“投げ銭ありがとうございますー”
”これは……
カネゴンさんから頂きましたァァーッ!!」”

今から半世紀以上も前、たった30分のモノクロ番組1話分だけの出演でありながら
今なお「ウルトラ怪獣」ブランドを語る上では欠かせない「顔」として重用され続け
ウルトラ怪獣屈指の人気と知名度を獲得しているコイン怪獣・カネゴン。
ただ、その絶大な人気に反して、お金にがめつい子どもが不思議な眉の中で変身した
”守銭奴の権化”と言うキャラクター性が、自然界のサイクルに属する生物と言うよりは
むしろ妖怪変化に近いものであり、ウルトラ怪獣としての設定・出自に関してはむしろ
特殊で扱いにくいものである、と言う認識がありましたので、果たして『アーク』は
この怪獣をどう扱うのか、と期待半分、不安半分だったのですが……。
いざ蓋を開けてみれば、地域仮装通貨「ホシペイ」をより効果的に運用するための
AIとして開発されながら暴走し、仮装通貨を溜め込むだけ溜め込んで円滑な流通を
滞らせて星元全市に深刻な経済ダメージを与える……と言う独自の文芸設定により
怪獣調査を主軸とする『アーク』の物語世界観と調和させつつ、新たにV怪獣の
インターネット・カネゴンとして新たな生命が吹き込まれ、近年のV配信であったり
地域限定の仮装通貨(と、それに伴う経済流通の概念)と言う今日的な要素にも
ガッツリと絡んでいくことによって、現代社会でなければ描けず、成立しない
「今」ならではの物語展開で在りつつ、怪獣の存在とその特殊能力、それによって
引き起こされる事件こそが主軸となって物語を転がしていく『ウルトラ』ならではの
根源的魅力にも肉薄していく、と言う離れ業を達成。
加えてそんなインターネット・カネゴンの事件を受ける人間側サイドのドラマも
「何か悪いものでも食べたの?」と思わず勘ぐっちゃうくらいに(笑)異様な
ハイテンションなマンガノリ芝居で突き進みまくり、前回・ホムガー回における
リリック&シリアスな展開との落差の凄まじさもあって、TVの前の視聴者たちを
少なからず困惑させてくれたことは間違いなくて(苦笑・わりと賛辞)。
特に毎度出て来るだけで美味しい石堂シュウさんの演技テンションの高まりと
メリハリの効き過ぎたリアクション&台詞回しの数々は、公式設定における
「コーヒー好き」の範疇だけではもはや済まされないほどの異常&異様さで、
果たして石堂役を演じた金田昇氏(おおっ、奇しくも「金田」だ!)にとって
今話の演技にはどのようなお気持ちで臨まれたかが本気で気になりますね(笑)。
そしてクライマックス、サーバーの中の電脳空間に広がる仮想世界と言う
ワンクッションを設けることによって、本来のカネゴンの設定とも乖離せずに
無理のないかたちで実現されたカネゴンとウルトラマンの巨大戦……
……と言うだけでは済まないのが、全くもって本話の度外れたところで(笑)。
どこか海外における「誤解された日本像」のイメージが意識的に盛り込まれた
電脳空間のケバケバしいセットメイキング、やはり円谷プロ作品繋がりであり
コンピューターネタをいち早く取り入れたパイオニアでもあり、近年における
アニメ化の成功で一躍その知名度を高めた『グリッドマン』のエッセンスが
(電脳空間へ突入していくイメージは明らかに『グリッドマン』のパサルート!)
意識的に小ネタのくすぐりとして盛り込まれたり、また本日がソフビ発売日である
SKIPのマスコット&調査分析ロボ・ユピーが、これまた仮想空間なのをよいことに
巨大化してアークとの共闘を果たす、と言う形で販促ノルマを消化し……
などなど、色町・繁華街のネオンを彷彿させるライティングの毒々しさの中で
視聴者にツッコむ余裕を与えずに次から次へと繰り出される野放図なイメージは
本話のメインテーマである「想像力」というよりは、むしろシュールで不可思議な
寝覚めの悪い悪夢(笑・かなり賛辞)のようでもあって、これまでのエピソードを
比較的ストイックに積み重ねてきた『アーク』の振り幅は、ここまで突き抜けても
「それ」を許容できるのかと、一視聴者としては素直に感心しきりです。
さて、ラストにおけるSKIP星元市分所のV配信において、仮想通貨による
”投げ銭”に執着し過ぎた石堂さん(のアバター)がカネゴン化しちゃうと言う
『ウルトラQ』からのファンには納得であり、かつ『アーク』の物語的にも
無理のないオマージュオチに、ハタと膝を打って感心したところで。
次回はまたまたそこからガラッと毛色が変わって、次回はSKIPの先輩職員である
リンさんの過去が掘り下げられるシリアス編になりそうな予感。
そして同時にその回は、同じボディから生まれた兄弟とも言うべき(笑)
パゴスとネロンガが夢の競演を果たすと言う大トピックス!
ここまで一体一体の怪獣の描写を大切にしてきてくれた『アーク』なだけに
次回の二大怪獣登場も決して疎かではないと信じたいところですが……
はてさて!?(どきどき)