

遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。


いつもならば、この辺で怪獣魔王が配下への檄を飛ばすところだが
こと今回は、それどころではないシッチャカメッチャカの緊急事態ゆえに
今、怪獣軍団は怪獣たちが右往左往の大騒ぎなのであった。
論より証拠、まァこれをご覧頂きたい――

ズガーン! グワーンっ! と景気良い音を響かせながら
次々と巻き起こり、怪獣軍団の本拠地を揺るがす大爆発の連鎖を!
イフ「えぇいっ、この騒ぎは一体何事だ!」

イフ「まさか、恨み重なるあの宙マンめが……
とうとう、この暗黒星雲まで攻めてきたと言うのか!?」
「あ、いえ……そうじゃないんですよ、魔王様!」

「実はドラゾランの奴が、さっきから凄く気が立ってる様子で……」
「なんせ急なもんで、俺らにも何が何やら!」
「何ッ、ドラゾランだと……!?」
「グルルル……ガァァァ~ッ!!」

噂をすれば、なんとやら。
と言うわけで、こちらが今回の騒動の主――
怪獣軍団の一員にして宇宙の暴れ者、大怪獣ドラゾランである。
イフ「こらっ、ドラゾラン、もうその辺にしておかんか!」

イフ「……一体どうしたというのだ、突然。
お前は確かに暴れん坊だが、よりによってここで見境なく暴れ回るほど
分別のない怪獣ではなかったはずだぞ!?」
ドラゾラン「はぁ、面目次第もござんせんです(しゅん)」

ドラゾラン「魔王様、何と言いますか、その……
ここ数日のムラムラが自分で抑えきれず、つい我慢できなくなっちゃって……」
イフ「ムラムラ……!?」
ゾネンゲ博士「いわゆるひとつのアレでナニ――でございますよ、魔王様!」

ゾネンゲ博士「ご覧下さい魔王様、普段より一段と毒々しい体の模様を。
あれはドラゾランの一族に特有の、繁殖期における婚姻色。
ですが繁殖しようにも、生物学的にそれを満たせる条件がないときては……」
イフ「(頷き)……暴れて昂ぶりを鎮めるしかなかった、と言うわけか」
ドラゾラン「そ、そうなんスよ魔王様、そういう事なんです!
だから今回のコレも、若気の至りってことでお許し頂けると……」

イフ「それとこれとは別だ、この大馬鹿者めが!
繁殖期のたびに、本拠を壊されてはたまったものではないわッ。
……そんなにムラムラするのなら、地球ででも暴れて発散して来んか!」
ドラゾラン「(慌てて平伏)は、ははァーッ!」

かくして、半ば厄介払いに近い格好で……
暗黒星雲を後にして、まっすぐに地球を目指し飛んでいくドラゾラン。
理由はどうあれ、またも新たな恐怖が我々の地球に向けて迫り来るのだ!
が、ひとまずそれはそれとして。

今この瞬間にも、悪の使者が近づきつつあるとは知る由もなく
北海道千歳市は、うららかな陽気と平穏の中にあった。

そして、そんな平和な時間を象徴するかのように……
市内・ほんわか町5丁目、お馴染み「宙マンハウス」の庭園では
エゾヤマツツジのピンクの花が、今が盛りと見事に咲き誇っていた。

みくるん「わぁ~、キレイに咲いてますね~!」
ながもん「今年のは……また、一段と……見事」
宙マン「はっはっはっ、ありがとう、みくるんちゃんにながもんちゃん。
そう言ってもらえると、家主としても鼻が高いよ」

宙マン「春から初夏にかけて、今年は例年にないほどの温暖さだからね~。
ツツジに限らず、総じて早めで元気な開花っぷりだよ」
ピグモン「はうはう~、見てるだけでピグちゃんも元気になっちゃうの~♪」
ながもん「……(頷く)」

ビーコン「いえっふ~、なんのなんの、元気ならオイラも負けてないっスよ!
元気ゲンキ、元気な子どもは股間が鉄砲百合!」
落合さん「なんですかビーコンさん、のっけから下品なっ!
大体アナタは、この季節に限らず年がら年中発情期みたいなものでしょう」
ビーコン「チチチ、甘いスね落合さん! スイーツ落合!
ケモノ的本能を類まれな知性で裏打ちした、オイラのエロさは一味違うっスよ!
さぁいらっしゃいっス、どこまでもクレバーに抱いてあげるっス~☆」
落合さん「いけしゃあしゃあとッ。警察呼びますわよ!?」
……などと言う実のない会話も、日常を彩る絶妙のスパイス。
だが、そんな平穏を破るかのように!

