”ユウマ。
想像力を、解き放て……!”

1,2話にかけては地球防衛隊の特別調査員・石動シュウのSKIP星元市分所への出向と
続けざまに起こった怪獣事件を通じて、新ヒーローたるウルトラマンアークが持ち前の
超能力と巨体とで遺憾ない活躍を見せ、その雄姿をアピールするかたちで幕を開けた
ウルトラファンも怪獣ファンも待ちに待ってた2024年・期待の新番組。
とはいえ主人公のSKIP新人調査員・飛瀬ユウマが何故ウルトラマンアークに変身でき、
その力の源たるアーク亜ライザーとアークキューブはどこに由来するものなのかを
番組内のどこかでしっかり掘り下げておかねばならないのは必然で、その意味でも
1~2話の助走を経て番組ムードが温まって来た3話目と言うこのタイミングで改めて
「ヒーロー誕生編」の物語が示されるのは、『ウルトラ』的にはやや変則的ながらも
番組としてはむしろ適切であり、シリーズ構成の巧妙さに唸らされる思いです。
そうして改めて語られる、16年前の「KーDAY」に端を発する作中事実の数々……
幼い日のユウマから良心を奪った”モノゲロス案件”に端を発し、大人になってからの
ユウマが配属されたSKIP星元市分所での初仕事を通じて活写される、先輩職員である
夏目リンのキャラクター性(一個人としての気さくさ、職業人としての在り方)に
16年前のモノゲロスの角・モノホーンが、さながら宇宙の彼方から新たな同族を
呼びよせているかのように音叉のごとき共鳴反応を見せることで、このモノホーンが
今なお防衛隊などからの要注意・監視対象となっている理由が明確に示されたり。
そしてアークの存在と変身アイテムの形状などが全て幼い日のユウマが夢中で描いた」
「ぼくのかんがえたさいきょうのヒーロー」に直結していたものであり、それはまた
今なお怪獣災害で苦しんでいるのは自分だけではなく、そんな人々を救いたいと願い
今も「走り」続けているユウマの行動原理にも通底する魂の迸りであったと言う事実で
この主人公が視聴者の感情移入に足る好青年なのだと改めて定義し印象付ける……
「視聴者に対して必要な情報をいつ、どのタイミングで伝えるのか?」と言う判断の
適切さが生む、ストーリーの流れを決して分断したり、停滞させたりすることのない
語り口の淀みなさには改めて感服せざるを得ませんね。
で、そんなニューヒーローの(劇中における)初陣の相手となってくれた
宇宙からの不気味な来訪者、ディゲロス。
ただ単に「二種類の怪獣をパーツ付け替えで再現可能である」玩具プレイバリューの
アピールのみにとどまらず、16年前に現れたモノゲロスと現在のディゲロスとを
同一スーツで表現したり、更に出現の際にもモノゲロスが遺した一本角・モノホーンが
出現直前のディゲロスと共鳴反応を見せたりするなどの描写で、シルエット的にも
設定面でも「同一機嫌の存在」なことを視聴者に強く匂わせ、と同時にこの事件が
あくまでも「始まり」に過ぎず、今後も同様の案件がまた何度でも起こりうると言う
これからの物語展開への期待をも大いに膨らませてくれる劇中描写も巧みでしたし
1話のシャゴン、2話のリオドら地球怪獣たちの何とも言えない愛興味とは異なる
「まともに意思の疎通が可能なのかどうかも疑わしい」無機的な冷徹さの演出が
地球怪獣とは異なる宇宙獣の、本作における別格ぶりをも強く感じさせてくれます。
……まぁ、敢えて「ゼットンっぽい」の一言で片づけたくはないんですが(苦笑)。
そして、初変身を遂げた自分自身の姿に戸惑いながらもディゲロスと果敢に戦い
見事、初勝利を飾ってくれた我らがアーク。
ディゲロスが前面に張った光波バリヤーの効果を、必殺光線の軌道をカーブさせて
側面から敵に叩きこむことでスルーしてしまうと言う、従来ウルトラの殺陣においては
今までありそうでなかったトンチの効き具合(笑)に「想像力」の一端を匂わせつつ
同時にその前段階としてアークが体ごと首を傾げてみせるシンキングタイムの仕草が
ここ数年の『ウルトラ』では恒例となりつつあったインナースペース演出を挟まずとも
「ユウマ=アーク」であると言う一体感や、新ヒーローを決して無機的に感じさせない
「人間味」の創出、それを「光の巨人」と言うヒーロー属性の神秘性をも損なわない
絶妙の匙加減で見せてくれていると言うのもまた好印象でしたね。
そんな過去の出来事が全て「今」に繋がっていく……
と言うわけで、ラストは夢(回想)から目覚めた現在のユウマが、朝の通学通勤路を
偶然出会ったシュウと肩を並べて職場に向かっていくシーンでEND。
前回ラストでやや不穏な動きを見せていた石堂さんですが、ことコーヒーに関しては
タガの外れた面白キャラになってしまう一面もまた事実であり、SKIP星元市分所とも
良好な関係を深め、仲良くやっていくであろう展開が期待できちゃうだけに……
ああ、それだけにむしろ、対立の日は来てほしくないな~(切実)!