはや「向こうの銀河系の危機を解決させる」のは、わざわざ描写するまでもない
決定事項も同然(笑)ですので、最後に彼が約束した「帰って来る時には必ず、
分所の怪獣ホットラインに電話する」と言う約束も、わざわざそれび対しての
レギュラー陣のリアクションを描写せず、ホットラインの呼び鈴がなったところで
すぐさまOP主題歌のエンドロールに移る――つまりは視聴者側の「想像力」に
ここからの『アーク』を託し、委ねた形のラストの方がより粋だとも思いましたが
その上でなお、ひとつの物語を見届けたことへの満足感を確かな形でもたらし
感謝の思いで包んでくれた心地よい幕切れであったことには違いありません。
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何しろ前作『ウルトラマンブレーザー』が大好きなものですから、その後番組で
視聴のテンションが下がってしまったらどうしよう……なんて懸念もありましたが
結果的には二年連続で傑作・快作が相次ぐこととなり、前述の心配については
実に嬉しい形での杞憂に終わってくれまして。
そのヒーロー像も、登場人物も、怪獣も、世界観の中で織りなされる物語も……
ひとつの要素を「売らんかな」とばかりに露骨にアピールするのではなくて
絶えずトータルの中でのバランスを意識しつつ一本のシリーズとして筋を通す
とても「誠実」な……そんな「誠実」な姿勢に裏打ちされた折り目の正しさこそ
ハデハデな怪獣バトルシーンや、これ見よがしの販促要素推しにも増しての
『ウルトラ』本来の滋味だった、と気持ちよく実感させてもらえた半年間でした。
この後に控えている劇場用映画もありますし、楽しみですけど……
今はひとまずお疲れ様、『ウルトラマンアーク』。
どうかいつまでも、想像力が輝かせる虹の円弧(アーク)とともに!
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