ゴ ウ ン ッ !
落合さん「!!(ハッと空を見上げる)」
ビーコン「(冷や汗)な……なんスか、今の!?」

ズゴゴゴグワーンっ!
千歳市の上空から猛スピードで飛来し……
一直線に落下し、地面に激突して大爆発を起こす赤い球体。
濛々たる土煙の中から荒々しく立ち上がったのは……勿論!

「グルルル……ガァァァ~ッ!!」
みくるん「ああっ、怪獣ですぅ!」

ピグモン「(震えて)はわわ、今度のも強そうでおっかないの~」
ながもん「不覚……アレは、初めて……見る、怪獣」
ドラゾラン「グルルルッ、俺の名前はドラゾランってんだ――
いい機会だからよーっく覚えときな、眼鏡のチビッ子怪獣博士!」
ながもん「(頷き)……勉強に、なった」

宙マン「そのドラゾラン君とやらが、今度は地球にどんな用向きだね。
観光とか買い物とか、そう言う穏やかな目的だと有難いんだが……」
ドラゾラン「グルルルッ、眠たいコト言ってんじゃねーぞっ!」

ドラゾラン「こちとらここ数日、ずーっとムラムラ来て気が立ってるんだ。
思い切り暴れて発散しなけりゃ、もうどうにも収まらねぇんだよッ!
邪魔するってんなら、どこのどいつだろうとタダじゃおかねぇぞ!?」

落合さん「……あら嫌だ、こっちはこっちでリアル発情期でしたのね!?」
ビーコン「どひ~っ、世の中上には上がいるっスねぇ~」
宙マン「……うぬっ!」

イフ「千歳の街でなら遠慮はいらん、好きなだけ暴れろドラゾラン!
壊しに壊して発散し、スッキリした気分で帰ってくるがよいぞ!」
ドラゾラン「グルルルッ、有難ェ――それじゃドラゾラン、行っきま~す!」
怪獣魔王のお墨付きを得て、喜色満面のドラゾラン!

繁殖期ならではの有り余るリビドーを、全て破壊衝動に変換し……
逃げ惑う人々を追い散らしながら、傍若無人の進撃を開始する。

ビーコン「どひ~っ、なんかマジで暴れ出したっスよ、あの発情期怪獣!
……あ、でも、掴まってオカマ掘られちゃうよりはなんぼかマシかも……?」
落合さん「(呆)そういう問題じゃないですからっ!」
みくるん「は、早く逃げなきゃですよぉ!」
宙マン「みんな、こっちだ!」
大怪獣ドラゾランの闖入により、たちまち大パニックの千歳市!

だが、しかし。
怪獣のこれ以上の進撃を阻むべく、直ちに千歳基地の駐屯所から
陸の精鋭たちが出動したのであった。
「GO! GO! GO! GO!!」

勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」

落合さん「出前迅速・出動迅速。有難いことですわ!」
ビーコン「なんだかんだで、やっぱ来てくれると嬉しいもんっスねぇ!」

唸りをあげるレーザーガン、バズーカ砲!
地上部隊の携行火器が、ドラゾランめがけて次々に炸裂。

……だが、それら矢継ぎ早やの猛攻にさえも、一向に怯む様子を見せず
いささかも進撃のペースを緩めないドラゾラン。
ドラゾラン「グルロロロ~ッ、ドラゾラン様をナメるなぁっ!」

グワッと大きく口を開いて、得意技の赤色熱線を吐き出すドラゾラン!
その威力によって建物が次々に破壊され、街全体がみるみる炎に包まれていく。
ドラゾラン「コレで少しは気も晴れた……でも、まだまだ暴れ足りないぜ!
こうなりゃトコトンぶっ壊して、こんな街ァ一面の更地にしてやらぁ!」

ビーコン「どひ~っ、あんなコト言ってるっスよ、アイツ!(汗)」
ピグモン「(涙目)はわわ、それダメなの、みんな困るの~!」

落合さん「ですが、このままでは本当にそうなりかねませんわっ」
みくるん「(狼狽)ふぇぇん、ど、どうしましょう~」
ながもん「(宙マンを見上げて)やっぱり……ここは、あなただけが……頼り」
宙マン「おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うドラゾランの前に舞い降りる!

宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
それ以上みんなに迷惑をかけるなら、この私が黙ってはいないぞ!」

ズ、ズーンっ!!

ビーコン「いよっしゃ! これでもう勝ったも同然っス!
ヒヒヒ、あとはもう寝てたってハッピーエンド間違いなしっス~☆」
落合さん「寝てる場合ですか、あなたもしっかりお殿様を応援なさいっ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

ドラゾラン「ガァァァ~ッ、出たな宙マン! 叩きのめしちゃる!」
宙マン「いいや、叩きのめされるのは貴様の方だ!」

ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!

