"ホムガーは精霊と共に現れる"

連日のように最高気温を更新し、今や日中の最高気温が45度(!!)の星元市……
連日の猛暑にうだり続けている現在の状況下においてはあまりにタイムリーな出だしで
フィクションと言うにはあまりに生々しく、身につまされてしまう……
ここ数年の人間に厳し過ぎる夏場の猛暑と、それを生み出した現実の気候変動を思うと
劇中では48度にまで脱した(!!)この酷暑が、そう遠くない将来にはもしかして
絵空事では済まなくなっているのかな、とか色んな思いが脳内をよぎりつつの視聴。
じっさい視聴直後にこうして感想文を書いている今、この瞬間における蒸し暑さもまた
ハンパではなく、身につまされるやら沁みるやら……であるだけに、お馴染みSKIP勢と
むしろその真面目さが癒し・和枠として機能してしまう石堂さんのコーヒーに対する
ブレなさっぷりが、番組と現実の両面から暑さで責められ、ささくれだった神経を
絶妙の形でなだめてくれます――
個人的には日常芝居の範疇において極端に見得を切ったり、カメラ目線で決めたり
極端にメリハリをきかせすぎた「マンガノリ」の演技や演出が持ち込まれることは
ぶっちゃけあまり好みではないのですが、ただ今回の場合はこの後が深刻なだけに
抜けるところで息を抜いておくのもひとつの正解ではあるのかな、と。
さて、そんなコミカルな冒頭から、何気なくも深刻な日常の異変……
漂い出した硫黄のような異臭、コンクリートの舗装を砕いて噴き上がる温水と言う
「前兆」の描写を経て出現する今回のゲスト、灼熱怪獣ホムガー。
何らかのアイテムで無の状態から召喚され、ゲームの標的のように消費されるだけの
無味乾燥な「駒」ではない、確固たるひとつの生態を有した生物であるのだと言う
その描写を明確にしてくれているだけでもウルトラ怪獣者としては嬉しい限りですが。
……ただこのホムガーの場合、全身に溜め込んだエネルギーを一気に爆発させることで
胎内の子どもに「次代の命」を分け与え、しかもその大爆発の瞬間のエネルギーは
星元市一帯をまるごと消滅させかねない、と言う厄介すぎな代物で(苦笑)。
で、そんな事態を回避するためにSKIPと防衛隊とがそれぞれの立場で行動開始する中で
ホムガーもまた一個の生命であるとして怪獣の側に立ち、ユウマに訴えかけて来る
謎めいた精霊の少女の登場もまた、これまた『ノンマルトの使者』以来といってよい
『ウルトラ』ならではの伝統と言いますか、慣例と言いますか。
そして人類とホムガー、双方の「はざま」に立つものとして……
どちらかの理屈や都合だけで片方を断罪・抹殺してしまうのではなく、双方にとっての
よりよい落としどころを探し続け、そのためにこそ人知を超えた目を見張る超能力が
如何なく発揮されて見せ場となる……と言うのが近年の『ウルトラ』らしさ。
アバンタイトル部において示されていた「ぼくのかんがえたさいきょうのヒーロー」の
太陽の力・ソリスアーマーに次ぐ第二の強化形態、ルーナアーマー。
パワー系のソリスと対極をなす神秘的超能力、そのイメージの源泉となっているのが
かつての幼い日、ユウマに語りかけた亡き母親の遺した言葉であり……
そんな「母の思い」を受け止めたユウマの想像力の具現化であるルーナアーマーの力が
同じく胎内に未来への生命を宿した「母」であるホムガーの生態と思いを尊重した上で
星元市消滅と言う絶対の危機をも回避させる物語上の着地点も実に綺麗です。
そして、そんな神秘の力による事態の収拾を受ける形で、我らがSKIPのレギュラー陣が
「アークの力だけに頼らず、自分たちもまた怪獣の調査を続けていこう」と再認識する
極端なセンチメントに陥り過ぎず、かといって無味乾燥に割り切って思考停止もしない
本作らしい地に足の着いた現状認識に裏打ちされた優しさの「オチ」がついたところで
エピソードの余韻をEDソングと共に心地よく反芻していたところへ……
何ッ、次回はカネゴンだって!?
まぁ、確かにOPには毎回出ていましたけど、このタイミングでとは思わなかったんで
気持ちよく驚かされました――
や、本作『アーク』との一視聴者としての向き合い方に関する限り、その辺の
「先取り情報」は極力シャットアウトするようにしてたもんですから(苦笑)。