ドラゾラン「ナメんな、コラ! 行くぞーっ!!」
宙マン「ようし、勝負だ!」

激突、宙マン対ドラゾラン!
落合さんたちがハラハラと見守る中、巨大戦のテンションは早くも最高潮。

土砂を巻き上げ、のっけから両者ともにパワー全開!
繁殖期まっただ中で、全身に「ムラムラ」の勢いが充満しまくっている
ドラゾランの勢いが、まずは序盤戦において宙マンを押していく。

だが、ヒーローもさるもの……
ここでそう簡単に押し切られるような宙マンではない。

勢い任せに驀進してくるドラゾランの動きを冷静に見切り、
その内懐へ入りこんで膝蹴りを的確に叩きこんでいく。

ながもん「おぉ。……今のは……ナイス、反撃」
ビーコン「いよっしゃ、そこっス、そのまま一気に押し捲るっスよアニキ!」
落合さん「えぇ、そうですとも、お殿様の勝利はもう目の前ですわ!」

宙マン「それっ!……どうだ、参ったか、これでもか!」
ドラゾラン「グルルル……ナメんなコラーっ!!」

バ キ ィ ィ ッ !

ドラゾランの怒りが、全身の筋肉に行き渡って大爆発!
攻勢に転じていた宙マンを、その怪力で強引に弾き飛ばしてしまう――
大きく吹っ飛び、倒れ伏すヒーローの巨体!
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」

ビーコン「う~む、恐るべし発情期……っス!」
落合さん「ちょ、ビーコンさん、感心してる場合じゃないですわよっ!(汗)」
ピグモン「はわわわ、宙マンがんばって、負けないでなの~!」
ながもん「……(無言で拳を握りしめる)」
ドラゾラン「グルルル……まだだぜ宙マン、まァだまだ!」

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

更にダメ押しとばかりに、ドラゾランの吐き出す赤色熱線!
その爆風と衝撃波に、再び吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる宙マン。

イフ「おおっ……これはいけるぞ、その調子だドラゾラン!
恨み重なるにっくき宙マンめに、今度こそ完全なるとどめを刺すのだ!」
ドラゾラン「ガァァァ~ッ! お任せを、魔王様!」
ズシーン、ズシーンっ……
一気にとどめを刺すべく、足音を響かせながら猛然と迫ってくるドラゾラン。
宙マン、ピンチ!

みくるん「ちゅ……宙マンさんが、ほんとに負けちゃう……!?」
ながもん「(首を振り)負けない。……だって……宙マンだから……!」

ドラゾラン「ガァァァ~ッ! 宙マン、いよいよお前の最期だァ!」
宙マン「なんの……そうは行かんぞ、ドラゾラン!」

宙マン、気力を振り絞ってパワー全開!
迫り来るドラゾランを前に、素早く立ち上がって体勢を立て直し――
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」

ピッキュイィィーンっ!

高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、ドラゾランのボディで激しい爆発が起こる。

宙マン「――どうだッ!?」
ドラゾラン「どうもこうもねぇよ……き、効きすぎだって~の!」

火花を散らして崩れ落ち、大爆発とともに吹っ飛ぶドラゾラン。
やったぞ宙マン、大勝利!

みくるん「やったぁ!」
ながもん「流石、宙マン……今日も……グッジョヴ」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

イフ「ぬううっ、うぐぐぐぐっ…… またしても、またしても宙マンめが!
今に見ておれ、只ではおかんぞ!」
暴れ回られては大変なので、厄介払い同様に出撃させたとはいえ……
怪獣魔王は魔王で、やはりそれなりに戦果も期待していたのである。

だが、今回もまた、我らが宙マンの活躍によって大怪獣ドラゾランは倒され
怪獣魔王の淡い期待も、淡いまま消え去っていったのであった。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした!」
ビーコン「や~、今日もまたスカッとする大活躍だったっスね~」

みくるん「これでまた落ち着いて、お庭のツツジの花が見られますね!」
ながもん「その後の……おやつタイムも……お楽しみ」
宙マン「(頷き)ああ、みんなで美味しく楽しく盛り上がろうじゃないか」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんとっても楽しみなの~♪」

ビーコン「いえっふ~、アニキのおかげで万事の流れが元通りっスね!
元気ゲンキ、元気な子どもは股間が鉄砲百合!
さぁいらっしゃいっス落合さん、どこまでもクレバーに抱いてあげ(る)……」
落合さん「…………ッ!!(ぶちっ)」

げ し っ !

落合さん「ねーいっ、そんなエロい流れに戻す必要はありませんっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、今日も落合さんは容赦なく厳しすぎるっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」

この青空のごとく爽やかに……
我らが宙マン、次回もまたまた大活躍だよ~!